(リーン ゴーン リーン ゴーン)
いらっしゃい。あららお客さん、見た感じ若いのに亡くなっちゃってご愁傷さまですね。ここは現世でゲーマーだった死者が永遠の時間を楽しみ、そして過ごしてもらうための「天国のゲーム」を紹介する場所です。
「天国のゲーム」には条件があります。
それはプレイ中に「忙しさを感じること」。忙しいときは時間が早く経過するでしょう?
ここ天国では退屈を感じないように忙しいゲームが推奨されています。それに「忙しさを感じるゲームは良いゲームの証である」と誰かが言っていたのを聞いたことはないですか?
求められる条件の2つ目は、「受動的であること」です。
もうウンザリでしょう? 何かをやりなさい 何を? それは自分で考えてください、みたいな話は。
何をやるかは指示される方が楽ですし、さらには主体性を必要としないとなお良いものです。人間は案外考えたいようで考えたくない生物なのですよ。
前置きはこの辺にしておきましょう。
このゲームは先に述べた2要件、忙しいこと、受動的であることを満たし、無限の時間を過ごすための「天国のゲーム」に相応しいゲームですね。
何度タイトル画面に戻されても繰り返しプレイしたくなるリトライ性と、プレイ中に得られる快楽については私が保証します。
そう、快楽もまた重要な要素です。「受動的に与えられる快楽は一種の麻薬である」という考え方もありますが、ゲームで麻薬が摂取できるなんて素晴らしいことだと思いませんか?
さて、ここからは『One Step From Eden』についてより具体的な話をしよう。

画面だけパッと見るとフィールドが3×3から4×4に変わった『ロックマンエグゼ』のようにも見えます。しかしそう認識した場合、すぐにそれは全くの誤りであることがわかるでしょう。
敵弾の速度は速く、貴方には常に迅速な対応が求められ続けられます。必要なのは、判断の速さ、速さ、そして速さです。何という忙しさ!立ち止まって考える時間はない。
つまり重要なのはデッキの構築。強いスペルを高回転させるためには時にはデッキを圧縮することも必要です。シナジーの合うスペルだけを取得し、デッキコンセプトに合わないスペルはたとえ強力なスペルであれ、廃棄することもあるでしょう。
おや、この仕組みどこかで見た気がしますね。
『Slay the Spire』ですね。最近のゲームは少し遡ると『Slay the Spire』のDNAに辿り着くものが多くなっています。
『Slay the Spire』はベルトコンベアを備えた一種の工場と考えて良いでしょう。流れてくる部品を一つずつ選択する(処分する)ことがプレイヤーに与えられた仕事で、それらを処理することで前に進んでいくゲーム進行となっています。しかし、ルートを進むことで先に進んでいるようなビジュアルで錯覚させられますが、本当は前に進んでいるのは自分でなく、処理する部品のほうが一つずつやってきているだけです。また、その処理の方法についてもある程度の定石があります。デッキのパターンをいくつか頭に入れたらあとは引いたスペルを見ながらデッキ構築のための取捨選択をすることになります。
ツモが自動的に流れてきて、その中から何かを選択し続けるが、実は選択は定型化されている。
『Slay the Spire』は、非常に受動的であり、頭を使っているような気分にさせてくれる頭を使わないゲームです。特徴が最も似ているゲームを一つ上げろと言われれば、私は迷いなく「麻雀」と答えるでしょう。それほどこの2つの本質的な特性は似ており、それが故にともに「中毒的」と表現されるのではないでしょうか。
話を戻すと、『One Step From Eden』はデッキ構築部分について『Slay the Spire』のルールをほぼ踏襲しているため、その受動的で自動的な判断を繰り返す性質も受け継いでいることになります。
『One Step From Eden』において、デッキ構築は必須ではありません。極端な話、敵弾をすべて避けてしまえば攻撃手段などどうでも良いからです。
ただ、『One Step From Eden』の敵の攻撃はかなり激しく、後半になると基本「殺られる前に殺れ」の攻撃力が求められるので、デッキ構築は麻雀で言う手作りのように行っていくのが基本です。
ここでクリアしやすいデッキ構成をいくつかご紹介しておきます。
何も考えず、永遠の快楽を享受してください。
どうか貴方の天国でのゲームライフが素晴らしいものでありますように。