当たり判定ゼロ

シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

STG版 悪魔の辞典

【あい】自分の時間や金銭その他大切なものを捧げる祭壇。 

遊ぶ【あそぶ】何かを成し遂げたという達成感を得るために努力を重ねること。言い換えると、楽しみを獲得するために、わざわざ苦しみへ己を捧げる倒錯を意味する。 

当たり判定【あたりはんてい】「ここならば仕方ない」とプレイヤーに納得してもらえるであろうエリア。プレイヤーに気を使った結果、どんどん小さくなっていった。 

異常【いじょう】正常な状態でありつづけること。 

移植【いしょく】 少し手を加えてみることで古いファンになじられるゲームを作ること。 

撃ち返し【うちかえし】 手をかけずに難易度を上げる手段。一般的には敵機が発生させるが、『雷電』では自機が被弾して爆発した際に飛び散る破片に攻撃判定があり、自機が撃ち返しを行っていた。 

宇宙【うちゅう】 後半のステージであることをわかってもらうための背景。

宇宙人【うちゅうじん】 人類に虐殺されるために生み出されたバーチャル奴隷。類義語にゾンビ。

腕前【うでまえ】 その人物が実社会でどれほどのものを代償としているのか第三者が把握できる指標。多くを手に入れれば多くを失う。

懐古【かいこ】 画質の粗い映像を見たときに沸き起こる感情。

快楽【かいらく】 人が金銭を投じるに値すると感じる仕組みのこと。

会話【かいわ】 いかに自分がよく物事を知っており優れたシューターであるかを一方的に相手に吹聴する行為。

抱え落ち【かかえおち】 財産をたくさん残したまま死に、遺産が国に没収される相続税の一種。

記憶【きおく】 昔やりこんだゲームを遊ぶ際に発現する、自ら意図せず自分の体を動かす途方もしれない意思のこと。

決めボム【きめぼむ】 ゲームの一部を定例のセレモニーにする方法。

筐体【きょうたい】 内部に通電している賽銭箱。

協力【きょうりょく】 実力に優れたプレイヤーを最も簡単に殺すことのできる遊び方。

【くび】 「今のは何かの間違いで本当の自分の実力はこんなものではない」ということを周囲または自らに伝えるためのボディランゲージに用いられる体の一部。

喰らいボム【くらいぼむ】 「今押したって!絶対ボム押したって!」と文句をつけるプレイヤーを黙らせるために生み出された仕組み。

警告【けいこく】 仰々しい音とともに多くの場合英語が使われ、たいてい僅かな時間しか表示されないので何が書いているか読めないが、この後大変なことが起きることだけはわかる。すなわち人に物事を判断させるためには、文字などという大層なものは不要で、音で十分ということ。

幸福【こうふく】 最高のパターンで進めることができたとき、その後極めて高い確率で失われるまでに維持される一時の感情。

強欲【ごうよく】 過ちの母であり、成功の父でもある。

攻略【こうりゃく】 自分を人間からひたすら正確な作業を行う機械に変容させていく行為。

コンシュマー版【こんしゅまーばん】 1プレイ100円がかかっていないと、プレイヤーはすぐに命の重み、温かみを忘れてしまい、自機を殺すのにためらいがなくなる。

残機【ざんき】 今後与えられる苦しみの回数。

事故【じこ 】 自らの不手際を隠蔽し、責任の所在を曖昧にするための表現。

十戒【じっかい】 昔の偉人の教え。

  1. 適切な難易度を選べ!
  2. TVから1m以上離れよう!
  3. 「切り返し」を習得しよう!
  4. 死ぬ時も弾から目を離すな!
  5. 弾幕の隙間を見逃すな!
  6. ボムを抱えたまま死ぬな!
  7. 自機だけを見ていてはダメだ!
  8. コンティニューはするな!
  9. STGは1日1時間!
  10. 愛すべき強敵を持て!

 嫉妬【しっと】 自らの能力を向上させるための最も手っ取り早い手段。

自爆【じばく】 スコア稼ぎのために長時間の拷問を受けたボスが救済を求めて行う自殺。

順位【じゅんい】 ハイスコアという名の筐体の電源が切られるまでの刹那のみ存在するヒエラルキー

上級者【じょうきゅうしゃ】 価値観の凝り固まった獣。

初心者【しょしんしゃ】 自分の価値観を押し付けるべき羊。

処理落ち【しょりおち】 現実の時間の流れとゲームの中の時間の流れが異なること。現実の時間の流れが速くなったのか、ゲームの時間の流れが遅くなったのか確かめた人はいない。

衰退【すいたい】 「暇なのでこれから議論でも始めませんか」とする呼びかけ、または合図。主な議題内容は「誰に責任をなすりつければ良いか」。結論がいつまでも出ない点が便利。

スコアボード【すこあぼーど】 最高のパターンが組めたときに限って途中で死んで未クリアのプレイが1位になってしまうことを示す表。

脊髄反射【せきずいはんしゃ】 刺激を受けた感覚神経がインパルスを脊髄に送り、これが運動神経に伝達されて反射が起こる。具体的に表現すると、ミスをした時に首をかしげる動作のことを指す。

戦車【せんしゃ】 コンボが途切れそうなところに都合よく現れ、身を挺してコンボを繋いでくれる献身的な乗り物。

戦闘機【せんとうき】 絶望的な状況になってはじめて人類の最後の希望として投入される兵器。

妥協【だきょう】 捨てゲーを厭わないスコアラーと言えどもワンコインを惜しむ場合があることを背中で教えてくれる。

弾幕【だんまく】 敵を殺す以外の目的を持った弾。

チョーカー【ちょーかー】 儀式を施したものを用意し、呪文の詠唱を行うことでトランス状態に入ってSTGをプレイするために用いられる道具。

【て】 脳がゲームを遊ぶために用いるコントローラーのひとつ。そのうち必要なくなるかもしれない。

電気【でんき】 ニコラ・テスラもこういう使われ方をするとは想像していなかった技術。

二週目【にしゅうめ】 これまで接待を受けていたことを機械から教えていただくこと。

二刀流【にとうりゅう】 コインを2個入れて1人でプレイすること。ひとつのアタマでふたつの操作。対義語に二人羽織。ふたつのアタマでひとつの操作。

熱情【ねつじょう】 テスト前や仕事中になると湧き上がる「ゲームをやりたい」という気持ち。

倍率【ばいりつ】 初心者と上級者の差を天と地ほど広げる仕組み。

発狂【はっきょう】 この世は狂ってる人間が一番強いということを教えてくれる振る舞いのこと。

平等【びょうどう】 ゲーム開始直後のみに訪れる一瞬の期間。

物理演算【ぶつりえんざん】 現実の世界が再現されていることをプレイヤーに感じさせる仕組み。ただし本当にその物体がそんな落ち方をするのか現実で見たことがないからわからない。

捕鯨【ほげい】 グリーンピースにまだ見つかっていない鯨を殺す遊び。

ボム【ぼむ】 問題を先送りにすることができる技術。

リプレイ【りぷれい】 自分が思ってたより自分のゲームプレイが上手くなかったことを示してくれる現実。

労働【ろうどう】 他人の意思のもとに行われる場合は対価として金銭が貰えるが、自分の意志のもとに行う場合は対価がもらえないという点に違いのある行為。ゲームのプレイは多くの場合後者に属する。