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トロピコ5 プレジデンテvs2000人の国民

こんにちは、プレジデンテです。政治とは難しいものですが、何事も勉強。今日は私と一緒に、トロピコを通じて国民の統治について学んでいきましょう。ぜひみなさんの生活にも役立ててください。 今作のトロピコ5は時代の概念があって、植民地の総督として赴任し、世界大戦時代、冷戦時代、現代と4つのフェーズを超えて行くことになります。時代が進むごとに技術開発がアンロックされたり、外交相手が変わったりします。 大まかにはこれまでと変わりません。安定して財をなそうと思えば、農園で綿を作り、牧場でラマを育ててウールを取れるようにして、繊維産業を育成すると手堅いです。天然資源と違って枯れないので、システムさえ構築すれば永久に富を生む機械となります。生地も衣料品もそれなりの値段で売れるので資金繰りがグッと楽になります。 鉱石系の産業は、資源を掘りつくしたら鉄やボーキサイトなどの原材料を輸入に切り替え、自動車なんかを輸出する加工産業として生計を建てましょう。 ところで今作のトロピコ5は、反乱や暴動がやたらと良く起きるので、プレジデンテ自ら市民を監視して刑務所に打ち込むインセンティブが大きく働くようになってますね。反体制派を見かけたら、放っておいても良いことは何もないので、逮捕して再教育するなり、不幸な事故にあってもらうといいでしょう。   言い忘れましたが、トロピコに娯楽はありません。なぜならばトロピコ人はプレジデンテのために働くことが何よりも大好きだからです。国民の幸福度は要素別に見ることができますが、娯楽設備は一つも建設していないため常に0となります。   それでも支持率は99%まで行くのだから、娯楽なんて不要ということが国民からも支持された結果です。遊んでいるヒマがあれば工場で働けばよいのです。 殖産興業しつつ怪しいドラッグを流通させて稼いでいたら、アメリカ軍が攻めてきたので撃退しました。トロピコ5は、他国が攻めてきても自国の軍隊と戦争して、勝てば生き残れるようになっています。 2000人に迫る人口、唸るほど溢れる金、天然資源に頼らない産業、アメリカ軍も追い返す軍事力。 トロピコには、この世のすべてがあります。働くのは大変だけど、頑張ればプレジデンテは私たちに報いてくださる。アメリカなんかと比べたらそりゃ楽しみは少ないかもしれないけど、生きていくのに何不自由なんてあるものか。国民の皆はそう思って、毎日苦しい労働に耐え、この素晴らしいメカニズムを作ってくださったプレジデンテに感謝するのです。 ビバ・トロピコ! ビバ・プレジデンテ! で、終わったらいいんですけどね。じゃあ準備ができたところで始めましょうか。 まずは憲法を改正し、定年を廃止します。なぜならばトロピコ国民は働くのが大好きだからです。 あわせて鎖国政策を実施し、他国へ移住することを規制します。なぜならばトロピコ国民はトロピコが大好きだからです。 宗教は無神論とします。なぜならばトロピコ国民はプレジデンテ以外の神をもたないからです。 インターネットの使い方も改正します。なぜならばインターネットは、国民が行政を監視するシステムではなく、行政が国民を監視するシステムだからです。 次に、すべての住居を爆破します。 トロピコ国民は、いつからタワーマンションなどという贅沢を覚えたのか。すべての住居はプレジデンテの恩寵ということを忘れた民は、壁のある家に住むことは許されません。バラック住みのホームレスで十分です。 そして、すべての教会を爆破します。 プレジデンテ以外の神はいないのですから、理にかなった話です。邪教の館は焼き払いましょう。 プレジデンテの宮殿の周りには監視塔を隙間なく配置しましょう。監視塔にはマシンガンを備え、銃撃能力を高めます。 これは「殺し間」に候。中に入りたる敵に、完全なる死をもたらすものに候…。 沖合には空母を配置。航空支援の体制を整えます。 え? 米軍を倒した今、誰と戦う準備を進めているのかって? トロピコ国民に決まってるじゃないですか。 全員ホームレス、娯楽0、宗教0に追い込まれた国民は、凄まじい勢いで幸福度を下げ、20部隊を超える大規模な暴動を頻発するようになります。この規模、アメリカ軍なんか比じゃありません。トロピコにおける最強の敵は、アメリカ軍ではなくトロピコ国民なのです。 トロピコ国民軍はものすごい勢いでプレジデンテの住む宮殿に殺到します。それが罠だとも知らずに。 「殺し間」は、一つ一つが監視塔で作られているので、それぞれが発砲して画面がとても重くなります。たまに運悪く宮殿の前に暴動が沸いてしまうこともありますが、瞬間で蒸発します。 こうして、プレジデンテの宮殿「殺し間」を破る術を持たないトロピコ国民は、永くプレジデンテのために苦役を負わされ、島から出られないまま死んでいきましたとさ、めでたしめでたし。 といういい話だったのですが、実はこれは少し大変なところがありました。トロピコ国民と戦うべく配置されたトロピコ軍ですが、トロピコ軍自身の忠誠度がトロピコ国民の幸福度にリンクするため、すぐにクーデターが起きてしまうのです。考えてみれば、軍人自身も、一人ひとり幸福度を持ったトロピコ国民ですから当然ですね。 クーデターが起きても、プレジデンテの「殺し間」があるから安心と思われるかもしれませんが、「殺し間」は前述のとおり一つ一つが監視塔で構成されており、兵士が入っているためクーデターが起こると監視塔自体が寝返ってしまうのです。 クーデターで滅んで数回やり直すハメになったのですが、解決方法としては軍隊そのものを特権階級にするという方法を取りました。 まず、すべての軍事施設の給料をMAXにします。これにより彼らの忠誠度が上がることを期待してはいけません。結局のところ、彼らもホームレスですし、娯楽施設もないので、チンチロリンで遊べるペリカよりも使い道がないカネなのです。 重要なのは、彼らの属性を「金持ち」にするという点です。それでも毎月忠誠度がゴリゴリ落ちていきますので、面倒ですが、兵士を一人ひとり選択して賄賂を渡します。これも彼らの属性を「金持ち」にするのを助けます。 そこで政策「減税」を打ち出すと、富裕層からの支持が伸びますので、ほぼ全員富裕層になっている兵士たちの支持率が伸びます。 「減税」は5年に1回使えますが、忠誠度の下落が、減税による支持率回復に間違いなく追いつかないので、数ヶ月に一度、個々の兵士に賄賂を送る作業を繰り返し続けます。 財源は、トロピコ国民の労働から湧いてきます。減税も賄賂もバカにならない支出ですが、福祉政策をすべて切って、定年廃止して働かせると、産業の収益メカニズムは完成していますので、十分回るのです。つまり、アガリをプレジデンテが独り占めするのではなく、兵士たちにも分け与えるという経済構造にしてしまえば軍隊のクーデターが抑制されるということです。 甘い蜜を吸うときは自分一人で吸うのではなく、特権的な支配者階級を作って、彼らにも吸わせてあげると結果的に良いという話ですね。 ただ、暴動がコンスタントに起こり続けますので、「殺し間」でトロピコ国民が殺されて人口がモリモリ減り、働き手が足りなくなってくるため、あわせて施策「避妊禁止」を打ち出して労働力の発生を補うようにしましょう。また、病院等の医療設備は充実させ、寿命を伸ばすとともに産婦人科を作り、こちらでも人口の増加を助けていきましょう。鎖国しているので人口の維持が死活問題なんですよね。ピークの2000人からは減ってしまいましたが、産めや増やせや政策により何とか1700台を維持できる形にできました。 最終的な幸福度。国民全員ホームレスではあるのですが、バラック小屋でも住居ボーナスがあるらしく、住居の数値は0になっていません。賄賂の作業が手間なので時間はかかりましたが、減税と賄賂を使って軍人にアガリをフィードバックしていくシステムは15年ほど続けても政権の維持に支障ありませんでしたので、おそらく永続的に動くメカニズムではないかと思います。 15年の間、反体制派による反乱と国民の暴動は断続的に起き続け、多くの国民が「殺し間」の前に命を落としました。 この島に出口はありません。働くか、死ぬかなのです。 文句を言わず働き続ける限り、優しきプレジデンテによる医療制度で長寿は保証されることでしょう。 ああ、月曜日の陽はまた上り、今日もトロピコ国民が職場に向かいます。