当たり判定ゼロ

シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

楽できる有料DLCは北斗の拳で言うところのセッカッコー

ついに最新作パワプロ2013の発売日まで一週間を切ったでやんす!

今回のパワプロは、これまでパワプロを愛してくれたファンの皆様に感謝を込めて、かつてない大ボリュームの内容を3,980円の感謝価格でお送りするでやんす!サクセスは、デッキに設定したキャラクターによりイベントが変化するので無限の楽しみ方ができるでやんす!イベントの効果はキャラカードのレアリティによって変化するでやんす!ガチャでゲットしたSRをデッキに入れればノーマルカードで起きなかったイベント展開を見れたり、能力を手に入れたりできるのでお得でやんす!

それに、ついに!ついにでやんす!これまでお客様から「ダイジョーブ博士の手術失敗前まで時間が戻せたらなぁ…」という要望があったでやんすが、それにお答えして!アイテム「思い出の砂時計」を販売するでやんす!このアイテムを使えば1周間時間が戻せるので、博士の手術失敗や交通事故があっても安心で、快適なサクセスライフが送れるでやんす!1個たった300円の感謝価格でやんす!たくさん素晴らしい選手を作ってほしいでやんす!

ところで大変申し訳ないでやんすミスツイートが発覚したでやんす。以前、お客様からの「やる気はあるのか?」のお問い合わせに、「ある」とお答えしたことがあったでやんすが、正しくは「ない」でやんす。重ねてお詫び申し上げるでやんす。引き続きパワプロ2013をお願いするでやんす。

矢部のやる気コピペ大好きなんですが、それはそれとしていよいよパワプロの頭上に死兆星が輝いたようです。ソシャゲのブームがピークのときによく見た「ユーザーの欲求:ボスを倒したい!どんどん先にすすみたい」→「提示:強力なカードが手に入るガチャ、連戦できる回復アイテム」みたいなパワポ資料を真に受けて作ったような感じです。アーメン。

ソシャゲ系の「金がないと勝てない」課金は置いておいて、コンシュマー系の「金で楽ができる」DLCは、マーケティングの教科書的には「時間はないけど金はある社会人」あたりをターゲットにしたもんでしょうが、過去の優れたゲームの遺産を下敷きにしている面があります。

ゲームの快感は、ストレスによる抑圧状態からの開放にこそあります。すなわち、レベル上げをして苦戦してようやくボスを倒した瞬間。何度も練習させられてイライラしてようやくステージをクリアした一瞬。できないことをやらされるというのは非常にムカつくものですが、初代ビートマニアの20,novemberとか怒首領蜂大往生3面ボスの厳武とかFFTのウィーグラフのように数多くのファックを叫び続けて乗り越えた快感こそがゲームです。我々は言葉にしないまでも経験則としてそれを知っています。え、ウィーグラフ楽勝?いや、あそこウィーグラフ戦の前にセーブあるじゃないですか。あそこまでにラムザ全然育ててなくてセーブしちゃったんで、涙目になりながらリトライ続けてクリアしたんですよ。ウィーグラフさんマジトラウマっすわ。

「金で楽ができる」系有料DLCのファックなところは、過去の素晴らしいゲームが教えてくれたゲームの快感の経験則を食い物にしてるってところですかね。苦労して乗り越えた先のことは既に知ってしまっているから、快感だけを買えるならば買う人もいることでしょう。

ただ、ストーリーのない快感には永続性がありません。楽して手に入れた成果って、言ってみれば興ざめなんですよね。昔のゲームの話をするときって、だいたい苦労の話なんですよ。ドラクエでレベル99まで上げた人は「レベル上げが超だるかったんだよね~」、MMOやってた人は「PKに襲われて身ぐるみ剥がされてえらい目に会ったんだよね~」とか、しんどかったぜ~みたいな話をうれしそうに語るの。

パワプロの課金アイテムが売れたとしても、それは「いい選手ができそうだったのに交通事故にあった」「2回めのダイジョーブに失敗して2時間無駄にした」過去の思い出が下敷きになっています。一方で今回の課金アイテムの体験が下敷きとなって、未来のソフト販売本数が伸びることはないでしょう。思い出のない成功体験には再現欲求がないのだと思います。

楽できる系DLCは、例えるなら北斗の拳の刹活孔みたいなもんです。刹活孔は、一時的に生命力を増幅させる秘孔ですが、寿命を大きく縮めてしまいます。トキがラオウと戦う前に突いて剛の拳を手に入れてたり、ファルコが修羅の国ケンシロウに突いてもらい瀕死の状態から蘇ってたりしてたアレです。一時的に儲かってもシリーズの寿命は大きく縮んじゃいます。ちなみに自分じゃなくて相手に突くとカウンターで星3つ奪えます。ん?ここから考えるとパワプロは自ら刹活孔を突いたわけじゃなくて、誰かに突かれた可能性もあるような気がします。でないと、操作方法を革新し、一時は野球ゲームの代名詞ともなったあのパワプロが時間を戻せるアイテムとか売るわけないですし…。たすけて~赤田のえらい人~。

ところでトキってなんだかんだ言ってしぶとく生き延びましたよね。死の灰モリモリ吸ってて刹活孔突いてラオウと流血大乱闘しているのだから、これだけで即死役満な気がしますけど。

パワプロもなんだかんだ言って長生きして、ひょんな拍子から名作が生まれることもあるでしょう。でもその時には既にパワプロブランドも地に落ちててあまり売れず「パワプロ……課金で病んでさえいなければ……」とかファンから嘆かれている未来が訪れるかもしれないでやんすね。