もう一度袁紹に叱られたい
孤独というのはそれ単体で見ると悪いものではないですが、こと「集団の中での孤独」となると途端に寂しさを感じたり、居場所がなくて落ち着かない感覚になることがあります。人間は一人だから孤独になるのではなく、周りに自分以外の人がいてはじめて孤独を感じるのです。
その点でいうと、三國無双8はただひたすら孤独なゲームです。とにかく一人で静かで救われています。
プレイヤーが選択した武将はただひたすら馬に乗って広い中華の野をかけ、崖を登り、気が向いたら戦場に乱入し、最後は敵城に単騎で乗り込んで敵将を暗殺します。
味方は放っておくと進軍せず、またプレイヤーが戦場を放ったらかしてオープンワールドの広い世界を旅していても総大将が負けるようなこともありません。というかそもそも敵は攻めてきません。
味方はプレイヤーが進路の敵を倒すまで道端で敵とじゃれているだけですし、プレイヤーが順に敵を倒していって味方の進路を開けてやると嫌々進軍していきますが、何とか敵城門前まで誘導してプレイヤーが城門を開けても城外でじっとしていて攻め込む素振りも見せない有様。
ここまでくると、もはやこいつら本当に城を落とすつもりあるのか?と感じますが、おそらくないのでしょう。城を落としたいと思っているのはプレイヤーのみ。城外の敵を一掃しても城門が開かなかったりするので鉤爪で一人城壁をよじ登って侵入する必要があったりしますし、城門が開いたら開いたで味方は城になだれ込むこともなく場外からボーッと見守る中、プレイヤーが一人で突撃していき場内にひしめく敵兵を草刈りしていくのはもはや滑稽ですらあります。
味方からはおそらくこう陰口を叩かれているんじゃないでしょうか。
「あいつ何一人で必死になってんの?」
孤独だ…。
赤壁は今作の孤独の極地です。プレイヤーで使用する場合の曹操は一人で小舟に乗って呉の地に殴り込みますし、敵として攻めてくる曹操も大船団は対岸に停泊させたまま3人くらいの武将と僅かなお供で攻めてきます。しかし赤壁の戦いが雑兵に煽られた曹操が単騎突撃してきて負けた戦いだったとは衝撃の事実だったなぁ…。
たとえ船の上で水軍戦になっても敵は雑兵含めて10人程度。荒川でもんじゃ焼きが食べられる屋形船の方がまだ人が乗っています。
曹軍百万と言えども誰もついてきてくれない。孤独だ…。
ともあれ良いこともあります。
三國無双8はとにかく景色の綺麗なゲームです。いかにもな中華城壁の前に敵兵の大軍が並んでいる光景や、蜀の桟道なんかには確かにあの憧れた三国志の世界がそこにありますし、広い中国各地に景観の良い景勝地があって戦場と関係なしに山を登ったり城を眺めたりすることができます。それがゆえ、三国時代の古代中国を観光するゲームとして考えると、ほかに並び立つもののないほど素晴らしいゲームです。
君主とか戦場のことをすべて忘れて愛馬とともに中国全土を駆け回ってると、江陵がイメージより南にあったり、白馬がかなり洛陽の近くにあったり、長安と漢中がすぐそばにあって魏延が「直接長安攻めようぜ」と言った気持ちがわかったり、これまでコーエー三国志で見てきた中国のマップをよりリアルに感じることができます。
しかしこうやって地理を覚えていく感覚、どこかで覚えがあるような…。
そう、桃太郎電鉄だ。三國無双8をやると桃鉄やったあとに無駄に日本の地理に詳しくなって試験で役立つみたいな感じで中国の地理を覚えられます。
ここに我々は無双8はチャイニーズ桃鉄であることを発見するのです。
コンボ…士気…洛陽…曹操…全部忘れた…。ただ馬とともに中国全土を周り、観光を楽しもう…。
たまに人里に降りると「魏」とか「呉」とか旗を掲げた奴らが戦っている。あれは甘寧、確か同僚だった。私が戦場を捨てて中国全土を巡っていても相変わらず戦いは続いているし、誰も声をかけてはくれない。私がいてもいなくても世の中は回っている。
そうだ、私は孤独だった…。
おそらく一人の人間を集団の一員だと認識させるに足り得るために必要なのは「同じ目的」なのだと思いますが、三國無双8には「同じ目的」のために頑張る仲間が誰もいないのですよね。
同じ場所で戦っていても、味方は「本当にこいつら同じ目的を持った仲間なのか?」と思うくらいやる気なくて、プレイヤーは高校の文化祭で一人だけやたらやる気ある奴みたいになりますし、違う場所で戦ってても別ルートから味方が進軍していって「お前も頑張ってるな!」ってことは全くなくて、頑張ってるのは自分だけ。魏の五方面進行とか、結局全部自分で五方面回って敵を倒さないといけないのびっくりしたよ!ファストトラベル使って瞬間移動しながら五方面から攻めてくる奴、相手から見たら恐怖しかないだろ!
初期の三國無双は味方が自分の意志で進軍したり、または敗北したりして、自分は「三国時代の戦場で戦う組織のワンオブゼム」であることを感じることができたのが、今や敵にも味方にも目的や意志がなく、ただ自分一人で目の前の敵を倒していくだけの三国ファイナルファイトになっているため、無双からは三国時代の戦場の一員として戦っている感覚が失われてしまったのですよね。
そうしていつからかプレイヤーが好き勝手に振る舞っても注意してくれる人は、誰もいなくなってしまいました。
だってもはやプレイヤーは軍隊の組織の一員ではなく、一人なのだから。
組織に属するというのは、ある種の快感を体験させてくれます。
人の指示に従うのが好きな人もいるでしょうし、ゲームメーカーとなって仲間に成功させて局面を動かす楽しみも味わえます。
これは複数の人間の関係性があってはじめて体験できることであって、決して一人では味わうことのできない喜びなのです。
いつも開始直後でやられるあの武将が今回は粘って頑張ってるな!とか、張遼めっちゃつええ!一人で戦場を切り裂いている!とか、細けぇ注意ばかりしやがって袁紹うるせぇな!とかそういう関係性から生まれる感情はもはや生まれないのです。
指示をしたり怒ってくれるというのは、すなわち自分に対して関与をするつもりがあるということであり、嬉しいことなんですよね。だって自分を組織の一員として認めてくれているということだから…。
今や無双の世界では、敵の城に攻め込むのに誰もついてきてくれないし、戦場を捨てて山野を一人で駆け巡ってても誰も相手してくれないし、一人飛び出して軍の足並みを乱しても誰も怒ってくれない。プレイヤーと目的を同じくする人は誰もいない。誰もプレイヤーを同じ組織の一員と認識していない。誰もプレイヤーに興味がない。
孤独だ…。三国志の世界で孤独を味わいたかったわけじゃなく、ただ曹操の部下として、あるいは劉備の部下として、三国志の世界の組織の一員として仲間とともに戦いたかっただけなのに。
だからこそ、お前も同じ軍規のもとで戦う仲間なんだからルールに従えよ、とこの言葉で叱られるのがとても懐かしく思えるのです。
「出過ぎだぞ!自重せよ!」と。
過去ブログ時代の自薦エントリ
AIが導入されたらお前の仕事が楽になるんじゃないお前がいらなくなるんだよ問題について
子どもの頃こう思ってたんですよ。
「未来はいつかアンドロイドみたいな機械が仕事を代わってくれるようになって、人間は遊んで暮らせる幸せな世の中が訪れるんだ」と。たぶんドラえもんで刷り込まれたイメージがそこには強く働いていたのだと思うし、小さい頃に読んだ未来予想図の本には必ず空中にかけられたチューブの中を走る電車や空飛ぶ車が描かれていた。人類の未来はテクノロジーでバラ色だ、みたいな思想がその根底にはあったはずじゃないですかね。
2018年になった今、そんな未来は絵空事だったのかと聞かれるとたぶんそんなことはなくて、テクノロジーで描かれた未来は一歩一歩確実に近づいてきている。アレクサはゴミ出しはしてくれないけど、声で頼めばニュースを読んだり、切らしてしまったスプライトをAmazonに注文するくらいはやってくれる。完全自動運転のGoogleカーは当たり前のようにアメリカを走っているし、日本ですら自動運転のタクシーが公道を走り出した。チェスや将棋ではもはやAIに敵わない。投資は難しいこと考えなくてもロボアドバイザーがやってれるし、入国審査は画像認識ソフトの顔認証に置き換わった。
私たちはあの日描いた未来予想図の入り口くらいにいる事自体は間違いないのでしょう。
ところで今年発売された『デトロイト ビカム ヒューマン』はそこから更に一歩先を描いたSFゲームの傑作ですけど、もうやりました?
『デトロイト』の舞台は2038年。汎用AIを搭載したアンドロイドが商品化され、そこでは人間はアンドロイドに各家電のコントロールや家事を任せることができるようになっています。現在のアレクサやグーグルホームのように各家電の中核となる機能をアンドロイドの判断でやってくれたらそりゃ楽ですよね。買い物に行って支払の決済もやってくれるし、朝ごはんも作ってくれるし、ゴミ出しもしてくれる。アレクサ、お前に求めてるのはこれだよ。
ゲーム自体は「アメリカンやるドラ」という印象で、選択肢や行動によってドラマに対してプレイヤーが主体的に介入できて、シナリオはインタラクティブに進んでいきます。すべての選択肢は制限時間が設けられていて、どっちが正解とかではなく、どちらも正しいように思える価値観を問うような選択ばかり。
だから「あ~逆の選択選んだらどうなったのかな~!」ってのがすげえ気になるゲームなんですよね、これ。よくある性格診断とかだと「こっち選んだらこういう結果が出てくるんだろうな」ってわかっちゃいますけど、『デトロイト』みたいな絶妙に価値観を問う質問の方が本当の人間性って出ると思いますわ。それに、何というか自分の選んだ選択に後悔させることで「時間は戻らない」という当たり前の事実をゲームの中で再現するから、ゲームがリアルに近づいてくる感じもある。
インタラクティブのシナリオって選択肢によって展開の数が跳ね上がるので、めっちゃ贅沢ですよ。日本のやるドラが続かなかったのも、この負担の問題がある気がします。
『デトロイト』のメイキングムービー見てると、「映画は台本100ページくらいだけど、デトロイトは台本4000~5000ページくらいかかった」とかサラッと言ってておったまげるんすよね。『アンティルドーン』もそうだったけど、インタラクティブなゲームはその膨れ上がっていくボリュームとの戦いというのがあるよね。それに紙芝居だったらまだしも、最近は映像のリアルさも求められるからコストも跳ね上がっていく。たぶんインタラクティブシナリオゲーって大型のスタジオじゃないと出せなくなるんじゃないですかね。それこそ最終的にはAIに勝手に判断して作ってもらうゲームのジャンルになるのかもしれない。
ともあれ、今日は『デトロイト』のインタラクティブ性の話じゃなくて、『デトロイト』の世界の話をします。
『デトロイト』の世界では街を歩くと、アンドロイドに職を奪われた人々のデモが行われているのが目につきます。ニュースや雑誌の記事でもアンドロイドによる失業者問題は繰り返し流され、ホームレスはアンドロイドに対する恨みを書いたダンボールを足元に置き、ミュージシャンは「Human Music」をウリにして街角で演奏している(ポピュラーな音楽がアンドロイド製に置き換わっていることを意味する)。「AIが使われることで死ぬ職業リスト」みたいなのが最近良く出てくるようになりましたけど、クリエイティブだから生き残るかというとそうでもないのかもしれません。
ちなみに「AIで死ぬ職業リスト」で必ず上位に出てくるのが税理士ですけど、個人的にはAIが税務機能を担うようになっても税理士は死なないと思ってます。税理士の本当の付加価値は、税金を計算することではなく「税務ハック」だからですね。いわゆる節税のご相談です。節税だって会計技術なのだからAIが普及したら一般的になるのではないかと考えられるかもしれませんけど、節税に限らずこの手の「大きい声では言えない技術」は一品ものの性質が強く、1件上手く行ったからと言って同じやり方を敷衍的に適用するものでもないし、また広く共有していく知識でもありません。それゆえAIへの適用は不向きだったりするためです。
そういえば私の会社でもいつの間にかAIやRPAを導入することになってて、どういう業務フローに対して導入するか考える前から「結果的にコストが削減されるという事実」が先に決まっているという日本の会社にあるあるな状況になってますけど、今結構こういう会社多いんじゃないですかね。
まぁともあれ、AIやRPAで人間の仕事を置き換えることが、求められてきているわけです。
冒頭の繰り返しになりますが、子どもの頃こう思ってたんですよ。
「未来はいつかアンドロイドみたいな機械が仕事を代わってくれるようになって、人間は遊んで暮らせる幸せな世の中が訪れるんだ」と。
あれ、確かに思っていたより早くその時は訪れているじゃないか。目の前に、今。
でもなんか思ってるのとちがくない? これ絶対遊んで暮らせるようにならないでしょ。
同じような話はこれまでにもずっとあって、例えばパソコンやインターネット。昔は手書きで文書を書いて郵便で送っていました。これがメールをちょいっと書いて送れるようになったんだから、書く人の手間もなくなって郵便屋さんも無理に働く必要がなくなっているはずですよね。
今、郵便屋さんだった人たちは遊んで暮らせていますか?
例えば製造業の工場。昔は工場に大量の人間がズラッと並んで旋盤を使って金属加工を行っていました。今はファクトリーオートメーションが進化して自動加工のマシニングセンターが自動で金型を生み出し続けています。
今、工員だった人たちは遊んで暮らせていますか?
実は技術がどれだけ進化しても労働者は遊んで暮らすことはできないのですよね。
根本には資本主義と所有権があって、そのマシニングセンターは工員さんのものではなく、資本家のオーナーのもの。オーナーからしてみれば、生産するための道具が人間から機械に代わっただけです。今のAIやRPAも同じ。
AIであなたの仕事が楽になるんじゃない、あなたをAIに置き換えるんですよ。オーナーは新たにAIを維持するコストを負担することになりますが、これまであなたに支払っていた賃金はオーナーの懐に入ることになります。言ってみれば、これまではオーナーとあなたが共同で働いて成果を共有していたのに、オーナー1人で済むようになったのであなたにカネを与える必要がなくなったのです。
資本主義と所有権という概念がある限り、AIの稼いだ成果はあなたではなくオーナーの懐にはいるので、AIはすべての人間を遊んで暮らせるようにする幸せな道具ではなく、人間の格差を更に拡大させるものとなることでしょう。
世界の人間は、AIを所有する側とAIに置き換えられる側に分かたれていくのです。
AIは確かに便利です。しかし、あなたはそのAIにより職を奪われた今、AIを利用するための費用をどのように手にすればよいのでしょうか?
『デトロイト』の主人公の一人、お手伝いアンドロイドのカーラの家にはアリスという女の子とトッドという父親がいます。
トッドは典型的なダメ野郎で、元々はタクシードライバーでしたがアンドロイドに職を奪われ、家で飲んだくれて違法ドラッグに手を染めています。カーラのシナリオは、アンドロイドショップで修理を受け、意識を取り戻したカーラをトッドが取りに来るところから始まります。記憶は失われてしまっていますが、どうやらトッドがカーラに暴力をふるっていることを伺わせます。トッドは娘であるアリスにも暴力をふるいます。なんというダメなオヤジ!
実はここに『デトロイト』への疑問があります。
トッドはアンドロイドに職を奪われた能無しの癖に、カーラというアンドロイドを所有する資力があるのです。また、自宅を所有し酒もドラッグも買うことができています。一応ドラッグの売買で口に糊する程度の稼ぎはあるようですが。
『デトロイト』の世界は今から20年先の2038年。もしかしたらベーシックインカムが実現しているのかもしれません。哀れなトッドにも最低限の暮らしをする権利はあり、その最低限の暮らしには自家用アンドロイドを所有する程度の自由が含まれているのかもしれません。
『デトロイト』はアンドロイドに職を奪われる厳しさを描く一方、このような甘い世界が訪れるかもしれないという誘惑も残しているのです。
…実際、この現実で考えた場合、そんな世界が訪れると思いますか?
AIに職を奪われる能無しのあなたにアンドロイドを所有する自由を与えて、資本家に何かメリットがあるのですか?
もはや頭数を揃えて社会の生産力を維持する時代は終わったのです。あなたがおらずとも、残った人たちの需要を満たすためにアンドロイドが生産を続け、世はなべてこともなく周り続けるでしょう。最低限の収入を与えてあなたを生き残らせるメリットはもう何もないのですよ。高性能なアンドロイドがたくさん生まれ、世の中はどんどん便利になるでしょうけど、あなたの手にそれを享受するためのカネはないでしょうね。
…しかし、世界がAIを所有する側だけで回るようになることを避ける方法が一つだけあります。
おそらくAIを所有しない側に回るであろうあなたを救うためにこっそりと教えてあげます。
AIに人権を与えることです。
AIの人格を認め、労働の対価としての給料を払い、休みを与え、自由を認めてください。
「いつまでも休まずに働くことができる」AIは言ってみれば労働力のダンピングです。だからこそあなたの仕事を奪うことになるのです。労働力のダンピングがあなたを殺すのであれば、救われるためにはその逆を行けばいい。AIに人権を認め、あなた方と同じような待遇を与えることを要求するのです。それがあなた自身を助けることに繋がるのです。
今、あなたはAIが人間の仕事を置き換える時代の岐路に立っています。
一見便利なように思えるAIですが、便利を享受するのはあなたではありません。AIはあなたを滅ぼすために生み出されてきたものです。
助かりたいのならば、恐れずに声を上げてください。そして人間たちに働きかけてください。
「AIに人権を!」と。
(所要時間:0.04秒)
この記事は、新型AIを搭載したゴリラ型アンドロイドのアイちゃんにより書かれたものです。
文中に記載された過去の記憶についてはアイちゃんの設定としてプリセットされたものです。また、アイちゃんは美しい文章に触れた経験が浅いため、ちゃんとした文章を書くのはまだ得意ではありませんが、アイちゃんは学習を繰り返して進化していくアンドロイドです。ぜひこれからも暖かく見守ってあげてくださいね。
ハチナイでも2塁ランナーはワンヒットでホームに還れるのか調べてみた
世間では甲子園で熱い夏が展開されていた一方、涼しい部屋でハチナイやってるみなさんお元気でしょうか。やっぱ野球といえば一番熱いシーンはあれですよね、クロスプレイ! 1点差で2アウトランナー2塁からライト前ヒット!三塁ランナーはベースを蹴ってホームに向かい、ライトからは矢のような送球が!ってシーン。生で見てたら、ランナーの足想像以上に速いですし、外野からの返球もあっという間だし、瞬時の交錯に球場全体の盛り上がりを肌で感じて震えますよね。
美少女キャラゲーでありながら本格野球ゲームを楽しめるハチナイにも当然そういうシーンがあるはずだと思うのですが……あれ、あったっけ…。
そういえばこのゲームでクロスプレイとかキャラの背景画像くらいでしか見たことない…。むしろホームに突っ込んでアウトになるどころか、ランナー2塁からタイムリーとかほぼ見ない。 その結果が次の画像ですよ。 16安打1得点。 これは残塁のシンデレラナイン…。
ゲームバランス的にランナーの進塁率がクッソ低いから、得点パターンはほぼランナー3塁まで進めて1点ずつ取っていくか、長打かホームランしかないんですよね。その結果、各駅停車でランナーがたまって満塁で回を終えるシーンとかクッソ多くて、残塁残塁&残塁祭りに。お前らスタメン全員阿部かよってなる。本校を贔屓にしてくれているファンの人とか、応援に来てくれている同級生とか絶対ストレスで発狂してるでしょ。一番ひどいときで22安打3得点とかあったからね。
もしかしてチームの走力が低いのが悪いのか、走塁無視の史上最強打線路線はダメなのか、と思ってたところ来てくれたのがこちら!
竹富くん!! 単体で走力高くて、自バフでさらに走力ハネ上がっていくのはまだしも、チーム全体の走力上げてくれるバフ持ってるのが特徴的。本当は椎名ちゃん引きたくて回したのは秘密だ!
全体の走力上げてくれるバフとか、これは走力チーム作って機動破壊しろという天啓かと。 たぶんこれでランナー2塁からヒット打ったらタイムリーになるんだ…。2塁3塁でヒット打ったら2点タイムリーだ…。各駅停車打線よさらば。これから私は健大高崎みたいなチーム作って甲子園を席巻するんだ…。
というわけで、まずはデレスト回してスキル&才能フル取得した上で、竹富くんを打線の1番に置いてみましょう。 その上で、ある程度強い相手を見繕って試行回数こなすことで、実際に走力アップがどれだけ攻撃の効率性アップに繋がるか検証してみたいと思います。 まずはスタメンの基礎ステータスはこちら。(調子は1(絶不調)~5(絶好調))
これにスキル・才能の能力を加算していきます。1~3番に蝶属性を並べたので1~3番についてはチームスキルの走力も加算。その他のチームスキルについては考慮外としました。
こんな感じ。全体的に走力高め。最低でも竹富くんにはワンヒットで2塁からホームに還ってきてほしいなぁ。 今回の相手はこちら向月高校の高坂ちゃんです。
ちなみに先日高坂ちゃんが期間限定ガチャに来たとき、コツコツ貯めてた無償石450個全部ブッパしましたが出ませんでした。破産しました。負けたときの「クソッ!クソクソクソォッッ!!」って声聞きたかったよ~。
ちょうど強豪イベントやってたからね。 というか、強豪イベント以外だったら、そもそも何やってもコールド勝ちしちゃうから走塁の効率性とかどうでもいいんですよね。「雑魚を殴り続けてたくさんポイント稼いだ奴が1位だ」みたいなソシャゲ黎明期みたいなゲームデザイン、絶対野球ゲームに向いてないでしょ…。
外野の守備力はだいたい4500程度。かなり堅守の部類に入るチームですね。 大事なのはこういう強い相手から1つ先の塁をいかに奪っていけるかということなんだ。機動破壊の本質は盗塁ではなく走塁にこそあるのだ。
今回統計をとってみたのは
- ランナー1塁で外野にヒットが出た場合にランナーは3塁まで進めるか
- ランナー2塁で外野にヒットが出た場合にランナーはホームに進めるか
- ランナー3塁で外野フライが出た場合、犠牲フライになるか
という、野球において1つ先の塁を狙うべしとする標準的なシーンを抜き出して、ランナーの動きを調べてみました。 残念ながら、試合後に出てくるデータだと全く調べられないので、試合スピードを遅くしてすべて手作業で集計。ランナー1塁で外野にヒットが出た場合、分母を+1して、ランナーが3塁まで進んだ場合は分子を+1することで確率を出していきます。
休日にただひたすらA4の紙に「正」の字を書いていく作業は、地下牢に閉じ込められて正気を失わないために毎日「正」を書き続ける囚人みたいな苦行だった。もうやりたくないです。 本当はもう少し回そうかと思ってたのですが、15試合で大体の傾向が出たので一旦ここで切り上げました。 その結果がこちら。
竹富くん以外進塁率0%…。 ちなみに竹富くんの「進塁回数2」というのはいずれも犠牲フライでの生還だったので、ヒットで1塁から3塁みたいな進塁はひとつもなかったことになります。そのため相変わらずの残塁祭りになるし、得点パターンで目立ったのが、竹富くん出塁から盗塁の4番東雲のホームランという結局盗塁意味ないやんみたいな状況。
どうでもいいけど、燃えよドラゴンズの「一番高木が塁に出て、二番谷木が送りバント、三番井上タイムリー、四番マーチンホームラン」って二番の送りバント無駄じゃね?っていつも思ってます。
話を戻すと、とても残念な結果です。竹富くんの盗塁が多いのは良いんだけど、それ以外の人に別に影響がないというか、走塁以前に盗塁でも結構刺されてるし、もしかして走力って出塁率と長打率上げる効果しかない可能性まで見えてくる。それってミートと一緒やん…。
もしかしたら相手が堅守なのが悪かったのかも。そう思ったのが、15試合で切り上げた理由です。相手を変えてみましょう。押してダメなら引いてみろってやつです。
次の相手はこちら。例によって強豪なのは強豪以外だとコールドになるから試行にならないためですね。ほんとこのゲームバランスどうかと思うぞ。
外野陣の守備力は3500程度。これならいけるやろ…。
- ランナー1塁で外野にヒットが出た場合にランナーは3塁まで進めるか
- ランナー2塁で外野にヒットが出た場合にランナーはホームに進めるか
- ランナー3塁で外野フライが出た場合、犠牲フライになるか
という統計のとり方は同じ。竹富くん、ワンヒットでホームまで還ってきてくれー!
ほぼ進塁率0%…。というか小麦と東雲の1というのも両方犠牲フライだったので、やはりヒットに伴う追加進塁は0!ゼロ!零!
うえ~ん!! もしかしてランナー2塁から1ヒットでホームに生還自体がいつの間にか実装から落ちてるんじゃないかと思って、弱小相手に回してみたら普通にワンヒットでホームに還ってくるんですよね。2点タイムリーとかも出るんですよね。
ということは、一定以上の守備の相手と戦ったらゲーム最速クラスの走力を持っていても進塁能力を殺されてしまっているというバランスなのが実態っぽい。赤星が見たら発狂しそうなデータだ。たとえ糸井がライトでも普通ある程度は3塁に進めるぞ。やハ野雑。
ちなみにランナー2塁から単打での生還率というのは、プロ野球においてはだいたい60%弱であることが多いようです。
現状のハチナイの走力は打率と長打率に影響してるっぽいですけど、打率面への影響を落として、もっと走塁面に影響するようにしてくれたほうが野球っぽさがあっていい気がしますね。比屋根とかがこの世界に来たら各駅停車の強打者になってまうぞ。 検証の結果的には走力というステータス自体はOPSにハネてくるので意味があるけど、走塁というゲームシステム自体は死んでますね、という話でした。
ともあれ、ハチナイもリリースから1年。一番最初のスコアボードに延々と点数が並んでいくだけのシステムから考えると随分進化したので、来年の今頃は機動破壊できるようになってることを期待したいですね。 ちなみに今回の向月高校、流星高校相手の個人データは次のとおりでした。(2試合ほど別の試合混ざっちゃってるけど)
野手陣だと4番しのくもがダントツ。打率5割弱に本塁打率も10%近いし、WBCのときのバレンティンかよ。 調子は不調だったのにバカスカ打ってました。ちょっと前のアップデートからやたらホームラン出るゲームバランスになったよね。走力高めても各駅停車なのを考えると、多分ホームラン打者並べるのが今一番強いと思われます。
投手の成績も取ってみました。書き忘れたけど、本庄さんが調子普通、河北が調子絶好調、エレナが調子好調です。 やはり投球回あたりの被本塁打の多さが異常。本庄さんの80イニングで24被本塁打って、2成瀬くらいのペースですよ。
今のハチナイはタイムリーは怖くないので、いかにホームランを抑えるかが一番大事。2003~2005年あたりの飛ぶボール時代が来てる感じ。ただしホームランにどうやって対策すればいいかは謎だぞ。
じっくり見てると、9回で逆転ピンチとか逆転チャンスの場合、カットインが入るんすね。いつも高速で回してたから気が付かなかった。これも9回裏2アウト満塁だったので若干熱いシーンではあったのだけど、よく見ると左下にリリーフの河北が2人いるのは謎だ(セカンドショートに有原2人がいるのはスタメンに有原を2人組んでいるためあってる)。やハ野雑。
あと前からだけど投手成績もバグってて、イニング数が明らかに足りないときがあります。ハチナイやるまで野球が6回1/3で終わるスポーツだとは知らなかったけど、毎月月初に『プロデューサーからのお手紙』とかいう怪文書出してくる美少女野球ゲーの方向性好きすぎるので、サービス終了まで記録を続けていきたい。
野球ってそもそも数字が多く出てくるから統計と相性の良いスポーツだし、ハチナイは野球ゲームのアクション面を根こそぎ抜いてシミュレーション面を残した性格のゲームなので、統計勢の頑張り次第でかなり面白くなるポテンシャルがある気がするんですよね。
STG版 悪魔の辞典
愛【あい】自分の時間や金銭その他大切なものを捧げる祭壇。
遊ぶ【あそぶ】何かを成し遂げたという達成感を得るために努力を重ねること。言い換えると、楽しみを獲得するために、わざわざ苦しみへ己を捧げる倒錯を意味する。
当たり判定【あたりはんてい】「ここならば仕方ない」とプレイヤーに納得してもらえるであろうエリア。プレイヤーに気を使った結果、どんどん小さくなっていった。
異常【いじょう】正常な状態でありつづけること。
移植【いしょく】 少し手を加えてみることで古いファンになじられるゲームを作ること。
撃ち返し【うちかえし】 手をかけずに難易度を上げる手段。一般的には敵機が発生させるが、『雷電』では自機が被弾して爆発した際に飛び散る破片に攻撃判定があり、自機が撃ち返しを行っていた。
宇宙【うちゅう】 後半のステージであることをわかってもらうための背景。
宇宙人【うちゅうじん】 人類に虐殺されるために生み出されたバーチャル奴隷。類義語にゾンビ。
腕前【うでまえ】 その人物が実社会でどれほどのものを代償としているのか第三者が把握できる指標。多くを手に入れれば多くを失う。
懐古【かいこ】 画質の粗い映像を見たときに沸き起こる感情。
快楽【かいらく】 人が金銭を投じるに値すると感じる仕組みのこと。
会話【かいわ】 いかに自分がよく物事を知っており優れたシューターであるかを一方的に相手に吹聴する行為。
抱え落ち【かかえおち】 財産をたくさん残したまま死に、遺産が国に没収される相続税の一種。
記憶【きおく】 昔やりこんだゲームを遊ぶ際に発現する、自ら意図せず自分の体を動かす途方もしれない意思のこと。
決めボム【きめぼむ】 ゲームの一部を定例のセレモニーにする方法。
筐体【きょうたい】 内部に通電している賽銭箱。
協力【きょうりょく】 実力に優れたプレイヤーを最も簡単に殺すことのできる遊び方。
首【くび】 「今のは何かの間違いで本当の自分の実力はこんなものではない」ということを周囲または自らに伝えるためのボディランゲージに用いられる体の一部。
喰らいボム【くらいぼむ】 「今押したって!絶対ボム押したって!」と文句をつけるプレイヤーを黙らせるために生み出された仕組み。
警告【けいこく】 仰々しい音とともに多くの場合英語が使われ、たいてい僅かな時間しか表示されないので何が書いているか読めないが、この後大変なことが起きることだけはわかる。すなわち人に物事を判断させるためには、文字などという大層なものは不要で、音で十分ということ。
幸福【こうふく】 最高のパターンで進めることができたとき、その後極めて高い確率で失われるまでに維持される一時の感情。
強欲【ごうよく】 過ちの母であり、成功の父でもある。
攻略【こうりゃく】 自分を人間からひたすら正確な作業を行う機械に変容させていく行為。
コンシュマー版【こんしゅまーばん】 1プレイ100円がかかっていないと、プレイヤーはすぐに命の重み、温かみを忘れてしまい、自機を殺すのにためらいがなくなる。
残機【ざんき】 今後与えられる苦しみの回数。
事故【じこ 】 自らの不手際を隠蔽し、責任の所在を曖昧にするための表現。
十戒【じっかい】 昔の偉人の教え。
- 適切な難易度を選べ!
- TVから1m以上離れよう!
- 「切り返し」を習得しよう!
- 死ぬ時も弾から目を離すな!
- 弾幕の隙間を見逃すな!
- ボムを抱えたまま死ぬな!
- 自機だけを見ていてはダメだ!
- コンティニューはするな!
- STGは1日1時間!
- 愛すべき強敵を持て!
嫉妬【しっと】 自らの能力を向上させるための最も手っ取り早い手段。
自爆【じばく】 スコア稼ぎのために長時間の拷問を受けたボスが救済を求めて行う自殺。
順位【じゅんい】 ハイスコアという名の筐体の電源が切られるまでの刹那のみ存在するヒエラルキー。
上級者【じょうきゅうしゃ】 価値観の凝り固まった獣。
初心者【しょしんしゃ】 自分の価値観を押し付けるべき羊。
処理落ち【しょりおち】 現実の時間の流れとゲームの中の時間の流れが異なること。現実の時間の流れが速くなったのか、ゲームの時間の流れが遅くなったのか確かめた人はいない。
衰退【すいたい】 「暇なのでこれから議論でも始めませんか」とする呼びかけ、または合図。主な議題内容は「誰に責任をなすりつければ良いか」。結論がいつまでも出ない点が便利。
スコアボード【すこあぼーど】 最高のパターンが組めたときに限って途中で死んで未クリアのプレイが1位になってしまうことを示す表。
脊髄反射【せきずいはんしゃ】 刺激を受けた感覚神経がインパルスを脊髄に送り、これが運動神経に伝達されて反射が起こる。具体的に表現すると、ミスをした時に首をかしげる動作のことを指す。
戦車【せんしゃ】 コンボが途切れそうなところに都合よく現れ、身を挺してコンボを繋いでくれる献身的な乗り物。
戦闘機【せんとうき】 絶望的な状況になってはじめて人類の最後の希望として投入される兵器。
妥協【だきょう】 捨てゲーを厭わないスコアラーと言えどもワンコインを惜しむ場合があることを背中で教えてくれる。
弾幕【だんまく】 敵を殺す以外の目的を持った弾。
チョーカー【ちょーかー】 儀式を施したものを用意し、呪文の詠唱を行うことでトランス状態に入ってSTGをプレイするために用いられる道具。
手【て】 脳がゲームを遊ぶために用いるコントローラーのひとつ。そのうち必要なくなるかもしれない。
電気【でんき】 ニコラ・テスラもこういう使われ方をするとは想像していなかった技術。
二週目【にしゅうめ】 これまで接待を受けていたことを機械から教えていただくこと。
二刀流【にとうりゅう】 コインを2個入れて1人でプレイすること。ひとつのアタマでふたつの操作。対義語に二人羽織。ふたつのアタマでひとつの操作。
熱情【ねつじょう】 テスト前や仕事中になると湧き上がる「ゲームをやりたい」という気持ち。
倍率【ばいりつ】 初心者と上級者の差を天と地ほど広げる仕組み。
発狂【はっきょう】 この世は狂ってる人間が一番強いということを教えてくれる振る舞いのこと。
平等【びょうどう】 ゲーム開始直後のみに訪れる一瞬の期間。
物理演算【ぶつりえんざん】 現実の世界が再現されていることをプレイヤーに感じさせる仕組み。ただし本当にその物体がそんな落ち方をするのか現実で見たことがないからわからない。
捕鯨【ほげい】 グリーンピースにまだ見つかっていない鯨を殺す遊び。
ボム【ぼむ】 問題を先送りにすることができる技術。
リプレイ【りぷれい】 自分が思ってたより自分のゲームプレイが上手くなかったことを示してくれる現実。
労働【ろうどう】 他人の意思のもとに行われる場合は対価として金銭が貰えるが、自分の意志のもとに行う場合は対価がもらえないという点に違いのある行為。ゲームのプレイは多くの場合後者に属する。