当たり判定ゼロ

シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

ゲームの感想 2019

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今年も遊んだゲームへのお気持ち表明の時間だー!
長文感想書いたやつは、ゲームタイトルにリンク貼ってます。
 
PSVR持ってるなら体験したほうがいいゲーム。基地が敵の空襲を受ける中、滑走路を飛び立つシーンをVRで体験できるのは最の高以外の言葉はない。ストーリーも好きなんだけど、あれだけキャラの立っていた懲罰部隊が序盤だけなのはもったいなかった。最後の戦いまで懲罰部隊に所属して、ハイローラー「俺はお前が勝つ方に賭けてんだ」バンドッグ「わかってるな、戻らないと独房だぞ」みたいな無線会話を聞きたかったんじゃー。
 
レイジングループ(PS4)
行きて帰りし物語」がなぜ物語のテンプレートになるくらい強いかというと、不安な場所から戻ることで読み手の心に安心感を与えるからで、そういう意味では音楽理論ドミナントコードの役割と似ている。ミステリにおける伏線も似たようなところがあって、伏線張れるだけ張って未回収で終わると読み手はモヤるけど、回収することで心がスッキリする。そういう伏線の張り方と回収ができている物語は、読後感が本当に気持ちいい。
 
ゲームは時代劇化しつつある。例えば「関ヶ原」なんて見ずともストーリーはわかりきってるんだけど、誰が演出するかや誰が石田三成やるかという演技の部分に違いを見て楽しむじゃないですか。土台のコンテクストが共通化すると、新しい表現で再体験したい欲は確実に存在して、関ヶ原のようにバイオ2も未来の技術で繰り返し何かを変えつつ再構築されて、我々は何度も目撃することになるんだよ。きっとこの先何度も楽しむことになる。
 
ゲームって本当に救いがあるなと思うのが、こういう脳みそのシワを1ミクロンも使わないで遊べるゲームが存在するところ。色々あって心折れて、考えることや動くこと、今日は何一つしたくないって日があるじゃないですか。そんな気持ちを巨大生物たちは大きな身体でど~ん!と受け止めてC40爆弾で爆発四散してくれるんですよね。なんて心優しい連中なんだ。そんな優しい連中を片っ端から駆除して回るのは……楽しい!!
 
前にも書いたけど、葦名弦一郎は人間の「諦める」という気持ちを具現化した怨念。勉強も音楽も絵もスポーツも何一つ続けらず、何者にもなれなかった人生。その人生の前には、継続することを「諦める」という壁がいつも必ず立ちふさがって来たはず。でも、挑戦してうまく行かずとも、何度も何度も何度も何度もやれば、本当はお前は狼になれたんだ、ということを弦一郎は教えてくれるんですよ。わかったらお前も明日から頑張れよ。
 
フィットボクシング(Switch)
これ読んでたらちょっとやってみてほしいんだけど、フィットボクシングから教わったのは「パンチは脇を締めて打つと良い」ということ。野球やってた頃、「脇を締めろ!」ってコーチから厳しく言われたんだけど全然できなくて。でも脇を締めてパンチ打って、ようやくわかった。脇を締めることで人間ってパワー出るわ。良いパンチ打てる。この感覚をスイングに応用すれば今からでも野球選手になれるかもしれない。待ってろドラフト!
 
プロ野球スピリッツ2019(PS4)
昔は野球ゲームを買ったら1試合1試合プレイしてペナントレースを完走することもやってたけど、今はそんな体力もなくなっちゃったな。いや、それもあるけど、今の野球ゲームが重くなったのかもしれない。例えば昔のファミスタよりもリアルさが増した分、1球1球にかける時間や必要な集中力が重くなっている。情報量が増えると人は疲れる。それをペナント1シーズン回せと言われてもしんどい。うん、そうだ。そうに違いない。
 
Call of Duty:モダン・ウォーフェアRemastered(PS4)
FPSは普段やらないんだけど、CoDだけはやってるのよね。定期的に「ステンバーイ……ステンバーイ……」の声が聞きたくなる。何回遊んでもストレスなく挑戦し続けることができて、少し進んだらチェックポイントがあるので、下手クソでも頑張り続ければ難易度ベテランがクリアできるようになっているのが良い。ある意味死にゲー的な要素がある。箱○で全実績解除するために、半泣きになりながら「マイルハイクラブ」やり続けたのが懐かしい。
 
ケイデンス・オブ・ハイラル(Switch)
「最強のコンテンツと最強のコンテンツを足したらやはりそれは最強なのか」というとそんなことはなかったという話。昔、「とんかつパフェ」というパフェにとんかつ刺したデザート?的なものを食べに行ったことがあるんだけど、溶けたクリームがとんかつに染み出してマズかった。単体でそれぞれ食べたほうが美味しいこともある。別に悪いゲームじゃないんだけど、90点と90点を掛けたら81点になったというか、そんな感じなんだよな。
 
東方鬼形獣(PC)
東方を遊んだときの感想が「楽しい」から「嬉しい」に変わってしまったのはいつからだったろうか。「今年も東方が遊べて良かった」というのはゲームそのものに対しての話では何一つないし、めちゃくちゃ失礼な話なんだけど、心のどこかでそう感じてしまうんだよな。一応Extraをサクッとクリアできる腕はまだあったけど、いつか通り過ぎた時代の何かが自分の中に残ってないかを確認するだけのゲームになってやしないか。泣きそう。
 
Celeste(PS4
雑貨屋でナイロン素材のような猫のフワフワぬいぐるみを触ると、スベスベしてて撫でてるだけで幸せになる感じあるじゃないですか。セレステはゲームでありながらその感覚に近くて、触ってる事自体が幸せそのものに直結している。言ってみれば「手触りが良い」。いわゆる「死にゲー」で、とてつもないリプレイ回数を要求されるけど、それが猫のぬいぐるみを撫でているようなものであれば、無限の繰り返しすらも幸せに含まれる。
 
生きてると、たまにバシッと自分の感性の型に寸分違わずハマってしまうゲームというは誰にだって存在する。これが好きの極北かという気持ちを味わうときがある。膨大な数のシナリオとキャラクターが用意されているのに、その全てが心に食い込んでくる強さを持つ。それにしても「これ一人で作ってんのか」の驚きは東方の神主に匹敵するし、頭も良くて知識も深く絵も描けるやじおじさんのスペックには憧れのような気持ちがある。
 
Trials Rising(PS4)
XBLAで配信された初代のTrialsからずっとやってるけど、シリーズを経るにつれて「バカさがなくなった地球防衛軍」みたいな角の取れた進化を遂げていった。「おじさんがバイクで派手にすっ転ぶゲーム」という極めて単純なコアな部分も残っているのだけれど、ゲームの構成のワンオブゼムと化してしまった感じ。一点突破の性質のものを総花的にして埋没する現象、ゲームだけじゃなく色んなものに見られるのが気になるお年頃です。
 
熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls(PS4)
くにおくんってロシアでもオマージュゲーム作られてなかったっけ?日本で育まれて、遊ばれてきたゲームが外国でも好きな人がいるのは嬉しくなるね。国も地域も宗教も、毎日食べてるものも違うけど、彼らも我々もくにおくんを遊んで育ってきたんだ。ベルトアクションを遊ぶ機会も少なくなってきたのだけれど、たまにこうして遊ぶと良い。横スクロールはいつ遊んでも脳内にストレスなく入り込むように進化し、完成されている。
 
ゲームは、厳密に言うとルール部分とテクノロジー部分に分解できる娯楽だと思うのよね。ルールというのは、将棋やトランプで言うところの駒の動き方などの「決め事」の部分。これをテクノロジーで実現したのがテレビゲームで、「ルール×テクノロジー」のどちらかの変数が変われば、新しいものが生まれる。そういう意味では、技術が進化し続ける限り新しいゲームは生まれ続ける。VRによりゲームはまた一つ前に歩を進めた。
 
Slay the Spire(PS4
「選ぶ」ことができるのが小説や漫画や映画にないゲームのいいところだと思ってるんだけど、Slay the Spireは「選ぶ」を結晶化したようなゲーム。ひたすら選び続ければ結果が提示される。ある程度自分の脳内に組んだパターンを現実に対して敷衍し続けるという点は、麻雀に性質が近くて、頭を使っているようで使っていないゲームだと思う。それだけに二日酔いの日に頭に負荷なく遊べて最適。敷居も低くて今でも定期的に遊んでる。
 
ファイアーエムブレム風花雪月(Switch)
長生きをして経験を積むことは良いことばかりではなくて、自分にとってのFEは「ベルウィックサーガを初めて遊ぶという体験」をもう一度味わうことを求める呪いと化しつつある。結論から言うと、風花雪月もベルウィックサーガではなかった。わかってる。わかってるんだけどね。ただ、ベルウィックサーガには「我が名はフェルディナント・フォン・エーギル!」と毎マップ叫びまくる奴はいなかったわけで、これはこれの良さがある。
 
おかげさまで久々に麻雀熱が高まっておりまして、FF14で麻雀の感覚取り戻して、雀荘FF14の課金代を稼ぐという良いサイクルに入りつつある。早くMahjangMasterになりたい。FF14には二種類のプレイヤーがいる。MahjangMasterをつけた麻雀の上手い奴と、麻雀の下手な奴だ。それはそうと、一期一会性の強いゲームだけに「道端でその辺の人と友達になって…」みたいな旧来のMMO的な繋がりは生まれづらいところあるね。
 
マジッ犬64(PS4
頭のネジが一本飛んだディアブロ。ゆるふわを突き抜けてシュールな絵柄のキャラが意味不明瞭な会話を繰り広げるゲームなんだけど、なぜかシステムがハクスラそのものなんだよな。レベルを上げてスキルツリーを育て、敵からレジェンド装備を拾って自キャラを強くしていくスタイル。犬のイラスト描いたパッケージで売ってるので、小さい子供連れたお母さんが誤って買う事故が起こってそう。ちなみにNINTENDO64とは何の関係もない。
 
STGでありながら感傷的な雰囲気のあるゲームで、「Raging Deside」とかボス戦の曲なのに心がうるっとくる。2018年のクリスマスが舞台なんだけど、ゲーセンで遊んでいたあの頃からは遠い未来だったのに、いつの間にかそれは去年になってしまった。ESP者は現れたのか…?ところで、ケツイの5箱もそうなんだけどコンボをステージ途中でミスってもすぐに着火しなおして稼ぎ続けられるシステム、ストレスなくて良いよね。
 
 

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今年のゲームを1本挙げろと言われれば『ハルスベリヤ叙事詩2』。リリース自体は今年じゃないですけど。
 
昔、ファミ通で「うちの兄は言葉が出てこないゲームしか遊びません」というハガキ投稿ネタがあって、ゲームというのは言葉に依存しなくともシステムで楽しさを提供できるの凄いよねって意味だと解釈しているけど、その正しさもある一方で、それだとハルスベリヤ叙事詩が遊べなくなるのだ。ハルスベリヤ叙事詩は言葉のゲーム。日本語圏に生まれたことをこれほどまで感謝したことはない。
 
ちなみに2016~2018の記録を見ると、今年の1本はこんな感じらしい。
 
 
どれも普遍性のある面白さを持つゲームで今でも名前見るだけで遊びたくなるけど、「昔のゲームをプレイしてると今のゲームが遊べなくなる問題」があって、前に進み続ける限り振り返る時間が取れないというジレンマは生まれるよね。
この手の、ずっと遊んでいきたい古いゲームが生きるにつれて増えていくというのが人生におけるリソースバランスの難しさっすね。
 
今年もあっという間に年末ですね。それでは少し早いけど良いお年を。

エオルゼアの子どもたち

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突然ですが、光の戦士に転職しました。画像はがんばって撮った谷間(景色の話です)。

FF14はじめたんすよ。
サービス開始が2010年だから9年目ということになりますけど、どうしてこのタイミングで始めたかというと、やもさん(@YarmUI)が突然パッケージをくれたからです。はい。親以外の人にゲーム買ってもらうとか、子供の頃の親戚のお兄さん以来だぞ。まさかこの歳になって買ってもらうとは想像もしなかった。ちなみに旧14も含めて初体験なので、超絶後発マンとしての雑感を語っていくぞ。

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ここエオルゼアはリムサ・ロミンサ。晴れ。
 
いやー、人が多い!! 最近MMOやってなかったんで一般的かわからないんですが、ネトゲ後発にありがちな「みんな先行してて置いてかれた感」がないの良いと思います。ネトゲの華は、祭りと喧嘩ですが、それもすべて人間の頭数あってこそ。人間がいなくていいならオフラインでいいわけで、これほど歴史あるゲームにも関わらず「新規プレイヤーの目の前に大量の人がいるようにする」というデザインを守れてるのはそれだけで涙が出る。これがネットゲームの空気、風なのだと、画面の前でも肌感覚に伝わってくる。
 

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聞いた話では、FF14ではインスタントダンジョン?みたいなのを生成して、人数が揃ったらみんなで冒険できるという仕組みらしく「それMOじゃん?」と思ってたんで、世界を旅する冒険感はないのかと思ってた。
 
全然違うやんけ!!
世界は広いし、景色は綺麗だし、新しい場所にたどり着いたときに聴くフィールドBGMは最高。行けないところに行けるようになる喜びはRPGそのもので、この手の「美しい世界をブラブラしてる感」はレッド・デッド・リデンプション2かFF14か。
 
未知の場所に行くことを肯定的に捉える性質がDNAに刻みつけられてきているために、我々はアフリカからわざわざ日本という極東くんだりまでやってきたわけで、そして辿り着いたのがエオルゼア。物理的なフロンティアは月とか火星とか一般人にはお高いところしか残ってないけど、ゲームならば精神的フロンティアの構築も余裕。誰かが作った既知の世界を未知の意識で冒険しつくせ!
 

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で、噂のお使いクエストですよ。

エオルゼアの人々は恐ろしいほどものぐさで、生活能力がなく、何をするにも他人に頼るクズ野郎ばかり。「~にこれを持っていってくれ」「~に話を聞いてきてくれ」後半になると違うらしいですが、序盤は恐ろしいほどこのクエストが続く。特に序盤で出てくる「砂の家」とかいう場所は、何度も話を聞いたりクエストを受託するために行く必要があるにも関わらず、街までテレポでワープできず、街についたらついたで「砂の家」に入るまでに2回もロードを挟む悪魔の家。何度か焼き討ちしようかと思った。
 
預かりものを背負って人から人を渡り歩く仕事、完全にUber……!!あまりに続く配達業務にブチギレてうどんを庭先に投げ捨てて帰ったプレイヤーもたくさんいるんだろうな。Uberの厳しさ、社会の厳しさを思い知らされる。配達は決して甘い仕事ではないのだ!ヤマトのお兄さんいつもありがとう。
 
話を聞いてくるクエストも、違う街とかの遠方にいる人に会いに行くのかなと思ったら、振り向いたらそこに聞くべき人が居たりする。というかお前依頼の会話聞こえてるんじゃねーのか。間にメッセンジャー置かないと直接会話できない仲悪い部署のオッサンかお前ら。
  

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そしてレベルが15を超えてゴールドソーサーに行くと本編が始まります。
FF7の本編はスノボだったし、FF8の本編はカードゲームだった。FF14は、ここからが本当の戦いだ。
 
何だかんだで麻雀だから楽しいといえば楽しい。しかし、例えば和了率や放銃率が表示されないとか過去の平均順位が表示されないとか、ハンゲや天鳳と比べれば劣るところが目立つし、特にドラ表示牌がそのままドラなのはちょっと良くないと思います。
 
FF14では、例えば一萬がドラ表示牌の場合、ドラは二萬じゃなくて表示牌の一萬そのままなんですよね。
まぁドラ自体は慣れたら何とかなるにせよ、この場合九萬が1枚足りなくなってるんですよね。本来は九萬が表示牌なので。これ打ってると忘れちゃう。というか、見えてない牌が1枚足りなくなってるというのはさすがに麻雀としてどうかと思いますよ。
 
麻雀にだけはやたら厳しい男!スパイダーマッ!
 

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実はFF14は麻雀を遊ばない人の向けにダンジョンとかも実装してたりしますし、麻雀を打つ人も半荘の合間にパーティーを組んでダンジョンに潜ることができます。

町中にいてもインスタントパーティーに応募して揃ったら即潜れるの、淡白すぎないかという気もしてたけど、慣れると便利ねこれ。ダンジョンまでの「移動時間」が削られるのは、忙しい現代人に向けた合理的な遊び方。短い時間でもサクッと遊べちゃう。
一方、それはそれで美しいフィールドがちょっともったいない気もするという惜しい思いはあるけれど。それに「簡単な集まりやすさ」がシステム化されてしまった結果、例えば辻ヒールであったりするような、道端で知らない人と関わる機会がほぼなくて、「仕組み化されていない繋がり」みたいなのが発生しづらいというのは反作用としてある感じ。
 

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そして気になるギスギス感。FF14と言えば「ギスギスオンライン」で有名だけれど、エンジョイ層だとギスギス全く無いですね。見たことない。むしろ挨拶以外ほぼ無言で進んでいくところが強いので、「一人プレイを複数人でそれぞれ遊んでいる」という感覚が一番近かった。
 
それでもどんなネトゲにも面倒くさい人は必ず存在します。というか人間だから色んな人がいる。面倒くさい人だって、そりゃ中には時々いるさ。ケアルが遅かったり、ギミックを把握していなかったことで怒られることもあるかもしれない。
これ運営素晴らしいなと思うポイントで、そんなときに備えてFF14では「私は日本語が話せません」という会話の定型文が用意されていて、ボタン一つで外人のフリができるようになっているんですよね。
 
「お前、なんでちゃんとタンク回復しないの?今のお前のせいだぞ」
「私は日本語が話せません」
「何回同じ攻撃食らってるの?やる気あるんだよね??」
「私は日本語が話せません」
 
ボタン一つで全ての揉め事が解決する。本当に魔法のような機能だ。
 

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自分はPS4で遊んでるんですけど、正直言ってこれまでの経験からしてコミュニケーションの必要なネトゲはPCに限る!って思ってたんですよね。
これも余裕で誤解でした。「私は日本語が話せません」に代表される会話の定型文も用意されてるんですけど、だいたいコミュニケーション自体がほぼ必要ない。もう言葉は要らないのか、ってくらいいらない。「よろしく」と「ありがとうございました」くらいならPS4のコントローラーでも打てますし。
 
PS4で遊ぶネックと言えば、デカイ街に入ったときにちょっとローディングが長いくらいですかね。これもHDDをSSDに換装したら解消されるらしいですけど、スマホでいくらでも時間潰せる現代にはその程度のローディング屁でもなかったりしますね。
 
ちなみに麻雀やってると相手がPSかPCか観察できて、体感で1:1くらいな感じです。わりとみんなPS4でMMO遊ぶことに抵抗ないんすね。新規ユーザーだと名前の前に若葉マークつくんですけど、これも結構多い。ダンジョン入っても「初めてです~」と声かけてきた人も一度や二度じゃないレベルで見たし、未だに人の流入ある感じなのは同じ新規勢として気持ち楽だった。
 

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ゲーム音楽大好きっ子として言っておきたいのは、FF14はBGMが良いゲー。そしてフィールド音楽大好きっ子として言っておきたいのは、FF14はフィールドBGMが良いゲー。
 
「冒険してる感」ってフィールドの見た目も重要であり、そしてBGMも同じくらい重要なんですよね。これらを共に摂取して自分の魂の中で消化されてふわ~っと混ぜ合わさったとき、景色が最強に見える。まだ最序盤なんだけど、後半はどんどんBGM増えてくるらしいです。Spotifyでチラッと見ただけで300曲以上はある。ワンダフル。
音楽のネタバレを防止するために、序盤以外の音楽は聞かないようにしてますが、これ早く全部開放して自由になりたいです。
 

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アクティブは今現在でも100万人超えていて、うち日本人は半数にも満たないくらいだとか。とすると日本人でアクティブ40万人くらい?FF14がビジネス的に成功しているというのは有名ですけど、今どきどこでも遊べるスマホゲーでもなく、ちゃんと起動して遊ぶ必要のあるゲームがアクティブ40万というのは多い。
 
アクティブで40万だとすると、ネトゲの離脱率を考えると遊んだことがある人は100万人を超えてくるのかもしれない。今このとき、日本に暮らす人々のうち100万人が同じコンテクストを持つエオルゼアの子どもたちとして社会でともに暮らしているというのはすごいことですよ。
 
日立グループの連結従業員が約30万人なので、将来老人ホームに入り、これから一緒に生活していく人と話すとき、「拝承」とか言ってるよりも「ヤ・シュトラたんハァハァ」と言う方が「だよな」と意気投合する確率が高いわけですよ。
 
ゲームを遊ぶことは、今を楽しむことだけでなく未来へお土産話を持っていくということでもあるわけです。何十年かしたらいつか一緒にエオルゼアの話でもしましょう。

野球賭博2019 反省会

今年のシーズンの振り返りをしていく落ち穂拾いです。シーズン開始前の予想はこちら。データは基本的にDeltaから拾ってます。

パ・リーグ

1位 埼玉西武ライオンズ(予想順位:4位)
菊池が抜け、浅村が抜けた。それは確かに痛かった。総得点は減って、総失点は増えた。それでも優勝したのはライオンズだった。野球というスポーツは「どの守備位置を守る選手も均一に攻撃に参加しなければならない」点に特徴があって、守備的要素が重視されがちなセンターラインの選手の攻撃力が強いことはストロングポイント。森・外崎・源田・秋山とオールスター級がセンターラインを固める西武は浅村が抜けても強かった。衰えの兆しがあったおかわりがスタイルチェンジして3割近く打つの予想外すぎるのと、途中加入のニールが上積み要因。ニールは指標が悪いのでさほど良い投手ではないと思うけど、西武では普通にイニング食ってくれるだけで十分。オフシーズンは秋山の流出が確定と早速のマイナス要素で来季の天気は曇り予報。とにかく選手の流出の多いチーム。西武ドームの労働環境悪すぎるのでは。冬は寒くて夏は暑い職場は誰だって嫌ですよ。
 
2位 福岡ソフトバンクホークス(予想順位:1位)
ソフトバンクがこけるとしたら代えの効かない柳田の故障くらいだろうと思ってたら、本当にシーズン開幕直後に柳田が故障した。総得点がリーグ4位の582点、総失点はリーグ1位の564点で、優勝が最後の最後までもつれたことを考えると、故障した柳田とシーズン途中で帰国したグラシアルが規定打席立っていれば余裕で優勝していたのではと思わされる。現にポストシーズン入って完全体になってからは日本のどの球団と比べても頭一つ抜けて強かった。思うんだけど、DHの有無もさることながら、こういう絶対的なチームがあるとリーグのレベルは上がるんじゃないか。松坂がいた頃の横浜高校は強かったけど、その横浜高校を倒すために全国の高校が練習して屈指のハイレベルな甲子園になったし、この手の倒すべきターゲットとなるチームがあると、マラソンのペースメーカーみたいなもので、引っ張られて全体のレベルが上がる現象が起きるんじゃないか説。
 
3位 東北楽天ゴールデンイーグルス(予想順位:2位)
新加入の浅村とブラッシュは一流選手としての働きを見せてくれた。ホームラン30本打てる選手が2人増えたという戦力の上積みは大きく、得失点差はリーグ2位。もう一息で優勝に手が届く戦力はあったはず。それが届かなかったのは、ダブルエースの岸と則本が両方離脱してともにシーズン半分ちょいしか出れなかったことが大きい。則本も丈夫な投手だけど、2018年に3000球投げた則本と菅野が両方離脱したのはやはり球数の負担の重さなんですかね。選手の給料にも関わってくるから難しいのだろうけど、優勝に望みのないシーズンはエースの酷使を控えて来シーズンに備えたほうがいいんじゃないかとすら思わされる。とはいえ、総じて戦力は整っているので全員が健康であれば強いチーム。あとの課題は捕手か。ところで和田恋と古川侑利のトレードは今シーズン最大のサプライズ。古川侑利は二軍の指標が圧倒的な投手なのでトッププロスペクトかと思ったんだけどな。
 
4位  千葉ロッテマリーンズ(予想順位:6位)
西武に8勝しかしないのにソフトバンクに17勝キメた西武優勝の立役者。さすがに偏りが続くことはないだろうし、来季はある程度揺り戻しがあることを考えると、今季はロッテが開けた一筋の穴を西武が通ってみせたシーズンだったと言えるのかもしれない。新外国人のバルガスは穴の多い選手でOP戦見てもハズレ臭凄かったけど、あまりに悪すぎて100打席で切れたのは良かった。一方で、ハムが見切ったことで賞味期限切れてた疑惑のあったレアードが開幕から大爆発。終盤ガス欠して、結局打率.248HR32本という例年レアードに収まったけど。それと、故障しない荻野というのがここまで凄い選手だったとは。三振率も10%程度でBB/Kも0.71と高く、指標を見ても文句なし。ただ通年計算していいのか悩ましいのが荻野やね。投手では、種市とか去年のイースタンの成績もわりと普通なのに一体どこから生えてきたんだ。先発で奪三振率10超えはかなりのモンでしょ。
 
5位 北海道日本ハムファイターズ(予想順位:3位)
西川遥輝と近藤健介という鬼出塁マシーンがいるのにクリーナー側の選手がどうもパッとせず、攻撃力を発揮できなかった。翔さんが打率2割4分程度なのはまぁそんな選手だともうわかっている話なのでいいとしても、最大の計算外は王柏融なのでは。正直私も王柏融は本物で3割打つバッターだと思ってた。王柏融のミート技術の高さは台湾で毎年のように4割を打っていたことで証明されているし、高いレベルのリーグでも実力は発揮できるだろうと思ったけど、その考えは逆で、ミート力こそがリーグの違いに最も影響される要素だった。野球は投手と打者の相対的なスポーツやかんね。思えば松井がヤンキースに行って成績を落とした原因も投手のレベルの高さのせいに他ならなかった。あと投手の計算外はマルティネスで文句なしでしょう。まさか1球たりとも投げてくれないとは。レアードを切る余裕はなかったが、清宮に与えた278打席が未来に繋がると信じるしかない。
 
6位 オリックスバファローズ(予想順位:5位)
やっぱ山本由伸は凄かったね。ウェスタンで防御率0点台は伊達じゃない。単純に球が速くてコントロールが良いという基礎的なところがあるだけで投手は強い。加えてカットボールやフォークの変化度も大きく、画面で見てても速いボールが大きく曲がってるし、ピンポン玉でも投げてんのかとすら思うくらい。ただ、投げるときにカクッとなるフォーム見てるとめっちゃ壊れそうでそれだけが不安。一方で打者は吉田正尚が抜きん出ている。シーズン序盤で成績悪かったけど、三振多いわけでもなかったしアンラッキーが続いていて指標的にはそのうち揺り戻しが来る感じだった。こちらも技術的には抜群ながら腰の故障だけが怖い選手。それにしても山本由伸と吉田正尚という日本トップクラスの選手を抱えながら、トップ層とレギュラー層の格差が激しすぎないですかね。見方を変えれば、補強で手に入らないレベルの選手を抱えているから強くなりやすいチームとも言えるかも。
  

セ・リーグ

1位 読売ジャイアンツ(予想順位:1位)
セはダントツの野手戦力を誇るカープから丸が抜けたので、戦力均衡に近くなって面白くなると思ってたけど、案の定ペナントは最後までもつれた。ただし、巨人が強いというよりカープが弱くなったことによる均衡なんすよね。田中俊太や若林がレギュラー張って小林や投手が打席に立つ打線はどう見てもパリーグより何枚か落ちる。一方、投手は桜井や今村でローテが回り、防御率4点台の田口が毎日のように投げ、クビ寸前だった大竹がリリーフで大車輪の様相は、どこかジャイアンツ球場を感じさせる味わいがある。カープが弱くなった?それだけでは言葉が足りなかった。セリーグが弱くなった。だから巨人が優勝した。ところで日本シリーズの第2戦と第4戦で山本がエラーしてともに決勝点となったセカンドとサードは、シーズン当初の目論見が外れた吉川尚輝とビヤヌエバのポジションだったのは象徴的で、塞ぐべき穴はここにある。積み残した宿題はわかりやすい。
 
2位 横浜DeNAベイスターズ(予想順位:3位)
フルシーズンではないにせよソトをセカンドで使うことによって長年の懸案事項だったセンターラインの弱さに一応の応急措置ができた。宮崎が骨折するという非常事態も筒香が無難にサードをこなすことで解決。そうするとレフトで佐野が使えるしと、野手陣のウィークポイントには一応の整いがあったけど、ロペスが想像以上に衰えていた。30本以上ホームランを打つ打者であっても、さすがに出塁率が大和以下では得点への貢献度は高くない。筒香MLBに行く来季は、これまでと違い攻撃力不足に悩まされそう。投手陣も東が恒例のベイス左腕2年目のジンクスでほぼフルシーズン使い物にならない等、先発の駒不足が顕著。防御率5点台の大貫や京山が一軍の先発で出てくるのを見てるとよくこれで2位に入れたなと思うほど。実際得失点差はマイナスなのにこの順位はエスコバーをフル回転させて接戦取りまくって来た結果であり、最後は完全にガス欠になるまで戦った。
 
3位 阪神タイガース(予想順位:4位)
シーズン最終盤で6連勝キメて3位に滑り込んだのはお見事。ベイスターズとのCSも接戦ばかりで熱かった。ファーストで全ての力を使い果たしていたので、ファイナルはオマケみたいなもん。西・ガルシアと補強して甲子園をバックにリーグ屈指の投手陣を作り上げたけど、打たせて取るタイプのガルシアに阪神の守備をバックにするのは向いてなかった。ところで2019年の阪神といえばリリーフの強力さでしょう。50イニング投げた投手だけ限定しても、藤川1.77、ピアースジョンソン1.38、岩崎1.01、島本1.67、ドリス2.11と超低防御率がズラリと並ぶ。枚数の厚さも検討材料に加えるなら、近年どころか史上最強のリリーフ陣の一角に数えられる。特にPJは奪三振率13.96とクッソ高いのに四球も出さないのでK/BBも7.0あるし、Whipも0.80とランナーも出さない鉄壁っぷり。あのパワーカーブは日本で投げる投手がいないので一種の魔球のようになってしまった。
 
4位 広島東洋カープ(予想順位:2位)
2位までわずか1ゲーム差だったわけだし、ほんの僅かな何かがあればひっくり返っていた差だった。バティスタが普通にシーズン出場していたならば。明らかにぶっ壊れてストライク投げられなくなってた岡田明丈や薮田を登板させて2人で4敗しなければ。フランスアが僅差で失点して効率よく負けなければ。というかバティスタの出場停止とか、あれだけ安定してた田中広輔が2割も打てないとか、野手陣には不測の事態が起こりすぎた。一方で投手陣は勤続疲労の選手が多く、前年までも右肩下がりで来ていたので成績の悪化はある程度予想されていた。一岡・今村・中崎と3連覇を支えたリリーフ陣が見事に壊滅。前述の岡田や薮田はイニング数と与四球数が変わらないレベルのノーコンまで落ちてるし、往年の投手陣はもういない。田中広輔が復調して、一塁を守れる強打の外国人でも獲ればストロングポイントの野手陣は復活するので、投手陣の再整備が急務か。
 
5位 中日ドラゴンズ (予想順位:6位)
チームとしての強みは明確に野手陣の守備力にあるんだけど、このあたりの可視化がされたのがセイバーが普及した効果やね。ちょっと前だと京田はともかく平田や高橋周平の守備力の高さとか気が付かれなさそう。とくに平田は体型からするとスラッガーに見えて守備が良さそうに思えないし。けど毎年守備指標が安定して高い不思議な選手。投手陣では口から生まれたサウスポーこと大野雄大が復活して、前年の防御率8.56から突如最優秀防御率に。犬猿の仲の朝倉コーチが抜けた効果がここまで大きいとは。人間は「士は己を知る者の為に死す」という言葉にあるとおりの生き物だけど、その逆の自分を邪険にする上司がいる職場で十分に力を発揮することはできないわけですよ。あと、ドラフトで石川昂弥が獲れたの今後のチームにとってかなり大きい。ボールへのコンタクト能力だけじゃなくて選球眼も高校生としては群を抜いてる。すごい打者になるはず。
 
6位 東京ヤクルトスワローズ(予想順位:5位)
山田哲人という稀代の名選手をセカンドに抱え、上位打線の青木は.385という高出塁率を記録し、バレンティンは相変わらずの強打で、19歳の村上までもが36本打って、最下位というのは何かの間違いか。セ・リーグ三大魔境の一つ神宮球場でフライボーラーの高梨を獲ったあたりからも怪しかったけど、案の定投手陣の整備に失敗。リーグ唯一のチーム防御率4点台、それも4.78というダントツの最下位に終わった。特に去年一皮むけたと思った原樹理がバッピと化して3勝止まりで終わったのは痛かった。本来は石川雅規ではなくこれくらいの世代の選手がローテの中核を担わないといけないはず。先発がどうしようもなさすぎて、毎日のようにハフマクガフを見てた気がする。悪い話はこれくらいにして良い話をすると村上ですよ。ウイポで「超大物」のコメント出てるタイプだとは前にも言ったけど、ずっとNPBにいたら彼は一体何本のホームランを打つのだろうか。
 
 
いやー、今年も全然当たりませんでしたね。ただ、セ・リーグの優勝は広島の三連覇から巨人の復権まで4年連続で当てているので来年当てればWIN5です。ただヤクルトとか当てたわけではないので低倍率だ。
 
2019年、心にダメージを受けたオブザイヤーといえば、阿部慎之助の引退でした。
あの阿部が引退ですよ。それは確かに現実なんだけど、なんというかリアリティがないよね。というのも、パワプロのオートペナントを回してて阿部が引退する頃って、徐々に架空選手がスタメンで出始めるくらいの時代なんですよ。彼ら架空選手が出てくる時代に、実際の時間が追いついてしまった。そうなると、事実がどうにも嘘っぽく感じられてしまう。我々は今、架空選手が出てくる時代を生きてるのだとパワプロ脳が現実をオーバーレイしてしまう。ホントの現実はどこにある。
 
それ考えると年寄りってすごいよな。年上どころか同世代の有名人がバタバタと死んでいって知らない若い人でこの世が埋め尽くされていったら、現実が認められなくて精神を安定的に保てる気がしないですよ。

新時代のVRノベル『東京クロノス』のために今すぐPSVRを押し入れから出すんだよ

我々凡庸な人間は物語の主役のように生きることはなかなかできないため、ナチュラルに日々を過ごすと人生がクソになりがちなことには留意しなければなりません。それでも少しは楽しく生きるために、工夫する方法はいくつか存在します。
 
1つは、ストックとしての考え方で、記録を取ること。
「とにかく何でもいいからスクリーンショット取っとけ」とは、事あるごとに言っている気がしますが、スクリーンショットはリアルにおける写真のようなもの。例えば1980年代の秋葉原を切り取った写真は2019年の今見ると面白いですし、もし子供の頃に友達の家に遊びに行ってロックマンとか交代で遊んでたときの写真とか残ってたらそりゃもう涙でディスプレイが見えなくなること請け合い。
 
そしてスクリーンショットもまた我々が生きた証。
ネトゲで祭りに偶然居合わせたときのスクリーンショットや、ラグナロクのモロクで座ってギルメンと喋ってたときのスクリーンショットも写真と同じように古い記憶と結びついて感情を揺さぶります。ともに時間というフローをその時点の記録というストックに変換したもので、切り取ったその瞬間からワインのように醸造していくわけです。今でさえ、昔のネトゲスクリーンショット眺めてるだけでめっちゃ楽しい時間過ごせるもんね。
さらに数十年して、あなたがおじいちゃんおばあちゃんになったとき、若い頃のクソみたいな日常が最高の娯楽に化けているわけですよ。
 
なのでスクリーンショットは取っておくと良いです。ゲームに限らずとも、友達との何気ないLINEのやりとりでもいいです。Twitterの適当な瞬間のタイムラインでもいい。それはいつか、計り知れない価値に変わりますから。
 
一方で、人生を楽しく生きる工夫のもう1つを挙げるとすれば、それはフローとしての考え方で、時代が生み出す新しいものに接し続けること。
 
言い方は悪いですけど、2018年に死んだ人は、2019年に生み出されたものを楽しむことはできないんですよね。人生がつらく、「俺に、俺に生きている実感をくれぇぇぇぇぇ!!!」となったら、答えは2019年のイノベーションを遊ぶしかない。それは2019年を生きているあなたにだけ許されている権利です。それもまた生きている証なのです。
 
そんなわけで今日は『東京クロノス』の話なんですが、なぜかというと東京クロノスこそは2019年のイノベーションなんですよね。そして一つの確信を与えてくれます。やはり今我々が生きているこの時間は、いつか夢見たSF的未来に片足突っ込んでいる時代に差し掛かっているのだと。
 
東京クロノスは、CAMPFIREでクラウドファンディング案件として資金が集められ、2019年3月にSTEAMでリリース、8月末にはPSVRでリリースされたVR専用ゲームです。まぁ当初の目標額2.5百万円で、実際集めた金額8.1百万円ですけど、そんな金額でこのゲームが作れるわけがないので、プロモーション的な側面もあったのかと思います。
 
イノベーションの一つのパターンとして「新しいテクノロジーと従来の枠組みの組み合わせ」があると思いますが、東京クロノスはVRのテクノロジーと従来型のアドベンチャーを組み合わせたものです。
アドベンチャーといえば、伝統的にプレイヤーをその世界に没入させることに苦心してきたジャンル。世界に入り込めないエロゲなんてエロシーン見ても心が死んでしまうだけですし、いかに熱いバトルシーンがあってもキャラクターに興味が持てなければ文字が流れているだけ。出来不出来も没入感次第。一方で、「没入」というところに焦点を置いたからこそ、それを逆手に取ったever17という名作も生み出されました。
 
かように「没入」をテーマとして悪戦苦闘してきたアドベンチャーゲームが「没入」そのものであるVRとの相性が悪いわけないんですよね。まさにこれ以上ないほどピンズド補強と言えましょう。
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「私は死んだ。犯人は誰?」
ミステリアドベンチャーである東京クロノスの作品を貫く謎として序盤に提示されるメッセージですが、序盤に渋谷の商業ビルに「デーン!」と表示されて、登場人物とともに「おおっ!」と驚くことになる。だいたいメッセージ自体キャッチーだし、平面画像だと全然伝わんないと思うけど、VRだと結構ビッグで壮観な光景なんですよね。
渋谷歩いてたらいきなり商業ビルに「私は死んだ」とか表示されたら誰でもビビりますけど、そんなフザけた体験をリアルな肌感覚として押し付けられるのがVRの強み。これが普通のアドベンチャーゲームだったら、ただ物語のヒキとして没入させるだけのメッセージが、空間としてのリアリティを持って迫ってくる。
 
「そうだ。お前はゲームの世界の一人として、ここにいるのだ」という説得力は、ただのメッセージウィンドウを読んでいたあのときの比ではないわけで、やはり我々は「眼」で世界を捉えて生きているということの実際的な裏付けをVRが行ってくれたのだと理解するわけです。
 
そうしてディスプレイの外から物語を見るのではなく、今そこで起きている物語の中に入るという肌感覚への転移が行われます。右から声をかけられる一方で、左では別のキャラクターとキャラクターが話していたりする現実感の説得力ですよ。そうだ、お前は今、渋谷にいるのだ。
その世界の物語体験の質を高めるためには、やはり情報量の強さは大きい。インターネットも徐々に情報量の多い動画コンテンツにシフトしているし、どれだけアダルトコンテンツが充実しても風俗がなくならないのは、生身の人間の持つ情報量の多さがその要因に他なりません。人間は情報量が多いもののほうが好きですし、そういう風に作られているのです。情報量の多さは正義!
 
ただし、アドベンチャーの原点である「文字を読む」という読書体験を残しているのが東京クロノスの良いところ。
ゲーム中においては、目の前の空間に浮かび上がってくるテキストボックスを読むのが主たる行為となるけれど、自分がボタンを推してページめくりをする従来のモデルなので、自分の読みやすいペースで読み進めることができます。それにVRがついてくるわけで。
 
このゲームは、例えるならば「肌で感じられる読書」という表現がもっとも近い。
  

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――この中に動機のない人間がいる。
その答えに気がついた時、全員が自分をサッと向く瞬間、ドキッとする。
 
人間って、なぜか視線に弱いですよね。思い出しませんか?小学校の学級会で女子に糾弾されてクラス全員から見られていたあのときのことを。そんな経験ない?そうか……。
であれば、満員電車で痴漢して全員に睨まれているときのことを想像してみてください。痴漢はしたことなくとも、そのいたたまれない空気のことはなんとなくわかりますよね。痴漢したことあるからわかる?マジか……。
 
いずれにせよ、人間は視線に弱い。それが糾弾されるようなものであればなおさら。その生理的弱点をVRを使って攻めてくるとは恐るべし。そういう身では、不安・恐怖・不快などのネガティブな感情をも与えられるというのはVRの強みの一つ。場合によっては苦痛すらも与えられるでしょう。
 
VRの最適な用途は何か?」と言われると、迷いなく「拷問」って答えますけど、技術が「人道的な」拷問に使われる未来は確実に訪れるだろうし、米軍とか絶対そういう研究してそうという無駄な確信はあります。
東京クロノスに、そうしたプレッシャーを掛けてくるようなシーンはそう多いわけではないですけど、全員がハッとこっちを向くシーンではやはりドキッとするわけです。そういう心のゆらぎを作ることこそが、読書に肌感覚を付与した意味。読書という行為は、ある程度の想像力と感受性を読み手に要求するところがありますけど、VRならばそこの要求水準がないというところが強みですね。逆に弱みは装着するのが面倒くさいというところなんですけど、その辺は誰か賢い人がそのうち現れて時代が解決することでしょう。マーケット的な話をすると、その時までVRキャズムを超えることは決してないと考えているんですが、いつか訪れるその時のために頑張ってほしい、賢き人よ。
 
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細かいところを言えば、背景のパターンが少ないとか、キャラが不自然にデカく感じるシーンがあるとか、チラチラ挟まるロードが気になるとかありますが、まぁ些細なレベル。それよりも、アドベンチャーVRを組み合わせたこの先に、確かに道が続いていることを示して見せたことのほうが大きい。
 
スーファミやプレステを遊んでいた頃、遠い未来が訪れたら、頭に金属製の円球みたいなのを被って「ダイブ!!」的なことを叫んでバーチャルリアリティの世界に飛び込んで冒険するRPGができたりするんだろうなぁと想像したりもしていましたが、今その未来への入口に来ているんでしょうね。さらに数々の魅力的な世界が生み出されるのが待ち遠しい。脳だけ培養液に漬けられて架空の世界に生きる日も近い。
 
我々は、東京クロノスにおける「渋谷」という独立した世界がそこに存在することを実感として持ち、自己をその中に没入させることができると知っているわけです。VRのヘッドセットを付ければ「渋谷」に入れるし、外せばこの現実に帰ってこられる。「渋谷」はそこにある。「渋谷」へ行こう。必要なのは山手線ではなく、PSVRだ。
 
知ってますよ。あなたの部屋の片隅に、PS4本体から抜かれたPSVRがホコリを被りながら置かれていたことを。そしていつしか押入れにしまっていたことを。いいから今すぐPSVRを押し入れから引っ張り出すんだ。
 
2019年を生きている実感はここにあるんだよ。
 

ケイブとアドアーズ

1967年12月
ゲーム機設置営業を行うことを目的として(株)シグマが設立される。この会社は、後に「アドアーズ(株)」と社名を変更することになる。
(以後、社名は初回に登場するときのみ(株)をつけて記載する。人名は敬称略)
 
2009年~2012年
アドアーズ(株)は、(株)Jトラストと資本提携。第三者割当増資等により、Jトラストが筆頭株主(親会社)となる。
 
2017年
アドアーズは、子会社としてアドアーズ分割準備(株)を設立し、不動産、店舗サブリース事業及び管理部門以外の事業をアドアーズ分割準備に承継させる。
そのうえで「アドアーズ」は「(株)Keyholder」に社名変更し、「アドアーズ分割準備」は「アドアーズ」に社名変更。
 
2018年3月
Keyholderは、アドアーズ(旧:アドアーズ分割準備)の株式を(株)ワイドレジャーへ売却。ワイドレジャーは、ゲームセンターの運営事業を行う九州の法人。
つまり、法人格としてのアドアーズは、Keyholderとして名前を変えて生き残り、中身のゲーセン運営事業が売却されることとなった。
 
2018年6月
Keyholderは、秋元康等3名に第三者割当による新株予約権を発行。同時に秋元康を特別顧問に招聘。
行使価格は125円で、100%行使するためには株価が260円を超えなければならない。このとき、差額の135円×32百万株=約43億円が秋元康等の利益となる。一方、株価が62.5円を下回った場合、125円で新株予約権を行使する義務が生じる。このとき、差額の62.5円×32万株=約20億円が秋元康等の含み損となる。Keyholderの業績を向上させることが秋元康等のインセンティブとなる仕組みである。
いずれにせよ、新株予約権が行使された場合、秋元康は(株)Keyholderの議決権比率14.6%を保有する株主となる。
 
2018年11月
AKBグループを運営する芸能プロダクション(株)AKS代表取締役社長:吉成夏子)は、KeyholderにアイドルグループSKEを30億円で売却。
 
2018年12月
Keyholderは、(株)ケイブに4.5億円を第三者割当増資により出資(取得単価591円 76万株)して株主となる。
 
2019年3月14日
AKS代表取締役の吉成夏子が第三者割当増資によりケイブに約8億円を出資する(取得単価734円 110万株)とともに、(株)オカキチの代表取締役岡本吉起が同じくケイブに約2億円を出資する(取得単価734円 30万株)ことを発表。
同報道を受け、ケイブの株価は3月14日時点の784円から3月20日には1,362円まで急騰。
 
2019年3月~4月
Keyholderがケイブ株の売却を進める。4月16日には主要株主に該当しなくなった旨のプレスリリース。4月16日時点では36万株が残っているが、5月31日の決算時点では16万8千株となっており、継続して株式の売却が進められた。
当初の76万株から16万株までの正確な平均売却価格は不明だが、仮に4月16日時点の終値960円として計算した場合、取得単価591円との差額である369円×60万株=2.2億円をわずか4ヶ月で資本市場から抜いたことになる。
 
2019年4月26日
吉成夏子と岡本吉起によるケイブに対する10億円超の第三者割当増資が実行される。
なお、吉成夏子は増資にあたってAKSから8億円の借入を行っている。お金に色はないので正確に紐付けられるわけではないが、AKSがKeyholderにSKEを売却した30億円がその原資と思われ、結局このカネの出どころも元を辿ればKeyHolderのように見える。
 
 
一連の流れがどこまで意図的に引き起こされたものかはわからないが、今のところの勝者はKeyholderであり、敗者は資本市場の誰かだ。
Keyholderが出資してすぐに売却した60万株を、結局のところ誰とも知れぬ株式市場の参加者が高値掴みさせられた形になっており、その過程で利益が抜かれているからだ。あるいは子会社のアドアーズをKeyHolderと変えて今も支配しているJトラストこそが真の勝者なのかもしれない。
 
KeyHolderの小銭稼ぎをアシストした吉成夏子と岡本吉起の勝敗はこれからのケイブの業績次第。3月14日に第三者割当増資が発表された際に、資金使途として示された新作ゲームについては今のところまだ何の音も聞こえてきていない。
 
ケイブアドアーズという、かつてゲームセンターに設置するSTGを作っていた会社と、ゲームセンターを運営していた会社が、時代を経てこうして資本の出し入れに使われるハコという全く違う関係性において再び結びつくのだから運命とはわからない。
まぁ、アドアーズは精神が乗っ取られて身体だけが利用されているのだけれど。
 
一方、会社がそのような動きをしている中、ケイブ社員はIKD像を京大の折田先生像みたいにコスプレさせて遊んでいた。
 

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ちなみに、IKD像は会計上は固定資産として減価償却処理されているそうです。