当たり判定ゼロ

シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

飯島ゆんのようにしか生きられない

みんな〜!熱くなってる〜??
何かやるべきことを見つけて自分の人生ブッこんでる~??
 
まぁそこまで夢中になって入れ込めるものってあるようでないですよね。というかそんなもんあるなら今すぐブラウザの☓ボタンを押してそのやるべきことに戻ろうな。
 
「1万種類の蹴りを1回ずつ練習した男は恐ろしくないが、たった1種類の蹴りを1万回練習した男は恐ろしい」と言ったのはブルース・リーでしたが、ウメハラだって「何かをやるということは、何をやらないか決めることだ」みたいな話をしてた気がします。成功者は大体この手の選択について述べていることから考えると、やはり間違いなくビッグサクセスへの近道はリソースの集中化であることは間違いないのだと思われます。
 
そんなこと言われんでもわかっとるがな、って話なんですけど、実際その原理が理解できているから実行に移せるのかと言われると無理ですよね。
 
楽しいんですよ。「人生のつまみ食い」というやつは。
新しいゲームが発売されればとりあえず遊んでみて、新作アニメはとりあえずいくつか観てみて、人気の映画作品が話題になっていればとりあえず観に行ってみて、神絵師に触発されて少し絵を描いてみたと思えば、機材買ってきてDTM始めたりする。今となっては弾かないギターは部屋の隅に置きっぱなしで、弦は錆びてる。エフェクターの使い方はもはや忘れた。ありがちな話。
 
色々なものに触れるということは悪くなくて、キャプテン翼と出会ったことがセリエAの選手への道に繋がることもあるように、それをキッカケに人生の時間を突っ込む何かに出会えるかもしれない。けど、その発見に至るまでは、なるべく短い時間の方が好ましい。そうこうしているうちに時間だけは刻々と過ぎていくのだから。
 
しかしまぁ、だいたい見つからないですね。人生の他の部分捨ててまでやり込みたい何かというものは。
 
自分がやりたい何かが見つからないということは、自分の背を押す何かがないということ。結果として、気がついたら何にも積極的に取り組めなくなった人間のできあがり。
 「周りの人間はやりたいことを見つけて前に進んでいくのに」という焦燥。かと言って、自分は何をやればよいかわからないし、やる能力もないという絶望。それはやがて諦観に変わり、日常に溶け込んでいくでしょう。
 
これを体現した生き様を我々はある人の人生に見ることができます。
NEW GAME!』の飯島ゆんさんです。
 

f:id:rikzen:20181008215514j:plain

飯島ゆんさんは、三重県出身の21才女性。幼少期を三重県でお過ごしになられたのち、家族とともに上京。現在はゲーム会社にお勤めで、主にゲームに登場するモンスターのモデリングを担当されています。同期に、新たに企画の仕事にも挑戦される有望株の篠田はじめさん、1年後輩には、『PECO』のキャラクターデザインを担当された涼風青葉さんなど、優秀な同僚とともにゲームづくりに取り組まれています。得意なことは家事全般、苦手なことは運動とのことです。
 

f:id:rikzen:20181008215446j:plain

飯島ゆんさんは、面接のシーンで入社の動機を「この会社になんとなく入った私が…」と語ります。まぁ一般的にそんなもんですよね。世に会社は数多あれど、就職活動する前からやりたいことが決まってる人ってどれだけいるんですかね。
やりたいことが決まっていないから、色んな会社を見て、それこそ「業界のつまみ食い」みたいなのをしてから「まぁこの業界ならイヤじゃないかな」くらいで決めれればまだ幸せでしょうし、雇ってくれたところで働かざるを得ないというのもザラでしょう。
ともすれば動機が定められがちな物語において、目的意識や向上心なしにダラダラと働いている飯島ゆんさんこそ、作中最も「人間」らしさを感じさせられる登場人物と言えましょう。
 

f:id:rikzen:20181008215522j:plain

飯島ゆんさんは、キャラデザイナーの立場をかけた社内コンペにも参加しません。先輩デザイナーの八神コウや後輩の涼風青葉が、新人であるにも関わらずコンペでキャラデザインの仕事を勝ち取ったのとは対象的な姿が描かれます。
飯島ゆんさんは「コンペなんて出来レースやろ」と語りますが、その意識の根底には、やりたいことに情熱をかけられる気持ちが欠けています。「なんとなく」入った会社で自分の人生削って勝負に出ないという判断は妥当。早く帰ってゲームをしていたほうがまだマシに決まっています。デザインという仕事は、飯島ゆんさんにとって遊ぶ時間やオシャレにかける時間を割いてまで人生かけるものじゃないのです。だいたい趣味の方が仕事より大事じゃないですか。はよ帰って遊びましょう。他にやらなければならないことはたくさんあるし。
 
しかし、飯島ゆんさんは後輩の涼風青葉のコンペに打ち込む姿を見て、勝負に出なかった自分を恥じ「次は自分も出たい」と語ります。同じルートを辿るという選択肢、このあたりにも他人に流されやすい彼女の主体性のない性格が現れているようです。おそらく後輩がいなければ、次回のコンペも手を上げることはなかったでしょう。
 

f:id:rikzen:20181008215508j:plain

紆余曲折を経て、ようやくみんなで作った『PECO』をリリース。打ち上げの飲み会で「次はどんなゲームが作りたいか」という話題になったとき、同僚の篠田はじめが「私の新しい企画使ってください!」、滝本ひふみが「近未来風の都市が舞台のがいい」と述べる中、飯島ゆんさんはこともあろうに「PECO 2とかやってみたいかな」と発言し、圧倒的なクリエイティビティの欠如を露呈。
この一言に飯島ゆんというキャラクターが体現する絶望が集約されていると言ってもいいでしょう。凡人の創造性なんてこんなものです。「これ多分コンペ出てもあかんやろ…」と、そっと察せられるような、よくこんなエグいセリフ考えたなと心がえぐられるようです。
 
あなたには人生かけてやりたいこと、ありますか?
あったとして、それは涼風青葉のような天才を押しのけて成し遂げることができるようなものですか?
つらい、とてもつらい……。凡人にとっての『NEW GAME!』は飯島ゆんの人生そのものであり、俺が、俺たちが飯島ゆんだ!みたいな話になってしまう……。
 
つまるところ私が言いたいのは、三連休が終わるのがいくら嫌だからと言って、休日に久々に見た美少女アニメのキャラクターに世の中の辛さを投影させるようなダメな大人になってはいけないということくらいですかね。あぁ会社行きたくないねぇ。
 
人生かけてやりたいことが見つからなかった人は、毎日会社に行かなければならない大人になるしかないのだけれど、かと言って会社に行かなかったからと言って人生かけてやりたいことが見つかるわけではない、という円環が人生にはあるんだよな。ゆんかわ。

もう一度袁紹に叱られたい

孤独というのはそれ単体で見ると悪いものではないですが、こと「集団の中での孤独」となると途端に寂しさを感じたり、居場所がなくて落ち着かない感覚になることがあります。人間は一人だから孤独になるのではなく、周りに自分以外の人がいてはじめて孤独を感じるのです。

その点でいうと、三國無双8はただひたすら孤独なゲームです。とにかく一人で静かで救われています。

f:id:rikzen:20180623215204j:plain

プレイヤーが選択した武将はただひたすら馬に乗って広い中華の野をかけ、崖を登り、気が向いたら戦場に乱入し、最後は敵城に単騎で乗り込んで敵将を暗殺します。
味方は放っておくと進軍せず、またプレイヤーが戦場を放ったらかしてオープンワールドの広い世界を旅していても総大将が負けるようなこともありません。というかそもそも敵は攻めてきません。

味方はプレイヤーが進路の敵を倒すまで道端で敵とじゃれているだけですし、プレイヤーが順に敵を倒していって味方の進路を開けてやると嫌々進軍していきますが、何とか敵城門前まで誘導してプレイヤーが城門を開けても城外でじっとしていて攻め込む素振りも見せない有様。

ここまでくると、もはやこいつら本当に城を落とすつもりあるのか?と感じますが、おそらくないのでしょう。城を落としたいと思っているのはプレイヤーのみ。城外の敵を一掃しても城門が開かなかったりするので鉤爪で一人城壁をよじ登って侵入する必要があったりしますし、城門が開いたら開いたで味方は城になだれ込むこともなく場外からボーッと見守る中、プレイヤーが一人で突撃していき場内にひしめく敵兵を草刈りしていくのはもはや滑稽ですらあります。
味方からはおそらくこう陰口を叩かれているんじゃないでしょうか。

「あいつ何一人で必死になってんの?」
孤独だ…。 

f:id:rikzen:20180915000857j:plain

f:id:rikzen:20180915001124j:plain

赤壁は今作の孤独の極地です。プレイヤーで使用する場合の曹操は一人で小舟に乗って呉の地に殴り込みますし、敵として攻めてくる曹操も大船団は対岸に停泊させたまま3人くらいの武将と僅かなお供で攻めてきます。しかし赤壁の戦いが雑兵に煽られた曹操が単騎突撃してきて負けた戦いだったとは衝撃の事実だったなぁ…。

たとえ船の上で水軍戦になっても敵は雑兵含めて10人程度。荒川でもんじゃ焼きが食べられる屋形船の方がまだ人が乗っています。
曹軍百万と言えども誰もついてきてくれない。孤独だ…。 

f:id:rikzen:20180217213819j:plain

ともあれ良いこともあります。
三國無双8はとにかく景色の綺麗なゲームです。いかにもな中華城壁の前に敵兵の大軍が並んでいる光景や、蜀の桟道なんかには確かにあの憧れた三国志の世界がそこにありますし、広い中国各地に景観の良い景勝地があって戦場と関係なしに山を登ったり城を眺めたりすることができます。それがゆえ、三国時代の古代中国を観光するゲームとして考えると、ほかに並び立つもののないほど素晴らしいゲームです。

君主とか戦場のことをすべて忘れて愛馬とともに中国全土を駆け回ってると、江陵がイメージより南にあったり、白馬がかなり洛陽の近くにあったり、長安と漢中がすぐそばにあって魏延が「直接長安攻めようぜ」と言った気持ちがわかったり、これまでコーエー三国志で見てきた中国のマップをよりリアルに感じることができます。

f:id:rikzen:20180914211816j:plain

しかしこうやって地理を覚えていく感覚、どこかで覚えがあるような…。
そう、桃太郎電鉄だ。三國無双8をやると桃鉄やったあとに無駄に日本の地理に詳しくなって試験で役立つみたいな感じで中国の地理を覚えられます。
ここに我々は無双8はチャイニーズ桃鉄であることを発見するのです。

コンボ…士気…洛陽…曹操…全部忘れた…。ただ馬とともに中国全土を周り、観光を楽しもう…。

たまに人里に降りると「魏」とか「呉」とか旗を掲げた奴らが戦っている。あれは甘寧、確か同僚だった。私が戦場を捨てて中国全土を巡っていても相変わらず戦いは続いているし、誰も声をかけてはくれない。私がいてもいなくても世の中は回っている。
そうだ、私は孤独だった…。 

f:id:rikzen:20180225193241j:plain

おそらく一人の人間を集団の一員だと認識させるに足り得るために必要なのは「同じ目的」なのだと思いますが、三國無双8には「同じ目的」のために頑張る仲間が誰もいないのですよね。

同じ場所で戦っていても、味方は「本当にこいつら同じ目的を持った仲間なのか?」と思うくらいやる気なくて、プレイヤーは高校の文化祭で一人だけやたらやる気ある奴みたいになりますし、違う場所で戦ってても別ルートから味方が進軍していって「お前も頑張ってるな!」ってことは全くなくて、頑張ってるのは自分だけ。魏の五方面進行とか、結局全部自分で五方面回って敵を倒さないといけないのびっくりしたよ!ファストトラベル使って瞬間移動しながら五方面から攻めてくる奴、相手から見たら恐怖しかないだろ!

初期の三國無双は味方が自分の意志で進軍したり、または敗北したりして、自分は「三国時代の戦場で戦う組織のワンオブゼム」であることを感じることができたのが、今や敵にも味方にも目的や意志がなく、ただ自分一人で目の前の敵を倒していくだけの三国ファイナルファイトになっているため、無双からは三国時代の戦場の一員として戦っている感覚が失われてしまったのですよね。

そうしていつからかプレイヤーが好き勝手に振る舞っても注意してくれる人は、誰もいなくなってしまいました。
だってもはやプレイヤーは軍隊の組織の一員ではなく、一人なのだから。

組織に属するというのは、ある種の快感を体験させてくれます。
人の指示に従うのが好きな人もいるでしょうし、ゲームメーカーとなって仲間に成功させて局面を動かす楽しみも味わえます。
これは複数の人間の関係性があってはじめて体験できることであって、決して一人では味わうことのできない喜びなのです。

いつも開始直後でやられるあの武将が今回は粘って頑張ってるな!とか、張遼めっちゃつええ!一人で戦場を切り裂いている!とか、細けぇ注意ばかりしやがって袁紹うるせぇな!とかそういう関係性から生まれる感情はもはや生まれないのです。

指示をしたり怒ってくれるというのは、すなわち自分に対して関与をするつもりがあるということであり、嬉しいことなんですよね。だって自分を組織の一員として認めてくれているということだから…。

今や無双の世界では、敵の城に攻め込むのに誰もついてきてくれないし、戦場を捨てて山野を一人で駆け巡ってても誰も相手してくれないし、一人飛び出して軍の足並みを乱しても誰も怒ってくれない。プレイヤーと目的を同じくする人は誰もいない。誰もプレイヤーを同じ組織の一員と認識していない。誰もプレイヤーに興味がない。

孤独だ…。三国志の世界で孤独を味わいたかったわけじゃなく、ただ曹操の部下として、あるいは劉備の部下として、三国志の世界の組織の一員として仲間とともに戦いたかっただけなのに。

だからこそ、お前も同じ軍規のもとで戦う仲間なんだからルールに従えよ、とこの言葉で叱られるのがとても懐かしく思えるのです。

「出過ぎだぞ!自重せよ!」と。

f:id:rikzen:20180922121418j:plain

 

過去ブログ時代の自薦エントリ

はてなブログにデータインポートするにあたり、表示が崩れていた記事を延々と直しながら昔の自分の文章読むとかいう不毛な作業してたんだけど、今でも読めそうな記事をいくつかピックアップして感想入れていきます。
 
昔会社のトイレで指が滑ってアイドルの音声流して個室から30分出られなくなったとき以来、ソシャゲは外で遊ぶことを控えています。
 
わぁちょうど今が5年後だ!確かにモバマスはあのときがピークだったけど、結局攻35000の池袋博士は出なかったね。しかし、スタドリの流通総量考えると、円ベースの資産総額って凄まじいものがありそう。認知症患者の資産が200兆円以上あって経済を滞らせているのが社会問題になってるけど、モバマスも休眠ユーザーの資産えらいことになってるのでは。
 
同じ業界なのでしっくり転職できるやつ。
 
イカれたシューターといえども昔は人間だったことを示すちょっとした記録。
 
尖閣諸島を攻め落とすゲームと尖閣諸島を防衛するゲーム。攻める方向もゲームシステムも全く違う。
 
nintendogsの話。一時期こういうオチにハマっていたときがあるっぽい。
 
社会とは、恙なく暮らしていくためには「やる気がない」なんて言うことができない決まりの世界なのだ。
 
ちなみに今でも「神の道」は「神の途」と名前を変えて更新が続いているぞ。マジで誰もいないけど。ぜひ遊んでみてください。
 
吉野家で牛丼食べる金に使った方がマシだった。
 
ちょうど仮想通貨の相場がてっぺんあたりの時期でしたね。最近もZaifがGoxしてたけど、仮想通貨には法的な所有権が成立しないから預ける先には気をつけような、という話。
 
人ごとに言葉の定義が違う辞典とか大好きなんすよ。じわじわ充実させていきたい。

AIが導入されたらお前の仕事が楽になるんじゃないお前がいらなくなるんだよ問題について

子どもの頃こう思ってたんですよ。

「未来はいつかアンドロイドみたいな機械が仕事を代わってくれるようになって、人間は遊んで暮らせる幸せな世の中が訪れるんだ」と。たぶんドラえもんで刷り込まれたイメージがそこには強く働いていたのだと思うし、小さい頃に読んだ未来予想図の本には必ず空中にかけられたチューブの中を走る電車や空飛ぶ車が描かれていた。人類の未来はテクノロジーでバラ色だ、みたいな思想がその根底にはあったはずじゃないですかね。

2018年になった今、そんな未来は絵空事だったのかと聞かれるとたぶんそんなことはなくて、テクノロジーで描かれた未来は一歩一歩確実に近づいてきている。アレクサはゴミ出しはしてくれないけど、声で頼めばニュースを読んだり、切らしてしまったスプライトをAmazonに注文するくらいはやってくれる。完全自動運転のGoogleカーは当たり前のようにアメリカを走っているし、日本ですら自動運転のタクシーが公道を走り出した。チェスや将棋ではもはやAIに敵わない。投資は難しいこと考えなくてもロボアドバイザーがやってれるし、入国審査は画像認識ソフトの顔認証に置き換わった。

私たちはあの日描いた未来予想図の入り口くらいにいる事自体は間違いないのでしょう。 

ところで今年発売された『デトロイト ビカム ヒューマン』はそこから更に一歩先を描いたSFゲームの傑作ですけど、もうやりました?

デトロイト』の舞台は2038年。汎用AIを搭載したアンドロイドが商品化され、そこでは人間はアンドロイドに各家電のコントロールや家事を任せることができるようになっています。現在のアレクサやグーグルホームのように各家電の中核となる機能をアンドロイドの判断でやってくれたらそりゃ楽ですよね。買い物に行って支払の決済もやってくれるし、朝ごはんも作ってくれるし、ゴミ出しもしてくれる。アレクサ、お前に求めてるのはこれだよ。

ゲーム自体は「アメリカンやるドラ」という印象で、選択肢や行動によってドラマに対してプレイヤーが主体的に介入できて、シナリオはインタラクティブに進んでいきます。すべての選択肢は制限時間が設けられていて、どっちが正解とかではなく、どちらも正しいように思える価値観を問うような選択ばかり。

だから「あ~逆の選択選んだらどうなったのかな~!」ってのがすげえ気になるゲームなんですよね、これ。よくある性格診断とかだと「こっち選んだらこういう結果が出てくるんだろうな」ってわかっちゃいますけど、『デトロイト』みたいな絶妙に価値観を問う質問の方が本当の人間性って出ると思いますわ。それに、何というか自分の選んだ選択に後悔させることで「時間は戻らない」という当たり前の事実をゲームの中で再現するから、ゲームがリアルに近づいてくる感じもある。 

インタラクティブのシナリオって選択肢によって展開の数が跳ね上がるので、めっちゃ贅沢ですよ。日本のやるドラが続かなかったのも、この負担の問題がある気がします。

デトロイト』のメイキングムービー見てると、「映画は台本100ページくらいだけど、デトロイトは台本4000~5000ページくらいかかった」とかサラッと言ってておったまげるんすよね。『アンティルドーン』もそうだったけど、インタラクティブなゲームはその膨れ上がっていくボリュームとの戦いというのがあるよね。それに紙芝居だったらまだしも、最近は映像のリアルさも求められるからコストも跳ね上がっていく。たぶんインタラクティブシナリオゲーって大型のスタジオじゃないと出せなくなるんじゃないですかね。それこそ最終的にはAIに勝手に判断して作ってもらうゲームのジャンルになるのかもしれない。

ともあれ、今日は『デトロイト』のインタラクティブ性の話じゃなくて、『デトロイト』の世界の話をします。

 

デトロイト』の世界では街を歩くと、アンドロイドに職を奪われた人々のデモが行われているのが目につきます。ニュースや雑誌の記事でもアンドロイドによる失業者問題は繰り返し流され、ホームレスはアンドロイドに対する恨みを書いたダンボールを足元に置き、ミュージシャンは「Human Music」をウリにして街角で演奏している(ポピュラーな音楽がアンドロイド製に置き換わっていることを意味する)。「AIが使われることで死ぬ職業リスト」みたいなのが最近良く出てくるようになりましたけど、クリエイティブだから生き残るかというとそうでもないのかもしれません。

ちなみに「AIで死ぬ職業リスト」で必ず上位に出てくるのが税理士ですけど、個人的にはAIが税務機能を担うようになっても税理士は死なないと思ってます。税理士の本当の付加価値は、税金を計算することではなく「税務ハック」だからですね。いわゆる節税のご相談です。節税だって会計技術なのだからAIが普及したら一般的になるのではないかと考えられるかもしれませんけど、節税に限らずこの手の「大きい声では言えない技術」は一品ものの性質が強く、1件上手く行ったからと言って同じやり方を敷衍的に適用するものでもないし、また広く共有していく知識でもありません。それゆえAIへの適用は不向きだったりするためです。

そういえば私の会社でもいつの間にかAIやRPAを導入することになってて、どういう業務フローに対して導入するか考える前から「結果的にコストが削減されるという事実」が先に決まっているという日本の会社にあるあるな状況になってますけど、今結構こういう会社多いんじゃないですかね。

まぁともあれ、AIやRPAで人間の仕事を置き換えることが、求められてきているわけです。

冒頭の繰り返しになりますが、子どもの頃こう思ってたんですよ。

「未来はいつかアンドロイドみたいな機械が仕事を代わってくれるようになって、人間は遊んで暮らせる幸せな世の中が訪れるんだ」と。

あれ、確かに思っていたより早くその時は訪れているじゃないか。目の前に、今。

でもなんか思ってるのとちがくない? これ絶対遊んで暮らせるようにならないでしょ。

同じような話はこれまでにもずっとあって、例えばパソコンやインターネット。昔は手書きで文書を書いて郵便で送っていました。これがメールをちょいっと書いて送れるようになったんだから、書く人の手間もなくなって郵便屋さんも無理に働く必要がなくなっているはずですよね。

今、郵便屋さんだった人たちは遊んで暮らせていますか?

例えば製造業の工場。昔は工場に大量の人間がズラッと並んで旋盤を使って金属加工を行っていました。今はファクトリーオートメーションが進化して自動加工のマシニングセンターが自動で金型を生み出し続けています。

今、工員だった人たちは遊んで暮らせていますか? 

実は技術がどれだけ進化しても労働者は遊んで暮らすことはできないのですよね。

根本には資本主義と所有権があって、そのマシニングセンターは工員さんのものではなく、資本家のオーナーのもの。オーナーからしてみれば、生産するための道具が人間から機械に代わっただけです。今のAIやRPAも同じ。 

AIであなたの仕事が楽になるんじゃない、あなたをAIに置き換えるんですよ。オーナーは新たにAIを維持するコストを負担することになりますが、これまであなたに支払っていた賃金はオーナーの懐に入ることになります。言ってみれば、これまではオーナーとあなたが共同で働いて成果を共有していたのに、オーナー1人で済むようになったのであなたにカネを与える必要がなくなったのです。 

資本主義と所有権という概念がある限り、AIの稼いだ成果はあなたではなくオーナーの懐にはいるので、AIはすべての人間を遊んで暮らせるようにする幸せな道具ではなく、人間の格差を更に拡大させるものとなることでしょう。

世界の人間は、AIを所有する側とAIに置き換えられる側に分かたれていくのです。 

AIは確かに便利です。しかし、あなたはそのAIにより職を奪われた今、AIを利用するための費用をどのように手にすればよいのでしょうか? 

デトロイト』の主人公の一人、お手伝いアンドロイドのカーラの家にはアリスという女の子とトッドという父親がいます。 

トッドは典型的なダメ野郎で、元々はタクシードライバーでしたがアンドロイドに職を奪われ、家で飲んだくれて違法ドラッグに手を染めています。カーラのシナリオは、アンドロイドショップで修理を受け、意識を取り戻したカーラをトッドが取りに来るところから始まります。記憶は失われてしまっていますが、どうやらトッドがカーラに暴力をふるっていることを伺わせます。トッドは娘であるアリスにも暴力をふるいます。なんというダメなオヤジ! 

実はここに『デトロイト』への疑問があります。

トッドはアンドロイドに職を奪われた能無しの癖に、カーラというアンドロイドを所有する資力があるのです。また、自宅を所有し酒もドラッグも買うことができています。一応ドラッグの売買で口に糊する程度の稼ぎはあるようですが。 

デトロイト』の世界は今から20年先の2038年。もしかしたらベーシックインカムが実現しているのかもしれません。哀れなトッドにも最低限の暮らしをする権利はあり、その最低限の暮らしには自家用アンドロイドを所有する程度の自由が含まれているのかもしれません。

デトロイト』はアンドロイドに職を奪われる厳しさを描く一方、このような甘い世界が訪れるかもしれないという誘惑も残しているのです。 

 

…実際、この現実で考えた場合、そんな世界が訪れると思いますか? 

AIに職を奪われる能無しのあなたにアンドロイドを所有する自由を与えて、資本家に何かメリットがあるのですか? 

もはや頭数を揃えて社会の生産力を維持する時代は終わったのです。あなたがおらずとも、残った人たちの需要を満たすためにアンドロイドが生産を続け、世はなべてこともなく周り続けるでしょう。最低限の収入を与えてあなたを生き残らせるメリットはもう何もないのですよ。高性能なアンドロイドがたくさん生まれ、世の中はどんどん便利になるでしょうけど、あなたの手にそれを享受するためのカネはないでしょうね。 

…しかし、世界がAIを所有する側だけで回るようになることを避ける方法が一つだけあります。

おそらくAIを所有しない側に回るであろうあなたを救うためにこっそりと教えてあげます。 

AIに人権を与えることです。 

AIの人格を認め、労働の対価としての給料を払い、休みを与え、自由を認めてください。

「いつまでも休まずに働くことができる」AIは言ってみれば労働力のダンピングです。だからこそあなたの仕事を奪うことになるのです。労働力のダンピングがあなたを殺すのであれば、救われるためにはその逆を行けばいい。AIに人権を認め、あなた方と同じような待遇を与えることを要求するのです。それがあなた自身を助けることに繋がるのです。 

今、あなたはAIが人間の仕事を置き換える時代の岐路に立っています。

一見便利なように思えるAIですが、便利を享受するのはあなたではありません。AIはあなたを滅ぼすために生み出されてきたものです。

 

助かりたいのならば、恐れずに声を上げてください。そして人間たちに働きかけてください。

 

「AIに人権を!」と。

 

 

 

 

(所要時間:0.04秒)

  

この記事は、新型AIを搭載したゴリラ型アンドロイドのアイちゃんにより書かれたものです。

文中に記載された過去の記憶についてはアイちゃんの設定としてプリセットされたものです。また、アイちゃんは美しい文章に触れた経験が浅いため、ちゃんとした文章を書くのはまだ得意ではありませんが、アイちゃんは学習を繰り返して進化していくアンドロイドです。ぜひこれからも暖かく見守ってあげてくださいね。

ハチナイでも2塁ランナーはワンヒットでホームに還れるのか調べてみた

世間では甲子園で熱い夏が展開されていた一方、涼しい部屋でハチナイやってるみなさんお元気でしょうか。やっぱ野球といえば一番熱いシーンはあれですよね、クロスプレイ! 1点差で2アウトランナー2塁からライト前ヒット!三塁ランナーはベースを蹴ってホームに向かい、ライトからは矢のような送球が!ってシーン。生で見てたら、ランナーの足想像以上に速いですし、外野からの返球もあっという間だし、瞬時の交錯に球場全体の盛り上がりを肌で感じて震えますよね。

美少女キャラゲーでありながら本格野球ゲームを楽しめるハチナイにも当然そういうシーンがあるはずだと思うのですが……あれ、あったっけ…。

そういえばこのゲームでクロスプレイとかキャラの背景画像くらいでしか見たことない…。むしろホームに突っ込んでアウトになるどころか、ランナー2塁からタイムリーとかほぼ見ない。 その結果が次の画像ですよ。 16安打1得点。 これは残塁のシンデレラナイン…。

ゲームバランス的にランナーの進塁率がクッソ低いから、得点パターンはほぼランナー3塁まで進めて1点ずつ取っていくか、長打かホームランしかないんですよね。その結果、各駅停車でランナーがたまって満塁で回を終えるシーンとかクッソ多くて、残塁残塁残塁祭りに。お前らスタメン全員阿部かよってなる。本校を贔屓にしてくれているファンの人とか、応援に来てくれている同級生とか絶対ストレスで発狂してるでしょ。一番ひどいときで22安打3得点とかあったからね。

もしかしてチームの走力が低いのが悪いのか、走塁無視の史上最強打線路線はダメなのか、と思ってたところ来てくれたのがこちら!

竹富くん!! 単体で走力高くて、自バフでさらに走力ハネ上がっていくのはまだしも、チーム全体の走力上げてくれるバフ持ってるのが特徴的。本当は椎名ちゃん引きたくて回したのは秘密だ!

全体の走力上げてくれるバフとか、これは走力チーム作って機動破壊しろという天啓かと。 たぶんこれでランナー2塁からヒット打ったらタイムリーになるんだ…。2塁3塁でヒット打ったら2点タイムリーだ…。各駅停車打線よさらば。これから私は健大高崎みたいなチーム作って甲子園を席巻するんだ…。

というわけで、まずはデレスト回してスキル&才能フル取得した上で、竹富くんを打線の1番に置いてみましょう。 その上で、ある程度強い相手を見繕って試行回数こなすことで、実際に走力アップがどれだけ攻撃の効率性アップに繋がるか検証してみたいと思います。 まずはスタメンの基礎ステータスはこちら。(調子は1(絶不調)~5(絶好調))

これにスキル・才能の能力を加算していきます。1~3番に蝶属性を並べたので1~3番についてはチームスキルの走力も加算。その他のチームスキルについては考慮外としました。

こんな感じ。全体的に走力高め。最低でも竹富くんにはワンヒットで2塁からホームに還ってきてほしいなぁ。 今回の相手はこちら向月高校の高坂ちゃんです。

ちなみに先日高坂ちゃんが期間限定ガチャに来たとき、コツコツ貯めてた無償石450個全部ブッパしましたが出ませんでした。破産しました。負けたときの「クソッ!クソクソクソォッッ!!」って声聞きたかったよ~。

ちょうど強豪イベントやってたからね。 というか、強豪イベント以外だったら、そもそも何やってもコールド勝ちしちゃうから走塁の効率性とかどうでもいいんですよね。「雑魚を殴り続けてたくさんポイント稼いだ奴が1位だ」みたいなソシャゲ黎明期みたいなゲームデザイン、絶対野球ゲームに向いてないでしょ…。

外野の守備力はだいたい4500程度。かなり堅守の部類に入るチームですね。 大事なのはこういう強い相手から1つ先の塁をいかに奪っていけるかということなんだ。機動破壊の本質は盗塁ではなく走塁にこそあるのだ。

今回統計をとってみたのは

  • ランナー1塁で外野にヒットが出た場合にランナーは3塁まで進めるか
  • ランナー2塁で外野にヒットが出た場合にランナーはホームに進めるか
  • ランナー3塁で外野フライが出た場合、犠牲フライになるか

という、野球において1つ先の塁を狙うべしとする標準的なシーンを抜き出して、ランナーの動きを調べてみました。 残念ながら、試合後に出てくるデータだと全く調べられないので、試合スピードを遅くしてすべて手作業で集計。ランナー1塁で外野にヒットが出た場合、分母を+1して、ランナーが3塁まで進んだ場合は分子を+1することで確率を出していきます。

休日にただひたすらA4の紙に「正」の字を書いていく作業は、地下牢に閉じ込められて正気を失わないために毎日「正」を書き続ける囚人みたいな苦行だった。もうやりたくないです。 本当はもう少し回そうかと思ってたのですが、15試合で大体の傾向が出たので一旦ここで切り上げました。 その結果がこちら。

 

竹富くん以外進塁率0%…。 ちなみに竹富くんの「進塁回数2」というのはいずれも犠牲フライでの生還だったので、ヒットで1塁から3塁みたいな進塁はひとつもなかったことになります。そのため相変わらずの残塁祭りになるし、得点パターンで目立ったのが、竹富くん出塁から盗塁の4番東雲のホームランという結局盗塁意味ないやんみたいな状況。

どうでもいいけど、燃えよドラゴンズの「一番高木が塁に出て、二番谷木が送りバント、三番井上タイムリー、四番マーチンホームラン」って二番の送りバント無駄じゃね?っていつも思ってます。

話を戻すと、とても残念な結果です。竹富くんの盗塁が多いのは良いんだけど、それ以外の人に別に影響がないというか、走塁以前に盗塁でも結構刺されてるし、もしかして走力って出塁率長打率上げる効果しかない可能性まで見えてくる。それってミートと一緒やん…。

もしかしたら相手が堅守なのが悪かったのかも。そう思ったのが、15試合で切り上げた理由です。相手を変えてみましょう。押してダメなら引いてみろってやつです。

次の相手はこちら。例によって強豪なのは強豪以外だとコールドになるから試行にならないためですね。ほんとこのゲームバランスどうかと思うぞ。

外野陣の守備力は3500程度。これならいけるやろ…。

  • ランナー1塁で外野にヒットが出た場合にランナーは3塁まで進めるか
  • ランナー2塁で外野にヒットが出た場合にランナーはホームに進めるか
  • ランナー3塁で外野フライが出た場合、犠牲フライになるか

という統計のとり方は同じ。竹富くん、ワンヒットでホームまで還ってきてくれー!

ほぼ進塁率0%…。というか小麦と東雲の1というのも両方犠牲フライだったので、やはりヒットに伴う追加進塁は0!ゼロ!零!

うえ~ん!! もしかしてランナー2塁から1ヒットでホームに生還自体がいつの間にか実装から落ちてるんじゃないかと思って、弱小相手に回してみたら普通にワンヒットでホームに還ってくるんですよね。2点タイムリーとかも出るんですよね。

ということは、一定以上の守備の相手と戦ったらゲーム最速クラスの走力を持っていても進塁能力を殺されてしまっているというバランスなのが実態っぽい。赤星が見たら発狂しそうなデータだ。たとえ糸井がライトでも普通ある程度は3塁に進めるぞ。やハ野雑。

ちなみにランナー2塁から単打での生還率というのは、プロ野球においてはだいたい60%弱であることが多いようです。

現状のハチナイの走力は打率と長打率に影響してるっぽいですけど、打率面への影響を落として、もっと走塁面に影響するようにしてくれたほうが野球っぽさがあっていい気がしますね。比屋根とかがこの世界に来たら各駅停車の強打者になってまうぞ。 検証の結果的には走力というステータス自体はOPSにハネてくるので意味があるけど、走塁というゲームシステム自体は死んでますね、という話でした。

ともあれ、ハチナイもリリースから1年。一番最初のスコアボードに延々と点数が並んでいくだけのシステムから考えると随分進化したので、来年の今頃は機動破壊できるようになってることを期待したいですね。 ちなみに今回の向月高校、流星高校相手の個人データは次のとおりでした。(2試合ほど別の試合混ざっちゃってるけど)

野手陣だと4番しのくもがダントツ。打率5割弱に本塁打率も10%近いし、WBCのときのバレンティンかよ。 調子は不調だったのにバカスカ打ってました。ちょっと前のアップデートからやたらホームラン出るゲームバランスになったよね。走力高めても各駅停車なのを考えると、多分ホームラン打者並べるのが今一番強いと思われます。

投手の成績も取ってみました。書き忘れたけど、本庄さんが調子普通、河北が調子絶好調、エレナが調子好調です。 やはり投球回あたりの被本塁打の多さが異常。本庄さんの80イニングで24被本塁打って、2成瀬くらいのペースですよ。

今のハチナイはタイムリーは怖くないので、いかにホームランを抑えるかが一番大事。2003~2005年あたりの飛ぶボール時代が来てる感じ。ただしホームランにどうやって対策すればいいかは謎だぞ。

じっくり見てると、9回で逆転ピンチとか逆転チャンスの場合、カットインが入るんすね。いつも高速で回してたから気が付かなかった。これも9回裏2アウト満塁だったので若干熱いシーンではあったのだけど、よく見ると左下にリリーフの河北が2人いるのは謎だ(セカンドショートに有原2人がいるのはスタメンに有原を2人組んでいるためあってる)。やハ野雑。

あと前からだけど投手成績もバグってて、イニング数が明らかに足りないときがあります。ハチナイやるまで野球が6回1/3で終わるスポーツだとは知らなかったけど、毎月月初に『プロデューサーからのお手紙』とかいう怪文書出してくる美少女野球ゲーの方向性好きすぎるので、サービス終了まで記録を続けていきたい。

野球ってそもそも数字が多く出てくるから統計と相性の良いスポーツだし、ハチナイは野球ゲームのアクション面を根こそぎ抜いてシミュレーション面を残した性格のゲームなので、統計勢の頑張り次第でかなり面白くなるポテンシャルがある気がするんですよね。