当たり判定ゼロ

シューティング成分を多めに配合したゲームテキストサイトです

ケイブとアドアーズ

1967年12月
ゲーム機設置営業を行うことを目的として(株)シグマが設立される。この会社は、後に「アドアーズ(株)」と社名を変更することになる。
(以後、社名は初回に登場するときのみ(株)をつけて記載する。人名は敬称略)
 
2009年~2012年
アドアーズ(株)は、(株)Jトラストと資本提携。第三者割当増資等により、Jトラストが筆頭株主(親会社)となる。
 
2017年
アドアーズは、子会社としてアドアーズ分割準備(株)を設立し、不動産、店舗サブリース事業及び管理部門以外の事業をアドアーズ分割準備に承継させる。
そのうえで「アドアーズ」は「(株)Keyholder」に社名変更し、「アドアーズ分割準備」は「アドアーズ」に社名変更。
 
2018年3月
Keyholderは、アドアーズ(旧:アドアーズ分割準備)の株式を(株)ワイドレジャーへ売却。ワイドレジャーは、ゲームセンターの運営事業を行う九州の法人。
つまり、法人格としてのアドアーズは、Keyholderとして名前を変えて生き残り、中身のゲーセン運営事業が売却されることとなった。
 
2018年6月
Keyholderは、秋元康等3名に第三者割当による新株予約権を発行。同時に秋元康を特別顧問に招聘。
行使価格は125円で、100%行使するためには株価が260円を超えなければならない。このとき、差額の135円×32百万株=約43億円が秋元康等の利益となる。一方、株価が62.5円を下回った場合、125円で新株予約権を行使する義務が生じる。このとき、差額の62.5円×32万株=約20億円が秋元康等の含み損となる。Keyholderの業績を向上させることが秋元康等のインセンティブとなる仕組みである。
いずれにせよ、新株予約権が行使された場合、秋元康は(株)Keyholderの議決権比率14.6%を保有する株主となる。
 
2018年11月
AKBグループを運営する芸能プロダクション(株)AKS代表取締役社長:吉成夏子)は、KeyholderにアイドルグループSKEを30億円で売却。
 
2018年12月
Keyholderは、(株)ケイブに4.5億円を第三者割当増資により出資(取得単価591円 76万株)して株主となる。
 
2019年3月14日
AKS代表取締役の吉成夏子が第三者割当増資によりケイブに約8億円を出資する(取得単価734円 110万株)とともに、(株)オカキチの代表取締役岡本吉起が同じくケイブに約2億円を出資する(取得単価734円 30万株)ことを発表。
同報道を受け、ケイブの株価は3月14日時点の784円から3月20日には1,362円まで急騰。
 
2019年3月~4月
Keyholderがケイブ株の売却を進める。4月16日には主要株主に該当しなくなった旨のプレスリリース。4月16日時点では36万株が残っているが、5月31日の決算時点では16万8千株となっており、継続して株式の売却が進められた。
当初の76万株から16万株までの正確な平均売却価格は不明だが、仮に4月16日時点の終値960円として計算した場合、取得単価591円との差額である369円×60万株=2.2億円をわずか4ヶ月で資本市場から抜いたことになる。
 
2019年4月26日
吉成夏子と岡本吉起によるケイブに対する10億円超の第三者割当増資が実行される。
なお、吉成夏子は増資にあたってAKSから8億円の借入を行っている。お金に色はないので正確に紐付けられるわけではないが、AKSがKeyholderにSKEを売却した30億円がその原資と思われ、結局このカネの出どころも元を辿ればKeyHolderのように見える。
 
 
一連の流れがどこまで意図的に引き起こされたものかはわからないが、今のところの勝者はKeyholderであり、敗者は資本市場の誰かだ。
Keyholderが出資してすぐに売却した60万株を、結局のところ誰とも知れぬ株式市場の参加者が高値掴みさせられた形になっており、その過程で利益が抜かれているからだ。あるいは子会社のアドアーズをKeyHolderと変えて今も支配しているJトラストこそが真の勝者なのかもしれない。
 
KeyHolderの小銭稼ぎをアシストした吉成夏子と岡本吉起の勝敗はこれからのケイブの業績次第。3月14日に第三者割当増資が発表された際に、資金使途として示された新作ゲームについては今のところまだ何の音も聞こえてきていない。
 
ケイブアドアーズという、かつてゲームセンターに設置するSTGを作っていた会社と、ゲームセンターを運営していた会社が、時代を経てこうして資本の出し入れに使われるハコという全く違う関係性において再び結びつくのだから運命とはわからない。
まぁ、アドアーズは精神が乗っ取られて身体だけが利用されているのだけれど。
 
一方、会社がそのような動きをしている中、ケイブ社員はIKD像を京大の折田先生像みたいにコスプレさせて遊んでいた。
 

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ちなみに、IKD像は会計上は固定資産として減価償却処理されているそうです。

マジモンにシビれるセリフを読みたければ「ハルスベリヤ叙事詩2」をやるしかない!

たまには自分もカッコいいセリフ吐いてみたいぜと思うのは人間のサガというものでしょう。ところが、カッコいいセリフというものは、言葉であるにも関わらず音と非常に相性が悪い。
 
例えば緊迫した場面があったとして、あなたがこう叫んだとしましょう。
 
「その口を閉じろ!!人の言葉を話すな、穢土を纏うケダモノめ!!」
 
すると相手は驚いた顔でこう返すことでしょう。
 
「え、江戸???」
 
日本語には同音異義語が多すぎるんだよ! いきなりエドとか言われても、そりゃあ自分の知ってる単語に置き換えるのが精一杯ですよ。緊迫感も台無し。
カッコいいセリフって大体文語調の難しい単語であることが多いですけど、それって実際口に出したらだいたい伝わらないんですよね。実用に耐えない言葉だとしたら、一体何のために生まれてきたんだ、カッコいいセリフ…。
 
しかし、文字であればそうではない。エドは穢土だとひと目でわかるし、音から生まれる誤解からは一切免れられる。100回生まれ変わっても一度も吐きそうもない文語調のセリフも吐き放題、円滑なコミュニケーションも取り放題!「えっ、今なんて?」と聞き返されることからはもうおさらばだ。
 
かくして我々はカッコいいセリフを探して、文字で書かれた物語の海を泳ぐことになるのです。
 
 
最近『ハルスベリヤ叙事詩2』(以下「ハルスベ」)やってるんですけど、ゲームとしての面白さもさることながら、このゲームの良さはシビれるテキストが溢れるように置いてある点。シミュレーションゲームなのに文章量のボリュームも膨大で、一つ一つのテキストの品質も高い。
 
まるで北海道に行ったときに出てくるイクラとかウニみたいに「こんなにいただいていいのか?」という贅沢。メッチャカッコイイセリフ大好きマンには絶対にオススメしたい名作。オスマントルコのメフメト2世っぽいヒゲ野郎とかがいたりするなど、ファミ通的な表現をすると世界史好きなら思わずニヤリとしてしまうという小ネタ満載なのも最の高でしょう。
 
はじめから説明すると、ハルスベは、フリーのRTSシミュレーションである「ヴァーレントゥーガ」の拡張シナリオで、ヴァーレン同様にフリーゲームです。ヴァーレン本体がなくとも、ハルスベをダウンロードすると必要なものは入っていますので、ハルスベだけをダウンロードすれば遊べちゃいます。
 
ダウンロードはこちらから可能。『ハルスベリヤ叙事詩2』の方をダウンロードしましょう。
 

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最初に選択する国家で悩むのはシミュレーションゲームあるあるですが、初めて遊ぶなら【本編】のルーリアン大公国がオススメ。周辺に中立国が多くて領土を広げやすいのと、騎兵が強いので運用方法を学ぶのにバッチリ。長距離に強い兵科がいればベストなんですが、ハルスベには一つの勢力で近距離・長距離・騎兵が強いのがバランス良く揃っているところなんてないので我慢しましょう。
 
難易度はEasyで。シミュレーションゲームに慣れている人でもEasyが良いです。余裕でクリアできるならそこで初めてNormal以上を遊びましょう。ゲームバランスとしてはわりと難しい方に入ると思うので、途中までイベントを進めたのに詰んで最初からやり直すというのはもったいないことになるので。
 
世界設定が練られているというのは、反面固有名詞が多くとっつきづらいという欠点でもあります。わけのわからん単語が多く、読んでてしんどいかもしれませんが、最初のうちはすべてを理解しようとする必要はないです。なんとなくボーッと見とけばそのうちカッコいいセリフが出てくるとのめり込めるはず。あとは好きになったら理解するのは速い。何でもそうですが、好きになる前に理解しようとする必要はない。
 

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シミュレーションの戦略画面はそうそう難しくないのですが、戦闘はRTSなのでヴァーレントゥーガやったことない人にはとっつきづらいです。情報量が多いんだよね。
 
なので、端的に言うと覚えることは2つ。
 
 1.戦闘が始まったらスペースキーを押して時間を止める。
 2.前線に槍兵等の近距離兵。後方に砲兵や弓兵。脇に騎兵の陣で望む。
 
1.については、ハルスベはRTSなので、ボーッとしていると戦闘が進んで皆殺しにされてしまいますが、スペースキーを押すことで時間を止めることができます。これに気が付かないと軽く死ねます。停止時間中もユニットの移動先が指示できるので、基本的には時間停止をちょくちょく使っていくイメージで戦いましょう。
 
2.については、有効な兵科を当てるための基本的な陣形の組み方となります。ハルスベは兵科間の相性差が非常に大きく、弓兵などが騎兵突撃を受けると、火にくべたフライパンに乗せたバターのように一瞬で溶けます。また、騎兵は全体選択などで選ぶと前線兵扱いになり、放っておくと真っ先に突撃してしまいます。すると、敵の前線の槍兵に串刺しになり、やはり一瞬で溶けます。
なので、最前線には歩兵を持っていき、歩兵が押し合いしている後ろから弓や砲を打たせて、前線を膠着させましょう。すると、相手も前線に近距離兵種、後方に長距離兵種となりがちなので、騎馬を個別に迂回突撃して敵の後方を踏み潰しましょう。射撃の支援を失った敵の前線は自然と決壊しますので、あとは押しつぶしましょう。
これが基本パターンなので、とりあえずはこれだけ覚えりゃOKです。騎兵突撃が決まったときの感触はンギモッヂイイという声が胃の中から出てくる。ちなみにマウスの範囲選択で、1ユニットが含まれる範囲を選ぶと、そのユニットが所属するグループ全部が選択されるので便利だぞ。
 
【本編】には23勢力ありますが、すべての勢力で豊富なイベントと個別のエンディングがあり、これ以外に後期シナリオとも言える戦役もあることを考えると、テキスト量がヤバい。もはやシミュレーション遊んでるのかアドベンチャー遊んでるのかわからんレベル。
 
本編以外からも出していますが、好きなセリフやイベントを抜粋したのでいくつかご紹介したい。空気が合うと思えば、ぜひ遊んでみてください。
 

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大陸最大の宗教であるラベリヤ教の総主教争いは、壮絶な争いを極めた末に政治闘争で亡くなった枢機卿の娘であるメディオラを傀儡として総主教に立てることを着地点として収まった。枢機卿ヨーハンクラッツらが後見人として実権を握るが、旗色が悪くなると他勢力と講和を結び、ラベリヤ教の権力を維持しようとする。その際、ヨーハンクラッツは「総主教メディオラはどうなるのか?」と尋ねられ「……最善を尽くす」と回答した後の流れ。みんなも傀儡として持ち上げた人物が用済みとなって切られそうになったら、たった一人でも味方してあげような。
 
ラベリヤ神聖同盟の覚醒イベントで、この後「神聖カルト・ハダシュト」と国名を変えてメディオラとアルケーが実権を握る、後々のシナリオに影響のある事件。ただ、こうまでしても最後は幸せになれないのがハルスベあるある。
 

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ハルスベ人気No.1の名言製造機ステビア総長。白砂糖騎士団は、正式名称を"砂糖の道を守る為のバーテル独立騎士修道会ラクル軍団及び騎士団連合領"と言い、独立勢力として交易路を守る組織なのだけど、総長がめっちゃ異教徒ブッ殺すガール。ちょっと何かあると「カラクル(征伐)ッ!!」と叫んですぐ切り込んでくる。異教徒だと殺されるし、異教徒を殺さないものも殺されるし、ましてや神を信じないアナーキストなど論外。こんなに「死ね」「死ね」言いまくる人は又吉イエス以来だ。
 
白砂糖騎士団を選択すると、異教徒どころか同じ神を信じる者とも全然上手くやっていけないので初期配置から周りは敵だらけなのだけど、頑張って攻略して、ラベリヤ神聖同盟との戦闘までたどり着くと、枢機卿ヨーハンクラッツにすら「カラクルのステビア!?どうしてお前は死んでいないッ!大陸西部でお前のような分別のない者が生き延びられるはずがない!」と煽られる始末。どれだけ敵が多いんだ。
 
そんなステビア総長ですが、本編の終盤以降や、カラクル包囲戦を描いた戦史モード『そしてハビラの砂になれ』では、単純な狂信者ではなく、それなりに考えて行動していたことがわかります。「騎士団が異教徒に勝ち続ける事実は、民にとって神の実在を示す恩寵である」という自己認識の元に動いてたっぽく、わりと社会派だったりする一面もある。
 
 

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高度蒸気機関帝政連邦は、北部のルーリアン大公国、南部の総主教庁軍の両軍に打ち破られ、ルーリアン大公国への降伏を選択。高度蒸気機関帝政連邦の複雑化した組織を維持するため、皇帝ルコニアは副帝として残された。ルコニアは戦争の敗北を効率性ではなく、制度構造の問題であったとして総括。その後は、蒸気機関を吸収してルーリアン大公国から名前を変えたカレリア帝国の尖兵として総主教庁軍と対することになる。
 
蒸気機関の首脳陣は、この戦いを自分たちを世界に理解してもらうための見本市の場のようなものだと定義。総主教庁軍と対するため派遣された蒸気機関顧問アハルエドジェは新兵器"キメラメルカバーⅡ"を戦車6台に牽引させ、戦場へ持ち込んだ。"キメラメルカバーⅡ"の砲撃は敵の大群を一瞬で蒸発させたが、その際にアハルエドジェが言い放ったセリフが上記。記録員のスフェイス卿からは「蒸気機関が傾いたの、お前に責任の一端があるのではないか……?」と突っ込まれる始末。
 
アハルエドジェさんは、研究のためならわりと善悪なくルビコン河をサラッと渡ってしまうタイプ。後日も「私は作りたいから作ったのであって、その後の使い方は考慮しない。そりゃあ、出来上がったものに対して人それぞれの意図や思惑は絡むだろうよ」と平気で言い放つなど、わりとやりたい放題の科学者の鑑。予算の私的流用とか言われて一旦牢まで入れられているのもアツい。あえて低いカタログスペックを少ない予算で出しておいて、上も引っ込みがつかなくなったところで追加予算を要求するテクニック、我々も真似していくしかない。
 
 

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閻証聖は、中国をモデルとした国家と思われるアルシカ党にて内閣大学士(皇帝の事務の一部を行う官職)を務める文官。上記は、縁戚が皇帝の暗殺を企んで失敗したことが知らされた際、使者に「お前の子を推挙してやるから、死ね」と命じた場面。使者は、閻証聖に逆らっても結局命がなく、自らの天命が尽きていることを悟って自刃するが、自分が命じたわりに「家族を大切にするやつは信用できない」とボロカスに言ってる証聖ちゃんかわいい。
 
立ち位置的に武官との仲が悪く、性格も優秀さ故の傲慢なところもあり石田三成的なタイプで、個人的にハルスベで一番好きなキャラ。サラリーマンやってると、この手の人間が汗をかいて組織を回していることがわかってくるので、組織人的にはわりとシンパシーを感じてしまう。戦場でも官僚らしく持って回った言い回しを使うが、民兵が「なぁ、大臣様は何を言っているんだ?」と言っているのに気づくと、「功をなせ!!ぶっ殺せッ!」と開き直る場面もありかわいい。
 
姉の閻天授は、巨大数の扱いに秀でてフワフワした性格の数学的変人だが、なにかと常に「証聖ちゃん、証聖ちゃん」と妹に依存しているように見える。ところが、クールな閻証聖も戦局が不利になってピンチに陥ると「助けて姉さん!」と叫び、本当は証聖の方も姉に依存している節がある。
 

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コスタ皇帝ミシェル・ブーランジェは、時勢に乗って将校から皇帝まで上り詰めた人民の英雄。内戦をコスタ主導で終わらせるべく聖都へ遠征するが、そこで総主教の遺体が収まった棺を目撃する。既に総主教庁の軍は首のない死体として動き回っていただけだった。ラベリヤ教と関係性を築き、内戦の主導的立場を築こうとする目論見は外れ、遠征の目的は失われた。そこに南下してきたカレリア皇帝軍と戦闘になるが、戦う意味はもはやない。
 
戦史モード『二帝明暗』は、途中でコスタ(フランス)側に増援が来ることや、終盤にコスタが中央突撃をしてくることからアウステルリッツの戦いがモチーフと思われる戦い。ここでは、カレリアの専制君主ジャッキとコスタ皇帝ミシェルのやりとりに良さみがあるんすよ。
 
共和制の強国コスタは、古い議会制を抱えて集権も変革もないまま領土だけが拡大し、その結果で吸収した人々は思想の統合もなく様々な主義主張を持ち、国内で好き勝手に振る舞うが、大衆の人気者である英雄ミシェルが勝利するという一点についてのみ国がまとまることができる。コスタ後半のシナリオは、人々の期待に答え続けなければならないポピュリスト権力者の悩みを上手く描けてるんよね。
「一切の政的問題を国外に輸出し、勝利を輸入し続けなければならない」ってセリフカッコ良すぎるので、将来国家指導者になったら絶対使っていこうな。
 
一方、強力な専制君主制を敷くカレリア帝国ではそんな問題は起きない。むしろ軍隊は人々のためのツールというよりも国家そのものという概念に近いと言う。ルーリアン公国(カレリア帝国の旧名)シナリオやると、ルーリアン自体が戦争やるための国家みたいなものなので、その考え方になってしまうジャッキの気持ちもわかる。ハルスベ、結構キャラクターの考え方は一貫してるんよね。
体制に担保された権力と、人気に担保された権力の強みと弱みという話は現代でもちょくちょく見るような話です。
 

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ラベリヤ教国が力を失い、傭兵が聖都に闖入する中、ラベリヤ総主教メディオラは信徒の信仰を守るために自らの撤退を拒絶。その生死は棺の中に伏された。閉じられた棺を誰にも開けさせないため、アルケーは聖都を守る。
 
戦史モード最高難易度『空飛ぶハンニバル』はハルスベの行き着くところまで行った人だけがクリアできる最後の戦いとも言える戦闘。この戦いに勝利できるならば、アレクサンドロス大王やピュロスにだって勝てるかもしれない。
 
ローマ人っぽい口上を述べる大公マローラの軍は、中央に歩兵、両翼に騎兵を並べ、対するアルケーは中央に戦象、両翼に騎兵を備えた陣で迎え撃つ。布陣は完全にスキピオハンニバルによるザマの戦いそのものですが、聖都の前に布陣するアルケーカルタゴ)側の兵はあまりにも少ない。特にマシニッサヌミディア騎兵がモチーフと思われる右翼のロマの騎兵が泣けるほどしんどい。突入してきただけで全滅するレベルでつらい。
がんばれアルケーちゃん!負けるなアルケーちゃん!弱者が語る言葉はない……勝つしかない!
 
セリフだけでなくBGMとのシンクロが震えるほど良いので、クリアできずとも開幕演出だけでもぜひ見てみてほしい一戦。
 
 
ほかにも個別にいくつか。
 

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今回の本題がそちらだったのでテキスト面にばかり触れてしまいましたが、シミュレーションとしてもバランスが綿密に練られており最の高であります。特にNormal以上だと、戦争は勝つだけでなく兵を失わないように勝つ必要がありますし、多面作戦は資金が持たないので外交にも気を使っていく必要があります。その上にシビれるテキストが乗ってくるのだから、ゲームとしての完成度はいかばかりか。
 
最近ゲーム音楽のコンサートに気楽に行けるのは日本に生まれた特権だなと思ったことがあったのですが、日本語で書かれたハルスベが遊べるというのもまた日本に生まれて良かったことの一つだなと思うようになりました。こんな素晴らしいゲームを作ってくれてありがとう。
 
上の方にもアップローダーへのリンク貼った気がするけど、かなり上なのでもう一回置いときます。興味があればぜひ。
 

ハチナイ走力影響調査2019夏 ~2塁からワンヒットでホームまで還るために~

ハチナイと言えば残塁地獄で知られるゲームですが、去年の夏に調べたところ、「相手に一定以上の守備力がある場合、2塁からワンヒットでホームまで還ることができない」バランスであったことがわかりました。そりゃ残塁地獄にもなるわという納得の結果。
 
しかし、今年の冬に走塁面のシステム改修があり、今では2塁ランナーがワンヒットでホームまで還るシーンもちょくちょく見るようになりましたし、1塁ランナーもライト前ヒットで3塁まで行くことがあります。
 
問題は「ランナーが誰なら、どれくらいの確率で」ってところなんですけどね。
というわけで調べてみました。例のとおり手作業で集計しています。集計条件は以下のとおり。
  • ランナー1塁で外野にヒットが出た場合に、ランナーは3塁まで進めるか
  • ランナー1塁でツーベースヒットが出た場合に、ランナーはホームに進めるか
  • ランナー2塁で外野にヒットが出た場合に、ランナーはホームに進めるか
の3点。犠牲フライについては、発生条件がよくわからなかったので今回は無視しました。
 

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1アウト1塁から単打を打ったら分母に1カウント、1塁ランナーが3塁まで進塁したら分子に1カウントして数えていきます。
結構ちゃんと見てないといけないし、手が忙しくなるのでゲームスピードは遅めにして地道に数を数える作業を繰り返していきます。お刺身にたんぽぽ乗せる作業の香りがするし、生きている意義を少し考えてしまうようになるので良い子は真似しないでくれよな。
 
同じ条件で繰り返し回さなければならないので、対戦相手は今の宇喜多イベントで出てくる聖ハピネス学園(ランク:A1)を選定。この実験、本当はもう少し早くやりたかったんですけど、特攻不要で適度に強い相手を繰り返し回せるイベントがなかったんですよね。
  

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聖ハピネス学園の外野守備力は全員4666で固定。なんと都合のいい。
多分ランクマで人間を相手にするときもだいたいこれくらいの守備力と思われますし、いい感じです。
 

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こちらのスタメンはこんな感じ。調子の数字は1(絶不調)~5(絶好調)を表します。 
とりあえず15戦回してみた結果がこちら。
 

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進塁率49%!!!

前回の夏調査では、犠牲フライを除いた進塁率が0%だったので、大きく数字が変わっています。2塁からワンヒットでホームまで還ってくることができるようになりました!ハチナイがだんだん野球に近づいてきている!!
 
未だにクロスプレイがないこととか、バントがないこととかを忘れると、これは大きな進歩です。喜ばしい。
しかもこの表をよく見ると、俊足の東雲や絶好調のいろはの進塁率がやたら高かったり、絶不調の坂上ちゃんの進塁率が低かったりと、走力の影響が露骨に現れていることが見て取れます。ちゃんと走力反映しててえらい…。
 
しかし、走力を反映している……?
ならば、彼女の出番じゃないですか!
  

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[分かち合う勝利] の竹富くんは単体性能だとそんなでもないけど、センターに配置したとき「味方全体の走力が大幅に上昇する」のバフスキルを持っていて、もしかしたらこのスキルが化けるかもしれない。
 
そんなわけでセンターを加奈子から竹富くんに変更。チーム全体に走力バフをかけて試してみましょう。
 
先ほどと同じく15戦回してみるとこんな感じに(ついでに先発投手を防御率測るために変えています)。
  

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なんということでしょう!
 
進塁機会は103回とほとんど変わらないのに、進塁数は50回から77回に激増!当の竹富くん自身に至っては、1塁にいるときにヒットが出れば9割以上の確率で3塁に行くし、長打が出ればホーム生還ほぼ間違いなしというレベルの快速。ハチナイ界の赤星や…。
チーム全体の盗塁の試行回数も20回から35回に増加し、成功率アップで成功数はちょうど倍増。たった一人入れるだけでこの違いですよ。
 
これが健大高崎の機動破壊…!じゃなかった、竹富くんのバフの威力…!
長打の少ないゲームバランスで、未だに残塁各駅停車が多い現状、これは大きなアドバンテージではなかろうかと思います。
 
ハチナイにおいてはセンターが不毛の地とされていて、これが鉄板という選手が存在しなかったところですが、ここにきて走力の価値向上で竹富くんが正中堅手に急浮上してくるわけですよ。
当の本人の打力が微妙だったり、守備も物足りないところがあるのは欠点ですが、バフの効果頼みに下位打線に置いておくというのも打線の組み方の一つの答えになるんじゃないでしょうか。
  

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ちなみに散布図にプロットするとこんな感じ。走力の割に極端に率が低かったり極端に高かったりするところは、調子が高かったり低かったりする選手です。だいたい5000を超えてくると、かなりの確率で追加進塁を得られるという結果のようです。
今回の実験相手の守備力が4666固定だったので、相手の守備力を超えていれば高確率になるのかもしれないですね。対人間でも守備力は4000台が多いのではないかと思われるし、そういう意味では走力は5000超えを一つの目安にしてもいいかも。
 
ハチナイは、単純に性能が強い順に並べれば終わりというわけじゃなく、こうやって実証してみることで答えが出てくるという点は、野球ゲームとして本当にいいゲームだなぁというところありますね。統計のスポーツ、それが野球だから。
 

「私はあの時助けていただいたベイスです」

昔、「ゲーム業界決算まとめ」という記事を半年に一回やってたんですけど、5年前にDeNAの項目で、「君は……」「私はあの時助けていただいたベイスです。ご恩をお返ししに来ました」と書いたことがありました。
 
この記事を書いた前のシーズンである2013年は、DeNAが買収してから2年目のシーズンを終えたところ。このときのベイスターズというのは、ほんっっっっとうに弱くて、2008年から2012年までは5年連続最下位で、毎年のように90敗くらいしていました。
そして迎えた2013年はDeNA2年目であるとともに、中畑政権2年目。中日から獲得したブランコが首位打者打点王の2冠王に輝くなどの活躍で、6年ぶりに最下位を脱し5位に終わり、来期への上がり目を感じさせていました。今では打線の中軸を打つ宮﨑や、三嶋、井納のルーキーイヤーでもあります。ドラ1は白崎なんですけど。
 
それから5年が過ぎました。
キューバから獲得したグリエルに来日拒否されてMLBに逃げられたり、前半戦首位ターンからのシーズンを最下位で終了するアクロバットやってみたり、クライマックスシリーズで泥んこ野球やったり、倉本が平凡な正面の内野ゴロを内野安打にしてウィーランドにキレられたりと色々ありましたが、万年最下位だったチームが、今や毎年CSを伺うまでに生まれ変わりました。
 
一方、マーケティング面においても、DeNAの買収後、様々な集客施策が打ち出されました。
顧客が満足しなかったら全額返金するチケットを発売してキヨシにキレられたり、球場にシャボン玉を飛ばして応援する企画で客の弁当にシャボン玉を落として苦情を受けたりしましたが、失敗があるということは挑戦をしているということの裏返し。4367回安打を打つために必要なことは、14832回打席に立ち、失敗し続けること以外ありません。
 
データ分析から浮かび上がった「アクティブサラリーマン」と名付けた20代から30代男性の層にターゲットマーケティングを行い、集客増の端緒を掴んだことにはじめ、人口が多く巨大マーケットである横浜の優位性を生かして地元志向の広告宣伝を行ったことなど、とにかく「誰に球場に来てもらうのか」ということを明確に絞り込んだマーケティングを行っていたように思います。
 
結果として、買収初年度の2012年に110万人だった観客動員数は右肩上がりに増加を続け、2018年には200万人を突破。球場のキャパシティの問題で観客動員数は頭打ちに達したため、横浜スタジアムの座席数の増設工事を行うというところまで辿り着いたのは、DeNAの優秀なマーケターたちの努力の成果と切り離して考えることはできないでしょう。
 
それに伴い収支も改善。10億円以上の利益を計上するようになった現状は、大赤字でTBSのお荷物と言われた時代に想像した人なんて一人もいなかったんじゃないですかね。モバゲーの減速とともに毎年減収減益を続けるDeNAの2019年3月期の当期純利益は127億円ですから、赤字の広告宣伝どころか大いに利益の一角を担っているわけです。
毎年何千万人という観客を集めるプロ野球は、しっかりマーケティングやれば商売にならないわけがない、というポテンシャルを示したとも言えるかもしれません。
 
TBS時代からDeNA時代までの10年間の収支と観客動員数の推移をまとめるとこうなります。
 

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データの出処は官報とNPBの公式サイトから。
今回は、株式会社横浜ベイスターズ及び株式会社横浜DeNAベイスターズの決算を単体で調べたので官報をあたりましたが、古い官報は閲覧サービスのある図書館で調べることが可能です。例えば東京都であれば、東京都立図書館で官報を閲覧できるPCを使わせてくれます。都立図書館オススメ。
 
まず注目すべきはTBS時代の2010年とDeNA時代初期の当期純損益。これだけの規模の会社で当期純利益が1百万円とか、ほぼ0円とかありえますか。この数字で野球好きな人はピンと来る人もいると思いますけど、これが例の国税庁通達のやつですね。
 
1954年に出された国税庁「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について」という通達には、こう記載されています。

     ニ 親会社が、球団の当該事業年度において生じた欠損金(野球事業から生じた欠損金に限る。以下同じ。)を補てんするため支出した金銭は、球団の当該事業年度において生じた欠損金を限度として、当分のうち特に弊害のない限り、一の「広告宣伝費の性質を有するもの」として取り扱うものとすること。
平たく言うと「子会社のプロ野球チームの赤字補填した分については、親会社で損金処理していいですよ」という超法規的な措置で、長らくプロ野球チームを持つ親会社の節税対策として使われてきた通達です。そのため、プロ野球チームでは赤字になった分だけ親会社から資金が出てくる形となります。
2009年は親会社であるTBS自体が赤字だったため、節税効果が見込めずに収支補填が行われなかった数字であると見れば、観客動員数125万人程度であれば5億円程度の赤字が出る水準であると理解して良いものと思われます。赤字出してくれたおかげで目安の数字拾えました。ありがとうTBS!
 
DeNA買収以降の当初は更に客足が落ちていますが、買収以降、他の事業と合算したセグメント別の収支が公開されているので、正確ではないですがおおよその参考にすることができます。
 

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2013年3月期の決算短信によれば、「その他セグメント」が12億円程度の赤字となっており、まぁ普通に考えるとその殆どがベイスターズ関連でなかったのではないかと思います。したがって、買収以降当面は旧来の節税方式に則り、DeNAは毎年10億円程度の節税効果を得ていたのではないかと思われます。
 
それでも、ベイスターズを単体で事業として成立させるための努力を続け、完全に潮目が変わったのは2015年。観客動員数は180万人にまで急増し、はじめての単体黒字を計上しますが、思い起こすとこの年は前半戦を首位ターンで折り返した年。やはり強いと客は入るんですよね。
しかし、180万人ともなると、ほぼ観客動員数に伸びしろのない状況。そこまで行って、たった1億円の利益も出すことができないという状況は厳しい。このままでは球場を連日満員にしても、トントンにちょっと毛が生えた程度の利益が上限なんですよね。そのためには、広告使用料や飲食店の売上などが株式会社横浜スタジアムに吸い上げられてしまう契約を何とかする必要がありました。
 
そして株式会社横浜スタジアムを買収する2016年へと至ります。
元々、株式会社横浜スタジアムという会社は、横浜市横浜銀行のほか、地元の財界人をはじめとした個人株主が株式の多数を保有する会社で、権利関係が分散しているために買収は難しいと見られていました。非上場の会社って、いくら金を積んでも株主が「売らん」と言えばそれで終わりなので、特に関係者の多い本件をとりまとめたこの買収劇がDeNAのやった仕事の中で一番すごい仕事なんじゃないかと思うんですが、池田社長などベイスターズ経営陣は粘り強く地元の財界人や個人株主を説得し、友好的TOBの成功にこぎつけます。
 
それにより2016年度決算からは利益が激増。ただ一方で、買収のために親会社であるDeNAから70億円もの借金をしているため、ちょっとやそっとの利益では十分ではなくなったという側面もあります。いわゆるハコもの商売、ホテルとか不動産賃貸業とかって、初期投資のために多額の借金を背負うビジネスモデルであるため、他の業種よりも高い利益を出し続ける必要があります。ホークスとかもそうですが、球場を買ってしまった以上、半ば不動産業者みたいなものになるので、利益は高くて当たり前。他の球団と同じ利益では借金を返す金が足らんのです。
とはいえ、これだけのキャッシュフローを計上できているのであれば投資は大成功の水準。この集客を数年続けていけば、70億円の返済なんて屁でもないでしょう。
 
買収からわずか5年で、マーケティングの仕組みを整え集客力を激増させ、市や地元財界とのコネクションを作って横浜スタジアムの買収に成功し、その間にチームも再建してその後CS進出まで導くという仕組みづくりを行った池田社長、マジでプロ経営者というか、めっちゃ仕事できるマンとしか言いようがありません。5年ってたった1800日ちょいですよ。毎日寝て起きて繰り返してたら1800日なんてすぐ過ぎちゃいますよ。5年間という時間の流れ方が我々とは違うとしか思えない。我々が快活CLUBでキングダムを読みながらアイスクリーム食べている時間で、池田社長はどんどんベイスターズを再建していく…。
 
いや、優秀な経営者って本当に価値があって、要は同じリソースを与えるなら優秀な人に与えるべきって話なんですよね。
DeNAと池田社長が手掛けたベイスターズの復活劇は一つの野球チームの経営再建と見ることができるとともに、成功した事業承継の話とも見ることができます。
 
経営者の高齢化が経済全体の課題となっている中、事業承継関連は国も結構データを取っていて、例えば2019年度の「中小企業白書」にはこういう記述があります。

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中小企業白書では事業承継を行った場合の売上高、総資産成長率や従業員雇用者数などの指標について検証を行っており、結論として
 
事業承継により業績が改善する、事業を引き継ぐ経営者の年齢が若いほど業績が改善する、といったこれまでの通説は、いずれもおおむね正しいといえることが分かった
と結んでいます。
 
TBSからDeNAに経営権が映った2011年の、当時の池田社長の年齢は35歳。まさに白書が最も効果があると指摘する年代への事業承継であったと言えます。老人たちが有効に活用できなかったベイスターズというリソースを、池田社長が見事に使いこなして見せた話と理解することができます。
 
プロ野球のファンは3000万人とも言われ、この日本において依然として巨大なコンテンツ産業であり続けている一方、ステークホルダーの面子は大きく変わらず、「ビッグ&オールド」の産業であり続けています。
ベイスターズは言い方は悪いですが、所詮地方球団。そのリソースは限られています。「I ♡ YOKOHAMA」のターゲットマーケティング戦略は、裏返せば横浜以外の顧客はターゲットとしなかったということ。いや、できなかったという方が正しい。お客さんの数は多ければ多いほど良いに決まっていますが、全方位戦略が取れるほどベイスターズのリソースは大きいわけではありません。ターゲットマーケティングは、弱者の戦略のような性質があります。
 
すなわち、一地方球団にしか過ぎないベイスターズよりも更に巨大なリソースを持つ球団や組織などがあるわけで、それら組織のリソースを有効に活用できる池田社長みたいな人が現れたときに日本のプロ野球の構造は大いに変わることになるでしょう。しかし、同一の人間の性格や組織の特質は急に変わることができないのは時代が示しています。長く続ければ続けるほど、長く生きれば生きるほど、人は保守的になっていきます。新陳代謝を促すために、人はいずれ死なねばなりません。
 
未来は誰かが誰かにタスキを繋いだ先にしかなく、TBS、ダイエー近鉄、阪急、それだけではなくかつてプロ野球チームを持ったすべての会社がバトンを次の走者に渡してくれたことはとても大事なことだったし、TBSが球団を買ったときも、ダイエーが球団を買ったときも、きっと改革はあったのでしょう。
 
ここまで書いて、「あ、これはもう事業承継しかないな」という気になってきたし、クラウドファンディングで株式会社読売巨人軍を買収する資金を集めるしかないなというお気持ちになってきている。桃鉄だと東京の球団は100億円で買えた気がするし、それくらいで足りるかな?
 

SEKIROが言うには「続けると、きっといいことがある」

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SEKIRO、ようやく4週が終わって5週目に取り掛かっているところです。
ゲームとしてやるべきかやらぬべきかと言えば、それはやるべきだし、お金がないならば今すぐアルバイトでもするか、働きたくないならばブックオフにゲームかCDでも売っぱらって買うべきと言いたい。これは自分自身の「内面における体験」を買うゲームなのだから、見るのではなく自分でやる必要があるわけっすよ。ボヤボヤしているとお前の人生の残り時間なくなってしまうぜ、ムーブ!今すぐ動け!と言ってしまえばそれだけの話なのですが、はて、ゲームゲームと言いますが、フロムのゲームは10回、20回、100回と失敗を重ねて、敵の動きと対処を学習し、乗り越えていくゲームで、むしろ修行でもしているかのような感覚。これは果たしてゲームなのか。

ゲームという定義に関しては、フォン・ノイマンというおじさんが、ザクッとまとめてこんなことを言っています。
「チェスはゲームではなく、明確に定義された計算の一形式なんです。実際に答えを出すことはできないかもしれないが、理論的には正しい『手』が存在するはずです。それに対して本当のゲームはというと、全然違います。現実の生活は、はったりやごまかしの駆け引きからなっています。それこそが私の理論で言うゲームなのです」
まぁいかにもゲーム理論考えたおっさんらしい言葉ですね。この言葉どおりだとマリオですらゲームではなくなってしまう。

現代でゲームという言葉が用いられる慣用的な意味からすると「SEKIROはゲームじゃない」とか言い出したら何言ってんだこいつという話なんですけど、狭義な話としてノイマンの定義に従うのならば、最適解のあるSEKIROもまたゲームではないのでしょう。
じゃあSEKIROはゲームでないとするならば何なのか。

SEKIROは難しいゲームだと言われますが、その難しさを一言にまとめると「正確な動作をミスなく繰り返し続けなければならない」という点に集約されるかと思います。その本質は音ゲーとかSTGに通ずるものがあります。しかしこれってどこかで見たことないか…。そう、製造業の工場ですよ。工場。緻密な加工をひたすらミスなく続ける職人たちの姿ですよ。これこそがSEKIROです。

かつて日本は「技術立国」と呼ばれ、製造業で飯を食っていました。金属の切粉が空気に混じった鉄臭い工場で、熟練工の男たちが汎用旋盤やフライス盤を駆使し、金属に穴を開け、切り、削り、曲げ、時には溶接し、部品や金型を作っていました。その精度は正確にして繊細。
男たちは最初から高精度かつ正確な加工ができたわけではありません。はじめ、アメリカにおける「メイドインジャパン」と言えば「安かろう悪かろう」の代名詞でした。しかし、それでも繰り返し繰り返し長く作り続けたことにより、技術力は向上し、どんな難度の高い作業でも毎回正確に行える実力を身につけ、「メイドインジャパン」は「高品質」へと意味を変えたのです。
つまり、技術力は継続からしか得られない。
音楽にしても、最初は楽譜も読めなかった子どもが何年も続けるうちに、遂には2時間のオーケストラの楽譜を一度も間違えずに演奏できるようになる。1回の成功の前には、1万回の失敗がある。しかし、1回成功してしまうと、そこからの失敗確率はグンと落ちる。これが技術ですよね。

この学習の過程をグーッと圧縮して煎じ詰めるとSEKIROになります。
2時間ほど同じボスと戦って、回数も覚えていないほど「死」の画面を眺め続けて「難しすぎる。これ一生勝てないんじゃ…」と思っても、繰り返し繰り返しプレイすることで技術が身につき、正確な作業を行えるようになることで撃破できる。なんということだ、葦名城は工場で、狼は汎用旋盤の扱いに長けた職人だった…。

そうなると、これまで戦場の敵として戦っていた相手が、全て工場の部材として立ち上がってくるぞ。
最初は新米工員として工場に入ってきた狼。初めは荒い精度の加工にも手間取り、少しずつ慣れて腕に覚えが出てきたところで、新規受注した大型案件で心が折られる。それでも諦めずに難度の高い加工に挑戦し続けた結果、今ではミクロン単位の加工も正確にこなす熟練技術者だ。

技術力は継続からしか生まれない。
続けると、きっといいことがある。

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ところで、SEKIROにはその評価を確たるものとした良ボス「葦名弦一郎」がいます。彼こそはSEKIROのすべてを体現した存在であると言えましょう。

こんなことが心に思い当たるところはないでしょうか。MIDIをやろうと思ってSC88Proを買ったけれど、色々音を出してみた時点で「自分には才能がない」と終わってしまった。憧れの絵師のようになりたいとペンタブを買ったが描き心地を試しただけで終わってしまった。つまり、どのような道にせよ継続は容易ではないし、人はすぐに諦めてしまうということです。

葦名弦一郎は、そのような技術の向上を前に道を断念した人間の思いを具現化した怨念。
弦一郎の素晴らしいところは、まず第一に、意気揚々と辿り着いたプレイヤーの心を必ず叩き折って、どこかに諦めの気持ちを生み出してくれること。押し入れにしまってあるSC88Pro。カップラーメンを作る置き場になってしまったペンタブ。そのすべてが弦一郎に敗れて、続けることをあきらめてしまった夢の残骸です。一言で「成功の鍵は続けることだ」なんて言っても、その継続が難しいんだってばよ。継続は決して口で言うほど簡単なものではないんですよね。

ところが、折れそうになる心を押し留め、何度も何度も挑戦し、弦一郎を倒したとき、世界が転換します。
2週目にもなるとあれだけ強かった弦一郎の動きが手に取るように見え、繰り出された刀は間違えずに弾くことができ、下段はジャンプで躱し、突きは当たり前のように見切ることができる。3段階目の雷は相変わらずボーナス行動。弦一郎の素晴らしいところの2つ目は、それを乗り越えた者にとっては、弦一郎ではなく、「弦ちゃん」と愛されるキャラクターに変わりうる点です。

それが示すことは、あの凶悪な「葦名弦一郎」が「弦ちゃん」になる瞬間、確かにお前は継続という壁を乗り越えたのだという祝福が与えられるのだということ。それはすなわち、ハードウェア音源やペンタブを使わずにしまってしまった過去とは違った結末を導くことができたに等しい。よくやった、お前は諦めずに練習し続けたことにより確かな技術力を手にすることができたのだ。そしてそれは決して失われない。
「どうだ…お前の中のSC88proは切ることができたか…?」と倒したときに言ってほしいくらいですよ。

技術力は継続からしか生まれない。
続けると、きっといいことがある。

ただし、続けるに足る十分な時間が人生に残っているならば。

「子供には無限の可能性がある」というのは残酷な言葉で、裏返せば大人は過ぎていった時間とともに可能性を失っていったということ。あのとき諦めてしまったものに、あのときに戻って再び取り組むことはもうできない。
みんな今更やり直せない何かを心の何処かに引っ掛けながら生きてるし、何かを諦めてしまった大人にできることは、挫折した過去を乗り越える代償行為として葦名弦一郎を踏みにじり続けることくらいなもんですよ(ラスボス戦で100回くらいやり直しながら)。

まだ間に合うやつは急げよ。楽器でも良い、絵でも良い。
とにかく諦めないで続けて、そして葦名弦一郎を倒すんだ。