当たり判定ゼロ

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一度は言ってみたい

「小僧……強くなったな……」最後に男はそうつぶやくと、剣を落とし、糸が切れたかのように膝から崩れ落ちた。

私の妄想における一度は言ってみたいランキングでは、「いい知らせと悪い知らせがある、どっちから聞きたい?」と並んで上位常連とされているこの言葉ですが、世間での人気も高いらしく、私が10人に聞いたところ1人が言ってみたいと答え、7人がどうでもいいと答えました。(ふたりからは回答がなかった)
これはつまり、日本国民1億2千万人に直すと、1200万人が言ってみたいということになります。しかし、これほど人気の高い言葉さえ我々が日常生活を送る上であまり耳にすることはありません。それは使い方を学校で教えてくれないからです。義務教育は本当に役に立ちません。
使いたいのに使えないとは、まるで横浜ベイスターズの抑え山口投手みたいな話ですが、だからといって簡単に諦める必要はありません。
今日は、「小僧……強くなったな……」をいかにして初心者でも無理なく使っていけるか考えていきましょう。

まずは小僧を調達する必要がありますが、近所の子供に声をかけただけで事案が発生してしまう昨今ですから、事は慎重に運ぶ必要があるでしょう。そもそも人間という時点で難易度が高い。本講座は初心者向けの講座ですから、懲役刑まっしぐらというのは本望ではありません。かといって小僧寿しチェーンで寿司を買ってくるというのも妥協感が高い。ここは間を取って愛らしい子猫(♂)を調達するのがベターでしょう。

次の問題として、小僧に強くなってもらう必要がありますが、言っても相手は子猫(♂)です。たとえ武天老師に鍛えてもらったところで、成長キャップはわりとすぐに訪れるものと考えられます。ここは小僧に強くなってもらうのではなく、自分が弱くなるのが望ましいといえます。

「に"ゃぁぁぁぁぁぁ!!!」しなやかな腕を振り回して獰猛な獣が男に襲い掛かる。男は、彼が獲物としている植物(ねこじゃらしと呼ばれている)を振り回し防戦する一方だ。戦いの最中、男と植物、そして獣が一直線になった。獣はその瞬間を見逃さず、飛ぶ。男は仰向けに押し倒され、胸の上で植物は蹂躙されている。
「小僧……強くなったな……」最後に男はそうつぶやくと獣はそっけなく答えた。「にゃああ」
あ、はい。すみません。明日も会社行きます。