当たり判定ゼロ

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永遠の世界を生きた犬

去年の3DSのソフトを2本買うと1本付いてくるキャンペーンで、『Nintendogs』をもらって我が家に犬がやってきました。名前を「ギュウバラ」を名づけ(帰りのスーパーで牛のバラ肉が安かった)、たいそう可愛がりました。とりわけ、肛門を撫でるとアヘ顔で喜ぶので、犬のくせにとんだ変態だなと感嘆したのを覚えています。

あれから1年…。肛門を撫でられると喜ぶというギュウバラの性癖は当家には相応しくないザマス!と初回起動以来、二度と起動されることがなかったのですが、スーパーのお肉コーナーでふと思い出して(バラ肉が安かった)3DSを取り出しNintendogsを起動してみました。

さすがに1年も経っているのだから、部屋には犬の腐乱死体が転がっており、腐臭に難儀したご近所さんが通報した警察により家が取り囲まれているところからゲームスタートし、管理義務違反か何かでしょっぴかれてしまうのでは…。ひょっとしたらCEROでZ指定されてしまうかも…。ソフトを起動する関係者の間に緊張が走りますが、そこには黒ずんだ色で元気に部屋を駆け回るギュウバラの姿が!ギュウバラは1年間もの間飲まず食わずで生きていたのです。

元気なギュウバラの姿を見てふと思い出したのですが、Nintendogsは「死」の概念が無いゲームでした。この犬は我々と違い、永遠の世界を生きています。人間からすると1年は大したものですが、無限の時間を過ごす電子ドッグにとっての1年は一瞬のようなものでしょう。えいえんはあるよ、ここにあるよ。

近い将来核戦争で人類が滅びるのは『ムー』などの専門誌が明らかにしているところではありますが、Nintendogsの犬たちは人類が滅びた後も生き続けることでしょう。データはきっと人類より長生きなのです。

そして荒廃した世界で一人の少女が瓦礫の下から1台の3DSを拾います。

「……ん、これは……」

「……」

「ギュウバラ?あなた、ギュウバラというのね」

「ワン!ワン!」

「ふふ、変わった名前。あなた、前の飼い主さんは?」

「……」

「もういるわけないよね。ほら、みて。神様がせっかく住みやすい世界をくれたのに、人は自らその世界を住めないように作り替えてしまったの」

「……」

「風も、水も、大地も、今や人を害する敵。でもあなた達は世界に何も悪いことをしていない。だから世界もあなた達を攻撃しないのかもね」

「……」

「まぁそんなことはいい。もう世界には私たちだけ。行こう、ギュウバラ。わたしの最後の友達」

「ワン!……ワン!ワン!」

Nintendogsの最終回はSFで使い古されたこんな感じでどうですかね。

犬だけにワンパターンということで。