コンセプト立案からサークル参加申込まで
本を作った根本的な動機は「会計ネタでどこまで不真面目で面白い本を作れるか」という挑戦欲求みたいなものです。C92で頒布した『はじめての粉飾』は「粉飾には興味があるけど、どうやって粉飾をするのかを知っている人は少ない」という興味と知識のギャップにスポットライトを当てて作りました。本屋や電子書籍で調べましたが、類似の本はなく、スキマを埋める意味で作る価値はあると判断しました。粉飾の事例紹介の本は多いんですけどね。 そのため想定読者層は会計クラスタとはしていません。会計を知らない人でもなるべくわかりやすいようにゲーム・漫画のネタをふんだんに盛り込みましたが、これはどちらかというと自分の趣味です。書いてて一番楽しいところです。ただいつも思うんですけど、自分のネタが面白いのかどうかは自分じゃわからないんですよね。「コレほんとに面白いのか……」っていつもめっちゃ真顔です。 上記コンセプトは、サークル申込を行う際、頒布本の内容を記載する欄にエッセンスを記載するようにしました。というのも、サークル申込にあたっては「運営への意見をたくさん書いてくれると当選率が上がるよ」としっかり明示されていることから、選考スタッフの人はひとつひとつの申込内容にちゃんと目を通しているのではないかと仮定できたためです。コミケは多様性を重視する場所だと思っているので、独自性の高さを伝えることができれば当選率は上がると考えました。読んでくれる人にアピールするのも大事ですが、選んでくれる人にそれをしっかり伝えるのもまた大事です。 当然ながら「運営への意見をたくさん書いてくれると当選率が上がる」と明示されているので、自分なりの意見は書きました。実際にどれだけ効果があったのかは後になっても知る術はないのですが、せっかく申し込むのだから当選するためにやるだけのことはやりましょう。頒布物の作成から頒布数の検討まで
本に書く内容自体は新たに勉強するものでもなかったので、粉飾事例集を含む会計本に目を通し、誤った内容や事実誤認等がないか注意を払うことに専念しました。それでも事実誤認があったら五体投地でごめんなさいしかない。ついでなので、目を通した会計本については「参考文献」という形で本の中で紹介しています。また、本のタイトルだけじゃなくて一言レビューもつけときました。いつも思うんですけど、参考文献って本のタイトルだけ載せられても、なんのこっちゃってなりますよね。いや、こっちはその本知らんし。せっかくだからその本に興味を持たせてくれ。 伝え方については、イラストや図を多めに用いてなるべくキャッチーになるよう心がけました。幸いにも嫁がイラストを描ける人だったので、コミケ当選の6月から入稿を行う7月中旬までの1ヶ月間で少しずつ描いてもらいました。イラストに注文をつけると時々ブーたれていたので、定期的に甘味を提供し、懐柔を図りました。 文章と絵が入り交じる関係上、デザインはAdobeのindesignにより作成しました。実はこれに一番工数がかかっています。本文作る時間よりindesignの操作で悩んだ時間のほうが長かったまである。だって使ったことないですし! 今後の人生においても殆ど使うことないんじゃないかと思うので教書買うのはもったいないし、Adobeのヘルプページだけでなんとかしましたけど、覚えてみるとすごい使いやすいねindesign。レイアウトに凝りたい人は検討してみてください。 頒布数の検討にあたっては以下の数字を参考にしました。極まってくると、こういうところからある程度は需要予測ができるようになるのではないかと考えています。 実際の数字を晒しますので、ぜひ自分の数字と見比べて予測に使ってみてください。こういうデータの一つでも公開されていれば、誰かの役に立つこともあるでしょう。 サンプル告知の投稿は231RT、276ファボでした。(入稿時点ではもっと少なかったですが記録なし)告知ページのブログのURLは23RT、18ファボでした。(入稿時点ではもっと少なかったですが記録なし)夏コミの粉飾決算本サンプルできました。本屋行くと過去の事例研究の本ばかりで、これから粉飾をしたいと思っている人の疑問に応える本が無かったので作りました。日曜日東のア-52b「当たり判定ゼロ」です。よろしくお願いします。 pic.twitter.com/1FLIXt6JQ9
— りくぜん (@rikzen_zero) 2017年7月16日
ブログの当該記事のはてブは3でした(画像は4ですが、入稿後のもの) Twitterのフォロワー数は2,340くらいでした。 コミケWEBカタログの最終お気に入り数は44でした。ただ、これは直前に急増するので参考にはならないかと思います。 そして、頒布物は75冊で11時20分ごろ完売でした。 完売しちゃったので結局の答えは不明なのですが、肌感覚で150~200冊程度の需要があったのではないかと感じています。 例えばなんですけど、「( 反響が最も大きかったサンプル告知のファボ+RT)/4+フォロワー数/100」とかそういう感じで頒布数の目安が計算できる需要予測指標を作れるといいですよね。 今回の例で言うと、予測頒布数は(231+276)/4+2,340/100=150.2冊となります。おお、今適当に考えた指標なのにそれっぽい。 一定の数字の母数が必要になってくるので、ある程度SNSやってる人であることが前提になっちゃいますが、一定のデータを元に目安頒布数が算出されるみたいな指標が開発されると便利な気がするので、人類の未来の為に誰か考えましょう。しかし数字晒すの恥ずかしいなコレ…。書きました。 当たり判定ゼロ / C92で新刊「はじめての粉飾」を出します https://t.co/PjIT3hMN6H
— りくぜん (@rikzen_zero) 2017年7月21日