平和だった天空璋の村に秋装備の射命丸が攻め込んでくるなんて…
今は一体いつなのか。
時計やサザエさんがあるからこそ、今21時であったり日曜日であることがはじめてわかるわけで、もし今いつなのか教えてくれる時報がないと、世界はえらいことになります。月曜日の朝は寝過ごす人々が続出し、街からは待ち合わせの概念が消え去り、一体いつテレビを付けたらメイドインアビスが見れるのかわからなくなるなど、いいことと悪いことが起きます。あれ、むしろいいことのほうが多い気がするな。将来お金持ちになったら世界からすべての時計を壊してまわろう。
そういうわけで、長く生きてくるとだんだん今がいつなのか知りたくもなくなるのですが、東方の新作が出ると「あ~神霊廟が出てからもう6年も経ってるのか~」などとようやく今がいつであるか理解することができ、なんて不毛な人生を過ごしているのだと定期的に心を痛めることができます。
要は新作の東方天空璋の話なんですけど、久々に6面通しのクラシックスタイルの東方という感じで良いです。
地霊殿以降の東方を振り返ってみると、星蓮船はUFOを拾うパターンを作るゲームでしたし、神霊廟はトランスして殴るゲームでしたし、輝針城は正邪の上下反転が変化球過ぎて繰り返し遊ぶのは辛かったですし、紺珠伝はそれこそ変化球オブ変化球でナックルという感じでした。
ここまで変化球続けられると待ちたくなりますよね、ストレート。そこに投じられた天空璋の普通さ、ありがたさしかない。ずっとこのときを待っていた!必ず死なす!!ってなる。外国行って味の濃い飲み物ばかり飲まされて帰国したあとのお~いお茶の美味さというか。
ただ多少問題はあって、自機の季節が春~冬の4種類で、1面~4面が春~冬に対応するステージなので、自機の季節と同じステージのときは背景と季節アイテムが同化して地獄。特に春の季節で3面の春ステージやると、背景も桜色、季節アイテムも桜色、敵弾も桜色になってしまい、東方史上空前絶後の見づらさに。ただ、不思議なことに何回か遊んでると感覚で敵弾見れるようになってくるんですよね。このへん、ゲームシステムがどうこうというより人間の能力の不思議という感じしかない。そりゃ人体の不思議展も毎回大盛況ですわ。
難易度はシリーズの中では低め。システムも複雑じゃないし、後期東方の入門編としては鉄板の位置付けになるかもしれない。季節解放も気軽に使っていける簡易ボムのようなものだし、リソース管理の感覚を掴むのにももってこい。使うものは使い切ってから死にたいですね。大往生するときにいくら貯金があっても仕方ないし、所有資産は限りなく0円に近づけて死ぬのが最適!
STGのリソース管理と言えば、昔、原田勝彦(ゲーモク)という偉い人が『STG鉄の掟』というキリスト教の十戒みたいなのを書き残しているのでご紹介します。
- 適切な難易度を選べ!
- TVから1m以上離れよう!
- 「切り返し」を習得しよう!
- 死ぬ時も弾から目を離すな!
- 弾幕の隙間を見逃すな!
- ボムを抱えたまま死ぬな!
- 自機だけを見ていてはダメだ!
- コンティニューはするな!
- STGは1日1時間!
- 愛すべき強敵を持て!
STGは、基本的にこの十戒にしたがって遊び続けると勝手に上手くなっていくというくらい要点を掴んだ掟です。各掟の細かい解説は『ゲーム・レジスタンス』に書かれているので、気になったら本を買って参照してほしい(本人の性格が出たかなり雑な解説が読めます)のですが、やはりこの中でも「ボムを抱えたまま死ぬな!」は上手くなっていく初期においては重要で、東方は比較的ボムをたくさん拾えるゲームなので、この戒律を守っているだけで案外クリアまでは近かったりします。
天空璋は、STG初心者でもSTG鉄の掟にしたがって遊べば順調に上手くなれるという、久々にリリースされたオーソドックスなクラシック6面スタイルの東方……だと思っていたのです。平和だったこの村に秋装備の彼女が攻め込んでくるまでは……。
季節解放のポイントは、解放中に消した敵弾が季節アイテムに変わり、うまく使えばまた季節ゲージが貯まってすぐに季節解放が可能になるという点にあります。すなわち、低難度のうちは敵弾が多くないのでうまく弾消しをしてもすぐに季節解放を使えるくらいゲージが貯まることはないのですが、難易度をLunaticまで上げると消せる敵弾が画面を埋め尽くすので、普通は自機を殺すために吐き出される敵弾が季節ゲージを貯めるための貴重な餌に様変わり。
そこにバリアを展開しながら突っ込める秋装備を使ってボスの回りをクルッと回るとあら不思議。季節解放を使った直後にまた季節解放を使えるようになるではありませんか。
こんな弾幕とか完全に射命丸の餌。範馬勇次郎も「強くなりたくば喰らえッ!」とか言ってましたし、積極的に季節解放して一番敵弾の濃いところに突っ込んで行きましょう。季節解放で敵三消去→季節ゲージ回復→季節解放で敵弾消去のループに持っていくことができます。射命丸のエグいところは、移動速度が速いので季節解放中に体当たりで消せる敵弾も多いことに加え、ボム発動中にもグレイズできて季節ゲージを貯めれるので、うまく季節解放で敵弾を消せなければボムを使って季節ゲージを貯めてまた季節解放ループに簡単に復帰させられるところにもあります。おまけにボムの無敵時間も長いしね。
秋装備はNormalとかだとわりと使いどころがないクソ装備のように見えるけど、Lunaticだと弾幕を避けるのではなく、弾幕を「喰う」別ゲーとして化けます。消せる敵弾の多い5面とか6面のほうが難易度としてはむしろ楽になっていくまである。
そういう意味では、ちょっとコツを掴めば真面目に弾幕を避けなくともLunaticクリアできちゃったりするので、紅魔郷とかで苦労してLunaticクリアするよりも天空璋で射命丸さんの力を借りてクリアしておくと、楽してルナシューターになれて、キャリアロンダリングできるのでオススメ。万が一「どの東方でLクリアした?」と尋ねられたら「東方に貴賤はない」と明言せずにお茶を濁しておけばよいでしょう。