美容師さんとの会話についての最適な手順
髪を切りに行くとき一番の心理的障壁となるのが美容師さんとの会話だそうです。オシャレヒエラルキーにおいて自分より格上の存在である美容師さんと会話する一時間をどう過ごすか、想像するだけで出かける前から胃が痛くなるのもわかります。
一般的には「想定問答集を作る」「座禅を組んでから魂の静謐をもって臨む」などのテクニックが用いられていますが、それらの対処法は属人的で、知識としてまだまだ体系的に整理されておらず、マニュアル化も終わっていないのが実情と言えましょう。
今日はそんなコミュ障のみなさんに、美容師さんと過ごす一時間について最適化された方法論を、私からレクチャーさせていただきたいと思います。私は、いつも髪を切りに行く前には「美容室 会話」「会話 続かない」で検索して多くの知識を蓄えた結果、今やコミュニケーション界における有識者としても知られていますので、信頼してください。
まずは予約です。この時、みなさんの恐怖の対象となるのが電話です。ピザ屋さんに電話するのも怖いのに、美容室に電話するなんて想像しただけで電話を片手に足が震えてきますよね。泡を吹く人もいるそうです。予約を入れないという方法もありますが、お客さんが一杯で「後で来てもらえますか?」と言われた時の気まずさを抱えるリスクもあります。
ここはネット予約がベストの選択肢です。発達したインフラ環境に感謝しながら、日付と時間を間違えないように最新の注意を払って入力しましょう。
次に来店です。予約の時間を間違えないように訪問すれば、お店の人から席に案内されますので落ち着いて行動しましょう。
インターネットや本で調べたところによると、相手を警戒させないためには笑顔が良く、それから相手の目を見て話すと良いそうです。席についたあなたの前には鏡がありますので、鏡の自分に向かって笑顔をつくり、表情を固定しましょう。そして美容師さんが来たところで目線だけ美容師さんの方に移し、そのまま固定。これが基本の「型」となります。基本を常に意識してください。
良いコミュニケーションを取るためには、あなたは悪い人間ではないということをアピールして、相手の警戒心を解いていく必要があります。笑顔と視線を活用して相手をリラックスさせていきましょう。
そして会話をします。ここからが重要です。
インターネットや本によれば、知らない人と会話をする際には、お互い共通の話題を出すと良いそうです。確かにそのとおりで、知らない人から突然「ラッセンの絵に興味はありませんか?」と言われても興味はありませんし、会話が続きません。大事なのは相手が知識として持っていて、なおかつ興味がありそうな話題を選ぶということです。
オススメなのは「死」の話題です。「死」を知らない人はいませんし、興味がない人もいないのです。この国では、お盆になると親族の家にわざわざ集まって僧侶から「死」の話を聞くという風習があるなど、人々の関心の高さが伺えます。相手がたまたま不老不死の神だったとかでない限り、かなりの確率で共通の話題となるので、会話も弾むことでしょう。ぜひこう切り出してみてください。
「美容師さん、死んだら人の魂はどこに行くんでしょうか?」
このように、まずは共通な話題から無難に馴染ませていくのがオーソドックスです。
仲良くなってきたなと感じたら、個人的な話題に切り込んで距離を縮めて行きましょう。
インターネットや本から得た知識では、会話を弾ませるポイントは、自分のことを話すのではなく、相手の話を聞くことだそうです。
「美容師さん、昨日、高尾山にいませんでしたか?」
え?ひょっとしてあなたもいたんですか?偶然ですね!みたいな感じで話が弾んでいきます。
そして相手の話を聞くためには、相手に対して興味を持つことが大事だそうです。
「美容師さん、最近彼女と喧嘩したそうですね、彼女今どうしてるんですか?」
突然自分のことを言われて驚くする一方、そこまで自分に興味を持ってくれてるのか…と相手は感激します。家庭環境、友人の数、彼女の有無、ゴミ出しの習慣、使っているコンビニの場所などは事前に調べておくと良いでしょう。相手のことをよく知っていればいるほど、会話は弾みます。これは、知らない人だけでなく、友達でも同じことですね。
さらに、会話を深堀りしていくコツは5W1Hを意識することだそうです。
去年旅行に行ったんだー、みたいな話を聞いても相槌で終わらせるのではなく、「どこに」「どうして」「どうだった」などと尋ねていくことで会話を発展させていくのです。
「美容師さん、昨日の夜、高尾山の山中で…」
「どうして…、スコップをもって…」
「大きな穴を掘っていたんですか……?」
相手は、何のことかわからない、と困惑した顔をします。しかし、もうここまで来たら追い詰めたも同然です。コミュニケーションとは、外堀を埋めてから、核心に踏み込んでオトすことで、最終的に人の心を動かすことを目的とするものです。相手の魂を揺らすつもりの大声でこういってやりましょう。
「わたしを殺したのは、、、お前だぁーーー!!!!」
美容師さんとのコミュニケーション、しっかり覚えてもらえたでしょうか?
ここまでで最高の心象を与えると、感心した相手から「今回は無料でいいです。もう来ないでください」と2回に1回はサービスしてもらえるはずです。ぜひ基本から流れをマスターしていってください。