当たり判定ゼロ

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ケイブがしんどい

何がしんどいかというとお金が無いです。みなさん手元のお金は十分でしょうか。お金がないというのはつらい。とてもつらい。お金というのは幸せの十分条件ではなくとも、必要条件ではありうるのでしょう。少なくともお金が減るということに頭を悩ませる必要がないというのは、とても恵まれた人生であることに違いない。
 
ともあれケイブです。かれこれ7年くらいしんどい状況が続いていますが、最後に調子の良かった平成23年度からの収支状況を並べてみると、以下のとおりとなります。いずれも5月決算で、売上高と最終損益を記載しています。
 

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平成23年度は売上30億円に当期純利益4.3億と好調。同年の決算説明資料には「前期の最終赤字から脱却し、ソーシャルアプリを中心とした事業構造への転換に成功した期。そして、新たな成長のスタートの期」と記載されており、ソーシャルを中心とした成長戦略を宣言しています。
確かに翌平成24年はあのパズドラのリリース年。そこからのソーシャルゲーム市場の拡大はみな知るところであり、市場の狙い自体に誤りはなかったとは思われますが、その選択がケイブの悪夢の始まりでした。
 
従来のSTG偏重から脱却したもののとりたててヒット作を打ち出せず、平成26年度に当社得意ジャンルであるSTGベースのソシャゲ『ドンパッチン』をリリースしたものの、世間のソシャゲが射幸心を美術的価値で煽っていく中、「誰が欲しがるんだ?」としかコメントのしようのない100円菓子のおまけみたいなロボットのキャラクターや、STGなのに敵にダメージを与えるにはキャラの性能がメインでSTG部分は攻撃を行うための作業にしか過ぎないゲームシステムや、ゲームの世界を案内してくれるロボ(いわゆる千川ちひろポジ)に全く可愛げがない等、やや狂気性すら感じる問題だらけの怪作でした。挙句の果てに「ゲーム性や世界観が独特なため継続率とLTVが低い」と決算資料で自虐しだす始末。
 
そんなわけで平成27年度決算まで売上高は毎年減少を続けていくのですが、やがて転換点が訪れます。
平成27年4月に『ゴシックは魔法乙女』をリリース。ケイブは5月決算ですので、平成28年度からフルで業績に寄与することになりました。平成27年度は『ゴ魔乙』リリース前の広告宣伝費が嵩み、当期損益は約7.2億円もの大幅な赤字となっていますが、平成28年度は『ゴ魔乙』の売上で一気に黒字転換。
 
この「先に宣伝投下してユーザー集めてあとからガッツリ回収する」というもはや伝統ともなったソシャゲのビジネスモデルですが、平成28年度まで切り取ってみれば、ここでV字回復を果たしたように見えます。ケイブの苦しかった時代も『ゴ魔乙』のヒットで終わりを迎えたのか。
 
しかし、平成29年度には『ゴ魔乙』も失速。そしてその流れが現在まで続く、というのがケイブが歩んできたこの数年の大まかな流れです。
 
いやー赤字ばかりですね。かつてのケイブは優良企業で、波はあれど基本的に2~3億円程度の営業利益を稼ぐくらいの企業、という目安がありました。「ソーシャルアプリを中心とした事業構造への転換に成功した期」という宣言から7年。もはや昔年の収益力は見る影もなく、今のところこのソシャゲレッドオーシャンにおいて完全に『負け組』となってしまった企業と言えましょう。
 
本題はここからです。
 
ほぼ7期連続で赤字基調、それも売上20億程度の規模の企業が、単年で7億円以上もの赤字を出したりしているわけです。
売上20億で現預金45億持っている日本ファルコムでもあるまいし、普通の企業であるならば、ここで一つの疑問が湧くはずです。
 
「何故お前はまだ生きてるのだ…?」
 
こういう漫画の敵役みたいなセリフ、一回は吐いてみたいですね。
 
結論から言うと、それはキャッシュフローを見て分析するのが一番です。決算の記事など見ていると「利益○億円!」のような数字が踊りますが、キャッシュフローというのは利益と同じくらい、ときには利益よりも遥かに重要な指標となります。上場企業の決算資料にはキャッシュフロー計算書がついていますので、ぜひ見てみてください。
以下、キャッシュフローを「CF」と略します。
 
簡単に説明すると、企業のCFは、企業が商売で稼ぐ「営業CF」、固定資産に投下する「投資CF」、資金調達や借入返済を現す「財務CF」の3つから構成されます。
そのうち、「営業CF」と「投資CF」を合計したものを「フリーCF」と言います。「フリーCF」を見ると、その企業にお金が足りているのか足りていないのかがすぐに理解できます。
 
例えば、事業が黒字で営業CFが1億円あるけれど、ソフトウェアの開発のために投資CFが▲5億円かかったとします。このとき、この企業のフリーCFは▲4億円となりますので、4億円銀行から借りてきて財務CFを+4億円とすると、前期からの現預金の変動が0円となります。銀行から借りて来なかったとすると、フリーCFが▲4億円で、財務CFが±0円なので、前期から現預金が4億円減少するわけですね。
なので、利益が上がっていても現金が足りなくなるということがあり得るわけです。
 
式にするとこんな感じです。
 
 前期末現預金+フリーCF+財務CF=今期末現預金
 
それを踏まえてケイブの数字を見ていくとどうでしょうか。
 

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黄色が現預金残高となりますので、ご確認ください。前期末の現預金(黄色)にフリーCF(青色)と財務CF(赤色)を足すと、今期末の現預金になる流れがわかるのではないでしょうか。黄色の現預金が0になると死にます。実際には0円になる前に資金繰りがつかなくなって支払いができなくなることはわかりますので、その時点で倒産や民事再生になるわけですが。
 
ケイブというのは、元々毎期安定した利益を計上する優良企業でしたので、平成23年度末の時点で現預金が12.3億円もあります。それが、平成24年度以降の赤字であれよあれよと減少し、平成26年度末には5.5億円にまでなります。
 
ポイントはそこからで、平成27年度以降のフリーCFを見てみると、平成27年度は▲7.2億円、平成28年度は僅かにプラスとなったものの、平成29年度は▲3.2億円、平成30年度は▲2.7億円と、本業での資金流出が続いています。
 
しかし、赤色バーが示す財務CFで、平成27年度は+4.5億円、平成28年度はほぼプラマイゼロ、平成29年度は+3.5億円、平成30年度は5.1億円と資金調達をしているからこそ、本業での資金流出が続いても現預金がプラスのまま資金繰りをつけることができています。この資金がなかったと思うとゾッとしますね。
 
キャッシュは企業の血液に例えられる事が多いのですが、ケイブの場合でいうと平成26年度末でほぼ現金が枯渇し、さらに出血は止まらないものの、外部からの輸血を続けることで何とか生きながらえているという状態です。
 
誰? 平成26年からケイブに13億円も資金出してくれたのは誰?
 
実はケイブ平成27年度以降、新株予約権による第三者割当増資をやりまくっており、平成27年度は大和証券、平成29年度も大和証券、平成30年度は株式会社フォーサイドとSAMURAI&J PARTNERS株式会社に株を買ってもらっています。
端的に言えば、商売でいくら資金流出しようが、株券刷って誰かに売りつければ資金繰りという観点からは回ってしまうわけですね。
 
こういう会社は世の中に腐るほどあって、フリーCFが足りない分、銀行から金を借りて財務CFで補えば回ってしまうので赤字でも潰れないけど、借金が膨れ上がっていっていずれどん詰まりになってしまう構造を抱えています。
事業再生スキームだと、「数年後までの出血量を見積もってファイナンスし、その猶予期間にフリーCFの出血がなくなるように事業を立て直す」というプランを立てることがありますが、そのとき、2つの問題を解決しなければなりません。
出血を止める方法を探すことと、出血が止まるまでのスポンサーを探すことです。ケイブの場合どうでしょうね。
 
つらいのが、調達した資金を広告宣伝費として既に使ってしまっている点。攻めの経営判断だったといえばそれまでなのですが、つまり、既に失敗した事業のために金は使ってしまっているので、これからの事業を立て直すための金が別途必要なことですね。ゲームを売らなければ金が入ってこないのに、ゲームを作るための金がない。服を買いに行くための服がない!
 
ならば誰か服を買いに行くための服を貸してくれないかと次なるスポンサーを探す必要があるわけですが、平成30年5月にフォーサイド社等の第三者割当増資の引受を発表した資料には「本第三者割当増資を選択した理由」としてこうあります。
 
「間接金融(銀行借入及び社債)による資金調達は、当社の事業内容が、スマートフォンネイティブゲームという多数の競合他社が存在する市場であり、開発費や広告宣伝への先行投資資金を確実に回収できるかどうか不明確な状況であることから、事実上調達が困難な状況にあります」
平たく言えば、銀行も投資家も金貸してくれる状態にないですわ、ということですね。なお、他の直接金融手法にしても、必要金額が確実に集まるか不透明なので、「確実にいくら出してくれるか」わかる第三者割当にした、という説明でした。銀行も金貸してくれないし、公募しても集まるかわかんないから、知り合いに頼んで金出してもらいましたわ、みたいな話。
 
ここでキャッシュフローの算式について思い出してみると
 
 前期末現預金+フリーCF+財務CF=今期末現預金
 
ということでしたね。フリーCFのマイナスが大きい限り、外部からの資金調達を続けなければ結局はいつかお金が足りなくなってしまいます。
助かる方法は2つ。売上を増やすかコストカットによってフリーCFの出血を止める。出血が止まらないなら輸血してくれるスポンサーを探す。このいずれかです。
 
決算時点である平成30年5月末の現預金は6.0億円ですが、平成31年第1四半期である8月末時点では3.4億円減少して残りは2.6億円となっています。あまり時間もありません。
 
まぁここでこんなことを書いても何も解決しないし仕方のないことなのですが、弾幕食べてケイブカルチャーで育ってきた自分としては、STG史で一時代を築いたケイブがしんどい感じになってるのは悲しみがあります。ケイブの場合のフェータルなダメージは、多額の広告宣伝費によるものが大きいと思われますし、もはやこの程度の規模の企業がレッドオーシャンなソシャゲ市場で広告宣伝まで自社で丸抱えして戦うのは苦しい時代に入ってきたんでしょうかね。大企業と組むか、ニッチマーケットを極小コストで狙いに行くしかないのかもしれない。ホームランを狙うにはあまりにもリスクが高くなってしまった。
 
とはいえ、輸血で生きてる状態だけど、何も終わったわけじゃない。
ケイブおじいちゃん早く良くなってこれからも長生きしてね。

まるで男湯のサウナみたいなSTG!鋼鉄のヴァンパイア!

レベルアップしたときにプレイヤーが任意で能力成長させられるタイプのゲームってありますよね。最近だとソウルシリーズがパッと思いつきますし、ネトゲでもラグナロクオンラインなどたくさんあります。『ラグナロクバトルオフライン』も良かったねー。
 
ところが、この手の成長ゲーって大体特定のステータス極振りが最適解になるところがあって、バランス型というのは大体弱くなる傾向があります。UOでも、それぞれのスキル70%くらいまで育てたバランスキャラより7つGM作ったキャラのほうが強かった。魔法剣士が脳筋ゴリラに勝つのは難しい。スペシャリストはゼネラリストを上回るというのはゲームの世界の法則みたいなところあるのでしょう。
 
このとき、攻撃と防御という観点から成長をどのように特化させていくのかというと「攻撃>防御」という優先度でいくことになるでしょう。
任意の成長タイプキャラの対戦ゲーである『ドカポン3・2・1』をとってみても、防御特化型のナイトは攻撃特化のウォリアーと魔法特化のマジシャンに蹂躙されるだけでした。「殺られる前に殺れ」これもまたゲームの世界の法則なのです。
 
ただ、その『ドカポン3・2・1』もマジシャンのマップ兵器というバランスブレイカーを除けば、「お互いアホみたいに高い攻撃力」という一点をもって極端なところでバランス取れてて面白かったですよね。格ゲーの北斗が全キャラが永久コンボを持っているという異常なところでお互いのバランスが取れていたように、一見バランスが壊れているように見える極端なゲームも、極端なところでお互いのバランスが取れてしまい成り立つことがあります。
 
 
なんでそんなわけわからん話をしたかというと、今日はそういう極端なバランスで突っ切っているSTGの話をしたいからですね。
 

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鋼鉄のヴァンパイア』は同人サークルあきら小屋がリリースした硬派三部作STGの二作目。メディア版がC93で頒布されていましたが、このたびSteamで配信が開始されました。わざわざビッグサイトまで行かずに同人STG遊べるようになったとか本当いい時代になったよなぁケンシロウ
 
ところで二作目だそうです。
硬派三部作一作目の『機械種子』からシステムの大部分は持ってきていますが、シナリオと主人公の設定とライフが1になると発動する「YAMATO SOUL」以外は、見た目に反して意外とクラシックなSTGだった前作から一転、前作のイカれた部分を引き継ぎつつ、敵弾の速さを5倍くらい、自機と敵の大きさを8倍くらい、密着したときの攻撃力を体感10倍くらい、敵を撃破したときの爆発感を100倍くらいにして、ゲームシステムそのものをえらい極端なゲームに仕上げてきたのが『鋼鉄のヴァンパイア』という感じです。とにかく近い!デカい!男臭い!!
 
前作の主人公桃山吹雪少尉は、身の丈十尺のヒグマを徒手空拳にて昏倒せしめるとかいう「なにそれSTGにその設定いる?」とまで言いたくなるようなワケのわからん人物で、自機のバリアがすべて剥がれたときに常人ならば振動で操作不可能になる代わりにエネルギー供給250%になる「YAMATO SOUL」を制御できるというシステムへの説得力を与えていました。
そして『鋼鉄のヴァンパイア』の主人公桜島吉乃も、ヒマラヤとカラコルム2に冬季無酸素単独登頂を成し遂げ、山頂でバトルロボ8体を破壊した男!通常であれば「STGにその設定いる?」と素直に思ってしまうところでしょう。しかし、このバックグラウンドこそが単機で敵群に突入し、密着攻撃を主として戦うバトルスタイルに説得力を与えるのだ!それにSTGの設定というのは元来無駄に壮大なものなのだ!
 

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そう、桜島吉乃のバトルスタイルは「近接密着」。
『鋼鉄のヴァンパイア』の自機はデカい!敵機はさらにデカい!これだけ自機も敵機もデカくて画面が埋まっていると弾を避けるスペースがないじゃねぇかと思えますが、基本的には敵弾を打たせる前に殺していくのが基本的な進め方になります。
 
わかりやすく言うと「殺られる前に殺れ」。このコンセプトを実現するために実装したシステムが、敵に近づけば近づくほど自機の攻撃力が高くなるようになるというもの。一般的なSTGのように画面の下の方にいると敵を撃破するスピードが著しく落ちるので、画面の下に下がれば下がるほど逆に危なくなるという具合です。なので、基本的に自機を画面上部に置き続けながらゲームを進めることになります。
 
とすると敵に接触する事故死みたいなのが増えると思うじゃないですか。『鋼鉄のヴァンパイア』でかなり思い切った部分がこの部分で、敵に接触しても被弾になりません。敵には近ければ近いほど良く、殺しそこねたら殺されてしまうことを考えると、もはや敵に接触しながら撃破していくのが最適解みたいなことになるんですよね。
 
肌と肌が触れ合うような敵との距離でぶつかる錆と錆!エンジンのむせ返る臭いが蒸気のようだ…!まるで混雑している男湯のサウナ…!
本当にこれはSTGを遊んでいるのか…。
 

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チュートリアルでも丁寧に説明してくれるんですけど、「本作の敵弾は非常に速く、人類の能力では見て避けるのは困難です。撃たれる前に倒すことを心がけましょう。」だそうです。親切に教えてくださってありがとうございます。
 
極端に振り切ったゲームというのが多数あるのが同人ゲームの良いところで、かつて人類史上最速の敵弾速度を作っちゃった『AuroraBlast2』というゲームでは、秒速2620pxという「もはや見えない」みたいなレベルでしたけど、そこまでいかずとも『鋼鉄のヴァンパイア』の敵弾も相当に速く、また弾幕が「圧」のある量になって押し潰されてしまうので、回避を前提としたプレイングはできません。
なので原則は「殺られる前に殺れ」なんですけど、とはいえ敵も結構な数が出てくるので完全に殺しきり続けるというわけにはいかず、割合被弾の多いゲームです。
実はそこでまた近接有利のゲームバランスが出てくるんですよね。
 
本作はライフ制で、画面の左で「SHIELD 3/3」って書いてるやつがそうなんですけど、このライフは徐々に自動回復しますし、また敵を倒すとライフのかけらのようなものを落とすので、拾うと回復します。んで、このライフのかけらは敵を倒したときの距離が敵に近ければ近いほどたくさんドロップするんですよね。要は、ブラッドボーンで実装されていた積極的に攻撃を仕掛けていく回復メリットみたいなのをつけているわけです。
 
なので、『ドカポン3・2・1』や『北斗』のような「お互いアホみたいな攻撃力」を持ちながらも、STGである『鋼鉄のヴァンパイア』では敵のほうが圧倒的に多いので、その代りに自機の回復能力の高さをもってして、結果的にバランスが取れてしまっています。遠慮なく敵に抱きつくように接近して弾幕を浴びせていけ!ミスったら更に接近して倒して回復しろ!
 

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あと『鋼鉄のヴァンパイア』はランク制を採用していて、結構派手にスコアと敵弾の数に跳ねてくるんですけど、これが自分で自由に上げ下げできたりするのも結構好きなポイントです。画面に出ている赤く光るアイテムを取るとランクが5上がって、緑色に光るアイテムを取るとランクが1下がります。つまり、緑ばかり取ってると結構簡単にクリアできちゃったりするんですね。そういう意味ではユーザーの間口の広いゲームです。
 
しかし!しかしだ。
「赤色取ったらスコア倍率が上がるけど難しくなるよ。別に取らんでもええけど」なんて言われたら取らざるを得ないじゃないですか!
赤取り続けてアホみたいにレベル上げて山ほど迫る敵を即撃破して時には倒し損ねて敵弾の雨嵐を喰らいながらボカスカ稼いでンホオ気持ちイィィってなるゲームじゃないですかこれは!
ってたぶん上手い人は最後までそうなんでしょうけど、自分の実力的には序盤で高ランクにしてほどほどに稼いだあと、後半は低ランクにしてクリア狙いに行く感じになります。
 

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ここまで見敵必殺が極端なゲームなのに、いわゆる「覚えゲー」でもなかったりするんですよね。
 
敵の出現位置なんて覚えてなくとも、敵がどこから出てくるか背景なんかで予告があるからスッと頭に入ってくるし、画面に出てきてもすぐに弾を乱射してくるわけじゃないので、敵が弾を撃ってくるということは自分が確殺をミスっているということに他ならないんですよね。頭にくる理不尽みたいなのがなく、とにかく自分に責任を帰結させるのは作りとしてストレスフリーで、見た目に反してなんというか細やかな気遣いみたいな印象も受けます。男で売っている人ほど実のところ繊細な性格だったりするとかそういう感じ。
 
一般的にイメージされる弾幕STGとは、相手側にスポットライトが当たったゲームだと思うのですよ。弾幕を撃つのは自分じゃなくて相手側ですし、「この相手はどのような弾幕を撃ってくるのか」が常にゲームの中心にある。だからこそ、システムからの要請として「相手側の個性をいかに構築するか」に重きが置かれる流れに至ったのかもしれません。
 
一方で『鋼鉄のヴァンパイア』はたとえボスであってもボム撃って相手に密着すれば数秒で即殺できちゃうバランスなので、相手が誰なのかなんてほとんど関係ないし、どこまでも自分本位なゲームだなぁみたいなところがあります。世界で一番強いのは自分だ。自分が一機で世界を救うのだ。そうだ、STGは自分本位で良いのだ。なんかそんなゲーム。
 
そんなゲームなんだけど、今度遊んでみようと思う人がいれば一つだけアドバイスを置いておくので参考にしてください。これを徹底して遊んでいけばそのうちきっとクリアできます。
 
「下がるな危ない。前に出ろ!」
 
 

野球賭博2018 反省会

シーズン開始前の予想はこちら。

予想しっぱなしというのもアレなのでちゃんと落ち穂拾いやっていくぞ。データは基本的にDeltaから拾ってます。
  
1位 埼玉西武ライオンズ(予想順位:4位)
一昨年の岸に続き、牧田・野上と投手の流出が続いて、野手陣の全盛期と投手陣の陣容整備の時期がマッチしなくて残念でしたねくらいの感覚だったけど、信じられないほど打ちまくった。ホークス除き他のチームが年間500得点台なのに、年間792得点とかちょっと数字が違いすぎる。リーグ最多失点なのに、得失点差がリーグ最大のプラスってどういうこっちゃねん。得点数がリーグ2位のホークス並で計算しただけで、得失点差がほぼトントンにまでなる。もう規格外。防御率3.89で最多勝取った多和田とか、防御率5.89で12勝した2001年の近鉄の前川の再来。ともかくもようやく森を捕手で運用できる目処が立ったのが大きい。来年は菊池が抜けるのだろうけど、何とか浅村残留させて打高投低がどこまでいけるのかいっそ試してガッテンしたいくらい。
 
2位 福岡ソフトバンクホークス(予想順位:2位)
強豪チームだけあって実績WARで選手を並べるとリーグ1位になってしまうのだけど、松田内川あたりに衰えが見られたのでガツっとマイナス補正かけて2位くらいかなと思ったらそんなもんでした。とはいえ、内川はダメだったけど、松田は終盤かなり戻してきて驚き。守備もキレがなくなってきたように見えるので、体が重くなってきてるようには思えるのだけど、パワーは健在やね。投手陣はサファテが抜けたとはいえ、リリーフだけ見ても嘉弥真・加治屋・森に加えてたまに石川柊太と、西武から見たら誰か1人でも取れたら抑えに使いたいレベルの投手がズラリいて、リリーフも崩壊せず。結果的には、CSでもこの層の厚さが西武と明暗を分けた。「替えがきく」というのは組織作りにおいて何よりの強みだよな。
 
3位 北海道日本ハムファイターズ(予想順位:5位)
今シーズン一番の驚きは日ハムの3位。大谷が抜けて先発投手のローテで苦労するかなと思ったら、結果的にその投手陣がリーグ2位の防御率のストロングポイントになって3位に。とはいえ、先発陣は上沢がかろうじて抜けた成績を残したくらいで、リリーフが宮西公文の左腕勢を中心に良かったため終盤の強さに繋がった感じ。あとリリーフの中では、西村が球の速さがあって三振が取れるピッチャーなので来季楽しみがあるのでは。逆にトンキンはアメリカ時代の成績から考えると、思ったより三振取れない投手だったので期待からするとちょい微妙でしたね。野手陣では日ハム行って急に四球選べるようになって感動した大田泰示さんが地味にフリースインガーに原点回帰しつつあるのが心配。K/BB悪くて、確実性には欠けるところあるけど、大田さんのいいところはたくさんある。走れるレアードになれると思うので頑張って!
 
4位 オリックスバファローズ(予想順位:3位)
吉田正尚はK/BBが低いのにロングヒッターという確実性と長打力を兼ね備えた選手で、問題は健康面だけというキャプテン翼の三杉くんみたいな選手。1シーズン無事に出場することができたらリーグの勢力図を塗り替えるほどのポテンシャルがあるはずで、現にOPS.956にWAR5.2という極めて高い数字を叩き出しているのだけど、今シーズンは吉田以外の選手が悪すぎた。OPS0.8以上の選手が吉田しかいなくて、2位のロメロで.765と大きく離れる「吉田個人軍」状態。チームが強くて個人軍ならばまだわかるのだけど、Bクラスな上に特定の個人に依存しているというのは辛い。信長の野望で、朝倉宗滴だけがやたら強い朝倉家みたいな感じ。せっかくの吉田が1シーズン健康に過ごせた奇跡のようなシーズンを無駄撃ちしてしまったのは重たい。あと山本由伸がいよいよ出てきたけど、どうしても投手寿命が短くなりがちな中継ぎは早めに卒業させるべきでしょう。
 
5位 千葉ロッテマリーンズ(予想順位:6位)
ボルシンガーが大当たりして、通算打率2割前半だったアジャ井上が突然覚醒して打率.292にHR24本打ってはじめて6位と1ゲーム差の5位だ!というくらいチーム事情は苦しい。悪い意味での想定外が続いた楽天と違い、良い意味での想定外が続いてほぼ同順位というのは伸びしろ的に苦しい。ボルシンガーもムービングボール使いなので奪三振率低めになるとはいえ、奪三振率6.42、Whip1.22は最多勝クラスの投手とは思えない指標で、心もとない。こういうチーム状態であれば、とにかく来季以降の種を作っていくことが重要で、その点平沢を使いまくってるのは間違いではないと思う。平沢も打率だけ見ると.213で頼りないけど、ボールを良く見れるので出塁率は.328と高い。若手選手はフリースインガーが多いけど、20歳でこれだけボール見れるのは立派では。タイプ的には将来鳥谷のようになれるかもしれない。
  
6位 東北楽天ゴールデンイーグルス (予想順位:1位)
1位で予想してたチームが最下位とか一体野球のどこを見てはるんですかという感じ。死にたい。計算外だったのは則本・藤平・茂木・ペゲーロとか色々いるけど、高卒2年目の藤平に過度な期待をかけたのはそもそも無理があった。藤平は、5月くらいだったかな、西武打線にボコられてから歯車が狂ったよね。投げてるボール自体は良いので、そのうち伸びてくるとは思う。松井裕樹も春先絶不調でびっくりするほど打たれるし、則本も1年通してパッとしなかった。とはいえ、指標的には2人ともそう大崩れしているわけではないので、悪いツモを揃って引いてしまったアンラッキーな年だったのかもしれない。打線は元々リーグ下位の構成だったけど、得点源の茂木ペゲーロが揃って不調でウィーラーまで故障してはどうしようもなかった。ペゲーロもそもそも三振率3割の打者なので、コンタクト能力に欠けるのは明白で、いつ成績落としても不思議はない感じだったよね。
 
 
1位 広島東洋カープ(予想順位:1位)
単純に実績WARで並べるとリーグで飛び抜けてるし、故障もなく実績通り選手たちが力を発揮できれば、他球団でとんでもない新星がゴロゴロ出てくる異常事態にでもならない限りまぁ1位というそれくらいセリーグの中では戦力が違った。それでも一昨年も今年も日本シリーズで勝てないのだから、セとパの壁の厚さを感じさせるベンチマークになってしまったのは悲しい。表見上の数字だと丸と鈴木誠也が飛び抜けてて、確かにこの2人がチームを背負っている打者なのは事実なのだけど、他チームとのアドバンテージという面で言えば地味に捕手の會澤の存在が大きい。ヤクルトの中村や巨人の小林と比べて相対的に打てる捕手すぎる。捕手と遊撃手に優位性を持つチームは強い。會澤もいるし、坂倉もいるし、その下には中村もいる構成見ると当分安泰っぽいけど、さすがに1枚余るんで中村に目処が立てば坂倉コンバートなのかなぁ。でも坂倉本当に凄いよ。
  
2位 東京ヤクルトスワローズ(予想順位:4位)
去年は故障者が多かったり、原樹理とブキャナンがそれなりにまとまったピッチングしても何故か負けたりと、あまりにも噛みあわせが悪すぎた点が多すぎたし、青木の復帰など上積み要素が多くて、順位を上げる余地はあった。それにしても上に行くときのヤクルトは野手陣の好調にあわせてリリーフも結果残すことが多いけど、リリーフの場合はどうしても勤続疲労が付いて回るのでそれを複数年維持するのは難しい。ましてや同じくリリーフの強力な阪神と違い、ヤクルトは枚数が少ない。今季は近藤石山がともに70試合以上投げて成績も安定していたことが順位を上げた要因だと思うけど、来季両名に70試合投げて同じ結果を期待するのは少し酷かもしれない。とすれば、補強やら何やらでケアしてはじめて今季とイーブンの戦力と言えるだろうし、今季の2位は来季に1位が狙える2位というよりも、これが最大限の順位だというようにも見える。
  
3位 読売ジャイアンツ(予想順位:2位)
岡本が覚醒して21歳で3割30本打ってもなお3位だったのは、リリーフが弱くて、大差勝ちと接戦負けを繰り返したことが要因。防御率がリーグ1位とはいえ、菅野山口俊メルセデスの3人で年間1200イニングのうち40%弱をカバーした結果で、特定のスタッフの無理稼働で成し遂げた実績みたいなもの。最優秀防御率で200イニング投げる菅野が故障した瞬間にリーグ最下位の防御率に落ちても不思議はない。リリーフ陣の整備で、負担の分散を図ることは急務だろう。野手陣では前評判どおり吉川尚輝の守備が群を抜いていた。2軍で守備が評判になるほどというのはやはり相当のレベルやったんやね。UZR/1200で見ても菊池山田を上回るし、故障なくフル出場できれば相当な貢献度になりそう。意外にパンチ力もあるし、あとはフリースインガーから脱却できれば、巨人はようやく素晴らしい二塁手を手にして、仁志の呪いから解放されるのでは。
  
4位 横浜DeNAベイスターズ(予想順位:3位)
投手陣ではルーキーの東が防御率リーグ2位でフルシーズン働いてくれて、打線を見ると春先期待外れかと思わせたソトがホームラン王を取るなど、予想外の戦力が活躍したことで昨シーズンの3位から上積みがある……と思いきや順位落とすのがすごいよね。計算外だったのは今永。本来2桁計算したい投手が、防御率6.80で84イニング食ってしまったのは本当に痛い。ボールが悪くなったのかと思えば、奪三振率が8.50あったりとよくわからない。とにかく運が悪かったということであれば、来季以降の復活も十分ありえるけど。打線はソトロペス筒香宮崎とリーグトップクラスの打者が並ぶ一方で、それ以外の打者との差が激しい。「ベイスの弱点は二遊間で、これを改善しない限り3位より上の順位に行くことはない」とずっと言い続けているけど、言い換えれば弱点は明確なので上手い補強ができればヒョイと上に行く余地のあるチームではあるはず。
  
5位 中日ドラゴンズ (予想順位:6位)
ビシエドは高いコンタクト能力と長打力を兼ね備えた素晴らしい打者なので2割半ば程度の打率だったのが不思議なくらいだったけど、実力的には3割打つほうがむしろ自然。だからといって.348で首位打者取るのは出来すぎなくらいあったけど、そのビシエドが出来すぎたおかげで何とか5位に滑り込むことができた。相変わらず若手には広島の鈴木誠也、ヤクルトの山田哲人、巨人の岡本和真のようにリーグを代表できるような選手はおらず、相対的に苦しい。目立ったプロスペクトもいない現状では、根尾が将来中核を担うようになるまでは重たい時代が続きそう。松坂はここに来て6勝したのは素直にすごいけど、制球が定まっておらずWhipは1.48とボロボロで、来季以降は期待しないほうがいい。摂津や館山を見ても、年取ってくると案外球速よりもコントロールに衰えが来るよね。
  
6位 阪神タイガース(予想順位:5位)
打線が糸井福留以外小兵だらけで、ロサリオもさっぱりで得点力がないのはある程度予想がついてたけど、リーグ屈指のリリーフ陣があれば最下位は避けられると思いきや、そのリリーフ陣も崩壊……というレベルではないけど、リーグ標準程度の出来に落ち着いて、ストロングポイントとはなりえなかった。マテオの不調も大きかったけど、今季は石崎じゃないかなぁ。石崎が故障せずに回っていれば総失点も減らせただろうし、桑原ドリス藤川の負担も減らせたはず。本当に痺れる真っ直ぐ投げるんよね、石崎。あとドラ1の馬場はもう少し見てみたかった。2軍でもイニング数以上の三振が取れてるし、来季はローテで回れる可能性十分ある。しかし、返す返すも阪神の課題は長打力のある打者で、その点ではドラフトで藤原を狙いに行ったのは悪くなかったけど、結局クジ外して近本じゃタイプ的に何の解決にもならんような気がするのよね。
 
 
2018年のシーズンを総括すると、パリーグは1番から8番までオールスター級の打者を揃えて歴史に残る攻撃力を誇った西武が(CSで破れたとはいえ)常勝ホークスを抑えたのと、セリーグは戦前の一番人気カープの野手陣が実力どおり高い能力を発揮してブッちぎったシーズンでした。それぞれ優勝した西武は菊池浅村、カープは丸の流出が見込まれ、来季は久々に混迷極める面白いシーズンになりそうな感じがありますね。
 
あとおもしろ画像集めでもかなり収穫のあるシーズンになりそう。
 

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就任数日で、宮國に「なにやってんのコイツ…」みたいな顔されてる画像生産してて本当すごいなと思いました。

最適な打順の組み方をハチナイで考える

「2番最強打者説」
セイバーメトリクスを少しでも齧ったことのある人なら一度は聞いたフレーズだと思います。小技に長けた、いわゆる「嫌らしい打者」を2番に置くべしとする従来の考え方と違って、2番打者は高い確率で出塁したり、出塁した1番打者を自分で返すことのできる強打者が最適とする考え方です。この場合、バントは相手に無駄にアウトを与える手段として採用されません。
 
MLBではこの考え方が徐々に浸透しつつあり、全チーム平均のOPSを打順別で取ると、最も強力な打者は3番、次に強力な打者は4番、その次に強力な打者は2番に置かれているそうです。ヤンキースが2番にジャッジを置いたり、エンゼルスが2番にトラウトを置いたりしだしたことを考えると、2番の平均OPSは今後更に高まることが予想されます。
 
一方、NPBでは日ハムの大田泰示などの僅かな例外を除けば未だに2番に小技を使える選手を置くことに固執する傾向があります。初回の表に先頭打者が出塁したらいきなり2番打者がバントの構えに入ると頭痛くなります。野球ってのはビッグイニング作ればだいたい勝てるのだから、いきなり与えられたビッグイニングのチャンスを自分から潰してどうするんだと。それにバントってのは平均すると成功率8割程度しかないのだから、リターンが少ないわりに、そもそも成功自体がリスキーな作戦なんですよね。だからバントというものは打者が投手などの一部の限られたシチュエーション以外では…(略
 
お前はバントに親でも殺されたのかみたいな話は置いておいて、単純に打線のつながりという意味で見ると、2番最強打者説と従来型のクリーンナップ最強打者説、結局攻撃力としてはどちらが上なんでしょうね。
 
2番強打者型は強打者にたくさん打席が回ってくるので良いような気もするし、クリーンナップ偏重型も強力なクリーンナップまでに2人ランナーを溜めるチャンスがあるというのも一理ある気がする…。一体どっちが効率的なんだ…。わからん…。
 
そんなとき!!役に立つのが!!八月のシンデレラナイン(通称:ハチナイ)であることはもはやお馴染みですね!!みんなも!!遊ぼう!!八月の!!シンデレラナイン!!!
 
現実の野球だと打順を入れ替えた途端選手の調子が変動したりして、正確なデータを取ることができませんし、相手の投手も同じではありませんが、ハチナイ!!ならば!!日付が変わるまで同じ選手は同じ調子で同じ相手に挑むことができるんですね!すごい!!
延々とスタミナ使い続けさせるソシャゲの設定は空虚ではありますが、この手の反復系データを取るときには役に立ちます。
 
そんなわけでやっていきましょう。
 

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今回の主役はこちら。たゆたゆ〜。日本の野球を象徴するような2番でバントをしているシーンの一枚ですね。なお、2番に置くと能力が上がる才能を持っていますが、全然育てていないので考慮外とします。
このたゆたゆと、やはり打撃の悪い阿佐田あおいを起用して、相対的に強打者3人、並打者3人、弱打者3人の打順を組み替えることで得点力を記録していきます。
ちなみにハチナイにはバントがないので純粋な打撃力のみで比較する形となります。
 
具体的にはこの3打線。
 

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従来型のクリーンナップ偏重打線。2番にたゆたゆを置いて3、4、5番に強打者を配しています。最弱打者は8、9番と伝統的な打線の組み方と言えます。
 

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2番に強打者を配した近代型打線。弱打者を下位に固めて2、3、4に強打者を固めた今風の打線。
 

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そして3つ目は下位打線に好打者を分散させたダブルチャンス打線!
 

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ダブルチャンス打線…かつてジャンプで連載していた『Mr.FULLSWING』で描かれた5番に投手を置き、3番4番、8番9番に強打者を置くことでマシンガンのように切れ目なく攻撃できる打線…。思わず「そうか?」と言ってしまいそうな意味不明な説明での羊谷監督のドヤ顔、一生忘れられそうにないです。
せっかくなのでこのダブルチャンス打線についても試合を回してみようと思います。
 

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淡々と回していくぞ…
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淡々と…
 
それぞれの打線で30試合、計90試合回した結果こんな感じ。
 

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ほら、やっぱり2番に小兵は時代遅れやろ…って2番たゆたゆ打線が最多得点じゃねーか!!あれ???
 
2番強打者打線はダブルチャンス打線にすら負ける結果に…。もうちょっとサンプル取ろうかと思ったけど、あまりに差がついて多少の試合数では追いつきそうにないのと、回復アイテムの消費の問題もあり30試合で止めちゃいました。ブルジョワジーの誰かが1000試合くらい回してくれるのを期待したい。
 
ただ、ハチナイって先発が滅多打ちにあって、パワプロで言うところの「ピヨり」状態になっても5回まで無理やり引っ張ろうとするので、初回で打線爆発したら一方的な試合になりがちなんすよ。
2番バント打線は、初回からの打線爆発を何回か引いて5回コールド19得点とかを2度ほどやっているのが平均を引き上げた要因です。
それをハチナイ特有の現象として異常値扱いにして除外すると、平均5.47点になり、他の打線にある程度近い水準に落ち着きます。
 
極端な話でOPSが上位の選手を7、8、9番にしたら1試合平均0.2点くらい落ちるという研究もあるようですが、打順の組み方って「とりあえず打つやつは前の方」レベルの組み方であれば、そう大差ないのかもしれませんね。
そういう意味では、監督の仕事としては打順の組み方よりも「誰を使うか」という調子の見極めのほうが遥かに大きなファクターになるということなのでしょう。ダブルチャンス打線、バカにしてゴメンな…。
 
実際、2番最強打者説がメジャーで流行ってるのを見て、「ほら!やっぱ最強打者は2番に置くべきだし、カープは菊池を下位に下げて2番丸、3番鈴木誠也にしたらもっと強くなれるのに!」と言いたかったので始めたんですけど、結果、2番に弱打者置いたほうが得点力高く出てしまったし、2番強打者論にちっとも裏付けのない結果となってしまい涙目です。144試合走らせればもう少し収束していくんやろか…。
 
ともあれ打順の組み方にあまり意味がないのであれば、次は親の仇ほどに憎んでいる送りバントの無意味さについて試してみたいので、ハチナイは早いこと送りバントの実装をするべきではないかと思いました。次こそドヤ顔の結果出してやるからなー。覚えてろー!

飯島ゆんのようにしか生きられない

みんな〜!熱くなってる〜??
何かやるべきことを見つけて自分の人生ブッこんでる~??
 
まぁそこまで夢中になって入れ込めるものってあるようでないですよね。というかそんなもんあるなら今すぐブラウザの☓ボタンを押してそのやるべきことに戻ろうな。
 
「1万種類の蹴りを1回ずつ練習した男は恐ろしくないが、たった1種類の蹴りを1万回練習した男は恐ろしい」と言ったのはブルース・リーでしたが、ウメハラだって「何かをやるということは、何をやらないか決めることだ」みたいな話をしてた気がします。成功者は大体この手の選択について述べていることから考えると、やはり間違いなくビッグサクセスへの近道はリソースの集中化であることは間違いないのだと思われます。
 
そんなこと言われんでもわかっとるがな、って話なんですけど、実際その原理が理解できているから実行に移せるのかと言われると無理ですよね。
 
楽しいんですよ。「人生のつまみ食い」というやつは。
新しいゲームが発売されればとりあえず遊んでみて、新作アニメはとりあえずいくつか観てみて、人気の映画作品が話題になっていればとりあえず観に行ってみて、神絵師に触発されて少し絵を描いてみたと思えば、機材買ってきてDTM始めたりする。今となっては弾かないギターは部屋の隅に置きっぱなしで、弦は錆びてる。エフェクターの使い方はもはや忘れた。ありがちな話。
 
色々なものに触れるということは悪くなくて、キャプテン翼と出会ったことがセリエAの選手への道に繋がることもあるように、それをキッカケに人生の時間を突っ込む何かに出会えるかもしれない。けど、その発見に至るまでは、なるべく短い時間の方が好ましい。そうこうしているうちに時間だけは刻々と過ぎていくのだから。
 
しかしまぁ、だいたい見つからないですね。人生の他の部分捨ててまでやり込みたい何かというものは。
 
自分がやりたい何かが見つからないということは、自分の背を押す何かがないということ。結果として、気がついたら何にも積極的に取り組めなくなった人間のできあがり。
 「周りの人間はやりたいことを見つけて前に進んでいくのに」という焦燥。かと言って、自分は何をやればよいかわからないし、やる能力もないという絶望。それはやがて諦観に変わり、日常に溶け込んでいくでしょう。
 
これを体現した生き様を我々はある人の人生に見ることができます。
NEW GAME!』の飯島ゆんさんです。
 

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飯島ゆんさんは、三重県出身の21才女性。幼少期を三重県でお過ごしになられたのち、家族とともに上京。現在はゲーム会社にお勤めで、主にゲームに登場するモンスターのモデリングを担当されています。同期に、新たに企画の仕事にも挑戦される有望株の篠田はじめさん、1年後輩には、『PECO』のキャラクターデザインを担当された涼風青葉さんなど、優秀な同僚とともにゲームづくりに取り組まれています。得意なことは家事全般、苦手なことは運動とのことです。
 

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飯島ゆんさんは、面接のシーンで入社の動機を「この会社になんとなく入った私が…」と語ります。まぁ一般的にそんなもんですよね。世に会社は数多あれど、就職活動する前からやりたいことが決まってる人ってどれだけいるんですかね。
やりたいことが決まっていないから、色んな会社を見て、それこそ「業界のつまみ食い」みたいなのをしてから「まぁこの業界ならイヤじゃないかな」くらいで決めれればまだ幸せでしょうし、雇ってくれたところで働かざるを得ないというのもザラでしょう。
ともすれば動機が定められがちな物語において、目的意識や向上心なしにダラダラと働いている飯島ゆんさんこそ、作中最も「人間」らしさを感じさせられる登場人物と言えましょう。
 

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飯島ゆんさんは、キャラデザイナーの立場をかけた社内コンペにも参加しません。先輩デザイナーの八神コウや後輩の涼風青葉が、新人であるにも関わらずコンペでキャラデザインの仕事を勝ち取ったのとは対象的な姿が描かれます。
飯島ゆんさんは「コンペなんて出来レースやろ」と語りますが、その意識の根底には、やりたいことに情熱をかけられる気持ちが欠けています。「なんとなく」入った会社で自分の人生削って勝負に出ないという判断は妥当。早く帰ってゲームをしていたほうがまだマシに決まっています。デザインという仕事は、飯島ゆんさんにとって遊ぶ時間やオシャレにかける時間を割いてまで人生かけるものじゃないのです。だいたい趣味の方が仕事より大事じゃないですか。はよ帰って遊びましょう。他にやらなければならないことはたくさんあるし。
 
しかし、飯島ゆんさんは後輩の涼風青葉のコンペに打ち込む姿を見て、勝負に出なかった自分を恥じ「次は自分も出たい」と語ります。同じルートを辿るという選択肢、このあたりにも他人に流されやすい彼女の主体性のない性格が現れているようです。おそらく後輩がいなければ、次回のコンペも手を上げることはなかったでしょう。
 

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紆余曲折を経て、ようやくみんなで作った『PECO』をリリース。打ち上げの飲み会で「次はどんなゲームが作りたいか」という話題になったとき、同僚の篠田はじめが「私の新しい企画使ってください!」、滝本ひふみが「近未来風の都市が舞台のがいい」と述べる中、飯島ゆんさんはこともあろうに「PECO 2とかやってみたいかな」と発言し、圧倒的なクリエイティビティの欠如を露呈。
この一言に飯島ゆんというキャラクターが体現する絶望が集約されていると言ってもいいでしょう。凡人の創造性なんてこんなものです。「これ多分コンペ出てもあかんやろ…」と、そっと察せられるような、よくこんなエグいセリフ考えたなと心がえぐられるようです。
 
あなたには人生かけてやりたいこと、ありますか?
あったとして、それは涼風青葉のような天才を押しのけて成し遂げることができるようなものですか?
つらい、とてもつらい……。凡人にとっての『NEW GAME!』は飯島ゆんの人生そのものであり、俺が、俺たちが飯島ゆんだ!みたいな話になってしまう……。
 
つまるところ私が言いたいのは、三連休が終わるのがいくら嫌だからと言って、休日に久々に見た美少女アニメのキャラクターに世の中の辛さを投影させるようなダメな大人になってはいけないということくらいですかね。あぁ会社行きたくないねぇ。
 
人生かけてやりたいことが見つからなかった人は、毎日会社に行かなければならない大人になるしかないのだけれど、かと言って会社に行かなかったからと言って人生かけてやりたいことが見つかるわけではない、という円環が人生にはあるんだよな。ゆんかわ。