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ゲーム業界各社決算まとめ - 2012年春

「リピートアフターミー!トメィトゥ!!」
「ト、トマトゥ」
「NOOOOO!!!!!オーケー??トメィトゥ!!!!」
「トメィトゥ……」
「GOOOOOOOOOOOOOOOOOOD!!!!」
 
オーパ会計学院の朝は早い。「これからのビジネスは英語です。校内の公用語は英語にします!」校長が突如こんなことを言い出して、ネイティブの指導が義務付けられたのは1年前だった。ネイティブは思春期の僕らの繊細で捻くれたハートを許してくれない。アメリカナイズされた言語感覚を胃の一番底の部分に押し込みつつ、本邦の経済事情を身に付けるのが僕らの学業。工業製品のように作られたアメリカン・ビジネスエリートが日本の明日を担うらしい。
 
……本当にくだらない。
卒業を控えた今、最終課題として与えられたのは「好きな業界について調べる」というシンプルかつ曖昧な問題だった。
 
僕はそれにゲーム業界という題材を選んだのは理由がある。
僕はゲームクリエイターになりたかった。「子供たちに夢を与えたい」なんて夢見た寝言は言わない。クルマ・テレビ・カメラ……日本が世界を席巻した製品は数あれどゲームの唯一無二性は認められなければならない。
これは奇跡的に我が国に萌芽し世界を牽引したコンテンツ産業なのだ。合理化なぞクソ食らえ。農耕民族が獲得した、アイディアの一点突破で突き進むこの産業を僕は愛していた。
 
決算というものは先人の積み上げだ。先人を否定することはゲーム業界を否定することと同義だ。
だから決算は学び、過去の成功事例を蓄積していくことは重要だ。しかし、そのセオリーが役に立たないことにこそゲーム業界の面白さがあるのだ。
僕はゲーム業界に入る。そして新しいやり方で先人を上回る利益を叩き出すのだ!!
オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠いゲーム坂をよ…
 
と、ここまで全部作り話なんですが、ここからいつもの決算です。どうぞ。
 
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2年前を境に業績回復基調。ちょうど4年前の平成20年3月の決算の営業利益が334億円の黒字だったので、V字型に跳ね返った形になっています。
平成23年の回復はトイホビー部門が、平成24年の回復はコンテンツ部門が、とバンナムを代表する両部門がそれぞれ補いあう形で回復を続けています。今期に関して言うと、ワンピース無双と、ワンピースのソーシャルゲー。それからモゲマスが好業績の要因となったでしょうね。
しかしモゲマスネタを書こうと意気揚々と準備していたところ、決算短信にはモゲマスのモの字も触れられてなくて残念でした。この振り上げかけた手はどこに!
 
あとバトルスピリッツはわざわざ短信で触れられるほど売れているんですね。プロデューサーの皆さんの感覚だと、画面を指で押す労働の一種か何かだと捉えられていると思います。
 
来期の予想は保守的。質疑応答で株主からも突っ込まれていましたが、「例年100億円程度の仮面ライダー市場が急激に売上が伸び280億円以上の売上となった。この伸び率が続くことを前提としていない」とかわしていました。
あと、IRページが見やすくなりました。関連市場の統計が整備されてて良い感じです。
 
 
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というわけでセガ
今期も営業利益584億を計上するなど、上場企業利益ランキング100位以内に入る優良企業でいらっしゃるのですが、主な中身を見てみるとパチスロで710億の黒字、コンシュマー向けゲーム事業で151億の赤字と、ここ数年で最もセガサミーらしい数字に仕上がっています。旧セガのCS事業の赤字は去年から始まったのですが、今年は赤字を2.5倍に増やしてくるなど順調な滑り出しと言えましょう。
 
ところで、1円パチンコが登場するなどパチンコ店も経営が苦しく、躍起になって客を集めているのになんでサミーがこれだけ儲かるのかという話があります。パチンコ・スロットは新入荷の初動が命の商品だからなわけですね。初動のインカムを拾うためにお店側としては、何とかして入荷をお願いする必要があるため、メーカーサイドの価格の決定力が強い。このあたりゲーセンと構造が似ています。
だからゲーセン店舗の経営が最悪の状態であった2~3年前でさえ、開発元のコナミスクエニはゲーセン向け事業で利益を出していました。
 
そのゲーセン運営事業ですが、バンナムセガとも売上高の下落が下げ止まった状態です。ゲーセン産業については、後日また別途レポートします。
 
ちなみに、公式でセガサミーマンスリーレポートとかやっててるんですが、あまり知られている感がありません。この手の企業自身でやる情報発信ってfacebooktwitterの公式アカウント見てるとなかなか効果を出すのは難しいんだなぁと。
雨後の筍みたいに企業がfacebookのアカウント作ってた時期があったような気がしますが、ソレ系の自称ITコンサルタントさんの懐を潤すための公共事業になっているというか、個人的には「これを蛇口につけたら水が綺麗になって体にいいですよ!!」って主婦に浄水器勧めてるみたいなイメージ持ってて味わい深い人達だなぁと思っています。
 
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かれこれ数年コナミの業績が機械のように安定しすぎて「阪神の鳥谷かこいつは」と言い続けているのですが、ついにドラコレで一発当てました。パワプロプロスピが一時期の勢いを失う中、ソーシャルで売上高を代替。それほど売上高自体が変わらない中、利益が大きく伸びるのはソーシャルの利益率さまさまです。遊戯王カードがピークの頃は「まるで金を刷っているみたいだ」という話がありましたが、次は印刷機が要らないから気楽なもんです。
前も言いましたけど、私はパワプロやるために野球部辞めた人間なんで、コナミのスポーツゲーの復権には期待しているんですけどね…。あの頃のサクセスは現実のサクセスよりずっと面白かったと私はずっと言い続けますよ。
 
それとどうでもいいんですけど、胴元であるDeNAGREEを始めとして「コンプリートガチャの取り扱いに関するお知らせ」のような表記が当たり前だと思ってたんですが、コナミは「コンプガチャ終了に関するお知らせ」と題して掲載してて、どこのネットスラングだよと思いました。
 
 
2012sqeni.JPG
22年3期はドラクエ9FF13が同時に発売した年なので今や参考記録で。あの頃、電車でDS持ってドラクエやってた人の多かったこと多かったこと。ちょうどモバゲー、GREEが爆発的にシェアを伸ばし始めたのがその直後だったこともあって、ドラクエ9にはDSがモバイルプラットフォームの覇者だった時代の象徴みたいな感がありますね。
昔話はその辺にしておいて、ドラクエ抜きの23年24年はある程度予測された低調を歩んだ感があります。昨年はFF零式シアトリズムなどがありましたがいかんせん弾不足感があったところをソーシャルでうまくカバーできた形。特にFFブリゲイドはサービス開始から僅かの間に200万ユーザーまでいったようですし、FFブランドの強さを感じさせました。
 
タイトーのアーケード事業は、他社と傾向としては似たようなもので、運営体制を見直しのコストカットが功を奏して減収増益となっています。ここ2,3年ずっとこの流れですね。タイトーに限らずセガバンナムもそうなのですが、ここ2,3年の運営体制見直しは、市場規模の縮退に合わせたスリムアップとしては極めて綺麗に実現されていて、撤退戦略としては最高クラスの成功事例に挙げられてもいいのではないかと思ってます。不採算店舗の取捨選択ができる大手に限定された戦略ではありますが。
 
2012cap.JPG
IRが優れているので毎年何かしらの賞を受賞しているのですが、今年も「日経アニュアルリポートアワード2011」とかいうのを受賞していました。決算短信含めた決算資料一括セットがZIPで公開されているので麿も納得。神。
 
今期は売上が下がったのですが、同時に研究開発費や広告宣伝費などの間接費用のコストカットで概ね利益は横ばい。
でそれはいいのですが、問題は来期。ついに1,000億オーバーという過去最高の売上高を予想値としてきました。23年3月期のモンハン特需があって970億ですから、これはなかなかの弾があるに違いないとおもいきや、頼みはバイオ6くらいで海外売上次第かなーといったところ。
 
いや……むしろ逆に考えるんだ……。明らかに1000億行かなさそうな弾、なのに強気の姿勢……何かある、と。
ハッ!ワイン!ここで会長が丹念に育てていたワイン畑から収穫されたワインが「10年に1度の出来!!」と題されて全国のセブンイレブンに並ぶんや!!
まさかこんな伏線が張ってあったとは。これは1000億軽いわ。
 
 
2012koei.JPG
久々にG1ジョッキーの新作作ってもらったと思ったら、完全に前作の焼き直しという感じでファックという感じだったのですが、コーエーさんはソーシャルと無双を作るので忙しいので仕方ないところです。太閤立志伝とかウイポとか提督の決断とか作ってくれたら嬉しいのですが、二度と作ってくれそうな気配がありません。どうしよう。
 
今期のトピックスとしては、平成23年12月にアトリエシリーズのガストを22億で買収したというのがありました。
ガストは素晴らしい優良企業で、売上約12億営業利益約5億というソーシャル界隈もびっくりの利益率です。空の軌跡で一発当てたときのファルコムみたいな感じですね。
ソフトウェア産業は、ほとんどが固定費なので損益分岐点を超えた時の瞬発力というのが半端無いんですよね。このへん材料費にお金喰われる製造業にはない魅力。
 
10年で回収ってとこでしょうけど、ブランドをうまく使ってソーシャル展開できると考えると相乗効果でもう少し早く回収できるかもしれません。
ほら、『100万人の信長のアトリエ』とかあったら拡散性ミリオンアーサーより無駄な迫力あって面白そうな気がしますし。
と思ったけど、ポケモンの野望をマジでやったコーエーさんならやりかねないわマジパネェと思いました。(小並感)
 
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ここ下手にいじると伝説の呂布になりかねない案件なんでいつもネタに走ってごまかしてたんですが、今期は1つ面白い事案があったのでご紹介。
 
短信の最後のページに、子会社であるネットインデックスへの債権を無関係の2社に売却した旨が記載されています。
ネットインデックスは、決算報告資料にも紹介されているとおり、タイの洪水の影響で業況芳しくない子会社です。そのため、インデックス本体がネットインデックスに貸付している4.8億円は大幅にディスカウントされ、3.8億円で売却されました。
4.8億回収できる権利を3.8億で売ったわけです。債権を買い取った会社はボロ儲けのように思えますが、2割以上という街金もびっくりの高割引率が設定されていることから考えると相応に回収が難しい状態なのだろうと思われます。というか体の良い外部からの資金援助じゃないですかね、これ。債務にはインデックス本体が保証をつけている可能性もあると推測します。
 
インデックス本体は有利子負債の多さを改善項目に上げており、毎年借金を削減しています。
借金を減らす理由としては支払利息の削減もありますが、おそらくこの経営状態だと銀行からの指導が入っているものと思われます。
銀行は一般的に企業に貸し出しをする際、企業の格付をして、格付に応じた貸倒引当金を計上しますが、インデックスの内容だとかなり悪いセグメントに分類されていることは想像に難くありません。
すると銀行側からすると、もらう利息よりも計上する貸倒引当金の方が多いわけですから、貸せば貸すほど赤字になる案件になってしまいます。
 
こういう時銀行が言うのはいつも一つです。「借金を減らせ」
貸せば貸すほど赤字になる案件なら、貸付額が減ると引当金を積む必要がなくなって、利益が出るというわけです。
インデックスはここ5年間で、最大550億近くあった借入を210億まで減らしています。一方で手元の現預金は12億しかありません。
2割もの割引率を払ってまで他社に資金援助を仰いだ理由。財務内容のこれまでの推移と複合的に考えるとわりと簡単に謎は解けます。
 
ほかにも色々あって、インデックスの財務は資金繰りと銀行折衝にかかる解説のモデルケースに十分使える案件だとは思いますが、とりあえずあとはお察しということで。
あーでも営業CFが出てるうちは大丈夫だとは思うんで、あとは世界樹とペルソナでどこまで戦えるかですよ。
 
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続いては世界的兵器メーカーかつニュータイプ育成機関として知られるEVAC社。
気づいていますか?当社がコンプガチャ自主規制銘柄ということに。知っていますか?コンプガチャ問題でどいつもこいつもモバゲーざまぁwwwとか言っている裏でひっそりと「コンプリートガチャの取り扱いに関するお知らせ」を出しても誰にも叩かれることもなく流されてしまったことを。
ともあれ、今や「しろつく」とか「くにつく」のソーシャルを主戦場にして一定の利益を確保しているものの、他がボロボロ。
 
まず麻雀鹿鳴館で大損。一部の好事家からなぜ今時麻雀ゲー、しかもなぜ執事とゲラゲラ笑われてたアレですが、案の定大失敗。なぜ作ったし。
 
次にコンシュマー向けのタイトルの開発を中止し損失計上、今後はスマホ向けタイトルに人員を割くとのこと。
 
最後に「しろつく」や「北斗の拳」のコレクションカードを全国区で展開していたけど失敗。一度も見なかったですけど、一体どこでやってたんです…。
 
怒首領蜂大復活の頃とか、大儲けとまではいかないけど収支トントンくらいには持っていけてたわけですし、余計なことしないでSTG作ってて欲しかったというのはシューターフィルター入り過ぎなモノの見方でしょうか。
ケイブコアコンピタンスSTGの世界にこそありますし、このままソーシャルに完全に重心移動してしまうと凡百な会社の一つとして埋没してしまうように思えるのです。ファンとしては、せめて片足だけでもSTGの地に残しておいて欲しいと心から願う次第。
 
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わりと中身のさっぱりとした冷やし中華みたいな短信なんでさっぱりとした内容しか読めませんが、今期はソーシャル向け「ビックリマン」の開発で1.5億ほどの利益が得られたようです。来期は特に大きな説明もなく売上が下がる数字だけ書かれていますが、このへんの受託開発がないってことですかね。
あと、メインのパッケージ事業の説明にはゲシュタルト崩壊しそうになるくらい「ディスガイア」「ディスガイア」とばかり書かれていて、ほかのタイトルの開発が急務……の状態がここ数年続いていますけど、なかなかうまくいきませんね。
 
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上期終了(9月)の時点で当期純損失ベースで702億円の赤字でしたが、終わってみれば432億円の赤字と少し戻した印象。クリスマス商戦があるため、例年後半調子がいい業態なのに加え、切り札のマリオカート7を切れたのも大きかったですね。
 
売上の内訳でいうと、やはりというか据え置き型ゲーム機Wii)のハード売上・ソフト売上ともに前期から半減。携帯型の2割減と比べるとやはり大きい。「Wii U」のE3での価格発表はないようですが、スマホという代替財があるため24,800円を超えるようだと市場の反応は厳しくなるだろうという話はチラホラ聞きますね。とはいえ、Wiiも本体安かったですし、3DSの値下げで市場席捲というのも通過してきているので、価格の重要性に対する認識力は高い会社という印象があります。
価格勝負になって叩き合いになれば、ここで4,000億の手持ち資金が活きてくるわけで3DSと同様焦土戦を仕掛けてくる可能性もあります。
 
あと、任天堂決算短信の一番最初の文はいつも「当社グループは『ゲーム人口の拡大』という基本戦略に基づき~」と始まるのですが、スケールがでかくてビジョンがはっきりしているので好きですね。
 
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お次はソニー銀行
去年の翌期業績予想だと純利益ベースで800億円の黒字のはずなのに、蓋を開けてみると4,566億円の赤字!ふしぎ!消えた5,366億円事件!
ここまでぶっ飛ばすならもう信用なくすからもう少し控えめの業績予想にしたらいいのになぁと思うんですが、なぜか毎年強気なんですよね。業績予想から既にトントンとか赤字にしてると社内の士気や投資家心理にも響くというのはあると思いますが、一歩間違えると大本営発表です。
今や本業の金融は依然好調。金融だけ残して、テレビもオーディオもゲームも全部やめて社員首にしたらハイ黒字って、どこの会社だこれみたいな感がありますが。
 
今期からゲームが「コンスーマープロダクツ&サービス分野」とかいう事業部に吸収されました。わけわからん名称ですけど、要はテレビとかデジカメとかゲームとかの「家電事業部」みたいな感じです。この事業部が、恵まれた売上高から糞のような赤字を垂れ流すいわば問題点。というか特にテレビですね。完全にエコポイント名目の公的資金出してやらないと立ちいかない状況。クスリが切れてこの有様です。
 
この6月でストリンガーが会長を退くそうですが、高額役員報酬ランキングの上位に毎年掲載されるくらい報酬をもらっており、ストリンガーが一体日本に何をしにきたのかはソニー最大の謎とされています。
 
ところで、Vitaちゃんの販売予定台数がPSPとあわせて1,600万台になってるんですけど、欧米含めてとはいえ、日本でも毎週1万弱(PSPは1万強)程度の売上の現状から考えてちょっとデイドリーミンじゃないですかね…。
 
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売上高・利益は相変わらず増収増益基調にありますが、ついに利益率が大きく下落しました。それでも水を売っているような利益率ではありますが。
さて、その原因としては人件費が大きく増加したことが挙げられます。23/3期では社員が1081人だったのが、24/3期には1,810人と1年で2倍近い数字にふくれあがっています。ネット界隈でもここに転職した人とかチラホラいましたよね。
 
さて、人が増えたからには売上を伸ばさねばなりません。もちろん人を増やしたからといって急に売上に化けるわけではありませんので、現に利益率は下がっているわけですが、売上を探す先のブルーオーシャンとしては年配層、それから海外なんかがパッと思いつくところでしょうか。
このうち年配層に対して、アプローチの方法として取ったのがベイスターズの買収だと思うんですよね。いや、案外春田さんの趣味かもしれませんが…。
楽天ライブドアと同様、これで一気に知名度を上げて、プロ野球カードゲームあたりで金を落とさせる。こんな絵を描いたのかなぁと思ったのですが、実態いかがなもんでしょう。
 
あとは、海外ですね。ライバルであるGREEも同様に海外へと目を向けているのですが、あっちはアサシンクリードとかギャングドミネーションとか、洋物にカブれやがった感じでハリウッドの価値観に媚びてやがります。いい加減外人もあんなのに飽きてると思うんですよ。
そこでモバゲーには和の路線ということで「YAKUZAコレクション」とかどうですかね。これでYAKUZA大好きな欧米人もイチコロですよ。
鉄砲玉を生贄に捧げてSR司忍を強化しよう!みたいな。モゲマスのプロダクションみたいな感じで「組」があるのですが、「組」はオキテが厳しいので抜ける時は指一本落とさないといけません。プレイヤーは指を5本持ってゲームスタートできるのですが、指がなくなったらゲームオーバーとかにすると、組抜けの厳しさみたいなのも欧米人に伝えることができて良いと思います。
 
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言うまでもなく絶好調。コンプガチャ問題にも当然触れられていますが、それ以外に決算説明資料ではRMTの撲滅に力を入れている点をアピールしています。というのも、このRMTの撲滅有無は、コンプガチャ以上にソーシャル運営会社の経営に影響を与えるからですね。
 
そもそも、今のソーシャルゲーのモデルは「金を払って時間を買える」という昔のネトゲのユーザー同士のRMTをマネタイズしたものであるため、ユーザー同士でRMTされたら胴元は困るのです。あくまでアイテムは胴元から買ってもらわねばならんのです。
派遣業界なんかでは「被派遣者がこっそり発注者と直接契約したのが発覚したら今後出禁」みたいな風習がありますが、それと似たようなもんです。
コンプガチャは売上の増加に寄与しますが、RMTの胴元化はこのソーシャルゲーというビジネスモデル自体を構成しています。
RMTがエンジンだとすると、コンプガチャは良質のオイルですね。自主規制でオイルが劣化しましたが、エンジン自体の構造は壊されていないので、この車はもう少し走ることができるんじゃないですかね。
で、「なぜユーザー同士がアイテムをやり取りできないのか」という疑問が湧き上がるのですが、運営会社は「ユーザーにはデータの所有権がなく、貸与されているだけだからである」と説明しています。
ソーシャルのモデル崩壊の本丸は、この苦しい説明をどこまで維持できるかという点にあるのですが、この辺りについては別に運営会社をおちょくった記事を書いているので、良かったらどうぞ。
 
 
【総括】
  • 全体としてはソーシャルのおかげで好調セクター。株価はコンプガチャ規制以来ナイアガラだけど、過度に上がりすぎていただけと考える。このご時世にほとんどの会社が株価右肩上がりになっていて東証インデックスに喧嘩を売っていた。
  • ソフトウェアメーカーは多くがプラットフォームとしてのスマートフォンについて言及してて、ゲーム機とスマートフォンのプラットフォーム対決みたいな構図になっているけど、まず第一弾として今年の下期にゲーム機代表のWiiUが打って出る結果がたのしみ。
  • とはいえスマートフォンはゲーム機として遊ぶにはスペック不足。必然的にロースペックで済む現行のガチャゲームをプッシュしていくしかない。これが電子アイテムの所有権の問題で規制されるとさすがに次の弾がなくて、案外背水の陣じゃないですかね。
  • Caveが迷走しつつある。STG作りましょうSTG(無責任)
  • モバイル端末でゲームをやるのに違和感がなくなって、大手ゲームメーカーまでそれに本腰入れる時代になるのだから世の中わからんものです。一体ゲーム業界の次のムーブメントは何が来るんです…?
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