当たり判定ゼロ

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アスタブリードとSTGのきれいな敵性機械

ゲーモクの本読んでたら「ククク……やはり破壊感のあるSTGこそが至高なのヨ……」的なスピリットが伝わってきて、全くそのとおりだと思ったのですが、なぜメカメカしい敵たちを圧倒的火力をもって撃滅破壊することが快適なんでしょうかね。考えてみると、清潔感が重要なのだと思います。 例えば暑くなってくるシーズンに増えてくるチャバネ何とかが部屋に現れたとして、近接攻撃で爆散させることに快適はあるでしょうか。見た目だけでも嫌悪感があるのに、プチッと中から変な汁でも出てこようものなら気絶してしまいますし、頭を潰したのに胴体だけが這いずり回っている光景を目にしてしまったら、通常の人であればその映像のフラッシュバックが後の人生に大きな影響を与え、精神は異常をきたし、深刻な猟奇的犯罪に手を染めてしまう可能性があります。その手の嗜好の方向けのフリーや同人STGもあるにはありますが、たいていの人はヌチャヌチャした敵をグチャグチャ潰していくのはあまり好きではないのではないかと思います。 つまるところ破壊が気持ちいいのは、相手が身なりに気を使ってくれているからと言えるのです。パリッパリに糊の効いた白いシャツ、気持ちのよい朝、澄んだ空気、突き抜ける飛行機雲、これを破壊。例えるなら、同じ殴るにしてもその辺のホームレスのおっさんを殴るよりも、「モテるには清潔感が一番!」とか言ってそうな意識高そうなライフハッカーを殴ったほうが気持ちが良いみたいなものでしょうか。あるいは、「父さんな、同人で食っていこうと思うんだ」と言い出した父親の背を押すよりも、1000時間かけて作ったドミノの始めのピースの背を押すときのほうが気持ちが良いようなものでしょうか。 いずれも答えは簡単に得られるものではありませんが、ともかくも、きれいなものを壊すのは気持ちが良いのです。そのきれいな顔をぶっ飛ばす理由は、汚い顔をぶっ飛ばすより気持ちが良いからではないでしょうか。 最近、半年ぶりにアスタブリードをちょくちょくと遊んでいたんですよ。 ステージ中にボイス入りのキャラの掛け合いがあったり、ステージ間でアニメが始まったりするため、演出にスポットが当たりがちなアスタブリードですが、STGとしては破壊感が大変に極まっているゲームであり、思わずメローネがディ・モールトベネとか言っちゃうレベル。 アスタブリードの敵はとても身だしなみに気を使っており外観はツヤツヤしています。ツヤツヤといえばスターオーシャン4の敵キャラがやたらツヤツヤしていたことが印象に残っていますが、同じくらいオイリー感にあふれています。まるでジョブズが愛したiPhoneの鏡面のように研磨されたボディは職人の魂の産物です。まぁ結局みんな死ぬんですけどね。 というか敵がツヤツヤしてると突然SF感出ますよね。そしてたたっ斬ると華麗に爆散。アスタブリードは近接攻撃があり、小綺麗なメカどもを次々と爆散させることができるところが良いところです。 「近接攻撃のあるSTGにクソSTGは無し」といういかにもありそうな格言が実際はあるのかないのかわかりませんが、小奇麗な機械共をブレードでぶった斬れるどころか、アスタブリードでは赤色の敵弾を除いて全ての敵弾を切れるので、STR全振りの脳筋でもブレードをブンブン振っているだけでわりと楽しむことができて安心です。ついでに言うと、ブレードを振りながら遠距離のロック攻撃ができるので、スコアを考えなければ近くは殴り殺しつつ、遠くはロック攻撃で殺すというANUBISみたいな遊び方をしてればクリアまでは安定しようかと思います。16個くらいまで一瞬でロックできるうえ、雑魚の排出量がわりと高いのでANUBISの荒野乱戦ステージみたいなイメージで遊べてしまいます。もう無理にPS2を起動する必要はないのです。ノーモアはいだらー。 というか自機のHPが10000あって、敵弾を食らうとHPが減り、一定時間敵弾を喰らわないと「物陰に隠れてツバつけときゃ治る」FPS理論で元気になってHPが回復しますので、近接攻撃の存在も相まってSTGよりはなんだかアクションゲームみたいな印象もあります。でも自機が弾を撃って、敵も弾を撃ってくるものはすべてSTGというインベーダー以来の伝統に従うと当然アスタブリードはSTGということになります。しかしそれくらいゲーム感は違うというか、一度のミスをしないゲームというより、細やかなミスをたくさんしても大きなミスをしないようにリソース管理するゲームという印象です。 アメリカに不法入国したメキシコ人労働者のごとくガツガツと稼ぐのも良いです。カネを稼げる労働よりもスコアを稼げるSTGの方がなぜ楽しいのかは謎とされていますが、アスタブリードではノーミスで遠距離攻撃を当てるとスコア倍率が高まっていき、近接攻撃で撃破した敵のスコアにその倍率がかかります。最高16倍までかかって、敵を撃破するたびに「×8」「×16」と表示されて、16倍に限っては色まで黄色になるので、エスプレイドで16倍を集めていたバレー部のお兄さんたちには懐かしい感じがするのではないでしょうか。   ネタバレになるので詳しくは言いませんが、ラスボスを倒す方法のオチも大変SFっぽくてイカします。まさかアレにアレを与えることでああなってしまうなんて! ところでSF系STGにはなぜか伝統的に「無駄に悲惨な設定」というものが存在しますが、アスタブリードはストーリーのしっかりしたSTGですので、特に無駄ということもなくしっかり悲惨です。ほとんどのステージのボスが、悲惨な目にあってたり救われない状態なので、「すまぬ……すまぬ……」とか言いながら楽にしてあげる師匠プレイも可。 我々社畜も、特に月曜日の朝なんぞは「ぉぉぉぉ……」とか言ってそうな亡者みたいな顔して満員電車のドアに顔を貼り付けたりしていて、いっそのこと誰か丸太で潰して楽にしてくんねぇかなーと考えたりもするのですが、誰もそんなことをしてくれないのは、あぁそうか、そんなことしてもプレイに爽快感が無いからなのかもしれません。ですので、普段から身なりはどうぞ小奇麗に。