当たり判定ゼロ

シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

2017年、シューティングが未だ死んではいないことは『BLUE REVOLVER』やればわかる

201X年、ゲームはガチャの炎に包まれた! 

ゲーセンは寂れ、ケイブは撤退し、全てのSTGがリリースを終えたかのように見えた。

だが、STGは死滅していなかった!

「将来ゲーセンから新作STGが消え去るだろうなぁ」と5年前に思い描かれた未来は確かに現実のものとなりましたが、いざ2017年になってみると案外STG環境良くないですか?

今年だけでも、スマホでリリースされた『アカとブルー』はラフに撃っていけるボムで敵弾を金塊に換えるジャラジャラ感が楽しいし、Steamでリリースされた『GrazeCounter』はカスリでゲージ貯めて敵弾消滅ビーム撃てるゲームでゴリゴリ遊んでいけるし、東方天空璋はいよいよSteamに進出したし、PSPlusのフリプではカラドリウスが配信されたりと、ちょっと考えてみただけでも最近えらく街にはSTGが満ちあふれています。

厳密に言うと2016年リリースの作品なんですが、今日は『BLUE REVOLVER』の話をするんですけど、STGには時々人類未来に対して記念碑として残すべき良ステージみたいなのがポンと出てくることがあって、個人的にはギンガフォースの7面とかヘルシンカーの決別の霊廟とかケツイの5面とかは世界文化遺産に指定したほうが良いと思ってるのですけど、ブルーリボルバーの3面もまた世界文化遺産です。

ここにクッソ良ステージが埋まっていることを100年は語り継いでいきたい。私はバーザムさんのBlogで知りましたけど、ブルーリボルバーはもっと広まってほしい感あるゲーム。確かにこれは伝えたくなる出来。

システムが良くても、グラフィックが良くても、音楽が良くてもそれはそれで良いのですが、ゲームは総合芸術なので、それぞれがマッチしたときは1+1+1で300になるんですよね。30倍だぞ!30倍! 東方Projectがこれほどのビッグタイトルになったのも、東方妖々夢幽々子戦で感動した人が多かったというファクターは決して軽んじることはできないものだと思うし、音楽とステージがマッチしたときのインパクトが人の心に与える衝撃は大きい。ブルーリボルバーの3面はそれほどテンション上がるステージ構成なので最高みがあります。

とまぁ、3面の話ばかりしててもしょうがないのでゲームシステムの話をすると、ブルーリボルバーで最初に印象に残ったのは稼ぎの気持ちよさなんですよね。メインショットで雑魚を撃って倍率を8倍まで高めた状態でスペシャルショットで敵を倒すと64倍の得点になってアヘェェってなるんですけど、この感覚、エスプレイドに良く似てるんすよ。エスプレイドはパワーショットで敵を炙ってメインショットで倒すと高得点でしたけど、パワーショットで炙る代わりにブルーリボルバーはザコ敵をメインショットで倒してパワーショットで大型敵を倒す感じになります。

怒首領蜂大往生の稼ぎで苦手だったのが、1ステージ通してコンボを繋がないといけないというやつで、あれは1回ミスったら立て直しが効かないところあるので性格が雑なゴリラには不向きだったんですけど、一方でエスプレイドとかケツイの稼ぎは小さく完結している稼ぎの積み重ねであったり、立て直しが容易だったりしたので、そこまで繊細な動作が要求されずアバウトに遊んでいけるので精神的にめっちゃ楽。ブルーリボルバーの稼ぎもエスプレイドと同じ方向性なのでストレスフリーの設計で、細かい敵の配置とか覚えずに遊んでいけるのが好き。

おまけにスコアで1UPするので、楽しく稼いでいるうちに1UPしてこれまで進めなかったところまで進めるようになったりするオマケもついてくるし、何より遊ぶたびに1UPするタイミングが前倒しになっていくのが腕前の上達を感じさせるゲームデザインになってるの良さしかない。ちょっと稼ぎに慣れてくると、1面ボス撃破で1UPして2面ボス撃破でまた1UPするようになるの、絶妙オブ絶妙。

音楽は最高の「ゲームミュージック」って感じで、オシャレでありながら昔ながらのメロディアスな印象を残すフレーズで、単体のサントラとしても十分最高みがある。というか音楽そのものもすばらなんですけど、ゲームを進めるとアレンジ音楽をアンロックできて、ステージ音楽として差し替えられるという機能がグッド。ソシャゲとかSTGはある種同じ場所をグルグル回るような遊び方をしなければならないので、音楽でアクセントつけるってめっちゃ大事だと思うんですよね。ソシャゲも絶対この機能付けたほうがいい。

ちなみに3面後半の疾走感と音とステージのマッチはアレンジBGMにしても維持されていて、タイミングバッチリで作られている。音楽を差し替えてもやはり3面は最高。

ギャラリー見てるだけでもwoofさんの絵に良さしかなくて、かわいいイラスト見てるだけで時間潰れていく。

なんというか音楽も相まって『高架下でたまに見るスプレーで描かれたやたら上手い二次元絵』みたいな雰囲気のカッコよさを作品全体で統一して持っている印象受けるんすよ。ドット絵シューティングなのに今風のスタイリッシュ感に溢れてるのはwoofイラストによるところが大きい。あと、ギャラリーでファンアートも見れるゲーム珍しいと思うけど、どれもレベル高いし作品の雰囲気にあったものばかりでディ・モールト良い。

元々スコアラーじゃないので、スコア稼ぎってそんな興味なかったんですけど、ブルーリボルバーのスコア稼ぎは前述のとおりかなり気楽に遊んでいける感じあるし、1UPによる安定クリアにも繋がるのでちょっとやってみたら、いわゆる一般的なSTGのアーケードモードに相当するハイパーモードで世界7位までいけました。

上位見ると4位と5位がアホみたいにスコア離れてて、いわゆるスコアガチ勢が4人いるっぽいけど、シューター部残党勢なら世界10位までに入るのは今の水準ならそう難しいレベルではないと思います。今のうちにハイスコアランキングの1ページ目に駆け込んで絶対に自己満足しような!

キャラクターはMAEとVALの2人が使えますが、使いやすい機体はVALの方。スペシャルウェポンのレーザーも、MAEだと太いレーザーの代わりに少し発射までにラグがあるけど、VALだと細い代わりに即発射してくれるメリットが。8コンボまで繋いで大型敵を64倍で倒そうと思ったまさにそのときに、レーザーが即時出てくれるのは稼ぎの安定性に繋がるんすよ。オプションはフォロータイプが強い気がします。オプションが3つついてるからか知らないけど、これだけ攻撃力強い気がするんよ。

ただ、ストーリーはMAEの方が面白いというかVALだと何が何だかわからないと思うので、初回クリアまではMAEを使った方がいいです。

ちなみに使わなかった方はボスとして出てきます。

あと、BREAKボーナスというボス戦とかで特定の条件を満たすとボーナスが入ってくるシステムがあるのですが、チュートリアルでも1面中ボスでBREAKボーナスを取得する実演をしてくれるだけで、特に取得条件の説明とかがないから、取れたり取れなかったりしてわけわかんなくなるところあるので、取得条件を整理しておきました。ちょっと長いけどいつか役に立つかもしれないので置いときます。

【1面】

中ボス:両側の砲台を連続で素早く破壊する

ボス1パターン目:4つのビットをすべて破壊した状態(ビットが復活しているとダメ)でボスのゲージを削りきる

ボス最終パターン:ボスを撃破する前に両翼を破壊する

【2面】

中ボス1:左側の砲台をすべて破壊してから右側のコアを破壊する

中ボス2:かなり後まで撃破せずに攻撃パターンが変わってから撃破する

中ボス3:左右2台と奥行4台で配置されている砲台を左右1ずつ順番に壊してからコアを破壊

ボス1パターン目:開幕でビットの4つのうち1つに当たりマーカーが表示されるので、そのビットを最初に撃破する

ボス2パターン目:4つのビットを全て破壊してからボスのゲージを削りきる

ボス3パターン目:4つのビットを壊しきることなく、先にボスのゲージを削りきる

【3面】

中ボス:4つの砲台を壊してから本体を撃破する

後半道中:80%以上の敵を撃破する

ボス1パターン目:両側の砲台を壊してからボスのゲージを削りきる

ボス3パターン目:青いリング状の弾幕を撃ってくるタイミングでボスのゲージを削りきる

ボス4パターン目:両脇から出てくる赤いビットを破壊せずにボスのゲージを削りきる

ボス最終パターン:突進攻撃中にボスを撃破する

【4面】

中ボス:4つのビットを壊してからに本体を撃破する

ボス2パターン目:ある程度時間が経つと音がなるので、その後にボスのゲージを削りきる

ボス3パターン目:両腕を広げているタイミングでボスのゲージを削りきる

ボス4パターン目:砲台を1つも壊さないでボスのゲージを削りきる

ボス最終パターン:ショットではなく制限時間までの避け続ける耐久でボスを撃破する

【5面】

中ボス2:ボスの砲台を左から順番に破壊する

中ボス3:両側の砲台を連続で素早く破壊する

ラスボス3パターン目:球を吐き出す大型の球体は自機に向かって飛んでくるが、ボスに当たるとダメージが通るので、それを誘導して当てることでボスのゲージを削りきる

ラスボス4パターン目:球を吐き出す球体を破壊して、次弾装填中にボスのゲージを削りきる

ラスボス4パターン目:矢印型の炸裂弾を打つ攻撃中にボスのゲージを削りきる

ラスボス最終パターン:スペシャルショットでボスを撃破する

未来はどうなることかと思ったけど、2017年、全然STG死んでないじゃないですかー。

少なくともゲーセンでSTGを遊ぶのはせいぜい昔のゲームくらいなものかもしれないですけど、同人ゲーからもアスタブリードがPS4に移植されたり、SteamやPlayismによってこれまで秋葉原に行かないと手に入らなかった同人産ゲームをダウンロードして遊べるようになって、STGへのアクセス自体はすごく楽になった気がする。

まぁ本作はアメリカ産のゲームなんですけど、今の文化でブラッシュアップされた2Dシューティングがアメリカから出てくることはとても心強いことだし、『BLUE REVOLVER』をやるとSTGがまだ死んでいないということを確信できるぞ。

野球賭博2017 反省会

シーズン開始前の予想はこちら。そろそろ12連単あてて配当ほしいです。 データは殆どDELTAヌルデータから。いつもありがとうございます。また、ヌルデータにおかれましては10年間の更新おつかれさまでした(2017/11/8閉鎖予定とのこと)。日本にセイバーメトリクスを普及させるのに大いに貢献された歴史的意義のあったサイトではないかと思います。

パ・リーグ

1位 福岡ソフトバンクホークス(予想順位:1位)
今年もやっぱり強かったのだけど、完全に守備のチーム。千賀、東浜、バンデン、和田、武田、石川と枚数が揃っている投手陣に比べ、柳田頼りになっている野手陣にリスクがあって、実にチームRCWIN7.22のうち柳田一人で5.37を稼いでいる偏りっぷり。その柳田も守備指標が悪く、年々WARが落ちていっているあたりに一抹の不安が。あと、田中ジャスティスがどれだけ使い物になるかが特に重要になってくるのかもしれないけど、近年素材型の指名が多かっただけに「チームの強さは5年前のドラフトに依存する」という言葉もあるように、彼らが花開くことがなければ、2,3年もしたときに今がチームのピークだったと思い出すことがあるかもしれない。

2位 埼玉西武ライオンズ(予想順位:3位)
毎年森を捕手で使ってくれることを夢見て上位候補に上げ続けてきたけど、結局キャッチャー森なしで2位まで来ちゃいました。銀仁朗が2割5分も打つというのは槍が降ってくる事態だし、山川は出塁率4割超のOPS1.081とアホみたいに打つし、秋山も長打マンになってるしと全てが良い方向に歯車が回った結果だと思うけど、何よりも源田の加入が大きい。打撃は人並みくらいに打ってくれれば十分で、守備のUZR21.5はとてつもない数字。WARでも打撃でマイナスを計上しながら4.8と全選手中9位の数字を計上するなど、突如ショートに日本一の守備の選手が入ってきたらそりゃ強くなるわとしか。アマの守備指標って見れないから、こういう選手取るの本当に難しいよね。スカウトいい仕事した。

3位 東北楽天ゴールデンイーグルス(予想順位:4位)
岸の補強分が適切に上乗せされて日ハムが落ちた分順位を載せた感じで、全体的に持てる戦力が順当に働いた結果か。則本・岸の2枚看板は当面リーグでも優位性の確保に貢献するだろうけど、高卒1年目の藤平のスタッツヤバくないですか? 防御率2.28は結果論だからいいとしても、奪三振率9.14は先発投手として素晴らしさしかない水準だし、K/BBも2.93とコントロール面にも不安なし。WHIPも1.04とランナーを出す機会も少ない。これが2回や3回の先発機会ならまだしも、8回も先発しての成績だから言うことなしでしょ。藤平が来期以降この成績でローテを回るならば、美馬や安楽もいる投手陣はリーグ屈指。外国人枠を野手に使える強みもあるし、チームとしての伸びしろは大きい。

4位 オリックスバファローズ(予想順位:6位)
借金16でフィニッシュと別に強くもなかったんだけど、日ハムとロッテがそれ以上に滑ったからこの位置という往年の柴田善臣を彷彿とさせる流れこむようなゴール。今シーズンのパ・リーグはAクラスとBクラスの差が激しかったね。金子千尋は12勝で防御率3.47という成績を残したものの、奪三振率が6.88とキャリア通算の7.79から見ても大きく落ち込んでおり、やはり衰えていると思う。野手陣ではシーズン中の5月に補強したマレーロが大当たり。OPS.925と打ちまくった。四球も選べる打者だし、今年のペゲーロパターンで来年も活躍ありそう。マレーロは今年29歳で、やっぱり野手は20代後半がピーク説がますます強くなるし、補強するなら3Aで無双している20代後半がベストという感ある。

5位 北海道日本ハムファイターズ(予想順位:2位)
去年リーグ1位のWARを記録した大谷が出てこないマイナスは計算上当然大きいのだけど、まさかここまで出てこないとは……。投手としてなんて殆ど投げてないレベル。例年どおりだったのは西川とレアードくらいなもので、地味に守備指標が良いので救いのある中島を除けば、岡も田中賢介も不振を極めたし、何よりOPS.676の翔さんが4番打ってたのがヤバすぎる。守備職人の源田を4番に置いてるのとそんな変わらんレベル。さすがに今期は悪い歯車が周りすぎたところはあると思うけど、大谷が抜けるシミュレーションを1年早くやった感じだった。あと大田は打ってるように見えてRCWINが僅かにマイナスの▲0.01。出塁率悪いから指標はいつも案外悪いんだけど、今一番見てて楽しい野球選手だと思います。

6位 千葉ロッテマリーンズ (予想順位:5位)
指標は悪いんだけどなぜか防御率の良いアンチセイバー石川がついに崩れた。やはりFIPはウソをつかないのか……と言いたくなるところだけど、万年FIPより防御率悪い則本みたいなのもいるから、FIPも「傾向は示すけれども確実ではない」という程度の理解に置いとくのが良さそう。角中を除けば野手陣に日本代表クラスの選手がいないからダフィーとパラデスの活躍がポイントで、案の定ダメ外人だったんだけど、そのカバーに補強したのが走り打ちのサントスというあたりがトドメを刺した気がする。走り打ちってそんな成功しないわりに得られるのは単打だし、鳥谷みたいに四球選びまくれるほうが十分確実性ある。そういうマジレスは置いといて曲芸としてのロマンはあるんだけどね……。

セ・リーグ

1位 広島東洋カープ(予想順位:1位)
元々2期平均で野手のWARを計算しても、ぶっ飛んでリーグ1位の数字を持つチームであり、想定どおりの高い攻撃力を発揮した。野手のピークは20代後半ではないかと思われ、タナキクマルが揃って27~28歳の今がチームはピークにあるのでは。いい意味で計算外だったのは薮田で、あのいかにも壊れそうなフォーム見ても(反面打ちづらそう)、1シーズン持つと思わなかった。あと大瀬良岡田は黒田が抜けたイニングを十分食ってくれた。この打線なら化物みたいなエースピッチャーがいるよりも、安定して3点台で回ってくれるピッチャーが複数いるほうが望ましい。クライマックスシリーズPK戦みたいなもので、鈴木誠也が不在という運の悪さがあったのでやむを得ない結果だった。

2位 阪神タイガース(予想順位:3位)
そろそろ藤浪北條の時代が来ると思ったのだけど全然そんなことなかったぜ! 野手陣では糸井福留鳥谷の高出塁率おじさんたちが脅威。いずれも全盛期より打つわけではないのだけどみんな3割台後半の出塁率があり、並べられると誰でアウト取れば良いのかわからなくなる。野球は「3つアウト取られるまでに何点取れるか」という競技であることを考えると、やはりアウトを取られないということはとてつもなく重要。ただ3人とも衰えが見えてるので、優勝を狙うなら彼らを本塁に返すためのロングヒッターを早く獲得する必要があることは繰り返し言われるべき。キャンベルはヘイグ感漂っており、仮にアジャストできたとしてもタイプとして的外れな補強だったのではないかと思う。

3位 横浜DeNAベイスターズ (予想順位:5位)
「センターライン強化できない限り3位が限界のチーム」と言ったのは今でも間違ってないとは思うけど、仮にも日本シリーズに出るチームを5位予想とかしてしまったのは今期賭博において最大のミスでした。ただロペス宮崎の二人が少し出来過ぎな感があり、更に上の順位を狙うのならば、ロペス宮崎の成績の上積みよりも、課題の二遊間の強化を図るほうが現実的。チームの欠点が明らかなだけに、山田か坂本がいれば一気に優勝するチームではあるけれど、二遊間は超A級の選手を市場で獲ってくるのが難しい守備位置であり、急に強化するのは非常に難しいポジションでもある。それだけに大和が市場に出てるのは大きなチャンスだけど、大和はセカンドで使って倉本はそのままという話もあり、頭くらくらしてくる。

4位 読売ジャイアンツ(予想順位:2位)
13連敗とか、筋肉が針で突かれて死亡とか色々事件はあったけど、今期は1から10まで山口俊に尽きるのでは。2桁は勝てなくとも7~8勝するだけで巨人は2位だったし、単体でWAR3.0前後は見込めるはずの戦力が勝手に退場するどころかチームに迷惑までかけた罪は江戸時代だったら市中引き回しのうえ獄門だった。ただ、たった少しの登板では打たれこそしたものの、奪三振率は9を超えており、球自体は良いものを投げているのではないかと思わせる。元々肩の故障を抱えていただけに、1年の休養は(精神的にはともかく)肉体的には好影響を与える可能性がある。セカンドマギーは実験的に興味深かったけど、あくまで緊急措置なのは村田の自由契約を見ても察せられるとおり。

5位 中日ドラゴンズ (予想順位:6位)
落合中日でできなかった世代交代が未だに尾を引いており、今期も課題は解決できなかった。そろそろ高橋周平あたりが主力を張ってくれないとどうしようもなくなる。元々ラッキーな契約だったとは言え、WAR2.8を記録したゲレーロが流出すると仮定すると、来年福田あたりが30本くらい打ってくれないとイーブンの計算にならないのでは。投手陣ではバルデスおじさんが抜けるのも来期に向けては厳しい。ただ、現状のチーム状態でおっさんに頼って多少順位上乗せしても何も抜本的な解決になっていないので、若手中心のチームに切り替えるいい機会なのでは。伊藤準規とか後半打たれてるシーンはあったけど、いい球投げてるように見えたし、奪三振率も8.19となかなかの数字ですよ。

6位 東京ヤクルトスワローズ (予想順位:4位)
山田のワンマンチームなのはみんなご存知のとおりだったけど、山田が死んだらチームも死ぬのもやはりご存知のとおりでした。防御率がリーグワーストで投手が爆発四散してたけど、ブキャナン、原樹理防御率3点台でそれぞれ13敗、11敗なのは同情の余地があるし、狭い神宮がホームであることを考えると、実は投手より野手陣の問題の方が大きかったんじゃないかと思うんよね。特に悪かったのはファーストで、荒木がOPS.0640、リベロOPS.595と、ウィーランドに守らせてたほうがマシまであるレベル。本来打撃ポジであるファーストでこの数字では他球団と大きく攻撃力の差がついてしまう。二塁手で山田を使えるアドバンテージは依然大きいので、逆に言えば強打の外国人獲れれば状況が大きく改善する可能性はある気がする。

そんなわけで今年も12連単の結果はボロボロでした。ドンピシャだったの両リーグの優勝チーム(ともにド本命)だけという悲しい結果で、馬連でも2.3倍くらいしかつかなさそうだし、明日からざるそばだけを食べて節制せざるを得ません。

ところでプロ野球というものは、シミュレーションで言ってみれば、秋~春の「戦略フェーズ」と、春~秋の「戦術フェーズ」の2つに分かれます。すなわちこれからの契約シーズンというのは、戦略フェーズであり、本来ならばそこでのチームづくりのほうが重要であり、合理的に勝っていこうと考えれば、戦略レベルで負けているものを戦術レベルでひっくり返すことは期待すべきものではありません。武田信玄も「勝負は戦う前に決せよ」ってセンゴクで言ってたので、きっとそうなのでしょう。野球というのはデータ大好きなアメリカ発祥なので、統計データが充実していることから、期待値を計算しやすいスポーツです。

とはいえ「戦略フェーズ」で想定していた戦力がそのとおり動いてくれるかというとそうでもなく、毎年想定していた戦力が怪我をしたり、思わぬ新人が活躍したりします。元巨人の原監督はその辺の不確定要素を廃するために「上手い選手ではなく強い選手がほしい」と言ったり、緊急事態を想定したサブポジの練習をさせたりして、明確に戦力の安定運用を志向しており、さすが大戦力の監督だなと思ったものです。大崩れしなければ勝てると分析していたんじゃないですかね。ただし巨人はその分フランシスコ等の面白外人を取ることで、一定の不確定性を確保し、面白さを維持していました。 大事なのはここなんですよ。

不確定性、それこそが素晴らしい。 戦力が計算しやすいスポーツだからこそ、謎の外人や新人によって頭の良い人たちが組み立てた「戦略フェーズ」が台無しになる瞬間こそがプロ野球の面白ポイントの一つではないかと思います。2017年プロ野球の残念なところを一つ挙げるとするとそこでしょうか。

160km/hのボールを投げるのに二軍で雨に打たれていたコーディエ、試合には出ないのにウキウキでアイスバケツチャレンジやってたユーキリス、開幕早々アメリカに帰国してtwitterで日本人を煽ってきたペニー、三振率脅威の40%超のロマック、伝説の打率.000でフィニッシュしたキューバの英雄セペダ。 みんな最高の奴らだったのに、今年はしっかり年俸分くらい働く連中ばかりで何だか心にぽっかり穴が空いた感じです。

来年は各球団とも最高の補強をお待ちしております。

ハチナイで116試合分の記録をとってみた(手動で)

八月のシンデレラナインというゲームはアップデートで1試合ごとの個人成績を実装してからかれこれ3ヶ月くらい経ちますけど、野球の成績に親を殺されたのかというくらい頑なに通算成績を表示させない姿勢を今のところ全く崩していません。

データスポーツである野球で通算成績を表示させないなんて、そんな生殺しみたいなことをやっていいのか。誰が打って、誰が打っていないのか。1試合ごとに表示されるRCに一体何の意味があるのか。すべてが謎に満ちあふれており、ハチナイの世界は霧に覆われた不透明な世界です。オンブズマンとかいたらめっちゃ怒りそう。

というわけで、仕方がないので自分で通算成績取って遊ぶことにしました。

方法としては、試合が終わるごとにスマホスクリーンショットを取って画像を集めていき、一定程度溜まったところでスマホの画面を見ながらPCでExcelにペチペチ入力してきます。

この画像認識とかできるAIの時代に石器でマンモスを倒すみたいな力技ですが、ゴリラなので仕方ありません。文明の利器は使いこなせない。

ポチポチ……。

カタカタ……。

そうやって入力した116試合のデータがこちら。

[みんなといっしょだから]秋乃小麦の成績が著しく低いですが、[同じ空の下]秋乃小麦と間違えて出していたものです。レベル上げただけでスキル一切育ててない選手だとピッチャー並みの成績になるとわかって良かったです。というかピッチャーの宇喜多本当に打たないな。ウィーランドにバッティング習ってくる必要あるよね。ちなみにハチナイはカードの種類が違えば同じキャラでもスタメンに組めたりするので、うちは先発宇喜多右翼宇喜多で抑えに宇喜多が出てくるぞ。

チームで一番打ってたのが[快打の余韻]有原翼。最初のイベント配布SRで今でも配りまくってるのに、下手なガチャSSRより打ちまくるという強性能。後述するけどミートと走力が優遇されている現環境で、簡単に可能な限界突破でミート4000超えできる恩恵は大きい。スキル「チャンスメーカー」持ちなので打順は1番に置くと良いと思う。よく初回から先頭打者HR打ってくれる。

うちは2番に「連打◎」を持ってる[絶対の自信]東雲龍を入れてて、1,2番が攻撃力の中心になるスタイル。やっぱ2番は強打者ですよ!

ハチナイのキャッチャーは守備型のすずわか、ミート型の椎名ゆかり、パワー型の近藤と分かれてて、直近のイベントはHRでスコア加算だったのでスキル育ちきってないながら近藤を4番に入れてみたけど、どうも打たないなと思ったら通算OPS.0633しかなくて泣いた。近藤はハチナイの阿部どころか今シーズンの翔さんでした。そりゃ4番にOPS0.6台の選手置いてたら日ハムが勝てないのも納得。

能力の見た目よりも優秀な成績を残すのが、[同じ空の下]秋乃小麦。長打力の野崎より全然使い勝手良いと思う。ハチナイは盗塁の成績が出てこないんだけど、OPSでこれだけ優秀で足もあるならRC27出すと結構優秀な値が出そう。というか盗塁の成績もなんだけど、それよりも投手の成績はよ。投手の世界は誰が抑えて誰が打たれているのか、今なお謎に包まれている。

で、せっかくデータ取ったので、ミート・パワー・走力それぞれでOPSとの散布図作って相関作ってみるとこんな感じ。

ミート・パワー・走力はそれぞれ表見上の数字で、スキル発動後の数字は考慮されていないけど、これだけ露骨に出てると比較するに十分有意な水準かも。[練習と友情]永井加奈子とかのパワーの高い選手はミートが低い傾向にあるので、打率が伸びなくて結果的にOPSも伸びてこない感じ。もしかしたらミートとパワーを両立する選手を持っていないだけかもしれないけど。

ともかくも116試合スクリーンショット取って手動でデータ入力するの、仕事が終わって帰宅してやる作業としてはあまりにも仕事過ぎるので、極端な話csvでデータ吐き出すとかでも良いので、一刻も早い通算成績の実装が待たれましょう。せっかくの記録を1試合で源泉掛け流しにするの、あまりにも贅沢すぎるデータの使い方ではありませんか。

競馬の終わり

22世紀に生きるあなたは、ラジオ体操の「ラジオ」って何だよって考えたことはありませんか?

言われてみれば、みたいなところもあるかもしれませんが、ラジオ体操の「ラジオ」にはれっきとした語源があります。

かつて世界には「ラジオ」と呼ばれる無線通信を用いて音声を伝える技術が存在し、同無線通信によって届けられた音声の指示に従い、人々はシンクロナイズされた舞踊を披露していたと言われています。現在では高齢者やけが人のリハビリ用に転用されたラジオ体操ですが、当時は健康的な一般人によって昼休みの終わりに職場で踊られていたこともあるといい、儀式的あるいは宗教的な側面があったのではないかと考えられています。

この100年間で随分と世の中は変わってしまいましたが、世界は更にその歩みを進めようとしています。

あなたは、競走馬のサイボーグ化についてはもうお聞きになりましたでしょうか? 来年3歳になる世代から適用されるため、今年のクラシック戦線が自然馬による最後のクラシックとなることでしょう。競走馬のサイボーグ化により、スピード競馬のより一層の進化、有力馬の故障減少が期待され、競馬はますます刺激にあふれた人気競技となるでしょう。

ところで、この競走馬のサイボーグ化を100年以上も前に予想していた小説が実在したというのです。100年以上も前と言えば、ラジオ体操が宗教的儀式として日常的に踊られていた時代。そのような原始時代に我々の栄光ある発展を予見していたというのは大した先見の明です。

本日はその小説「競馬の終わり」をご紹介します。

舞台は22世紀の日本。

世界的自然災害により世界各国の国力は衰えた。アメリカを284のハリケーンが襲い、ペンタゴンは壊滅し、ディズニーランドは被災者収容所と化した。しかし、日本は天災の影響を受けず国力を失わずに済んだ。そんな中、日本人はラーメンにハマった。株式市場のラーメン銘柄は上昇し、投資で得た利益で日本人はラーメンを食べた。ロシアもまた天災の影響を受けずに済んだ。そして日本人がラーメンを啜っているとき、ロシアは南下政策というロシア人の血に植え付けられた考えを思い出していた。ロシアは南下した。日本はアメリカとともに戦ったが敗れ、東京は占領され、政府は無条件降伏し、日本はロシアの植民地となった。

世界的自然災害は世界の馬産を死滅させていたが、日本は天災を免れていたことにより競走馬の生産能力が残されていた。世界の中でまともに馬産を行っているのは日本だけになっていた。中山競馬場は戦火で失われたため皐月賞は新潟開催となり、菊花賞は5月京都開催の2400mに変更され「大ロシア賞」と名前を変えたが、ともかく競馬は生き残った。しかし、競走馬のサイボーグ化が決定。施行は3年後。現1歳馬が4歳になるときに競走馬はサイボーグとなるため、現1歳馬が生身で行われる最後のダービー馬の世代ということになる。

駿風牧場の笹田のもとを、北海道で最も地位の高い弁務官であるイリッチが突然訪れたのはそんな時だった。イリッチはたった1頭の所有で最後のダービーを勝つことを望み、笹田の生産した1頭の1歳馬を譲り渡すよう要求した。笹田は断ることができず、イリッチに幼駒を譲り渡す。幼駒は後に「ポグロム」と名付けられた。ポグロムとは、ロシア語で「虐殺」の意味を持つ言葉だった。

「競馬の終わり」はこのように物語が始まります。ポグロムが果たしてダービーを勝つことができるのかはあなたの目で確かめてほしいのですが、大事なのはポグロムがダービーを勝つかどうかではありません。あなたが競走馬のサイボーグ化を認めるかどうかです。

競馬は、均一化を拒む機能を内在した競技と言えます。

すべての生産者がスピードに優れた主流血統ばかり交配していると、気がつくと周りは同じ血統の馬ばかりになって種付けを行う馬がいなくなり、いつか血統の行き止まりに辿り着いてしまう。

ポグロムの父親フォーレッグスは現役時ダービーを獲りましたが、種牡馬成績には恵まれませんでした。フォーレッグスは最高の能力を持っていましたが、血統がすべて主流血統で構成されており、近い世代に同一の祖先を持つインブリードが殆どの牝馬と成立してしまうため、成績が芳しくないと笹田は考えました。そこでサッドソングという異端血統で構成された現代的要素が何もない牝馬を探し出し、そこに最先端の血統であるフォーレッグスを交配したのです。

生粋のアウトブリードにより生まれたポグロムはアンチ均一化の象徴と言えるでしょう。新しく、優れたものだけでは必ず行き詰まってしまう。ときに古い遺伝子を入れていなかければ継続的な発展が望めないのはブラッドスポーツたる競馬の教えの一つでしょう。

しかし、非均一化はいつか均一化に屈服する日が訪れるのです。職人芸が機械化に敗れたように、個人商店がマニュアル化されたハンバーガーチェーンに敗れたように。均一化を否定する機能を内在する競馬を終わらせた瞬間こそが、進化のルールへの勝利。ポグロムはサイボーグ競走馬には勝つことができない。

気が付きましたか? 私たち人類は既にサイボーグ化を終えています。

その後進められた研究により、ラジオ体操は人の動きをシンクロナイズさせ、精神に均一化を強制するための役割を与えられていたことがわかりました。無線通信でラジオ体操が届けられたその日から、私たちの均一化運動は止めることのできない歩みを始めたのです。

残ったのはあなただけ。ポグロムに夢を見るのはもうやめなさい。

ガチャを信じる汝らに祝福あれ

いつからだろうか、思考がガチャに支配されてしまったのは。

いつからだろうか、ゲームにガチャが織り込まれるのが当たり前になってしまったのは。

コナミガンホーバンナム、サイゲ。時代の移ろいとともに主役となるゲームすら変われど、多くのメーカーがソーシャルゲームによって莫大な利益を上げることができたのは、紛れもなくガチャがもたらす収益性の仕組みによるものです。

ガチャは1タップごとに3,000円などを支払う必要のある恐るべき集金装置ですが、その課金ごとにかかるコスト(変動費)はGoogleやアップルに支払う30%以外はほぼゼロ。このとき、100を売り上げたとすると変動費は30となるわけですから、変動費率は30%となります。

たとえば小売業なんかだと80で仕入れたものを100で売ってたりするわけですし、卸売業なんかだと90で仕入れたものを100で売るのもザラです。比較するとガチャがいかに変動費率の低い収益モデルかということがわかります。

限界利益率」という指標があります。

要は「1売上が増加したときに利益がいくら増えるか」を示す指標で「売上高-変動費率」で求められます。ガチャは1売上が増えると利益が0.7増えるわけなので、限界利益率は70%となります。

この「限界利益率」という指標は、ビジネスモデルを考えるときにもっとも端的に分析できる重要な指標と個人的には捉えていまして、新しい業態を見たときは、まずこの「限界利益率」がどう算出されるビジネスモデルであるかを考えるようにしています。

どうでもいいけど「限界利益率」の「限界」って言葉、昔「ある数字が1増えたときに特定の数字がいくつ増えるか」という意味と習ってもイマイチ日本語がしっくり来なくて、ゲーム漫画アニメで育った人間としては何というか限界と言われると「バトル漫画用語かな?」って感じで、どこに限界の要素があるんだ追い詰められてパワーアップでもすんのかゴラァと思っていましたが、「限界」を英語に直したときの「Marginal」という言い方がしっくり来たので以来そう覚えています。誰だよ初めに限界って訳した奴は。

話を戻すと70%という限界利益率は、ビジネスモデルとしては高い方に分類される数字です。

同様の収益モデルを持つものとして旅館業を始めとした箱モノビジネスがあります。旅館業も、かかるコストはお客さんが来ようが来まいが殆ど変わらない固定費がコストの多くを占め、変動費で一番大きなものとしてはお客さんに出す料理の原材料費ですが、総じて限界利益率は80%を超える水準にあることが多いです。1を売り上げたときに0.8も利益に変わるのですから、損益分岐点さえ超えてしまえばウハウハというのが高限界利益率のビジネスモデルの特徴となります。そのため旅館業では高い稼働率を実現するのが重要で、部屋が空いているよりは値引してでも入れたほうが良いので、直前割料金などが存在します。

ただし、旅館業の場合は、他に個別サービスとしての収益源を求めない限りは満室になってしまえば、売上はそれが上限になってしまうので、拡張性のない収益モデルと言えます。

ところがガチャはどうでしょうか。

1万人回そうが、10万人回そうが満室にはなりません。また、お客さんが増えても急に増改築のできない旅館業と違い、アクセス過多などの一時的な問題が起き得る程度で、構造上は極めて拡張性の高い収益モデルと言えます。

限界利益率が高く、拡張性に優れている」。これが損益分岐点を超えたときに爆発的な利益を生み出す仕組みです。あと付け足すならば「マーケットが大きいこと」。

この3つの要件を満たすビジネスをガチャ以外でも思いついたらビッグサクセスできるぞ!! 万が一見つけたら誰かに喋ると真似されてしまう恐れがあるから、こっそり私だけに教えてくれよな! いいな、私にだけだぞ!!!!!

……コホン。かたや、逆のパターンに目をやると、売上が下落したときに同時に不要になる仕入れコストがないことから一気に赤字転落するのも限界利益率が高いビジネスの特徴です。短命のソーシャルゲームが多いのはこの理屈によります。小売業や卸売業などは仕入コストによる変動費率が高いことから、売上が落ちたら費用も落ちていくので、潰れるまでに案外粘れることが多いです。

ガチャ、それにしてもなんという素晴らしいビジネスモデルでしょうか。

AppleGoogleに支払う税さえなければ、ガチャを回されるたびにかかる費用はほぼノーコスト……!! したがって、バンバン広告宣伝してスケールを獲得することが、このビジネスの勝利パターンとなっています。

しかし、「限界利益率が高く、拡張性に優れ、マーケットが大きい」この3つの要件を満たした収益モデルは遥か昔に先人によって考案されていたのです。しかも人類がこれまで生み出した過去最強規模で。

それは宗教。

宗教団体の収入としてもっとも一般的なものは「寄進」でしょう。対して神のご利益に必要な変動費というものは考えられるでしょうか? ないのです。強いて言うなら中世カトリック教会が発行していた免罪符の製造コストが変動費になるでしょうか。天国に行ける権利の製造コストはゼロなので、限界利益率は極めて高い数字となります。

そう考えるとカトリックプロテスタントの争いにより外国に活路を求める必要があったという背景はあれど、中世のキリスト教教会が外国に布教を勧めるインセンティブはあったとみて良いでしょう。変動費がないモデルは、スケールがもっとも有効に働くモデルだからです。また、宗教は非常に拡張性に優れています。1万人の信徒が寄付してくれても、10万人の信徒が寄付してくれても受け入れないという選択肢は起き得ないのです。マーケットは全人類。そりゃ大聖堂も立つわ。

おわかりでしょうか。同じ収益モデルを有し、広告宣伝によりガチャを勧めるソシャゲ、ザビエルを送り込んで神の教えを勧める宗教……何が違うのでしょう。全く同じではないでしょうか。つまり、ガチャはやはり宗教行為だったのです。

「お布施」とか言いながらガチャを回す奴はただのバカじゃなかった。あれはれっきとした宗教行為だったのです。それをわからず批判することの何と愚かだったことか。ありがたやありがたや。

しかし、問題はこれで終わりません。

ガチャを宗教行為であると定義し直したとき、何が起こるでしょうか。

そう、ガチャが商行為でなくなったことにより不課税対象となるのです。

国税庁発行の「宗教法人の税務(PDF)」によると「宗教法人も消費税及び地方消費税の納税義務があります」と定められていますが、「その差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、実質的な喜捨金と認められるような場合のその物品の頒布は、収益事業には該当しません」とあり、法人の性格ではなく、いわゆる収益事業を行うか否かという点で線引がされています。

例えば、おみくじは売価と対価があまりに見合っていませんから喜捨行為とみなされ不課税となりますが、数珠の販売などは物品の販売ですから対価のある商取引であるとして課税対象になるわけです。

え? 売価と対価が見合っていないのが不課税の理由になるの??

ここに来てガチャの常軌を逸した価格設定が意味を持つようになるとは……。

アレに10回3,000円の価値が無いことは誰の目にも明らかです。課金をしようとする人も、自分が対価を求めてのものではなく、プロデュースしようとするアイドルのためであったりするわけで、その思いは純真に真摯そのものであり、対価を求めない喜捨性の高いものであることは疑いようもないでしょう。それは神に寄付したり託宣を求めたりする行為と何が違うというのか。

ガチャはおみくじであり、個々人が信ずる神への寄進なのです。やはりガチャは神聖な宗教行為だった……!!

しかしながら、その宗教性について外部から見たときにわかりづらい状態にあるのもまた事実です。そのため「ガチャ」という表記はすべて「喜捨」に変更、排出されるキャラクターなどに「聖遺物」の補足書きを行うことで外部への説明責任を果たせるようにすることが好ましいでしょう。

また、寄進する側から見てもガチャを寄付行為として捉えると、その資金は寄付金として税法上所得から控除できることが考えられます。その際はガチャの宗教性について税務署職員にしっかりと説明し、損金としての正当性の確認を受けるようお願いします。