当たり判定ゼロ

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転ばぬ先のゴミ屋敷

以前、知らない客同士が喋るようなクソ狭いバーで飲む展開に陥った際、ほとんど日本語ができない韓国人の人と我々だけが取り残されるというストレスがマッハな状況に追い込まれたことがありました。
そもそもなんで韓国の人がこんなトコに!?ナンデ?ナンデ?ニンジャアィエエエ!?みたいなことを内心考えてましたが、ともかくも何か喋らねば場が持たず、ストレスが更に加速して胃潰瘍で死ぬこと必定。

「死地に立った時は、前に出てインパクトをずらす方がダメージは少ないのだ!!」的なそれっぽい理論を格闘漫画とかで何度か読んだので、とりあえず英語で適当に話してみたもののまったくコミュニケーション取れず。「あんにょはせよ~」とか言ってみたら笑われる。誰だ「インターネットをやってわかったのは、言葉のわからない異人より、同じ言葉の隣人の方が意志疎通できない」なんて知ったかぶったことを言うバカは!言葉がわかんねぇとさっぱり話が通じねえに決まってるじゃねぇか!と憤慨してみたところでふと気がつく。そういや、我々は外人にイチローや香川の話をしてもらうとすげえ嬉しいじゃないか。それは韓国人でも同じはず…。しかし特徴的な韓国人なんていたかいね…。うむむ。

そして考えに考えた結果が、クデソン具臺晟)。クデソン覚えてますかね?昔オリックスにいたピッチャーなんだけど、ややトルネード気味の特徴的なフォームから投げてくる左ピッチャーなんですけど。当時のオリックス打線がアレで、勝ち星には恵まれませんでしたけど、防御率2位を取ったいいピッチャーでした。
で、クデソンのモノマネしてみたところバカウケ。なんでもクデソンは韓国でもかなり有名なピッチャーだったそうで、今でも韓国人への知名度は高いとのこと。おかげで窮地を凌ぐことができた。ありがとうクデソン!日本に来てくれて!よかった!クデソンのことを忘れないでいて!

まぁこんな感じの「どこで役立つかわからない」みたいな話はままあって、それに成功体験を覚えてしまった人が、「念のため症候群」に陥るのもままあること。「念のため捨てないでいた書類を持っていたから、後から必要となって助かった」みたいな成功体験が汚い引き出しを作るし、不要な家電製品やケーブルなんかを「いつか使う日が来るだろう」と、ずっと置いておくと、結果的にそれが未来のゴミ屋敷を形成する。成功体験ほど人間をがんじがらめにする要素はないわけです。

それならば、バイオハザードのクリスやレオンくらい「どこで役立つかわからない」の成功体験をしていると、事件後、生活の感覚が相当変わるんじゃなかろうか。
どう見ても不燃ごみに出されてるような三角クランクが自分の命を救ってくれたり、ただの石にしか見えない石版のかけらを集めてみると道が切り開かれたりするアメージング体験をしているわけだ。そりゃあ、事件がその後の人生に大きな影響を与えたであろうことは想像に難くない。

新任でラクーンシティ勤務になったという話だったが、町は炎上、その後ふらっと学生時代に住んでいたマンションに帰ってくるレオン。大家も不憫に思い、再びレオンをマンションに住まわせることを認めるも、帰ってきたのはゴミの日にゴミを一切出さなくなったレオンだった。
物を捨てるよう、大家が何度説得しても頑として応じない。バルブハンドルは水門を開けるため必要だと言い、女神像を回すためにメダルは捨てないと言う。電気のヒューズで部屋の一角は埋まっている。あの笑顔が爽やかな学生だったレオンはもういない。レオンは、ラクーンシティから帰ってきて変わってしまったのだ。

かわいそうなレオンを私たちが元に戻してあげなければならない。大家はそう固く決心し、近所のおせっかいなサンディ婦人、婦人の息子であるおっちょこちょいなマーク、生活必需品店「ケリーズ」を営む元警察官のケリー、そして黒人のコングに声をかけ、レオンの更生計画を打ち上げるのだった。
最初はラクーンシティ事件の影響から抜けだせず、全く話に応じなかったレオンも、ときに反発し合い、ときに助け合い、ともに暮らしていく中でいつしか物を捨てることに抵抗を覚えなくなっていく…。

ラクーンシティから生還したレオンの後日談を描くだけではなく、ゴミ屋敷というものは周囲の人の助けのない「孤独」が生み出すものなのだ、という奥深いテーマを含んだハートフルストーリー。これこそが開発中止となりお蔵入りした本当の『バイオハザード3』だったのだ!というウソを考えたのでどうぞ適当に使ってください。