当たり判定ゼロ

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最適な打順の組み方をハチナイで考える

「2番最強打者説」
セイバーメトリクスを少しでも齧ったことのある人なら一度は聞いたフレーズだと思います。小技に長けた、いわゆる「嫌らしい打者」を2番に置くべしとする従来の考え方と違って、2番打者は高い確率で出塁したり、出塁した1番打者を自分で返すことのできる強打者が最適とする考え方です。この場合、バントは相手に無駄にアウトを与える手段として採用されません。
 
MLBではこの考え方が徐々に浸透しつつあり、全チーム平均のOPSを打順別で取ると、最も強力な打者は3番、次に強力な打者は4番、その次に強力な打者は2番に置かれているそうです。ヤンキースが2番にジャッジを置いたり、エンゼルスが2番にトラウトを置いたりしだしたことを考えると、2番の平均OPSは今後更に高まることが予想されます。
 
一方、NPBでは日ハムの大田泰示などの僅かな例外を除けば未だに2番に小技を使える選手を置くことに固執する傾向があります。初回の表に先頭打者が出塁したらいきなり2番打者がバントの構えに入ると頭痛くなります。野球ってのはビッグイニング作ればだいたい勝てるのだから、いきなり与えられたビッグイニングのチャンスを自分から潰してどうするんだと。それにバントってのは平均すると成功率8割程度しかないのだから、リターンが少ないわりに、そもそも成功自体がリスキーな作戦なんですよね。だからバントというものは打者が投手などの一部の限られたシチュエーション以外では…(略
 
お前はバントに親でも殺されたのかみたいな話は置いておいて、単純に打線のつながりという意味で見ると、2番最強打者説と従来型のクリーンナップ最強打者説、結局攻撃力としてはどちらが上なんでしょうね。
 
2番強打者型は強打者にたくさん打席が回ってくるので良いような気もするし、クリーンナップ偏重型も強力なクリーンナップまでに2人ランナーを溜めるチャンスがあるというのも一理ある気がする…。一体どっちが効率的なんだ…。わからん…。
 
そんなとき!!役に立つのが!!八月のシンデレラナイン(通称:ハチナイ)であることはもはやお馴染みですね!!みんなも!!遊ぼう!!八月の!!シンデレラナイン!!!
 
現実の野球だと打順を入れ替えた途端選手の調子が変動したりして、正確なデータを取ることができませんし、相手の投手も同じではありませんが、ハチナイ!!ならば!!日付が変わるまで同じ選手は同じ調子で同じ相手に挑むことができるんですね!すごい!!
延々とスタミナ使い続けさせるソシャゲの設定は空虚ではありますが、この手の反復系データを取るときには役に立ちます。
 
そんなわけでやっていきましょう。
 

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今回の主役はこちら。たゆたゆ〜。日本の野球を象徴するような2番でバントをしているシーンの一枚ですね。なお、2番に置くと能力が上がる才能を持っていますが、全然育てていないので考慮外とします。
このたゆたゆと、やはり打撃の悪い阿佐田あおいを起用して、相対的に強打者3人、並打者3人、弱打者3人の打順を組み替えることで得点力を記録していきます。
ちなみにハチナイにはバントがないので純粋な打撃力のみで比較する形となります。
 
具体的にはこの3打線。
 

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従来型のクリーンナップ偏重打線。2番にたゆたゆを置いて3、4、5番に強打者を配しています。最弱打者は8、9番と伝統的な打線の組み方と言えます。
 

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2番に強打者を配した近代型打線。弱打者を下位に固めて2、3、4に強打者を固めた今風の打線。
 

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そして3つ目は下位打線に好打者を分散させたダブルチャンス打線!
 

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ダブルチャンス打線…かつてジャンプで連載していた『Mr.FULLSWING』で描かれた5番に投手を置き、3番4番、8番9番に強打者を置くことでマシンガンのように切れ目なく攻撃できる打線…。思わず「そうか?」と言ってしまいそうな意味不明な説明での羊谷監督のドヤ顔、一生忘れられそうにないです。
せっかくなのでこのダブルチャンス打線についても試合を回してみようと思います。
 

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淡々と回していくぞ…
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淡々と…
 
それぞれの打線で30試合、計90試合回した結果こんな感じ。
 

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ほら、やっぱり2番に小兵は時代遅れやろ…って2番たゆたゆ打線が最多得点じゃねーか!!あれ???
 
2番強打者打線はダブルチャンス打線にすら負ける結果に…。もうちょっとサンプル取ろうかと思ったけど、あまりに差がついて多少の試合数では追いつきそうにないのと、回復アイテムの消費の問題もあり30試合で止めちゃいました。ブルジョワジーの誰かが1000試合くらい回してくれるのを期待したい。
 
ただ、ハチナイって先発が滅多打ちにあって、パワプロで言うところの「ピヨり」状態になっても5回まで無理やり引っ張ろうとするので、初回で打線爆発したら一方的な試合になりがちなんすよ。
2番バント打線は、初回からの打線爆発を何回か引いて5回コールド19得点とかを2度ほどやっているのが平均を引き上げた要因です。
それをハチナイ特有の現象として異常値扱いにして除外すると、平均5.47点になり、他の打線にある程度近い水準に落ち着きます。
 
極端な話でOPSが上位の選手を7、8、9番にしたら1試合平均0.2点くらい落ちるという研究もあるようですが、打順の組み方って「とりあえず打つやつは前の方」レベルの組み方であれば、そう大差ないのかもしれませんね。
そういう意味では、監督の仕事としては打順の組み方よりも「誰を使うか」という調子の見極めのほうが遥かに大きなファクターになるということなのでしょう。ダブルチャンス打線、バカにしてゴメンな…。
 
実際、2番最強打者説がメジャーで流行ってるのを見て、「ほら!やっぱ最強打者は2番に置くべきだし、カープは菊池を下位に下げて2番丸、3番鈴木誠也にしたらもっと強くなれるのに!」と言いたかったので始めたんですけど、結果、2番に弱打者置いたほうが得点力高く出てしまったし、2番強打者論にちっとも裏付けのない結果となってしまい涙目です。144試合走らせればもう少し収束していくんやろか…。
 
ともあれ打順の組み方にあまり意味がないのであれば、次は親の仇ほどに憎んでいる送りバントの無意味さについて試してみたいので、ハチナイは早いこと送りバントの実装をするべきではないかと思いました。次こそドヤ顔の結果出してやるからなー。覚えてろー!