当たり判定ゼロ

シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

侵略宇宙人は教えてくれる「忙しいゲームは良いゲーム」だと

いい大人なので怒られないことをいいことにゲームばかり遊んでいると、1年に1回くらい感覚的にビビッと来るゲームに出会うこともあるもので、2017年のそれは「X-Morph: Defense」でした。「Crypt of the NecroDancer」とかもそうだけど、ゲームシステムの一発ネタで押し切ってしまう力のあるゲームは震えるよね。

エックスモーフディフェンスは、STGタワーディフェンスを融合させたゲームで、いかにもSFに出てきそうな統合思念体となって地球を侵略していくゲーム。コアみたいな機械を世界各地にブッ挿して星からエネルギーを吸収していくのですが、それを座して眺めているわけもない地球防衛軍が戦車とか戦闘機とかでコアを破壊するために攻めてくるので、防衛タワーを建設したり自機で倒したりしてコアを守るのが大まかな流れ。
 
システムはタワーディフェンスでよくあるタイプのウェーブ制で、基本はウェーブとウェーブの間のブリーフィングタイムでタワーを設置していく感じながら、タワーはウェーブ中にも設置可能。するとウェーブ中の行動は、敵を撃ったり敵弾を避けたりしながら戦況の様子を把握してタワーを強化するなり設置するなりすることになるわけ。わりとフィールドは広いので、画面右から左まで駆けずり回ることになったり。
 
忙しい! 忙しすぎるよ!! 牛丼出しながらオーダー聞いてるすき家のワンオペ店員か!!
ただこのクソ忙しさが心地良い。個人的に「忙しいゲームに外れなし」という雑なポリシーがあるのですが、ここでいう「忙しさ」ってのは画面の忙しさじゃなくて頭の中での忙しさ。例えばCivとか信長の野望とかは画面操作は忙しくなくても、頭の中は仕事でもそれくらい真面目に取り組んでほしいくらい忙しく活動してると思うんだけど、あの手の頭の動作を断続的に要求してくるゲームは遊んでて楽しい。
 
ゲームを遊ぶってのは創造性に満ちた作業でもなく、むしろ要求された仕事をこなしていく受動性に満ちたものだから、実のところ頭使っているかといえばそうではなくて、客観的に見ると機械に脳髄刺激させられている「ザ・ディストピア作業」以外の何物でもないのだけど、原哲夫風に言うと、だがそれが良い。
 
エックスモーフディフェンスの忙しさにもそういうところがあるわけです。仕事が忙しすぎるときとか、気がついたら夜になっていることがあるけど、仕事だと楽しくもなんともないあの時間がすっ飛んでいく感覚がエックスモーフディフェンスだと快楽の時間で満ちているのだから幸せでないわけがない。
 
ステージの合間に統合思念体のボスみたいなやつがミッションの内容を解説してくれたり、ウェーブ中も「コアが攻撃されててヤベェ!」みたいなことを言ってくれる説明係やってくれるんだけど、パンツ被ってる見た目のせいでどうにも迫力が出ない。
宇宙人のくせに英語はペラペラでも、声がこもっているせいで、ボソボソ喋るオタクっぽい感じすらある。あるいはパンツ食べてるからうまく声がでないのかもしれない。
 
こんな見た目だけど、なんだかんだ言って地球のことが好きのようで生態系に詳しく、ロシアステージだと「この地域は『ロシア人』と呼ばれる大型で攻撃的な人間が居住しており~」とか、アメリカステージだと「この地域には『アメリカ人』と呼ばれる獰猛な種族が生息しており~」とか的確な解説をしてくれるのもお茶目。地球オタクなのか。
 
 
ステージクリアするとテクノロジー開発ポイントが与えられて、タワーや自機を強化したりできる。正直、強化してもあんまり強くなった気がしないのだけど、全ステージクリアした後で、序盤のカナダステージとかやり直したりするとかなり強くなってるのがわかるぞ。
それに自機やタワーの強さだけじゃなくて、配置や敵撃破の方法とか、自分自身の上達についてもかなり実感しやすいゲームだと思う。
 
 
タワーディフェンスと言えば、ディズニーランドの入場待機列みたいなの作って「『殺し間』へようこそ…」ってセンゴク明智光秀みたいなこと言いながら遊ぶの最高よね。敵がゾロゾロと自殺への入口を自分で歩いて行くのゾクゾクするでしょ。しかし我々も他人事ではない。生けとし生けるものはすべて絞首台へのグリーンマイルを毎日歩き続けているのだ……みたいな光景ですよ。
 
あと、一般的なタワーディフェンスだと敵を「Z」の字に動くように誘導するのが有効で、当然エックスモーフディフェンスでもそれは常套手段なんだけど、このゲームだと敵を一直線に進むように誘導するのも効果的。
というのも自分で操作できる自機のSTG部分があるので、一直線に並んだ敵をチャージショットで蹴散らすことができてクッソ爽快感があるのだ。 あとは、コアは360度から攻撃されるけど、左方向は防御を厚くして右方向は自分で対処とかもできる。STG要素があることでタワーの配置の妙みたいなのが生まれてるのがいい感じ。
 
 
普通にタワーを建設して敵の進路を制限するだけじゃなくて、建物を破壊することで敵の進路を絞ることもできるんだけど、これ早くから気がついておけばよかった。このゲームはタワーとタワーの間にフェンスを作ることで敵の進路を制限するけど、最低2つからタワーが必要だから結構エネルギー不足に悩みがち。
こういうテクニックに留まらず、エックスモーフディフェンスは破壊のエフェクトの爽快感高いので、破壊マニアにはオススメしたい。
 
クソゲーあるあるに「敵を攻撃してもリアクションが薄くて、ダメージを受けているのかどうかわからん」みたいな話があるけど、破壊とダメージのエフェクトはゲームにおいて極めて重要度高い。現実でビルを爆破すると怒られるのでゲームでやるしかないから、そこがしっかりしてないと大衆は怒りにかられ、一揆に発展し、政権は倒れる。
 
 
ただ、エックスモーフディフェンスに1つだけ欠点があるとすれば、PS4版だけかもしれないけど、ステージクリアしてリザルト画面が出てきたときに「続ける」を押してメニューに戻ろうとするとロード画面のままフリーズするということなんよね。ステージクリアするたびに出てくるのでクッソテンポ悪くなるし、クリアしたことがちゃんとセーブされてるか不安になる。
 
ひょっとするとPS4が悪いのかと思って再起動してみても100%再現したときは泣きそうになったけど、必死こいて毎ステージ再起動を繰り返して進んでいるうちに、ほぼ確実にフリーズ回避できる方法に気がついたので置いておきますね。
 
・リザルト画面が表示されたらボタンを押さずに数十秒放置して、裏の読み込みが終わった感じがしたら「続ける」を押してください。
 
2017年にもなるのにファミコンの裏技みたいなフリーズ回避法だ…。