当たり判定ゼロ

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スマホゲームの「お知らせ」欄に個人のキャッシュカードの暗証番号を載せてしまった事例

人から人にものを伝えるというのは大変なことです。
 
話し手は言いたいことの50%程度を言語化できればいいところでしょうし、聞き手は言っていることの50%を理解できていれば大したものでしょう。
とすると、50%×50%=25%で、話し手が伝えたいことの25%しか伝わっていないのがコミュニケーションの難しさかと思います。
なので、そのロス率も踏まえてコミュニケーション論では「伝えたいことを繰り返し何度も話せ」となるわけですね。
 
これはまた文章も同じ。文章だって、作家さんですら伝えたいことをどう言語化するかに苦心していますし、我々も本を読んでて書き手が伝えたいことをすべて拾えているとは自信を持って言い難い。円城塔の本を100%理解している人とかいるのか。
加えて、文章には冗長性の問題もあります。長く書かなければ言いたいことは伝えられない。しかし長すぎては読んでもらえない。これが文章の難しいところであり、情報単価を上げるために細心の注意を持った言葉遣いをする必要のあるところです。
 
昔のファミ通に「うちの兄ちゃんは言葉のあるゲームは遊びません」というネタがありましたが、ユーザーへの連絡事項のあるネットゲームやスマホゲームではそういうわけにもいきません。
特にアップデートの多いスマホゲームの担当者は「いかに少ない文字数でユーザーに効果的に情報を伝えていくか」に日夜苦心されているのではないかと思います。お察しいたします。
 

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それで何の話かと言うと、今日は八月のシンデレラナイン(ハチナイ)の話なのですが、このゲームではそんな貴重な「お知らせ」欄を山口プロデューサーからのお手紙が掲載されるなど好き勝手使っているのが特徴です。

いや、プロデューサーレターで直接考えを届けてくれるとか、ユーザーとの距離がすごく近くて良いことなんですけど、これが少し内容が個性的(婉曲的表現)なため、ハチナイプレイヤーである監督の皆さんからは『怪文書』と呼ばれています。
そう、ハチナイユーザーの8割は山口Pの怪文書を読みたくてゲームを続けていると言っても過言ではない。
 

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例えば今月の更新分はこんな感じ。確かに不具合続いていたけど、それに絡めて聞いてもいないアカツキの人事異動の話をブッこんでくるのにドキドキしちゃう。このナチュラルな「えっ、それここに書くの?」という分別のなさが山口Pの魅力。こんな話が当たり前のように繰り出されてくるのだから、毎月のプロデューサーレターを楽しみにしている気持ち、おわかりいただけたでしょうか。

 
そして前代未聞のキャッシュカード事件がこれ。
 

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キャッシュカードの暗証番号0521ですってよ!!
当時、リリースされて1年も経ってない中で、ゲームの更新お知らせ欄に自分の誕生日書くだけでもわけわからんのに、キャッシュカードの暗証番号まで載せだすのなんなの…。「Oh,ごっついぃ」と親切に覚え方までレクチャーしてくれる有様。
これは相当ヤバい奴が作ってるぞと全ハチナイプレイヤーを震撼させるだけの謎の更新だったわけですが、一体何を食べたらお知らせに自分のキャッシュカードの暗証番号を書こうという発想に至るのか。そこに辿り着くまでのプロセスが一ミリも理解できないあたりにナチュラルな狂気がある。「あっ、今月はゲームを遊んでくれてるみんなに俺の暗証番号教えてあげよっ!」ってならないだろ普通。
 
おまけに、ハチナイはキャラクターの誕生日のときに石1個配ってるんですけど、山口Pは自分の誕生日のときに石のカケラ39個(石換算で7.8個)配ってて、キャラクターより自分を優先する異常者扱いされてた。
 

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なんか仕事もやる気が出ない事件。令和の代表作といえばやはりこれ。
アップされたのは令和元年8月で、山口Pの言うとおり令和に入ってから暗い事件が続いていました。7月には京都アニメーションの放火事件もあり世情が暗く沈んだ時期でした。確かに気持ちはわかる! 気持ちはわかる……、それに結局のところ文章の最後は「みんな暗い気持ちなんだけど明るい気持ちになれるようがんばります」で締めるんだけど、さすがにこれを読んでても「ついに山口壊れたか?」以外の感想を出すの普通の人には無理でしょ。
何度も言いますけど、これゲームの更新お知らせ欄ですからね。
 

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勝手に盗塁するな事件。
ハチナイといえば、日本シリーズのノムケンかよというくらい何度刺されても勝手に盗塁してランナーを殺しまくるので、22安打3得点とか平気でするゲームだったのですが、全く改善される予兆がありませんでした。

そんな中、何ヶ月に1回か運営の気が向いたときに開催されるユーザー同士の対戦で順位を決めるランクマで、あるとき「勝手に盗塁するな高校」が全国1位を取り、監督の皆を笑わせてくれました。
ハチナイは全国1位の高校を表彰するとき、キラキラ~っと演出して溜めたあと、バン!と高校名を出すから、「勝手に盗塁するな」とかデカデカと出てきたらそりゃ笑いますって。
それに対し後日、盗塁が少なくなるようなバランス調整が行われ、発出されたプロデューサーレターがこれ。優勝高校名と一言一句同じ言葉であることからちゃんとランクマの優勝校に敬意を払った表現であることは明白…!
高校名を変更してまで全国1位を取って山口Pに意見を伝えてくれた「勝手に盗塁するな高校」ありがとう!
 
ちなみにこれには後日談がありまして、減ったとは言え盗塁は依然多めのバランスだったので、その後行われたランクマで「まだ勝手に盗塁多農業」が全国2位を取っていました。
 

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やっぱりハチナイは野球表現がザルだな事件。
リリース初期の頃、個人成績の表示がなかったり、ランナー満塁で内野安打打ったらランナー全員生還して3点入ったり、右打者を並べたら「ライト線注意!」のスキルが発動したり(普通はレフト線注意。後日修正された)、野球面ではボロクソ言われていました。それでも少しずつ良くなってきたのですが、ある時タイトル画面の表示をリニューアルしたら、そこには「5vs4」で延長戦に突入しているスコアボードの姿が!
さすがにこれは野球ゲームとしてありえないミスだろうということで早々に差し替えされ、山口Pからの反省のお言葉が出されることになりました。
 

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ハチナイまんじゅう事件。
しかしながらハチナイは野球以外のところではわりと強くて、「ハチサマ」というライブイベントまでやってたりします。

ただこのハチサマは非常に運が悪く、2019年10月に予定していた第3回の開催は台風の影響で中止。そして2020年4月に予定していた第4回はコロナウイルス感染症の影響で無観客開催とやたらと幸がない。なので山口Pも「ぐ、ぐもも~~~」と苦悶しだす始末(半年ぶり2回目)。いや、わかる。この手のイベントとか相応の期間をかけながら、多くの人にお願いしたり調整したりと手間暇かけて取り組んでるはずです。多分この「ぐもも~~~」は泣きたくなるほどの「ぐもも~~~」。twitterにおける「にゃ~ん」みたいなもんです。
 
ただ、しれっと書かれてる渾身の企画「ハチナイまんじゅう」ですよ。ゲームメーカーとまんじゅうは本当に相性が悪いですね。まんじゅう在庫、販売用だと相当あるはずなので、1週間くらいスタッフみんなでまんじゅうばかり食べてたのでは。まんじゅうこわい
 

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野球ゲーム事件。
これは怪文書ではないのですが、あるとき『Q&A50本ノック』と銘打って、これまでアンケートで寄せられた意見への回答がお知らせ欄に載せられたことがありました。
まずQ19。ハチナイは野球ゲームなのですが美少女ゲーでもあるので、キャラクターの魅力を描写するために野球以外のシーンを描くことが多く、「もっと野球してほしい」という要望があったもの。私もそれについては気になっていたので以前調べてみたのですが、2019年4月時点で野球やってる率は約40%という結果でした。
 
いや、いいんだ。美少女のイラストはそれだけで最高だし、ましてやハチナイの絵師はやたらと可愛く描く技術が高くイラストアドは強い。それだけで満足なんだ。ただ、「もっと野球をやってみては?」と言われる野球ゲームはさすがに初めて見たな…。
 
そしてQ50「試合をスキップする機能を実装してほしい」。もうそれ野球ゲームですらないよね。野球機能がいらないと言われる野球ゲームもさすがに初めて見たな…。
 

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これらの怪文書は毎月消えてしまうので、過去に遡って見ることができません。
しかし、歴史に埋もれさせるにはあまりに惜しく、一旦ここらで記録を残しておきたいと思い整理しましたが、例えばこのように年末年始とかはちゃんと挨拶もしてるし、時々ちゃんとした文章を書いていることがある事実を補足しておきます。これもちょっと上の方に怪しい文字が見えていますが…。こいつホントいつも謝ってんな。
 
山口Pの怪文書を読めるのは、八月のシンデレラナインのアプリだけ!
毎月楽しみにしています。次回はキャッシュカードではなく、クレジットカードの番号を載せてもらえるとありがたいです。