当たり判定ゼロ

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書を捨てよネトゲをやろう

クソ忙しくてちっともネットを見る時間が確保できずクソつまらない日々が続いています。
誰だ休ネット日を作ると人生が豊かになるとか言ったバカは!我々がこうして仕事をしている間もネットでは日々奇人変人が炎上し続けていく…(AA略 なわけで、ネットを見ないということは、通信会社にカネ払ってインターネット繋いでおきながらWEB動物園を観覧しないで帰るようなもんなので機会損失なのですよ!!パラダイスロストですよ!!…と思ったけど、炎上案件追いかけるのは時間の無駄だから、金を無駄にした上に時間を無駄にしてるようなもんでした。
しかし、この無駄が結集されて構成されたインターネットの流れを、無駄を投じて追いかけるという無駄の密集感がネットの華であるので、どんどん時間を無駄にして行きましょう。

さてそんな中、仕事上の必要性から心から大嫌いな自己啓発じみた交渉術の本などを読まされ、新興宗教的な意味で心が健やかになっており私は大変ステキな日常を送ることができています。
これ、どんな本かってーと「神性が獣性を押さえ、神性が勝っているから人間らしくなるのだ」「自分の分身として子孫が生き続けるようにする」という素敵ワードが序盤から散りばめられている内容で、まさにこんな言葉で人を説得しにかかったら「いや、うちの家は支持政党あるんで…」とか適当なこと言われて、以後腫れ物扱いですよ!一体この本は読者に何の折衝力を鍛えて欲しいんでしょうか。

ともあれ、この手のビジネススキル的折衝力は別にこのようなクソ自己啓発本を読まなくても、ネットで十分身につけることができます。具体的にはネトゲで。うん、ネトゲ。いやいやバカにしちゃいいかんよ、ネトゲ

最近のネトゲは遊んでないからどうか知らないですが、少なくともUltimeOnlineというゲームはその初期の時代において、プレイヤーによる運用の自由の余地が大きかった。鍵を盗んでお家にちょいとお邪魔したり、食べ物に毒を混ぜたり、気に入らない奴の頭にハルバードを叩き込んだりと、非倫理的行為がシステム上許されており素晴らしかったですね。もちろん非倫理的行為には赤ネームなどのペナルティがあって、無制限に行えるわけではありません。

個人的には、この手の「ネトゲの非倫理的行為問題」については、システムで不可能にしてしまうよりも、システム上は可能だけれど、実行するとペナルティが発生する社会制度設計にしたほうが面白いと思ってますね。まぁ現実と同じです。
ネトゲ上の社会制度設計で違反者にペナルティ作るのは、言ってみれば刑法を作るようなもんなので、犯罪と量刑に絶妙なバランスを設定することが求められます。罰則がなければPKありのネトゲなんて初心者殺しの殺人者だらけでしょうし、現実でも殺人で懲役1年とかだったら殺人のメリットと利益衡量してコロシやる奴たくさんいると思いますよ。ネトゲの歴史で犯罪行為自体が規制される方向に進んだのは、それを絶妙なバランスで社会の中で存在させる制度設計が難しかったからだろうなーと思ってます。もちろんどれだけペナルティを厳しくしても、垢消す前にヤケクソでPKやる奴が存在するのは止めようがないですけどね。この手のヤケクソは、現実世界でも深夜のコンビニとか郵便局に時々包丁を持ってふらっと訪れることでも知られています。んで、ログアウト。

かつてUOには、TENPAIという伝説的な詐欺師がいました。TENPAIは活動記録をネットで公開しており、今でもWebArchiveで見ることができます。エンターテイメントとして整理された詐欺は、クライム小説ばりの面白さがあって良いです。このTENPAIという人は、自ら悪人であることを自覚してて、それを恥じるところがない点が良いところですね。幻想水滸伝2のルカ・ブライトのような一貫性のある悪人といいますか。

記事の中でもっともTENPAIが腐心していたものは何かというと、それは相手を知ること、そして信頼を得ること。TENPAIはその実現のために、綿密な事前調査に加え、ターゲットとの積極的なコミュニケーションを図っています。TENPAIはこう書いています。「詐欺テクの一つのポイントなんだが、相手の気分を害さない気持ちの良いメールを何度も送ってやると、相手はこっちに気を許す傾向があるね」
取引の前に何より重要なことは、商品のことより前に自分という人間を知ってもらうこと。この説教、どっかのビジネス書に書いてても違和感ない…!TENPAIはまさにそれを実践し、成功しているのです。

最も優れた商品を売っている人というのはほんの一握りで、多くの人は「他社の商品のほうが良いんだけどなぁ…」と内心思いつつ「当社の方が良いですよ!!」と適当なこと言って、なんとか口に糊しています。誰もが望んでそうしているわけではないですが、我々は生きるために、一人ひとりが小さなTENPAIであることを余儀なくされているのです。

小さなTENPAIになることを、より円滑に実現させてくれるノウハウを公開しているのがビジネス本ですが、それだったら最初からTENPAIのマネでもしてたほうが手っ取り早いのではないでしょうか。すなわち、くだらねぇビジネス本を読んでるよりネトゲで詐欺でもしてたほうがマシってことですね。書を捨てよ、ネトゲをやろう!本代が削減できるばかりか、ネトヲチ板で晒されて有名にもなれるので一粒で二度美味しいですね!

別のゲームの例ですが、こんな話もあります。

Civilization4には、マルチプレイを遊ぶ上で、キーボードカタカタスタイルと我々が呼んでいた遊び方があります。や、というか私の遊び方なんですが。基本的にCivは自分の文明を育成するのを中心に、他国との外交関係を形成していくゲームですが、キーボードカタカタスタイルは、自国の操作は最低限に抑えて、とにかく交渉!交渉!と、他国との折衝を優先順位の第一におきます。

同盟・技術協力・挟撃・裏切をさまざまな条件をつけて各国に送りまくる様は完全にスパムメール。ただ、色々試していくと、スパムメールも段々とブラッシュアップされていき、成功率の高い提案が生き残ってくるのも事実です。
たとえばAさんには「私とBさんは同盟を組んでいます。三国同盟にしませんか?」と持ちかける。Bさんには「私とAさんは同盟を組んでいます。三国同盟にしませんか?」と持ちかける。当然地政学的に、同盟を組むことでメリットがありそうな2者を選んで話を持ちかけるのですが、これが完全な嘘を前提にしているにもかかわらず、成功率が高い。
人間、自分に都合のいい情報については、案外裏を取らないものみたいです。同盟を組む前に「りくぜんの言っていることは正しいか?」とお互い確認を取るだけで良いのに。同盟を組んだ後で「よろしくおねがいします」と送っても、嘘の前提条件が本当になってしまって意味が通ってしまうので不自然さがなくなるのですよ。もっとも、私の嘘を暴くよりも、騙されて同盟を組んだほうが得というのが背景にあるのかもしれません。

キーボードカタカタスタイルは、自分の文明がさっぱり進化しないので後々交渉ごとで不利になるというデメリットもありましたが、なぜか段々みんな私のことを信用してくれなくなるという不思議な現象もセットで付いてくるのですね。おかしいですね、いつも美味しい話ばかり持って行ってるのに!
たぶん、人は美味しい話ばかり持ってくる奴は、胡散臭いと見て信用しないようにできているのですね。だから、もしあなたのところの商品が世界一だったとしても、そればかり強調していては相手は信用してくれないのです。TENPAIはそれをよく知っていたのでしょう。んむ、何かこれもどっかで読んだビジネス本に書いてたような気がしますね。やっぱネトゲ最高や!自己啓発なんて最初からいらんかったんや!!

かくして、短期的に大きな利益を上げて長期的には関係の切れる焼畑農業のような交渉術をネトゲから学ぶことができれば、あなたは無理してクソみたいな自己啓発じみたビジネス本など読まなくとも良いのです。本屋でビジネス書コーナーに居る連中は、ネトゲも知らないオロカモノなのです。当然、会社に行くなど時間の無駄もいいところなので、今すぐ会社を辞めてそのリソースをネトゲにつぎ込めば、あなたのビジネススキルはうなぎのぼり。成功は約束されたようなものです。

なお成功した暁には、クイズミリオネアに出演したり、球団を買収しようとしたり、選挙に出ようとしなければ概ね塀の内側に落ちることはありませんので、そのようにしておくことをオススメします。