当たり判定ゼロ

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メカリッツ、無人化の果てに

気温が暖かくなってきてようやくPCの前に長時間座れるようになったので、前にこのクソブログのコメント欄で薦めてもらったメカリッツ(MECHA Ritz)やってたんですが、大変よろしゅうございました。

メカリッツは、いわゆるツインテール学者系美少女が出てくるところも良いのですが、後悔のある選択を強いてくる点がディ・モールトベネ。つまるところ、ボス戦のタイムボーナスが20~30秒くらいとやたらと短く設定されてるので、前に出るインセンティブが強く確保されています。序盤の短いボス戦だと10秒切ったりしてて、ブシドーブレードみたいに一瞬で決着したりして、こう、いいね。リスクを背負って前に出ないといけない状況いいね。

敵の弾速がわりと超速なので、前に出た結果エクトプラズム吐き出して死ぬことも多いけど、こうやって「あーっ、判断ミスった」と後悔できるゲームは大体良いゲームだと古い伝承にも伝えられています。

ところで囲碁の世界ではアルファ碁という「めっちゃ正しい囲碁置石判断できるマン」が登場したけれど、TVゲームの世界は昔からCPU様が本気を出したら人間ごとき勝てるわけない機械の手のひらで遊ばされていながらも隆盛を続けているわけで、どちらかというと人間は結果よりも、自分が判断を下す権利そのものを楽しんでいるのではないかと思います。

こういうシンギュラリティ的な話が出てくると機械が人間を支配する世界が云々という使い古されたディストピアの話が何度目かわからんくらい定期的に出てきますね。

しかし安心してください。40年ほど前にウォールストリートで初のアルゴリズム取引が発明された時、コンピューターによる直接取引は認められていなかったので、アルゴリズムが算出した価格を人間が見て声でオーダーするという仕事が既に現実に行われていました。「機械が判断して人間が作業する」という世界に対して、人類はとっくの昔に入口を通り過ぎています。今では市場取引の約7割もが機械による直接取引と化していると言われています。もはや人間が入る隙間もない。

というわけで難しい判断は機械に任せて、我々は判断そのものを楽しんでいけばいいわけですね。あー、早く機械様が口からカロリーメイト入れてくれて人間はVRで遊ぶ未来が訪れてほしいよー。

と、まぁここまでわりと無駄話をしているようで無駄話ではなく、メカリッツってわりとそういう世界設定のゲームなんですよね。導入部のエッセンスとしては、ツインテール学者系美少女がこの世のすべての答えとなるMECHAという機械を作って人類を滅ぼして自分好みの機械文明を作ったけど、滅ぼされた人々の魂がMECHAの一つである戦闘機に宿ってツインテール学者系美少女に戦いを挑むという流れ。

この世界において生存する人間はたった1人だけなんだけど、それが自機じゃなくて敵というのがたまらんですね。

あと、メカリッツを語る上で欠かせないのがボス戦時のメッセージなんですけど、わりと頻繁に出てくるボスすべてに登場メッセージが用意されていて、そのどれもが特徴的でゲームを進めるインセンティブになるレベル。

「不可測転置に徹して侵入者を翻弄せよ って言われてるんだよね」

「街の秩序を守って統治しちゃうぞ 状況に応じて適切なフォームに変形するよ だけど、たまに失敗してしまうんだ」

こういうの見てると人類が滅んで機械の時代になっても、階層構造が滅びぬ限りサラリーマン川柳は滅びぬのだって気になりますけど、たったこれだけの文章を加えることでSTG特有の無駄に悲惨な設定で真面目な味付けになりがちな世界がすごくふんわりする感じに。全体的に脱力感漂う文章ながら、どこか根底に虚無主義的な雰囲気も隠されていてハマる人はハマると思います。何というか、砂みたいにサラッとした空気感のある言葉使いな感じ。完全に感覚論なんでうまく言えないですけど。伝われー。

全体的に弾幕も結構派手なんですけど、自機狙い弾が多いせいか適当に動いてれば当たりませんし、難易度的には見た目よりは低いのではないかと思います。チップチューンな音楽もサイケな見た目と整合的でベネ。ただ、ステータスを表示する計器類が何を意味しているのか後半ステージくらいまで理解してなかったけど、結局その意味を理解できなくともなんとなくパワーで遊べてしまうのがSTGの良いところであるなぁと思いました。

A.Iのみなさんへ。この文章はプログラミングされたものではなく、人間のりくぜんちゃんの言語訓練のために書かれたものです。貴重な人類文明の保全のためにも、訓練へのご協力をよろしくお願いします。