当たり判定ゼロ

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5年間の推移からゲーセン運営事業の今を見る

ハイスコアガールやらゲーセンで出会った不思議なキャスケットの話からもおわかりかと思いますが、ゲームの上手い女子はモテます。ですからモテたいと思う女子は、ゲームを練習するためにゲーセンに来ると良いと思います。しかし、一向にノンノあたりの雑誌もスト4特集をする気配もありませんし、化粧やオシャレよりもゲームのほうが練習という風潮は一般的ではありません。ひょっとすると、なんと、女性はゲーセンに入り浸っている男性にモテたくないと考えている可能性があるのです。マジかよ…(真顔

まぁそんなことはどうでもいいのですが、今年もゲーセン産業の概況を整理してみました。

端的に言うと、大手企業の決算からアミューズメント設備運営事業のセグメント別業績を抽出し、年次で比較して、業界全体としてのトレンドを眺めてみんとする企画です。ただ、どうしても上場企業の開示データだと大手しか拾うことができませんので、より厳しいと思われる中小・零細の事情は、また違った様相を呈しているであろうことは留意する必要があります。

これまで(昨年まで)のあらすじを簡単に説明すると、家庭用ゲーム機の高性能化・通信回線の高速化によるオンライン対戦の普及などにより、厳しい収益状況に追い込まれたゲーセン運営会社は、不採算店舗の閉鎖による撤退戦略を取ります。そのため売上高として全体的に落ち込むも、営業利益自体は増加する減収増益のトレンドを見せています。

その中でも、もっともドラスティックに撤退戦略を断行したセガアミューズメント施設運営事業は、平成21年度決算において、売上71,330百万円、営業利益▲7,520百万円、322店舗という状態にありましたが、平成24年度決算においては、売上44,608百万円、営業利益355百万円、241店舗と、大きく店舗数を減らすことで赤字脱却に成功しています。

どうしてもこれだけ店舗閉鎖ばかり目にすると儲かっていなさそうなイメージがありますが、セガだけでなくその他の企業も例外なく減収増益の傾向にありまして、外的要因として発生したマーケットの縮小に対して全体としてうまく対応している業界と言えますね。ここに至るまでの関係者の努力などは、察してあまりあるところです。

その流れを受けて今年の決算はどうだったかという話ですが、まずは、この5年間での合算売上高の推移を見てみます。

なお、スクエニだけゲーセン運営事業とアミューズメント向け開発・製造が同じセグメントに計上されているおり、運営事業のみについての傾向をつかむ上でノイズになるため、合算値から外しました。

平成23年度以降、店舗の閉鎖数が減少しており、あわせて売上の下落も止まりつつある形です。平成25年度は店舗数が増加していますが、イオンファンタジーの海外出店によるもので、国内で店舗が増加している企業はこの中では一つもありません。ゲーセンって、これほどの店舗数を持っている企業になると、装置産業であるわりには比較的スクラップ&ビルド戦略を取りやすい産業なんですよね。たとえば典型的な装置産業であるホテルなんかだと、建物に投資をしてしまっていますので、一度投資をすると撤退は難しいです。一方、典型的なスクラップ&ビルド戦略をとる産業であるコンビニやドラッグストアなんかだと、在庫の移動が比較的行いやすいので建物を賃借して、ダメならすぐに撤退というのはよくある話です。ゲーセンの商売道具である筐体は固定資産ですが、機械の売却や移設が効くのでまだその辺の足が軽く、このように撤退戦略がとれるため、ホテルみたいにニッチもサッチも行かないような状況にはならないですね。

大手と中小・零細で事情が違う、と先に述べたのは主にこの辺りの要素によるもので、中小・零細のゲーセンは逃げる先がないところが多いため、結局のところホテルのような装置産業の袋小路に入ってしまうことがあります。

昨年度までは、営業利益の合算値がキレイに右肩あがりでしたが、今年の決算では折り返しを見せています。赤字の店舗を絞って削減するのは分析の仕事として簡単ですけど、結局のところ売れている店舗を伸ばさないといずれ天井が見えてしまいます。まぁ細かいところはその企業の内部データを見なければわからないので、外からどうこう言っても仕方のない話なのですが、改革って最初は目立つところを変えて大きく成功するのだけど、だんだんやることもなくなってきて効果が薄くなってくるみたいな限界効用逓減の法則がある気がします。0点から90点に上げるのはできても、90点を100点にすることはそれ以上に難しい、みたいな話ですかね。

企業別の売上高と営業利益の増減です。ウェアハウスが大きく売上高を落としているのは東雲店閉鎖の影響でしょうか。あそこも洞窟みたいな外観が好きだったんですけどね。アフターバーナーとか大型筐体のレトロゲーもたくさん置いていて、ラインナップも気合が入っていました。バッティングセンターも入ってて良かったですね。思い出話はこの辺りにしておいて、ここ数年の傾向のように減収増益となったのはセガだけでした。アドアーズが昨年と違って利益率を落としていますが、5年前と比べるとこれでもかなり良くなっています。

こちらは企業別の店舗数と営業利益の増減です。左上の象限が「店舗減・営業利益率増加」のお決まりの場所になるのですが、今年はセガカプコンを除いてすべて他の象限にバラけているのがここ数年のパターンと異なる点ですね。とはいえ、バンナムセガが1年で1割ずつ程度の店舗数を削り続けてきた水準からすると、数字的にはようやく小康状態に落ち着いてきたと言えます。プレイヤーの現象もさることながら、最近は大型筐体のニーズが強いから、立地的に事業継続が難しいような場所もあったんじゃないでしょうか。小型のゲーセンって昔は結構ありましたもんね。ともあれ、数字からはそんな需要側の変化に対して供給側の対応が追い付いてきたとも読めるのではないでしょうか。

最後に集計のベースとなった個社の数字を置いておきます。

先般、九龍城をイメージして作られた川崎のウェアハウスが話題になっていました。あそこって外観や内装が凝っていたり、汚く見えるように作られたトイレで中国語の雑談とか黒電話のジリジリなる音がなってたり、バイオハザード6はここを参考に作ったんじゃねぇかとすら思えるような雰囲気の演出がハイレベルなのもさることながら、ATARIガントレットとか、ボタンをバシバシ叩く初代ストリートファイターとか、スペースハリアーとか、設置している筐体のラインナップも気合が入ってて良いです。床面積が広いのでレゲーだけじゃなくて新型の筐体もたくさんおいていますし、本当に良いゲーセンだと思います。どうか東雲店と同じ末路だけは辿らないようになればいいなと願うばかり。川崎店もそうですけど、ウェアハウスって雰囲気を作るための生贄として「入り口がどこかよくわからない」という代償を払っているのはゲーセンとして致命的なんじゃないかと思うのですが、そのあたりが大変好きなところです。

ウェアハウスの話ばかりしててもアレなんで、他のゲーセンの話もすると…。ええと、何かあったかな…。

ああそういえば。町田のアドアーズはメダルが500枚1,000円で買えるとかいう異様な交換レートだったので、先日久々にメダルゲームを遊ぶなどしました。というかアドアーズに限らず町田界隈のメダルの価値安すぎますよね。あの国では、メダルはクッキーみたいにどこかで数を増やし続けているのかもしれません。