とあるソーシャルゲームの最後の25日間戦記
先般Blogで当プロダクションの社員募集したところ、早速2名の方が入社してくださり枠が埋まりました。ありがとうございました。
しかし、最後に入社されたKaichoXさんのイベント声援ポイントが文字通り桁が違う数字で、名前もどっかで見たことがあるなーと思ってたんですけど、ふとイベントランキングみたら最初のページに名前が!一桁順位とは…ランカーさんやないですか…。安西先生の「おい…見てるか矢沢…お前を超える逸材がここにいるのだ…」という気分というか。いや、矢沢いねぇけど。松坂が地元の公立高校に入学してスーパーエースやってる感じというか。できれば長く居ていただけるとありがたいけど、プロダクション報酬の問題もあると思うんで、メジャーリーグに行きたくなったらいつでも言うんやで。
さて、「覇者を目指そうぜ!!」という挨拶ですっかりおなじみの「バトルスピリッツ 覇者の咆哮」というゲームをご存知でしょうか?
労働報酬目当てのプロデューサーの皆さんが大量流入するも、F5リロードによるクエスト強制進行が効かず、延々とボタンを押し続けなければならないという、まさに工場労働そのもののゲーム性であったため「苦行スピリッツ」という別名で呼ばれていたことはあまりにも有名ですね。
また、バトルに勝利すると「バトスピ魂」なるステータスアップ状態になり「なんでスピリッツの後に魂がつくんですかねぇ?」と誰しも疑問を覚えるような卓越した言語感覚によりプレイヤーに日本語の奥深さを教えてくれました。
そのバトルスピリッツですが、Lv40になったモゲマス労働者が去ったあと、ゴールドラッシュの終わった炭鉱のように人がいなくなり、「これ課金よりもサーバー代のほうが高いんじゃなかろうか」と密やかに心配をしていたところ…
アプリ終了のお知らせ!!
どれだけ辛い学校や部活でも、案外卒業してしまえば良い思い出に変わるものです。バトスピだって、意味のわからないメッセージ、ヤマザキパンの工場のように辛い労働時間、「覇者を目指そうぜ!!」の一種類しかない挨拶メッセージ。何もかも懐かしく、すばらしかったものであるように思えます。
ネトゲは、人生無駄にしてもいいから遊べるうちに遊んどけっていつも言ってます。コンシュマーはゲームを所有してさえいればいつでも遊べますが、ネトゲはある日突然終わってしまうことだってありえるのです。遊べるうちに遊び尽くしておくことが大事です。
考えてみればあれだけ「覇者を目指そうぜ!!」と言われてきたのですから、バトスピを遊びつくそうと思えば覇者を目指すのが自然な流れと言えましょう。じゃあ「死のうぜ!!」って元気よく誘われたら死ぬのかって言われても困りますが。
というわけで、サービス終了日も確定していることですし、せっかくなので最終日にランキング1位の覇者として称されることを目指すことにしました。
最終日の覇者はもはや更新されることのない永遠の覇者ですから、みんなの憧れと言えますし、非常に厳しい戦いとなることが予想されます。とはいえ、覇者とになるためには、まず戦うべき相手を知らねばなりません。戦うべき相手は誰なのかを調べるため、お正月以降、毎日ランキングのチェックを欠かさないようにしました。
…同じ奴しかいねぇ!!!
まさかこんな過疎ゲーに君臨している人がいるとは。バトルエナジー(攻撃力を回復するアイテム)を見ると150個も持っています。なんてこった。その気になれば150回も回復して殴れるとは。1日に150勝…。こ、こんな怪物がいたなんて…。世の中広い。
しかし、ヲチを続けていくと勝利数の落ちた1月19日にバトルエナジーの保有数が0に。なーんだ、サービス終了前に手持ちのアイテム使い切ってただけだったのか。しかし結構課金してたんだろうなぁ…なんて思っていたのですが。
1月20日に51勝。何事かと思ってバトルエナジーの数を確認すると1804個……。フリーザ様の「その変身をオレはあと二回も残している。この意味がわかるな?」じゃねーんだから。完全に絶望的な数……。しかし、もっと絶望したのはこのゲームに課金していた本人である、1804個のバトルエナジーはそんなメッセージ性を強く持っています。まさかバトルエナジーの数を見て「この世はなんて不条理なんだ」とか考えさせられるとは思ってもみませんでした。なんて奥の深いゲームなんだ。
ともあれ、これは非常にまずいことに。サービス終了前日は、副業が忙しかったのか、他のプレイヤーに覇者の座を譲ってはいるものの、依然として最終日直前に1500個ものバトルエナジーを維持しており最終決戦に備えているかのようです。
……しかし、負けられない!こちとら1ヶ月近くヲチし続けているんだ。絶対に負けられない戦いがここにある。バトルエナジーを購入するための課金はすでに不可能になっていたため片っ端から知人に声をかけてバトルエナジーをかき集め、その数87個。
しかしたった87個。87個vs1500個。圧倒的な数量差ですがやれるだけやってみるしかない。泣いても笑っても、これが最後の戦いになるのだから。
そして最終日のランキング。
か、勝った……!勝った……。
かくしてバトルスピリッツという一つのソーシャルゲームは終わりを迎えたわけですが、思えば、「覇者を目指そうぜ!!」の一択しか挨拶メッセージがなく、マイページの応援欄が「覇者を目指そうぜ!!」で強制的に埋まってしまう狂ったゲームデザインがツボに入ってゲラゲラ笑ってから9ヶ月。労働者が去り、いつの間にかWikiも404になり、イベントも無課金でちょっと走ったら2ケタ順位に届く始末。まさに過疎るソシャゲの王道、いや覇道を歩んだゲームといえましょう。それでも妙にこのゲームが気に入っていたのは、私が最後の日の覇者になる運命だったからかもしれません。
今では、なんという時間の無駄をしてしまったんだという後悔で胸がいっぱいですが、まぁゲームというものは多かれ少なかれそんなものなので気にしてはいけません。
で、勝因なんですが、ネオジオさんが面倒くさくなったというのもあるかもしれませんし「50勝くらいしておけばまぁ覇者だろ」という打算があったのかもしれませんし、そもそも興味がなかったのかもしれませんが、最大の要因は、彼とレベルの近い相手がいなかったという点でしょうね。
私も途中から気がついたのですが、みんな労働ノルマであるLv40を達成したらゲームをやめてしまうため、Lv41以上の人口があまりいないのですよ。
バトスピは、自分より一定以上レベルが下の相手を攻撃すると、一定確率で強制的に負けてしまうシステムを採用しているため、Lv50少々の私ですらバトル画面を更新しても殴れる相手が一人も出てこないということがザラでした。
Lv160もあれば、ほとんど誰も殴る相手がいなかったんじゃないですかね。この1ヶ月を見ても最高50勝くらいで留まっているのですが、それは彼と他のプレイヤーのレベル差が要因だったのかもしれません。
ソーシャルゲームで強くなる要因は金と時間をつぎ込むことですが、強くなればなるほど勝てる相手がいなくなったというのは皮肉なことです。
サービス終了の1ヶ月くらい前なんて1勝しただけで20位くらいに入れてしまう過疎っぷりでしたし、その中でほぼ1ヶ月覇者の座を守り続けたことは、モチベーション的に並大抵の事ではありません。言っちゃ悪いですが、ほんと誰も見てなかったでしょうからね。
ただ、サービスが終わらんとしているゲームにでもこんなユーザーがいた事自体はすばらしいことで。思えば、覇者とは他に替えることのできない唯一の存在。戦う相手がいなくなっても覇者であり続けた彼こそが代替できない存在、すなわち本当の覇者と言えます。彼を称賛しましょう。
ところで最終日の覇者を狙うそのためだけにバトスピをヲチし続けたこの1ヶ月弱でしたが、過疎ゲーを最後までちゃんと遊んでた人がいる一方で、物陰からコッソリ王座を奪おうという発想しかなかった私の下卑た心が対照的に浮かび上がることになってしまい、結局のところこの魂の汚れた卑しい豚めッ!!みたいな結論であり早くなんとかしたい。
バトルスピリッツ・覇者の咆哮 おわり