当たり判定ゼロ

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「弾が避けられないなら、画面を回せばいいじゃない」と彼女は言った / Revolver360

「シカクいアタマをマルくする」って日能研のキャッチフレーズがあるじゃないですか。この発想をもっとも必要とするのが、まさしくゲームであるところで、STGにおいても、ただ敵弾を避けるだけではなく敵弾との同化で回避できる斑鳩や、捕まえた敵を放り投げて敵弾を消すトリガーハートエグゼリカのような、弾を避けるという発想からの脱皮を図ったゲームがあります。

今回は「弾が避けられないなら、画面を回せばいいじゃない」という発想をゲームに落とし込んだRevolver360の話をしようと思います。アイディアというのは、それそのものよりもそれを実現する方法の方が重要だったりしますが、Revolver360のアイディアの実現は見事にゲーム性と融和しています。

というか2010年にXbox360インディーズゲームで出てたのに見事にスルーしてしまい、2012年に出たPC版で初めて遊んだんですけどね。今考えればなぜスルーしてしまったのか。やってしまったっ……!さすがのりくぜんもこれには猛省っ……!素直に360版を遊んでおけばよかったですね。面白いです。

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さて、Revolver360。(公式サイト
ゲームのインストールフォルダにあるreadme.txtの説明を借りると、こうあります。

このゲームは避けられそうにない弾幕も視点を回転させる事によって
避けられるようになる、がコンセプトのシューティングゲームです。

「弾が避けられないなら、画面を回せばいいじゃない」と、マリー・アントワネットが実際に言ったかどうかは定かではありませんが、横シューであるRevolver360は、自機を軸にして画面を回転させることができるという特徴的なシステムを持ちます。
画面の回転は何に使うかというと、まず一義的には敵弾を一列にまとめることで回避するという使い方になるのですが、一方で、まとめた敵や敵弾をレーザーでスパっと切り裂くことが可能なわけです。また、画面上下に分散して登場した敵も、画面を回転させれば真ん中に集めてレーザーで一網打尽。Revolver360は、これが最高に気持ちが良いのです。

この回転って機能、文章だとニュアンスがわかんないと思うので、ゲームのHowToPlayから画像を借りるとこんな感じ。

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画像だとスピード感がわかんないと思うので、動画を借りるとこんな感じ。

動画ってのはスピード感が伝わってきて凄いやね!あたしも生まれ変わったら動画職人になってMMDとか作ってモテたい!

ともあれ、思えば、人は「まとめて消す」ということに快感を覚える傾向があります。
おそらくその「まとめて消す」快感を追求してゲームにしたものが、たとえばテトリスであり、ぷよぷよであるわけです。その線から行くと、「世界をまるっと全部無に返す」と主張していたネオエクスデスさんは、快楽に大変素直な方であろうなぁと思いましたが、その危険思想が災いし、みんなの迷惑だからと全体主義者たちによってブチ殺されてしまいました。個人の快楽の追求は、他人の自由とトレードオフの関係である場合が多いのです。

身体の安全を鑑みると、やはりそういう欲求は代償行為としてゲームで求めるべきであり、戦争はやめてCoDRPGをぶっ放すべきであり、レイプはやめてエロゲをやるべきであり、ネオエクスデスさんも世界を消すのはやめてぷよぷよでも遊んでおけば良かったのです。

したがって、一刻も早く愚かな人類を滅ぼしたくて仕方のないあなたは、Revolver360をやって適当に代償行為を求めるのが良いと言えましょう。それこそがあなたと世界をWin-Winの関係にする唯一の方法なのです。

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最近のゲームらしくインターネットランキングに対応していますが、公式サイトのランキングページにデータ連携しているのがいいですね(左がゲーム内ランキングページ、右が公式サイトのスクリーンショット)。
こういうのってtwitterのIDとか入力しておくと、ランキングページからtwitterに自動的にリンクを貼られるメカニズムとかあると、スコアが誰のか特定できてネトヲチが捗るし、プレイヤー側の承認欲求も満たされて良いような気もします。や、技術的な難易度とかさっぱりわからんので、完全な思いつきですが。

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ところで、Revolver360のレーザーは敵弾を消すことができますが、それが連射できては当然ゲームになりませんので、一射すると3秒程度のインターバルが必要となります。わりと敵弾が多く、弾速の速いゲームですので、わずかそれだけの時間で自機は窮地に陥ります。「もうあかん」と思うくらいのタイミングで次のレーザーが射出可能となり、自機は何とか難を逃れます。

ゲームはプレイヤーにストレスをかけ、プレイヤーはそれを解消してカタルシスを得るという繰り返し。これこそがゲームです。どうもRevolver360はそのタイミングが絶妙に設定されており、そのように計算しつくされた悦楽を繰り返し得ていると「あぁ我々は口を開けているだけで餌を与えられる人間牧場に生きているのだ。こうして我々は適度に快楽を与えられ、ご飯を食べ、うんこをして毎日を過ごし、みな死んでいくのだ…」というニヒリズム的な何かが脳を侵食してきて、ルーチンの生活が辛くなり明日会社に行きたくなくなります。それくらい、このゲームにおける3秒のレーザーインターバルは、計算された感のあるタイミングですげえです。ただ付け加えると、Revolver360を遊ぶ前から会社には行きたくなかったことを思い出しました。

年末のC83では続編の「Revolver RE:ACTOR」の体験版が出るとか
最近Caveがちっとも新作出してくれないので、同人界隈がシューターの栄養補給的な点滴となりつつある側面はあります。最近STG分が足りていないと思う人は、同人STGまとめwikiにC83の頒布一覧がありますので、ビビッと来たものを遊んでみましょう。