当たり判定ゼロ

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野球賭博2017 反省会

シーズン開始前の予想はこちら。そろそろ12連単あてて配当ほしいです。 データは殆どDELTAヌルデータから。いつもありがとうございます。また、ヌルデータにおかれましては10年間の更新おつかれさまでした(2017/11/8閉鎖予定とのこと)。日本にセイバーメトリクスを普及させるのに大いに貢献された歴史的意義のあったサイトではないかと思います。

パ・リーグ

1位 福岡ソフトバンクホークス(予想順位:1位)
今年もやっぱり強かったのだけど、完全に守備のチーム。千賀、東浜、バンデン、和田、武田、石川と枚数が揃っている投手陣に比べ、柳田頼りになっている野手陣にリスクがあって、実にチームRCWIN7.22のうち柳田一人で5.37を稼いでいる偏りっぷり。その柳田も守備指標が悪く、年々WARが落ちていっているあたりに一抹の不安が。あと、田中ジャスティスがどれだけ使い物になるかが特に重要になってくるのかもしれないけど、近年素材型の指名が多かっただけに「チームの強さは5年前のドラフトに依存する」という言葉もあるように、彼らが花開くことがなければ、2,3年もしたときに今がチームのピークだったと思い出すことがあるかもしれない。

2位 埼玉西武ライオンズ(予想順位:3位)
毎年森を捕手で使ってくれることを夢見て上位候補に上げ続けてきたけど、結局キャッチャー森なしで2位まで来ちゃいました。銀仁朗が2割5分も打つというのは槍が降ってくる事態だし、山川は出塁率4割超のOPS1.081とアホみたいに打つし、秋山も長打マンになってるしと全てが良い方向に歯車が回った結果だと思うけど、何よりも源田の加入が大きい。打撃は人並みくらいに打ってくれれば十分で、守備のUZR21.5はとてつもない数字。WARでも打撃でマイナスを計上しながら4.8と全選手中9位の数字を計上するなど、突如ショートに日本一の守備の選手が入ってきたらそりゃ強くなるわとしか。アマの守備指標って見れないから、こういう選手取るの本当に難しいよね。スカウトいい仕事した。

3位 東北楽天ゴールデンイーグルス(予想順位:4位)
岸の補強分が適切に上乗せされて日ハムが落ちた分順位を載せた感じで、全体的に持てる戦力が順当に働いた結果か。則本・岸の2枚看板は当面リーグでも優位性の確保に貢献するだろうけど、高卒1年目の藤平のスタッツヤバくないですか? 防御率2.28は結果論だからいいとしても、奪三振率9.14は先発投手として素晴らしさしかない水準だし、K/BBも2.93とコントロール面にも不安なし。WHIPも1.04とランナーを出す機会も少ない。これが2回や3回の先発機会ならまだしも、8回も先発しての成績だから言うことなしでしょ。藤平が来期以降この成績でローテを回るならば、美馬や安楽もいる投手陣はリーグ屈指。外国人枠を野手に使える強みもあるし、チームとしての伸びしろは大きい。

4位 オリックスバファローズ(予想順位:6位)
借金16でフィニッシュと別に強くもなかったんだけど、日ハムとロッテがそれ以上に滑ったからこの位置という往年の柴田善臣を彷彿とさせる流れこむようなゴール。今シーズンのパ・リーグはAクラスとBクラスの差が激しかったね。金子千尋は12勝で防御率3.47という成績を残したものの、奪三振率が6.88とキャリア通算の7.79から見ても大きく落ち込んでおり、やはり衰えていると思う。野手陣ではシーズン中の5月に補強したマレーロが大当たり。OPS.925と打ちまくった。四球も選べる打者だし、今年のペゲーロパターンで来年も活躍ありそう。マレーロは今年29歳で、やっぱり野手は20代後半がピーク説がますます強くなるし、補強するなら3Aで無双している20代後半がベストという感ある。

5位 北海道日本ハムファイターズ(予想順位:2位)
去年リーグ1位のWARを記録した大谷が出てこないマイナスは計算上当然大きいのだけど、まさかここまで出てこないとは……。投手としてなんて殆ど投げてないレベル。例年どおりだったのは西川とレアードくらいなもので、地味に守備指標が良いので救いのある中島を除けば、岡も田中賢介も不振を極めたし、何よりOPS.676の翔さんが4番打ってたのがヤバすぎる。守備職人の源田を4番に置いてるのとそんな変わらんレベル。さすがに今期は悪い歯車が周りすぎたところはあると思うけど、大谷が抜けるシミュレーションを1年早くやった感じだった。あと大田は打ってるように見えてRCWINが僅かにマイナスの▲0.01。出塁率悪いから指標はいつも案外悪いんだけど、今一番見てて楽しい野球選手だと思います。

6位 千葉ロッテマリーンズ (予想順位:5位)
指標は悪いんだけどなぜか防御率の良いアンチセイバー石川がついに崩れた。やはりFIPはウソをつかないのか……と言いたくなるところだけど、万年FIPより防御率悪い則本みたいなのもいるから、FIPも「傾向は示すけれども確実ではない」という程度の理解に置いとくのが良さそう。角中を除けば野手陣に日本代表クラスの選手がいないからダフィーとパラデスの活躍がポイントで、案の定ダメ外人だったんだけど、そのカバーに補強したのが走り打ちのサントスというあたりがトドメを刺した気がする。走り打ちってそんな成功しないわりに得られるのは単打だし、鳥谷みたいに四球選びまくれるほうが十分確実性ある。そういうマジレスは置いといて曲芸としてのロマンはあるんだけどね……。

セ・リーグ

1位 広島東洋カープ(予想順位:1位)
元々2期平均で野手のWARを計算しても、ぶっ飛んでリーグ1位の数字を持つチームであり、想定どおりの高い攻撃力を発揮した。野手のピークは20代後半ではないかと思われ、タナキクマルが揃って27~28歳の今がチームはピークにあるのでは。いい意味で計算外だったのは薮田で、あのいかにも壊れそうなフォーム見ても(反面打ちづらそう)、1シーズン持つと思わなかった。あと大瀬良岡田は黒田が抜けたイニングを十分食ってくれた。この打線なら化物みたいなエースピッチャーがいるよりも、安定して3点台で回ってくれるピッチャーが複数いるほうが望ましい。クライマックスシリーズPK戦みたいなもので、鈴木誠也が不在という運の悪さがあったのでやむを得ない結果だった。

2位 阪神タイガース(予想順位:3位)
そろそろ藤浪北條の時代が来ると思ったのだけど全然そんなことなかったぜ! 野手陣では糸井福留鳥谷の高出塁率おじさんたちが脅威。いずれも全盛期より打つわけではないのだけどみんな3割台後半の出塁率があり、並べられると誰でアウト取れば良いのかわからなくなる。野球は「3つアウト取られるまでに何点取れるか」という競技であることを考えると、やはりアウトを取られないということはとてつもなく重要。ただ3人とも衰えが見えてるので、優勝を狙うなら彼らを本塁に返すためのロングヒッターを早く獲得する必要があることは繰り返し言われるべき。キャンベルはヘイグ感漂っており、仮にアジャストできたとしてもタイプとして的外れな補強だったのではないかと思う。

3位 横浜DeNAベイスターズ (予想順位:5位)
「センターライン強化できない限り3位が限界のチーム」と言ったのは今でも間違ってないとは思うけど、仮にも日本シリーズに出るチームを5位予想とかしてしまったのは今期賭博において最大のミスでした。ただロペス宮崎の二人が少し出来過ぎな感があり、更に上の順位を狙うのならば、ロペス宮崎の成績の上積みよりも、課題の二遊間の強化を図るほうが現実的。チームの欠点が明らかなだけに、山田か坂本がいれば一気に優勝するチームではあるけれど、二遊間は超A級の選手を市場で獲ってくるのが難しい守備位置であり、急に強化するのは非常に難しいポジションでもある。それだけに大和が市場に出てるのは大きなチャンスだけど、大和はセカンドで使って倉本はそのままという話もあり、頭くらくらしてくる。

4位 読売ジャイアンツ(予想順位:2位)
13連敗とか、筋肉が針で突かれて死亡とか色々事件はあったけど、今期は1から10まで山口俊に尽きるのでは。2桁は勝てなくとも7~8勝するだけで巨人は2位だったし、単体でWAR3.0前後は見込めるはずの戦力が勝手に退場するどころかチームに迷惑までかけた罪は江戸時代だったら市中引き回しのうえ獄門だった。ただ、たった少しの登板では打たれこそしたものの、奪三振率は9を超えており、球自体は良いものを投げているのではないかと思わせる。元々肩の故障を抱えていただけに、1年の休養は(精神的にはともかく)肉体的には好影響を与える可能性がある。セカンドマギーは実験的に興味深かったけど、あくまで緊急措置なのは村田の自由契約を見ても察せられるとおり。

5位 中日ドラゴンズ (予想順位:6位)
落合中日でできなかった世代交代が未だに尾を引いており、今期も課題は解決できなかった。そろそろ高橋周平あたりが主力を張ってくれないとどうしようもなくなる。元々ラッキーな契約だったとは言え、WAR2.8を記録したゲレーロが流出すると仮定すると、来年福田あたりが30本くらい打ってくれないとイーブンの計算にならないのでは。投手陣ではバルデスおじさんが抜けるのも来期に向けては厳しい。ただ、現状のチーム状態でおっさんに頼って多少順位上乗せしても何も抜本的な解決になっていないので、若手中心のチームに切り替えるいい機会なのでは。伊藤準規とか後半打たれてるシーンはあったけど、いい球投げてるように見えたし、奪三振率も8.19となかなかの数字ですよ。

6位 東京ヤクルトスワローズ (予想順位:4位)
山田のワンマンチームなのはみんなご存知のとおりだったけど、山田が死んだらチームも死ぬのもやはりご存知のとおりでした。防御率がリーグワーストで投手が爆発四散してたけど、ブキャナン、原樹理防御率3点台でそれぞれ13敗、11敗なのは同情の余地があるし、狭い神宮がホームであることを考えると、実は投手より野手陣の問題の方が大きかったんじゃないかと思うんよね。特に悪かったのはファーストで、荒木がOPS.0640、リベロOPS.595と、ウィーランドに守らせてたほうがマシまであるレベル。本来打撃ポジであるファーストでこの数字では他球団と大きく攻撃力の差がついてしまう。二塁手で山田を使えるアドバンテージは依然大きいので、逆に言えば強打の外国人獲れれば状況が大きく改善する可能性はある気がする。

そんなわけで今年も12連単の結果はボロボロでした。ドンピシャだったの両リーグの優勝チーム(ともにド本命)だけという悲しい結果で、馬連でも2.3倍くらいしかつかなさそうだし、明日からざるそばだけを食べて節制せざるを得ません。

ところでプロ野球というものは、シミュレーションで言ってみれば、秋~春の「戦略フェーズ」と、春~秋の「戦術フェーズ」の2つに分かれます。すなわちこれからの契約シーズンというのは、戦略フェーズであり、本来ならばそこでのチームづくりのほうが重要であり、合理的に勝っていこうと考えれば、戦略レベルで負けているものを戦術レベルでひっくり返すことは期待すべきものではありません。武田信玄も「勝負は戦う前に決せよ」ってセンゴクで言ってたので、きっとそうなのでしょう。野球というのはデータ大好きなアメリカ発祥なので、統計データが充実していることから、期待値を計算しやすいスポーツです。

とはいえ「戦略フェーズ」で想定していた戦力がそのとおり動いてくれるかというとそうでもなく、毎年想定していた戦力が怪我をしたり、思わぬ新人が活躍したりします。元巨人の原監督はその辺の不確定要素を廃するために「上手い選手ではなく強い選手がほしい」と言ったり、緊急事態を想定したサブポジの練習をさせたりして、明確に戦力の安定運用を志向しており、さすが大戦力の監督だなと思ったものです。大崩れしなければ勝てると分析していたんじゃないですかね。ただし巨人はその分フランシスコ等の面白外人を取ることで、一定の不確定性を確保し、面白さを維持していました。 大事なのはここなんですよ。

不確定性、それこそが素晴らしい。 戦力が計算しやすいスポーツだからこそ、謎の外人や新人によって頭の良い人たちが組み立てた「戦略フェーズ」が台無しになる瞬間こそがプロ野球の面白ポイントの一つではないかと思います。2017年プロ野球の残念なところを一つ挙げるとするとそこでしょうか。

160km/hのボールを投げるのに二軍で雨に打たれていたコーディエ、試合には出ないのにウキウキでアイスバケツチャレンジやってたユーキリス、開幕早々アメリカに帰国してtwitterで日本人を煽ってきたペニー、三振率脅威の40%超のロマック、伝説の打率.000でフィニッシュしたキューバの英雄セペダ。 みんな最高の奴らだったのに、今年はしっかり年俸分くらい働く連中ばかりで何だか心にぽっかり穴が空いた感じです。

来年は各球団とも最高の補強をお待ちしております。