ゲームの感想 2024
もう一年が終わっちまいましたよ。この繰り返しでいつか言うんですね。もう一生が終わってしまったと。
そんなわけで今年遊んだゲームの感想です。ここ数年で1番少ないっす。来年はもうちょっとゲームやろう。
ユニコーンオーバーロード(PS5)
FF12のガンビットシステムは歴史に埋もれさせるには非常にもったいないシステムだったのだけど、ユニコーンオーバーロードがそれを完成に昇華させた。個々のユニット単体で考える作業指示ではなく、最大5人のチームでのシナジーや相手の行動も含めた作業指示なので、考える作業だけで時間が溶ける。そして考えに考えた運用がハマったときの気持ちよさったらない。「自分の考えが正しいと証明されること」これが人間にとって最大の快感なんじゃないだろうか。
FINAL FANTASY Ⅶ REBIRTH(PS5)
発明とは組み合わせである。音楽にせよ、映画にせよ、人間が生み出せる新しい概念は概ね出涸らしており、あとはそれを組み合わせるだけである、という話を思い出した。ゲームでは「世界設定×ゲームシステム」の方程式のうち、世界設定の方を変数として新しいものを生み出してきたものが多かったけれど、世界設定を固定値にしてシステムを変数にしたのが一連のFF7リメイク。オープンワールドという変数を使ってしまった次は何を持ってくるんだろうね。
デジボク地球防衛軍2(PS5)
ローカルマルチプレイができるので買ってるシリーズ。今の時代、マルチプレイはオンラインが主流になってしまって、オフラインに強いのは任天堂。すると、ガガーンバーン!みたいな破壊的衝動を満たすオフラインというのが空白地帯に近い状況に。そういう意味では地球防衛軍がオフラインマルチを残してくれてるのは非常にありがたい判断なんすよね。内容は壊れた地球を元に戻したこと以外そんなに覚えてない。それでこそ地球防衛軍なのだ!
不思議のダンジョン風来のシレン6 とぐろ島探検録(Switch)
シリーズトップクラスの名作だと思う。とぐろ島の神髄はクリア済。色んな縛りのダンジョンがあるし、デッ怪ラッシュ以外のダンジョンは基本すべて面白かった。子供の頃だったら無限に遊んでたんじゃなかろうか。でも、最近はゲームのボリュームは不要と思えるようになってきた。食べ物って年を取ると、量が食べられなくなるのよ。少なくとも美味しいものを食べたくなる。そういう意味では、量よりも短い時間で体験できる質を重視するようになっていくね。
Alina Of The Arena(PS5)
『Slay The Spire』にヘックス制の移動の概念を足し込んだゲーム。初期配布のカードを削除してデッキ構築して…という基本的なアーキテクチャは全く同じ。だいたい『Slay The Spire』が面白いのだから、同じ風に作ったゲームが面白くないはずじゃないですか。でも思ったんよ。文章は、長く書くのは簡単だけど、最小限にまとめるのは難しい。『Slay The Spire』は、工夫して最小限にまとめられたゲームなので、それに何か付加するとどうしてもテンポ悪くなりがちよね。
ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン(PS5)
かつて若いぼくたちはお年寄りが水戸黄門を繰り返し見るのを笑っていた。どうせ印籠を出してチャンバラをやるんだろう? 自明の結末を、毎回違う形で表現しているだけの映像を繰り返し見る姿に「その時間は虚無ではないですか?」と言いたい気持ちを抱いていた。そのとおり。でも、ソウルスティールの見切りはわかっていても熱いし、ロックブーケはわかっていてもかわいい。それでいいじゃないか。既知の感動を、ぼくたちは死ぬまで繰り返そう。
くにおくんの三国志だよ満員御礼!!(PS5)
小さいころに「くにおくんの時代劇だよ全員集合!!」ってゲームがあって、友達集めて知性の足りない子どもなりにガチャガチャやって遊んだ記憶がまだ昨日のように残ってる。世界設定に三国志を持ち込んだだけで時代劇そのままのゲームシステムなので、思い出を踏むために遊んだゲーム。人間は頭の容量に限界があるのだから、思い出なんて持ちすぎていてはいけないんだろうけれど。頭の容量が埋まれば埋まるほど、新しくモノを覚えるのが大変になって嫌になっちゃうよ。
ごく普通の鹿のゲーム(PS5)
日常に虚無感があったときにセールしてたので買ってしまった。いわゆる不条理系のバカゲーに属するゲームなのだと思うのだけど、考えてみればバカゲーって頭のいいひとしか作れないんだろうね。我々は普通に生きていると現実を受け入れることに慣れてしまう。でも、バカゲーは現実という概念を否定して、グチャグチャに攪拌してみせる。それってすごくインテリジェンスもエネルギーも必要なことで、それがなくなってしまった人のことを「大人」という。
ダンジョンマンチーズ(PS5)
美少女イラストのアクションゲームで、これもセールしてた時に買ったんだけど大当たり。SF勢のゲーマーは皆遊んだ方が良い。このビジュアルとプレイ映像でSFゲーだとは誰も思うまいよ。ストーリーやキャラクターに奥深さがあり、面白い本を読み終わったようなクリア時の寂寥感があるゲームだった。惜しむらくは、それぞれ固有効果のある料理を装備するシステムなのに、一部の料理の性能が突出しているのでほぼ付け替えをする必要がないのよね。
九日 NINESOLS(PS5)
HollowKinightとSekiroを合わせたようなゲームで、パリィの気持ちよさが2Dでよく表現されている。ゲーム後半になるとSekiroでいう「危」攻撃のようなボスの大技を、溜めパリィで返せるようになるんだけど、このエフェクトがシビれるほどカッコいい。敵の大技を太極拳のポーズではじき返すのカッコよすぎて自分に酔っちゃうでしょ。日本の侍や忍者の文化は大いに消費されてきた面があると思うけど、中華系はこれから掘り起こしが進むかもしれないなぁ。

今年の一本をあげるなら「ユニコーンオーバーロード」。
長く生きれば生きるほど、新しいものを見たときに「何かに似ている」と感じることが増えてこないですかね? それは仕方のないことで、逆に「何にも似ていないもの」なんて存在しないし、だったら自分の経験が蓄積された分だけ、そこに既視感の問題はどうしても発生してしまう。だからこそ、過去にあったものをよく研究して、他の要素と組み合わせる等して発展形として示すことが大事なんじゃないかなと思うんですよね。仮に真に新しい要素だけで構成されたものが存在したとしても、斬新すぎて受け手の方も理解できないでしょうし。
その観点から言えば、ユニコーンオーバーロードはガンビットをよく昇華させて編成画面で運用の検討をするのが楽しいレベルまで発展させたのは素晴らしさしかない。個人的にガンビットシステム大好きでしたし。そのほかにも、シミュレーションゲームでありがちな「強いユニットだけで進めてしまうことになりがち」問題に対してもスタミナの概念を導入して連戦が効かないようにする工夫がみられて、「考えて遊んでみてね」というメッセージがゲームデザインから伝わってきてよかった。その結果、人間にとっての最大の快感である「自分の考えが正しいと証明されること」を与えてくれるゲームになっているのではないかと思ったのです。
2016~2023のゲームの感想を見ると、過去の今年の1本はこんな感じでした。
みんなも毎年記録をつけような!いつかきっと思い出を見返したくなる時も来るだろうから。
ゲームの感想 2023:パラノマサイト
ゲームの感想 2022:エルデンリング
ゲームの感想 2021:ウマ娘 プリティーダービー
ゲームの感想 2020:グノーシア
ゲームの感想 2019:ハルスベリヤ叙事詩2
ゲームの感想 2018:テトリスエフェクト
ゲームの感想 2017:BLUE REVOLVER
ゲームの感想 2016:Crypt of the NecroDancer
今年の文章の中で多く出てきた既視感問題は結構人生の中では深刻な問題ではないかと思っていて、おそらく人間は同じ場所で停滞していると、自分にとって見たことのある景色ばかりになってしまって、退屈で死ぬ。退屈というのは物理的な話ではなくて、心の話として。物理的に毎日とてつもなく忙しいのだけど、心が退屈というのはありえるのよ。
なので、自分の居場所を能動的に変え続ける努力というのは必要なのだろうし、立派な先人たちを見てみると、意図的なのか、単にエネルギーが有り余っているだけなのかわからないけれど、そうしているようにも思える。
人生は長い旅だとは言うけれど、旅だと言うからには自分で前に脚を進めることは必要なのだろう。お前の脚は他人が動かしてくれるわけじゃないのだから。
それではまた来年。よいお年を。