当たり判定ゼロ

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モゲマスと少子高齢化問題、あるいは優雅なるM&A

今、有効求人倍率が1倍を超える人手不足の時代が訪れています。すなわち、就職先を探す人の数より求人のほうが多い状況の売り手市場です。一部の識者の中では移民の必要性について議論されているという話。どこの会社を見ても【社員募集中】というタグが社名の前に付けられています。この辺の潮流は、社長をやったことのある人ならば、入社希望者の減少という形で特に感じるのではないでしょうか。新規ユーザーの減少は、ユーザーピラミッドの高齢化、そして所属の固定化という形で現れ、モゲマス社会は保守化、硬直化の一途を辿っています。

一方でアイドル相場に目をやると、直近の月末ガチャ最強アイドルの相場が600前後に落ち着くなど引き続きデフレから脱却しきれていません。通貨の供給量が落ちているわけではないので、相場の停滞は、投資先の魅力性が欠けているためと見ることができます。また、欧米の一部の学者からは、相場の低迷は復刻SRの濫発による影響ではないかと指摘されています。すなわち、復刻による下落を予め織り込む必要があり、またプレミア化する確率も低くなったため、投資に対するリスクが高まりすぎたのではないかと言うのです。

結果的には、過去のSRは市場の判断に任せて一部をプレミア化させたほうが投資を煽ることができた可能性はあります。プレミア化したSRを見せて射倖心を煽っていくスタイル。価値の無いものに価値があるように見せ、全力で我々の価値判断を狂わせようとする姿勢こそが、設立当初の政府の姿であり、近頃の煽りのない善良な政府の姿を見ると少し心配にすらなることもあります。

SR復刻濫発によるアイドル価格のデフレは、生きているだけで取られる税金のようなものです。ただ好きなアイドルを愛でているだけなのにスタドリ換算で刻々と資産が減っていく悲しみ。特に同じ下落率でも価格の高いアイドルを保有する富裕層のダメージは大きく、ある種の累進課税がそこには機能しています。人間というものは合理的に行動する生き物ですから、そのとき富裕層は資産を目減りさせない方に移動させることになります。そう、スタドリに資産をシフトさせるのです。

かかるデフレ環境下においては、現在スタ600で最強アイドルが手に入るとして、将来的には500で入手できるかもしれませんから価値が上昇しています。アイドルで保有すると課税されますが、スタドリで保有すると課税されない。言ってみればスタドリはタックスヘイブンだったのです。そのようなタックスヘイブンが用意され、富裕層が資産を逃がすことができるとなると、貧富の差は埋まることはありません。

少し前にトマ・ピケティとかいうフランスのおじさんが『21世紀の資本論』で「資本主義は格差の拡大がそれ自体にビルトインされている」と統計で示して話題になりました。冷静に考えてみると、これはモゲマス経済にも当てはまる耳の痛い指摘ではないでしょうか。ひょっとすると、ピケティは資本主義を通じてモゲマス経済に警鐘をならしたかったのかもしれません。

経済というものはいくつかのパラメーターが複合的に混ざり合って将来の状態を決定します。もし限定SRの復刻ペースを変えないのならば、月末SRの性能を変えてみるというのも手かもしれません。

次の表は、当社総合研究所がまとめた月末ガチャにおける攻撃力最強アイドルの推移です。

  

方針の定まっていなかった初期を除けば、最大コストの上昇は6ヶ月ごと、性能は毎月約1%ずつ上昇させるという法則性があることがわかります。コスト20の登場は8ヶ月となっていますが、今後もその方針を続けるのかどうかはわかりません。

いずれにせよ、この性能上昇を抑えれば抑えるほど過去の安価な復刻SRの活用余地が高まるため、ますますデフレ傾向が進むことが予想されます。逆に言うと復刻SRと月末アイドルの性能、この2つの要素を観察することで今後のインフレ動向について予想することができるでしょう。

アイドル課税がある一方、給与所得も存在します。労働所得と呼ばれる5000位以内に毎週配られるエナドリ、イベントの個人順位報酬、プロダクション順位報酬がそれらにあたるでしょう。特にプロダクション報酬については、上位と下位の差があまり無いため注目されることがないですが、毎イベントの収入がそれだけ違ってくるとなれば案外塵が積もればで、生涯報酬としてはそれなりに差がつくため着目しても良いかもしれません。

最初に述べたとおり新規流入の減少とユーザーの高齢化により、人材は枯渇しています。人間の数に対して会社が多すぎる状況になっているのです。モゲマスというゲームの根幹の一つであるプロダクションという機能について、再評価を行う時期に差し掛かっているのかもしれません。

古い事例ですが、2007年10月1日、水産最大手のマルハと3番手のニチロ経営統合しました。魚価の高騰と消費の低迷による需要低迷のため、合併することによるスケールメリットを求めた形です。

このスケールメリット効果は当然モゲマス経済にも当てはまります。40人のうち半分くらいしか稼働していないプロダクションなんてザラですから、それが2つ統合しただけでプロダクションの規模が倍になる統合効果が得られれます。人の数に対して多すぎるプロダクションは統廃合により経営再編されるべきですし、優れた経営者が今行うべきなのは求人ではなくM&Aです。2005年に日本政府が会社法を改正させ、法整備により三角合併を可能としたように、モゲマスも政府がM&Aを容易にするシステム整備を行い、組織再編を促すことで社会の活性化を企図するべきではないかと考えられます。

先般、トレーニングルームのLv6、Lv7が解禁され、プロダクションの差異が広がる措置が実行されましたが、これもプロダクション集約施策の一環としてみることができるかもしれません。あとは株式を発行し、子会社を設立したり、ホールディングス制度にしても良いでしょう。配当を株主に還元する仕組みを作り、株式自体をフリトレに出品できるようにすれば買収も可能となります。

すなわち将来的に予想されるアイドルマスターシンデレラガールズのプロダクション運営の姿とは次のとおりとなります。

(望まれる未来のプロダクション運営1)

「大石プロダクションを買収?」

「そうだ。アレの株価は過小評価されている。収益力からすると5年で元は取れるぞ。急げ!今すぐ先方の大株主に話をつけろ。フリトレでも流動株を集めるんだ」

「はっ」

(1週間後)

「我々の動きが漏れたようです!相手は櫻井財閥。買収防衛のため独自に株を集めています!」

「ちっ、ホワイトナイトのつもりか…。相手が財閥とはいえ我々の方が先行している。引き続き買収工作を進めろ」

「さすがに櫻井財閥相手だと資金が……」

「銀行に話をつけろ!ここまで来たんだ、負けられん」

(1週間後)

「当社の取得は31%…とてもじゃないですが…。これだけの株式、処分もできません。銀行も返済のあてについて早期の回答を求めてきています」

「そうか、負けた、か…。下がれ」

「はっ」

「前川ァ…お前の言ったとおりだったよ。急いでも何も残らなかったな…。時間がないと思っていたのは俺だけだったようだ。約束通り、お前のもとに行くよ。いや、行くしかもう選ぶ道すらないのか……」(ロープに首をかける)

ほかにも、M&Aを行うということは、東京三菱UFJ銀行のように統合後に社内で権力闘争が行われることも期待できます。権力次第でなぜか古いシステムを使い続けるほうが勝ってしまったり、役員の椅子がなぜか片方に偏っていたり、そういった派閥の攻防を楽しむことができます。

(望まれる未来のプロダクション運営2)

「それでは、統合後の副社長は当社から3人、貴社から3人とし、社長も貴社から。以後は社長を旧当社、旧貴社から交互に出していくこととしよう。まずは君が社長を務めたまえ」

「承知しました。これからは手を取り合って社を繁栄させていきましょう」

(半年後)

「バ、バカな!次の社長は当社から!そういう約束のはず!」

「何を古いことを言っているんですか。我々は統合した。誰が社長になっても同じ会社出身、でしょ?」

「約束が違うじゃないか!く、黒川副社長!どうなっている!」

「現社長の仰るとおりです。もうあんたの時代は終わったんですよ。何もかも思い通りになると思わないでいただきたい」

「く、黒川くん……裏切ったのか……」

最近こういうのやりたいです。